NEW WIND社長 風間新 手記「新たなる夢のはじまり~飛翔編~」より
※こちらはレッスルエンジェルスサバイバー2のリプレイとなります。
旧作版NEW WINDとはお話上のつながりはありませんが、登場人物などは一部同じものを使用しています。
「只今より、本日のメインWIND…“MAX WIND女王戦 60分1本勝負を行います!」
仲間リングアナのよく通る声が大歓声によってかき消される。
「青コーナー、高知県出身…昨年度女子プロレス大賞MVP受賞者…みなみ~とし~み~~!!」
南は右腕を半上げしてアピールする。
「いけっ!みなみ~!」
「頼むぞ~~!!」
「みなみ~~っ!」
ファンが次々に声援を飛ばす。
「赤コーナー、山梨県出身…MAX WIND初代女王…がるむ~たかな~し~~!」
小鳥遊は右手で喉を掻き切るポーズを決める。
「たかなし~~!」
「南を地獄へ引きずりこめ~っ!」
「ガルさ~ん、やっちゃってください!」
小鳥遊にも南と同じくらいの声援が飛ぶ。
「レフェリー…トニー館!」
「トニー!!」
トニーコールが一斉に沸き起こった。タイミングも声量もバッチリだな。
女王と挑戦者はリング中央でガッチリと握手を交わすと、コーナーへと下がった。
「OK、GO!」
カアン!
トニー館レフェリーの合図で試合開始のゴングが鳴らされる。
「みなみ~~!!」
「たかなし~~~!!」
二人に向かって声援が飛ぶが、二人は焦ることなくじわじわと間合いを詰めながら接近していく。
「はっ!」
「ふんっ!」
おっ…基本の力比べから入ったか。
「ふむ…普通に考えるなら小鳥遊なのですが…ね。」
確かにその通りだ。山林仕事で鍛えていた小鳥遊のパワーは女子プロレス界でもトップクラスだからね。
「なにっ!」
しかし…その予想はあっけなく覆された。小鳥遊有利と思われた力比べであったが、南はあっさりと小鳥遊の腕をねじあげてみせたのだ。
「おおおっ!」
場内からどよめきが起きる。南はここまでパワーをつけていたのか…
「せいっ!」
南は腕を外すとすかさず強烈なエルボーを放った。
「ぐっ…」
「せいっ!」
さらにエルボーを叩き込む。以前よりも格段に重くなっているのは、やはりパワーがついたせいだろうか。
「はああっ!」
南は顎が上がった小鳥遊をロープへと振った。
「砕け散れっつ!」
南は小鳥遊を挑発するかのように掟破りのガルムズディナーを放つ。
「なめるな!」
それを膝で迎撃した小鳥遊は、南を強引にマットになぎ倒し、巨体に似合わぬスピードでセカンドロープへと飛び乗った。
「まさか!」
「おおおおっ!」
小鳥遊の意図を理解した観客が歓声を上げた。
「砕け散るのはおめえええだああああああっ!」
小鳥遊はセカンドロープから軽やかに飛んだ。その数秒後…質量を伴った飢餓地獄…地獄のダイビングフットスタンプが南の腹部へと突き刺さった。
「ぐあああああっ…」
いくらセカンドロープからとはいえ、100kgを超える小鳥遊の巨体が腹部へと突き刺さるのだから効かないわけがない。南は腹部を抑えのたうちまわっている。
「よっしゃあああっ!」
手ごたえを感じたのか、小鳥遊は右腕を突き上げた。
「甘くみないで!」
しかし南は素早く立ち上がると小鳥遊の腕をキャッチ、そのまま腕を決めたままのノーザンライトボム…サザンクロスボムで小鳥遊の巨体をマットへと突き刺した。
「だああああああっ!」
しかし小鳥遊もフォールを許さず意地で立ち上がる。
「このっ!」
「てめえっ!」
南がエルボーを連打すれば、小鳥遊はゴリラスラムで南をマットに叩きつけ、逆片エビ固めで絞りあげた。
「どうだああっ!」
「ポイントが甘いわね。力任せに絞り上げればいいってもんじゃないのよ。」
南は言うが早いかポイントを外し、さっさとロープへと逃げた。
「このやろう…うっ…」
南はさらにエルボーを連打して小鳥遊の体力を削りにいく。
「なめるなよっ!」
小鳥遊はエルボーを両腕でブロックすると南の体を掴み強引なパワーボム。
「っ!」
受身のタイミングを外された南は大きなダメージを受け場外へと転がり落ちた。
「逃がすか!」
小鳥遊は場外へと南を追いかける。
「!」
小鳥遊が無造作に近づいたところで南がすくっと起き上がり強烈な下段蹴りを放っていった。
「ぐおっ…てめえ…」
どうやら南は三味線を弾いていたようだ。
「おさがりください!大変危険です!」
南の動きを見て仲間リングアナが観客に注意を促した。
「いけ!みなみさん!!」
ファンの一人が大きな声を張り上げた。
「もちろん!」というように南はその声援に頷いてから、小鳥遊の巨体をリングを囲む鉄柵めがけてスローした。
「さがって!!」
第2部飛翔編-23へ
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