NEW WIND社長 風間新 手記「新たなる夢のはじまり」より
※こちらはレッスルエンジェルスサバイバー2のリプレイとなります。
旧作版のNEW WINDとはお話上のつながりはありませんが、登場人物などは一部同じものを使用しています。
ピリピリピリ…
私の携帯電話が鳴った。
「メールか…!?」
そのメールは南からだった。
”社長、勝手にいなくなったりしてごめんなさい。ものすごく迷惑をかけていると思うし、心配させていると思うけど、私は元気です。
私は頭を冷やすためにちょっと遠出をしています。迷惑をかけてしまったことはいくらでもあやまるし反省もします。バツも受けます。
私はプロレスが嫌いになったわけでもないし、団体が嫌いになったわけでもないんです。ただちょっと時間が欲しくなっただけなんです。必ず戻りますから探さないでください。”
「南…」
”みんな心配していたんだぞ。…気持ちはわかった。私は無理をさせすぎたかな。ちゃんと戻ってこい。みんな待っているからな。”
南からの返信はなかった。だけど、私は信じている。南は必ず戻ってくると。
◇四国・中国巡業
「これで終わりいいっ!!」
祐希子の渾身のフライングボディアタックが決まり、そのままフォールにいく。
「終わらせませんわっ!」
バタバタと足を動かしフォールを返そうとする市ヶ谷。しかし祐希子は完璧に肩を押させ込んでおり、ダメージを受けている市ヶ谷はそれを返せない。
「スリー!!!」
完璧な3カウントを奪った祐希子は両腕を突き上げて勝利をアピール。
「くっ…」
デビュー戦では敗れた市ヶ谷だったが、その後は対祐希子戦は8連勝中だった。今回のように完璧にフォールを奪われたのは初めてとあって、屈辱に唇を噛みしめる。
「このままにはしておけませんわ。」
市ヶ谷はリベンジを誓った。
リベンジの舞台はあっさりと訪れた。
翌日の大会でも市ヶ谷と祐希子のシングルが組まれていたのだ。
「このおおっ!」
リベンジに燃える市ヶ谷は序盤から飛ばしており、祐希子はいつも以上に防戦一方だった。
パワーボム、ラリアット、喉輪落とし…市ヶ谷のパワーを活かした技が次々に決まる。
「はあああああっ!」
市ヶ谷の喉輪が決まったが市ヶ谷はフォールにいかない。
「お立ちなさい!」
「くっ…」
ふらふらと立ちあがった祐希子の喉を引っ掴むともう一度喉輪落とし。
「がはっ…」
もう祐希子に戦闘力は残っていないだろう。だがしかし市ヶ谷はフォールにいかない。
「レフェリー、カウントを数えなさい。」
市ヶ谷は悠然と赤コーナーポストに凭れかかり、祐希子を見下ろしている。
「ワンッ!…トゥ!…スリー!…フォー!……」
「ダウンカウントファイブ!……シックス!……セブンッ!」
ダウンカウントが進むが祐希子は起き上がる気配がない。
「ナインッ!」
「あああああああっ…」
祐希子ファンが落胆の声を漏らした。
「テンッ!」
カンカンカンカン…ついに10カウントが入り、NEW WIND初のKO決着となった。
「オーホッホッホ。敗者は這いつくばっている姿がお似合いですわ。」
市ヶ谷は悠然と引きあげていく。
マイティ祐希子はこの試合で負傷…病院へと直行することに。その後精密検査の重傷と診断。10月・11月シリーズの欠場が決定。
これは市ヶ谷のパワーを祐希子が受け止めきれなかったのが原因だろう。やはり本気モードの市ヶ谷と祐希子では力量差が大きい。
市ヶ谷もさすがに気がとがめたのが謝罪代わりに祐希子の病室に花束を届けていた。それも…部屋を埋め尽くすほどの量で…
「…これって嫌がらせ?」
さすがに祐希子も困惑していたな。まあ市ヶ谷も悪気があったわけではないのだろうけど、少々こういうところでの価値観が違うからなあ…
ここのところけが人が続出しているのが気がかりだな。なんとか対策を考えなければ…
「祐希子…大丈夫?」
そういって病室へと現われたのは南だった。
「利美っ!心配したんだよ!」
「ごめん、祐希子。ごめんなさい社長…」
「おかえり南。もう迷いはないか?」
私の問いかけに南はコクンと頷いた。
「そうか……それなら私は何もなにも言わないよ。早く道場に顔を出してみんなを安心させてやってくれ。」
私の言葉に南はコクンともう一度頷いた。
「ただし…みんなに迷惑をかけたことは事実だから、これから一か月の間トイレ掃除当番ね。完璧にきれいにしておいてくれよ。」
「…はい。」
南は無事に帰ってきてくれた。
なお余談ではあるが、その後一か月の間トイレはピッカピカであったことを伝えておこう。
第21話へ
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やっぱり二人は見えない絆で結ばれてるんですよ(自分の脳内で)
これからも一生懸命応援しますよ
しかし、暴虐のスキルは恐ろしいですねぇ
これは本当に速やかに対策を打たないと、何時引退の選手が出るか分からないですね
トイレ掃除も完璧にこなす南さん・・・流石です