NEW WIND社長 風間 新 手記より。
※このお話は、長編リプレイ『NEW WIND編』および『栄光のスターロード編』の『創作アフターストーリー』です。
このお話の設定には、ゲーム上では再現できない設定を盛り込んでいますので、ご注意ください。
単独作品としても十分楽しんでいただけるように留意しておりますが、登場人物の設定などは『NEW WIND編』に準拠していますので、NEW WIND編を読まれているとより楽しめると思います。
※※再会試合について※※
この試合に関しては、ほぼリアルタイムでお話が展開します。
今回は10分経過から13分経過までの出来事です。
※このお話は、長編リプレイ『NEW WIND編』および『栄光のスターロード編』の『創作アフターストーリー』です。
このお話の設定には、ゲーム上では再現できない設定を盛り込んでいますので、ご注意ください。
単独作品としても十分楽しんでいただけるように留意しておりますが、登場人物の設定などは『NEW WIND編』に準拠していますので、NEW WIND編を読まれているとより楽しめると思います。
※※再会試合について※※
この試合に関しては、ほぼリアルタイムでお話が展開します。
今回は10分経過から13分経過までの出来事です。
リング中央で伊達を待ちかまえる南。伊達は右手を大きく回し、ダメージを気にしながらもそれに接近していく。相手が関節を狙っているのがわかっていても伊達としては接近していくしか方法がない。南の関節を恐れていて距離をとっていたら、伊達の最強の武器である“暴れん坊なヒザ”は使えないのだから。
「タアッ!」
再び右足でキックを放つ伊達。
ドゴッ!
「ぐっ…」
南の左脇腹を重いキックが捉えた。ここまで試合開始からローキックばかり使っていたので、南は対ローキック用の動きをしてしまったのだろう。伊達も南も頭を使ったプロレスを展開しているな。こういうインサイドワークは、若手に見習って欲しいものだよ。
「タアッ!」
チャンスと見て、伊達のキックが再び南のボディを狙う。
「くっ…」
南はそれを腕でガードしようとするが、伊達のキックは軌道を変えて南の左太腿を捉えていた。
「タアッ!タアッ!」
自在にローキックとミドルキックを使い分ける伊達。ミドルをガードしようとすればローが足に、ローをガートしようとすえば脇腹に…軌道を自由に操る伊達のキックの嵐に南は対応しきれず、面白いように伊達の重いキックが決まっていく。
「ぐっ…くっ…」
南の表情が一気に苦しくなる。やはり伊達の蹴りは重い。
「タアッ!タアッ!タアッツ!」
ミドル!ロー!ロー!ロー!ミドル!キックの乱れ打ちが止らない。
「タアッ!」
「調子に乗らないで!」
南は一歩踏み込んで軌道を変える前の足を両腕でキャッチすると、一瞬のタメを作ってそのまま足を持って左にクルンと一回転した。
「南、ここでサザンスクリュー!伊達のヒザを…十字靭帯を軋ませたぞ~~!」
「くうっ…」
久しぶりに味わうサザンスクリュー(南流ドラゴンスクリュー)に呻き声をあげる伊達。先ほど腕を捕獲した際にも『一本背負いからそのまま腕を離さずに腕ひしぎ逆十字固めに移行』という綺麗なコンビネーションを披露した南だったが、今回もサザンスクリューを極めた後、そのまま素早くヒザ十字固めを決めた。
「あうくっ!」
伊達は苦しそうだ。
「遙さん!逃げて!逃げて!」
セコンドの永沢は素早く一番逃げやすいロープの位置に移動し、エプロンマットをバンバン叩く。それを確認した伊達は、必死にその方向へとにじりよっていく。キックで南を押し込んでいたところだったので、ロープはかなり近い位置にある。
「あと少しです、遙さん!」
伊達は左手を必死にサードロープに伸ばすが、なかなか届かない。ロープを掴もうと必死にうごめく指先が伊達の苦しさを表していた。
「ブレイク!」
サードロープに指が届き、レフェリーはブレイクを命じた。南は先ほどと同様にすぐに技を振りほどいて立ち上がったのだが、今度はクリーンにはブレイクしなかった。
「このおっ!」と声を上げながら、強烈なストンピングを伊達の右ヒザに5発叩き込んでから、リング中央へと下がった。
「BUUUUU!」
場内からブーイングがとんだが、南は意に介さない。
「やってくれたね。」という顔をしながら、伊達は右ヒザをついて起き上がろうとした。しかし、その右ヒザを南は狙った。
素早くダッシュして距離を潰すと、右ヒザに向かって突き刺すような低空ドロップキック!
「あぐうっ…」
伊達はヒザを打ち抜かれ、マットにうつ伏せに突っ伏した。
「どうやらはじまったみたいだな。」
「ええ。ついにはじまったわね、南さんのヒザ殺し。」
うつ伏せにダウンしている伊達の右足を足元から回りこんで掴むと、南はその足を高々と持ち上げて、そのままスカイブルーのマットに叩きつけた。
「あうっ!」
伊達は、無意識のうちに体を反転させて仰向けになってしまった。南はそれを見逃さない。素早くその足を取ると、軽くジャンプしながら回転を加えた。
「あぐっ!」
スピニングレッグロックを極められ、苦しげな声をあげる伊達。南は3度スピニングレッグロックを極めると、クラッチを変えて足首とつま先を掴み、差し込んだ足を軸にその場で回転し始めた。
「スピニング・トーホールドかよ!渋すぎるぜ、南さん!」
「一度使いたかったな…」
場内からは大きな拍手が起こった。
今ではほとんど見る事がなくなったクラシカルな技だが、人気格闘漫画の登場キャラクターが使っていたこともあり、プロレスファンには馴染み深い技である。
「あうっっ!はうっっ!」
2度・3度と南の体が回転するたびに伊達が悲鳴を上げる。
「フォー!……ファイブ!……シックス!……」
場内のファンはいつしか回転数を数え始めていた。
うーん、ジャイアントスイングやエアプレーンスピンで観客が回転するを数えるのは見たことがあるが、まさかスピニング・トーホールドでカウントするとは思わなかったな。
「セブン!」
7回転目が終わり、8回転目に入ろうと南が体勢を低くした瞬間、伊達がその低くなった首を掴みんで、スモールパッケージホールドに固めた。
バンッ!とカウントが入るが、南はこれをカウント1で跳ね除ける。
「どうやって返すかなと注目したのですが、オーソドックスな返しをしましたね。」
ダンディさんは懐かしそうな顔をしていた。現役時代のダンディさんの得意技の一つだったのだから当然かな。
ようやく足殺しから開放された伊達はゆっくりと立ち上がると数歩下がって距離を置いた。わずか数歩だったが、足を引きずっているのは見てわかった。南の足殺しは確実に利いているようだ。
【13:05】
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