ＮＥＷ ＷＩＮＤ社長 風間 新 手記より。
※このお話は、長編リプレイ『ＮＥＷ ＷＩＮＤ編』＆『栄光のスターロード編』の『創作アフターストーリー』です。
時間軸としては、『もう一度あの日のように～再会～』の後の話になります。
このお話の設定には、ゲーム上では再現できない設定を盛り込んでいますので、ご注意ください。
単独作品としても十分楽しんでいただけるように留意しておりますが、登場人物の設定などは『ＮＥＷ ＷＩＮＤ編』に準拠していますので、ＮＥＷ ＷＩＮＤ編を読まれているとより楽しめると思います。
※このお話は、長編リプレイ『ＮＥＷ ＷＩＮＤ編』＆『栄光のスターロード編』の『創作アフターストーリー』です。
時間軸としては、『もう一度あの日のように～再会～』の後の話になります。
このお話の設定には、ゲーム上では再現できない設定を盛り込んでいますので、ご注意ください。
単独作品としても十分楽しんでいただけるように留意しておりますが、登場人物の設定などは『ＮＥＷ ＷＩＮＤ編』に準拠していますので、ＮＥＷ ＷＩＮＤ編を読まれているとより楽しめると思います。
◇１８年目７月◇
シリーズ最終戦のメインイベントは、”絶対女王”炎の女帝マイティ祐希子を下し先月新女王となったビューティ市ヶ谷の初防衛戦である。
あの絶対女王を圧倒した市ヶ谷のパフォーマンスを見ればこの試合も盤石に思えるのだが、対戦相手の南智世も成長度合なら負けていない。
確かに市ヶ谷もあの大会以降に急成長を見せてはいるのだが、実の姉である南利美の試合を目の当たりにした智世の方が感じるものが大きかったのだろうか。
しかし試合は市ヶ谷がペースを握る。
「カハッ…」
市ヶ谷の成長の証であるＫＯを奪える威力の膝蹴りに悶絶する智世。市ヶ谷の場合、もともと筋力が高いので威力は以前からかなりのものだったのだが、気迫を込めることで一撃の威力が上がっている。
「これで終わりですわ！」
動きが止まった智世をビューティボムの体勢にとらえる市ヶ谷。
「甘いわね！」
振り下ろされる勢いを利用して智世は市ヶ谷の足をキャッチ、そのままヒザ十字固めに切り返した。
「くあああああっ」
市ヶ谷は必死にロープへと手を伸ばすが、ロープは遠い。
「くううううっ！」
しかしさすがは市ヶ谷。筋力にものを言わせ無理やり匍匐前進してロープへと智世を引っ張っていく。
「くっ…このっ…」
智代はさらに絞りあげるが市ヶ谷の前進をとめることができない。
「ブレイクっ！」
レフェリーに引きはがされる二人。
「はあっ…はあっ…」
お互いに肩で息をする。智世は腹部へのダメージが厳しい状況であるし、市ヶ谷は先ほどの攻撃で右足を痛めている。
「ふむ…我慢比べですな…」
「次が分かれ目かもしれないな。」
私とダンディさんはリング上の二人をじっと見つめた。
「お眠りなさいっ！」
市ヶ谷は痛む右足で膝蹴りにいく。
「もらったっ！」
その蹴り足をキャッチした智世はドラゴンスクリューで市ヶ谷の体を一回転させた。
「決めるぞっ！」
智世は十字を切ると、市ヶ谷の右足をつかんでステップ。うつ伏せの状態にひっくり返すと、そのまま左足をクロスさせてからネオ・サザンクロスロックにいく。
「おおおおおおっ！」
クロス式ネオ・サザンクロスロック。姉利美のパーフェクトサザンではないにせよ、この技も十分強力な技である。
「あうううううっ…」
「まだまだ完璧じゃないわねっ！」
なんと智世はそのまま反動をつけると体勢を入れ替えた。９０年代なら裏ＳＴＦ…現代ならＦＴＳと言われた技の入り方ではあるが、これは南智世のオリジナル技”クロス式リバース・ネオ・サザンクロスロック”である。
「ああああああああっ…」
右手でそこにはないロープをつかもうとする市ヶ谷…しかしいかに彼女の筋力が図抜けたものであったとしてもガッチリときまったこの技を外すことなどはできなかった。
徐々に弱っていく市ヶ谷の悲鳴。そしてついに市ヶ谷の心が完璧に折れた。
「３６分１８秒、クロス式リバース・ ネオ・サザンクロスロックで勝者南智世。」
南智世が念願の女王奪取に成功。市ヶ谷の猛攻を凌ぎ、「クロス式ネオ・サザンクロス」を裏返した新必殺技で高慢な市ヶ谷をタップさせた。
「やったわ！ついに…」
女王の座を戴冠した智世は涙を流す。これにはいろいろな意味があったであろう。
長姉南利美、次姉ハイブリット南（寿美）が届かなかった頂点に智世が立った。南一族の悲願達成。
「おめでとう、智世。」
「完璧だったわよ、技はね。」
バックステージで二人の姉に迎えられた智世はもう一度泣いた。
「今度は女王として完璧な試合をしないさい。」
長姉・南利美の言葉に涙を流しながら力強く頷く智世。
「くっ…不覚ですわ。」
長い間勝てなかったライバルに勝ち、新たなる時代を担うと思われたビューティ市ヶ谷であったが、初防衛戦でまさかまさかの防衛失敗。
「相手を甘く見すぎましたな。」
「…くっ…」
「油断は隙を生む。そういうことだよ、市ヶ谷。」
「次はこうはいきませんわよ。」
怒りに燃える瞳で市ヶ谷は控え室へと戻っていった。
「これでまた彼女は強くなりますな。」
ダンディさんはそう呟くとカッカと笑った。
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