忍者ブログ
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


2017/07/26 17:40 |
もう一度あの日のように~再会~ 「もう一つのエピローグ」
NEW WIND社長 風間 新 手記より。

※このお話は、長編リプレイ『NEW WIND編』および『栄光のスターロード編』の『創作アフターストーリー』です。
 このお話の設定には、ゲーム上では再現できない設定を盛り込んでいますので、ご注意ください。
 単独作品としても十分楽しんでいただけるように留意しておりますが、登場人物の設定などは『NEW WIND編』に準拠していますので、NEW WIND編を読まれているとより楽しめると思います。

 *レッスルクライマックス2009で頒布させて頂いたもう一度あの日のように~再会~ではマスターシュ黒沢記者の愛称は”髭君”という表記になっていますが、今回はWEB連載時の設定通り、HIGE君表記になっております。 





「……なるほど」
 本日発売された、週刊セキララを読み終えた私はただ一言だけ呟いた。
「そういうことですよ。彼は週刊セキララのゴシップ記者マスターシュ黒沢である前にプロレスファンそのものなのです」
 ダンディさんは柔らかな笑みを浮かべた。
「ですね。多少は捻くれていたようですが、基本的には変わっていませんでしたからね」
 私は机の上に置かれているHIGE君ことマスターシュ黒沢記者が書いた” last report”をもう一度目で追った。
「ひねくれていたというよりも、彼の心は燃え上がるきっかけを探して燻っていたのでしょう。その心に再び火をつけたのは伊達と南の再会試合だった」
「ええ。彼女達の”もう一度あの日のように”という熱い闘いがきっかけになったのは間違いないでしょうね。彼女達はNEW WINDに再び希望を与えてくれただけでなく、HIGE君という一人のプロレスファンの心を救ったといえるのかも知れませんね。ただ……」
 私は急に言葉を止めた。
「どうしましたかな?」
「いや……私もダンディさんも、そして伊達も南も”もう一度あの日のように”という気持ちでこの大会に臨んでいました。もちろん懐かしむのではなく、未来のための”もう一度あの日のように”だったわけですが、彼の書いた記事のタイトル『あの日々はもう二度と戻らない』というのもまた真理だなと思ったのです」
「…………」
 ダンディさんは静かに続きを促している。
「あの時代はもう戻らない。だからこそ、前へ進む必要がある。あの日々はもう戻らない……だからこそ”もう一度あの日のように”がむしゃらになって頑張っていこう……そう感じたんですよ」
「……そうですな。すでに選手たちはもう一度最高に輝くスカイブルーのリングを創り出すべく、自己研鑽に励んでいるようですぞ」
 ダンディさんは道場での選手の様子を語ってくれた。新人からベテランに至るまで、すべての所属選手が目の色を変えて練習をしているという。
「そうですか……それなら安心ですね」
 高い意識を持ち、正しく伸びていくこと……基本的なことながらも一番大事なことだと私は思う。かつてNEW WINDが弱小の新団体であったころ、南や伊達を始めとする所属選手たちは、”強くなりたい”というただそれだけの思いで、練習に励んでいたものだ。弛まぬ努力を続けた彼女たちのおかげで今のNEW WINDがある。
 弱小団体をトップ団体へと押し上げたメンバーが引退した今、残っているのは団体が大きくなってから入団したメンバーだけだ。彼女たちのプロレスラーとしての資質に差があるわけではない。以前よりは幅は広がっているものの、今も昔もNEW WINDが求めているものは変わってはいないのだから。
 なら、なぜ差が出るのか。これは意識の相違に他ならない。これは選手の責任というわけではなく、私にも原因があると思う。NEW WINDがNEW WINDであるために私も含め、常に挑戦者であるという気持ちは忘れてはいけない。
 大団体になった故の油断や驕りというものはなかっただろうか? ……いや、それはあったと認めざるをえないだろう。油断・驕りといったものが、上を目指して居た頃の熱を失い、リング上でのパフォーマンス、そして団体としての雰囲気の低下を招いていたと言える。
 それをわかっていたからこそ、南と伊達は試合を通じて私にそれを教えてくれた。大事な事に気づかせてくれた二人には感謝という言葉では表せないほど、感謝している。
 また、マスターシュ黒沢記者の皮肉に溢れる記事も、それに気付かせてくれた要因の一つだ。プロレスマスコミでは書けない内容だけに、貴重な意見となった。
 実際、選手も我々フロントも彼の記事に反発し、絶対にぎゃふんといわせてやると奮起(まあ古い表現だし、実際にぎゃふんと言っている人間はみたことないが)……その結果、大会は成功を収めたといえるだろう。
 
「しかし、このような記事を書いたからには、彼の連載は今回で終りでしょうな」
 HIGE君のこの記事は、きっと編集部が期待していた内容とは違うはずだ。その結果がどうなるかは目に見えている。
「確かに。今回も彼らしい毒は吐いていますが、相手を傷つけるような内容ではないですからね。彼の言葉の奥にはプロレス愛が詰まっていますよ。先程も言いましたが、彼はやはりプロレスファンなのですよ」
「ふふっ……現役世代への愛のメッセージですな。実際、見るまでもないと言われたアンダーカードのメンバーはもとより、メインクラスの選手たちまで今迄以上に気持ちを入れて練習していますぞ。……まあすぐに成果は出ないかもしれませんが、先々リング上の光景が変化していくのは間違いないですな。……もう一度あの頃のように」
「ええ、あの日々にはもう二度と戻れないけれど、もう一度あの日のように輝くリングにすることは出来る。そのためにも、彼にはこれからも協力してもらいたいと思っています」
「ふふっ……プロレスマスコミに戻れというわけですな」
 ダンディさんは満足そうな笑みを浮かべている。
「ええ。愛ゆえの”毒”を持つ、唯一無二のプロレス記者としてね」
「毒も使いようでは薬になる。まあ度が過ぎると本当の毒にすぎませんがね。まあ彼なら大丈夫でしょう。毒霧の使い方は心得ているはずですからな」
「ですよね。だからこそ楽しみですよね」

 彼が今後もマスターシュ黒沢を名乗るかどうかはわからないが、あえてこう言っておこう。『再会を楽しみにしている』と。


  
 
 もう一度あの日のように~再会~「もう一つのエピローグ」(終)

 
 
PR

2010/11/10 18:00 | Comments(0) | もう一度あの日のように

コメント

コメントを投稿する






Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字 (絵文字)



<<ついに終わったんだな…… | HOME | サバイバー2を久々にプレイしました>>
忍者ブログ[PR]