NEW WIND社長 風間 新 手記より。
※このお話は、長編リプレイ『NEW WIND編』および『栄光のスターロード編』の『創作アフターストーリー』です。
このお話の設定には、ゲーム上では再現できない設定を盛り込んでいますので、ご注意ください。
単独作品としても十分楽しんでいただけるように留意しておりますが、登場人物の設定などは『NEW WIND編』に準拠していますので、NEW WIND編を読まれているとより楽しめると思います。
※※再会試合について※※
この試合に関しては、ほぼリアルタイムでお話が展開します。
今回は13分経過から15分経過までの出来事です。
※このお話は、長編リプレイ『NEW WIND編』および『栄光のスターロード編』の『創作アフターストーリー』です。
このお話の設定には、ゲーム上では再現できない設定を盛り込んでいますので、ご注意ください。
単独作品としても十分楽しんでいただけるように留意しておりますが、登場人物の設定などは『NEW WIND編』に準拠していますので、NEW WIND編を読まれているとより楽しめると思います。
※※再会試合について※※
この試合に関しては、ほぼリアルタイムでお話が展開します。
今回は13分経過から15分経過までの出来事です。
「ハアッ!」
南は伊達を休ませる気はないようだ。珍しく左のローキックを放ち、伊達の右足にダメージを与えていく。久しぶりの試合なのに綺麗なフォームだな。思わず見とれてしまうよ。
「うぐっ……くうっ」
キックが入るたびに伊達の表情が苦痛に歪むが、南の左ローキックは容赦なく連打された。そして6発目のローキックが入った瞬間、伊達はガクンと右ヒザをついた。南はそれを見て一気に距離を詰めた。
ドゴオッ!
「かはッ…」
だが、次の瞬間…南は腹部を両手で押さえてかがみ込んでいた。伊達の右ヒザが南の腹部を打ち抜いたのだ。
「なるほど、ジャンピングニー…いや、フェニックスJを応用したのか。」
「その場飛びの…蛙飛びに近い形で腹部へのフェニックスJというところかしら。」
たった一撃で南の動きを止めてしまうとは…伊達の“暴れん坊なヒザ”は相変わらず凶暴だよ。
「くッ…」
南は起き上がろうとするがダメージが大きく思うように体が動かない。その動きを確認して、伊達はこの試合初めてロープへと走った。助走をつけてのニーリフトを狙うつもりだろう。
「いけ~遥さん!」
「伊達~~!」
「南~~!!」
セコンドから、客席から色々な声が飛ぶ。伊達はきちんと走っている。さっき足をひきずっていたのは芝居だったか?
「タアアアッ!」
伊達の助走をつけてのニーリフトがようやく上体を起こした南を襲う。
「あまいわよ、遥ッ!」
南はその右ひざを両手で抱えるように、ガッチリとキャッチしてみせた。どうやら、起き上がれないというのは三味線だったようだ。
「いくわよ。」
南が再びサザンスクリューを狙う。
「クッ」
伊達はそれを防ごうと体を反転させ、空いている左足で延髄蹴りを放ったのだが、南はこれを読んでいた。
「おおっ!」
ダッキングですばやく回避するとそのまま掴んでいた足をスタンディングのアンクルホールドに決める。
「あうぐぐッ…」
呻き声を上げる伊達。ロープはかなり遠い上に、技はガッチリと決まっている。
「だ~て!だ~て!だ~て!」
場内から伊達コールが降り注ぎ、ピンチに陥った伊達を励ます。
「南~絞れ~~!し・ぼ・れ!し・ぼ・れ!」
南ファンも伊達ファンに負けずに声援を送った。それに応えるように南は顔を真っ赤にしながら強烈に絞り上げた。だが伊達はギブアップすることなく、少しずつだが確実にロープへと近づいていく。
「あと少し、あとすこし~!」
永沢が声を張り上げる。その声に導かれ、伊達の逃げるスピードが速まっていく。
「このっ!」
南がもう一絞りしたところで、伊達の右手がサードロープへと辿りついた。
「ブレイク!」
場内から大きな拍手が巻き起こった。
「はあッ…はあッ…」
伊達は今の技が相当効いたのか、かなりの汗をかいている。右足の感覚がないのか、右の拳で足を叩いて気合を入れながら、左手でロープにつかまって立ち上がる。その時すでに南は反対側のロープへと走っていた。
「うおおおっ!」
反動をつけた南は、リング中央付近で一度側転を入れてから背面エルボー!
