NEW WIND 風間 新 手記より。
※この手記は基本的にリプレイですが、風間 新 視点で書かれており、創作要素を多分に含んでいます。
ここでの各登場人物の設定は公式なものでなく、管理人N独自のものです。
それをご了承の上、つづきへとお進みくださいませ。
※この手記は基本的にリプレイですが、風間 新 視点で書かれており、創作要素を多分に含んでいます。
ここでの各登場人物の設定は公式なものでなく、管理人N独自のものです。
それをご了承の上、つづきへとお進みくださいませ。
◇5年目12月◇
俺達NEW WINDの戦いはついに一つのクライマックスを迎えていた。
1年目・・・J2=5位
2年目・・・J2=優勝=”J1昇格”
3年目・・・J1=7位
4年目・・・J1=4位
そして5年目。
毎年選手の補強を続けた俺達はついにJの頂点を争うまでに成長した。
不動の2トップは右が林さん(1年目に移籍)で左が平本(3年目に移籍)さん。
ここまでそれぞれ22点、21点を奪うNEW WINDが誇るFW陣だ。
もう一人塩田という若手もいるが(という俺も若手だけどね)こいつはこの二人の足元にも及ばない。
海外留学に2度も行っているわりには全然成長してないように感じるのは俺だけか?
うちのフォーメーションは 3-4-1-2だ。
1のトップ下は成岡(4年目に移籍)さんか上里さん(2年目に移籍)が勤め、成岡さんが入る時は上里さんが右サイドに入る事が多い。
上里さんがセンターの時は左サイドは成岡さん。酒田さんは左サイド専門だから、成岡さんが入る時は押し出されてしまう。
関は攻撃的MFならどこでもこなせるから空いたところに入る事が多い。
守備的MFはA・プライスと増田さん。
増田さんはキャプテンとして絶大な信頼を集めている。
控えの遠山さんはJ2昇格時からのメンバーで豊富な運動量を誇っている。
今のNEW WINDではスーパーサブだけど、この人も凄いと思うよ。
DFは福元さん、平岡さん(4年目に移籍)、好岡の3人がスタメン。
好岡ははっきり言えば、まだまだ未熟。
俺はGK以外に、DFとFWもこなせるんだけど、DFとしても好岡よりは俺の
方が上手い。
控えGKの相木さんを使う場合は俺はDFで出場することもあるくらいだし。
ちなみにこのリーグ戦俺は途中の3ヶ月出場していないんだ。
なぜかというと、ベテランキーパー好きの監督が、”レンタル移籍”をつかって、イタリアからチロ・ボニートとかいうベテランGKを引っ張ってきたからだ。
俺はN代表の勧めもあって、ボニートにゴールマウスを任せて海外へと留学しに行っていた。
ボニートは俺よりは劣るけど、相木さんよりは上だ。
実際俺がいない間も失点はほとんどしなかったらしいし、中々やるなって感じだぜ。
俺達NEW WINDは現在首位で最終節を迎えている。
首位っていっても・・・2位のジェフとは勝ち点差はわずか”2”だ。
このアルビ戦で勝てば優勝だし、引き分けの場合は得失点差での勝負となる。
・・・といっても得失点差は現状2点。
ないに等しい・・・・それにアルビの攻撃力は侮れないからな。
「今日は・・・5-2-1-2だ。」
そんなフォーメションやったことねえぞっ!
「今日は負けられない。守備を厚くしてくれ。」
おいおい監督さん・・・それでいいのかよ?
「林・平本の2トップは不動、トップ下は上里。守備MFはプライスと増田、DFは福元、平岡、好岡、遠山・・・成岡」
無茶だよそれ。
案の定皆戸惑っていた。
だけど、俺達は全員世界に通用するといわれている。
・・・なんとかなる。
試合がはじまった。アルビの攻撃陣が凄い勢いで突っ込んでくる。
だけど、さすがにうちの守備も堅い。
いつもなら抜かれる場面でも・・・とめてくれる。
けど攻撃が上手くいかない。
それでも林さんが得意に単独突破からゴールゲット!得点王をほぼ確実にした。
「右おさえろっ!!」
やはりにわかDFの欠点がでてしまう。
連携のミスを突かれて突破されてしまった。
「チッ!いわんこっちゃないっ!!」
最初のシュートは強烈だったが、何とか弾く。
「クリアしてくれっ!!」
俺は叫んだ。
だが相手の方が早い。
「もらったっ!」
俺はまだ立ち上がっていない。
「させるかっ!!」
福元さんがゴールに飛び込んでくれてボールを何とかクリア。
だけど、クリアが甘い。
またも相手が走りこんでくる。
「チッ!!」
俺はこのシュートもとめたが、キャッチできない。
ボールはふわっとゴール前へと上がっている。
そこへアルビFWが飛びこんでくる。
嗅覚にすぐれた野郎だぜ。
うちのDFが追いつかないうちにと、飛び込んでのダイビングボレー。
俺は倒れたままの自分の上を通過していくボールを眺めるしかなかった。
同点 1-1。
前半はコレで折り返したが、78分、敵FWの突破から逆点ゴールを許してしまった。
静まるスタジアム。
速報掲示板では2点差でジェフがリードしている。
このままでは優勝が・・・
「くそっ・・・」
「気にするな風間。俺が点をとってやるから。」
林さんはニッと笑う。
本当にこの人は頼もしいな。
「お願いします。俺はもうこれ以上やらせませんから。」
「おう。決めてくるぜ。」
だが時間はどんどんすぎていく。
85分・・・90分・・・ついにロスタイムに入ってしまう。
林さんがドリブル突破で突っ込んでいくが、タックルで潰されてしまった。
ピーッ!!
試合終了のホイッスルじゃない。
FKだ!
エリア手前絶好のポジションからフリーキックのチャンス。
キッカーはもちろんエースストライーカーの林さん。
スタジアムがシーンとなる。
林さんの右足が振りぬかれた。
ボールはカベの上を超え、懸命に手を伸ばすGKをあざ笑うかのように綺麗にゴールネットへ突き刺さった。
同点ゴール!!
すげえ!すげえよ!! 林さん凄すぎだよ!!
このタイミングで決めるかよ普通。
カッコよすぎだぜっ!
得点王を決めるシュートでもあり、俺達を窮地から救うシュートでもあった。
大騒ぎになるスタジアム。
そして試合が終わる。
俺達は引き分け・・・勝ち点は80。
そしてみんなで掲示板を見守る。
”ジェフ2-1 終了”と表記された。
1点差・・・ってことは!
「やったな風間!俺達がJの頂点だっ!」
「やりましたね!!」
俺達は得失点差わずか”1”で初優勝を決めた!
劇的すぎる。
この一点の重み・・・俺は忘れないだろう。
「やったぜ! 鬼茂!見てたかっ!」
俺はスタンドを見る。
俺達を裏切ったあと、和解した元うちのエースFW 河本鬼茂がスタンドでニコリと笑っていた。
「もっと強くなれ。俺がここにいた事を誇りに思えるようにな。」
といっているような気がした。
「鬼茂・・・俺達はもっともっと強くなるぜ。」
この日俺達は朝まで大騒ぎだった。
NEW WIND 5年目12月 得失点差わずか1でJ1制覇!!
この1点の重み・・・俺は、俺達は絶対に忘れない。
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