「おおおおッ…」
場内がどよめく。それはそうだろうこの技は現役時代に使ったことがない。
「嘘だろ!復帰戦で新技かよ!」
上戸は半ばあきれながら叫んでいた。
しかし、この側転エルボーは伊達にガッチリと捕獲されてしまった。
「みなみ~~~!!」
伊達は、南の勢いを利用して一気にリバースブレーンバスターで持ち上げた。
「わあああああああああ~」
場内から悲鳴と歓声が混ざった声が上がる。勢いのついていた南の体は抵抗する間もなく、やすやすとトップロープを越えてしまった。
「ねえさあん!」
「南さん!」
セコンド陣も大きな悲鳴をあげた。
…だが、南は空中で体勢を変えると、何事もなかったかのように両足でエプロンに着地。そしてすばやく場外から伊達の右足をロープに引っ掛け、その右足を自らの足でロックした。
「おおおおおっ!」
「すげええっ!」
「こんなことができるのっ?」
そう南が決めたのは、ロープを利用しての磔式ネオ・サザンクロスロック!
「あうッ…」
伊達は予期せぬ攻撃に呻くことしかできない。場内の誰もが、南が見せた新しいネオ・サザンクロスロックの入り方に目を奪われている。そう、レフェリーですら…
「レフェリー、ロープです!ロープ!」
そう、この技は素晴しい技なのだが…どう見てもロープブレイクだよね(苦笑)
「ノー!ノー!南、ロープだ!ロープ!ブレイク!」
しかし南は、レフェリーの指示を無視してさらに絞りあげる。
「BUUUU!」「いいぞ~!」
伊達ファンからはブーイング、南ファンからは歓声が上がる。観客は新旧関係なく伊達派、南派に二分されたように感じるな。
「あぐぐッ…」
伊達は逃げる事すらできない状態なので、ただ呻くしかない。
「レフェリー、ロープ!ロープです!」
永沢がエプロンに飛び上がって抗議する。
「セコンド!下がれ!」
トニー館はすぐに永沢に下がるように指示を出す。
「くっ…」永沢はすぐに飛び降り「レフェリー!ロープ!!」ともう一度叫んだ。
「こら、南!ロープだ、ロープ!」
トニー館レフェリーが制止するが南はさらに絞りあげる。
「南!ワン…トゥ…スリー…フォー」
南はフォーのところでクラッチを外すと、大げさに両手を左右に開いた。
「フォー!で離したわよ、文句はないわね。」
手は離したが足はロックしたままだ。
「中に戻れ!」とトニー館。
「残念ね。」
素早く再びフェイスロックを決める南。
「あぐうっ」
「BUUUUU!!!」
場内から大きなブーイング。
「南、ロープだ!ブレイク!…ワン、トゥ、スリー、フォー!」
今度は高速でカウントするトニー館。南はカウント4で手を離し、すぐに足のクラッチも外した。技を解かれた伊達はうつ伏せにダウン。
「試合時間15分経過…15分経過」
【15:15】
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無茶振りを爆弾に変えて一緒に再会試合へと臨ませて頂きます(喀血)
って、うおお……なんという現代プロレスの粋を究めた攻防……ッ!
まさかの新技によって、この試合がベテランのリバイバル以上であることを大観衆に知らしめたー!(落ち着け)
今のところ最強の龍の憂慮は杞憂に終わりそうですが、二人の永きブランクは予断を許しません。
進化した名勝負に慄きつつ、これ以上感想を述べると後で書くことがなくなりそうなので記事までとっておきます(笑)