NEW WIND社長 風間新 手記「新たなる夢のはじまり」より
※こちらはレッスルエンジェルスサバイバー2のリプレイとなります。
旧作版のNEW WINDとはお話上のつながりはありませんが、登場人物などは一部同じものを使用しています。
◇3年目12月
今年最後の興行でついにNEW WINDは2万人会場“有明スポーツアリーナ”に進出する。
「さすがに冒険だが、いつかは通る道だ。」
私は前回の成功に気を良くして“第2回スカイブルーカップ”の開催を宣言。再びワンナイトトーナメントを売りに大会場に進出した。
ところが…
「おおっ…なんてことだ。」
当日の試合開始直前…私は客席を見て頭を抱えた。
前売りが思った以上に伸びていないことはわかっていたが、当日券はさらに伸びなかった。結果、客席はこれ以上ないほど“スッカスカ”。
「ふむ…2万人の会場に約1万2千人ですか………スッカスカもいいところですな。」
「うーん……」
「やはり時期尚早でしたな。両国コロシアムや日本武闘館をフルハウスにしてからにするべきでしたな。それと……1DAYトーナメント…それも前回よりも人数が少ない8名での開催ですからな…」
当然このスッカスカ具合は悪い方に影響が出る。空席が多い場合、どうしても観客の集中力が低下してしまう。だから選手がどんなに熱い試合をしたとしても、観客に試合の熱気はうまく伝わらない。
試合内容としてはいつも以上に頑張ってくれているのだが……さらにトーナメントが順当すぎる結果になってしまったこともあって、正直なところ興行としては大失敗だった。
トーナメント結果
1回戦
○小鳥遊(12:30 パワーボム)朝比奈×
×コーディ(15:09 ベリー・トゥ・バック→片エビ固め)メガライト○
×キャシー(17:11 ダークスターハンマー→体固め)カオス○
○南(20:53 サザンクロス・スペシャル→体固め)市ヶ谷×
準決勝
○カオス(13:14 ダークスターハンマー→片エビ固め)メガライト×
○小鳥遊(14:35 ガルムズディナー→片エビ固め)南×
決勝
○カオス(14分51 パワーボム)小鳥遊×
ご覧の通り全く波乱もない順当すぎるほど順当な結果だった。
これでは客席も盛り上がらないし、元々人が少なすぎて熱気が伝わりにくかったのも手伝って、旗揚げ以来最低の興行になってしまった。
この大会はNEW WINDのよさをまったく伝えることができなかった。
「絶対に巻き返さねば…」
そもそもこの失敗は私の見通しの甘さが敗因だ。これは大いに反省せねば…
そんな失敗を吹き飛ばすようなニュースが入ってきたのはその翌日のことだった。
「本当か?」
私は思わずそう聞き返した。
電話の相手は私の秘書の井上霧子だ。彼女は団体を代表して女子プロレス大賞の発表に参加しており、うちの団体から受賞者が出たことを速報で知らせてくれたのだ。
ジュニア階級のベストバウトには、ソニックが王者コリィに挑んだWWCAジュニアの試合が選ばれた。旗揚げ2周年興行のWWCAジュニアを賭けた試合だな。
タッグのベストバウトに12月の新潟大会で組まれたホリー&コーディ組VS十六夜&北条組の試合が選出された。
うーん…この日私は交通機関のトラブルで会場に行くのが遅れ、試合を見ていないからコメントのしようがない。
そしてベストバウトには、昨日の興行で行われたばかりのメガライトVSカオスの試合が選ばれた。
うーむ…まさかあの大会で受賞者が出るとはなあ…正直意外な結果だったよ。
「うちのリングで行われた試合ではあるのですが…」
「うーん…」
私とダンディさんは複雑な表情を浮かべた。
確かにスカイブルーのリングで行われた試合ではあったのだが、受賞したのは提携団体のトップ二人のシングルだった。それも…1DAYトーナメントの試合という…。
これは正直悔しい結果と言わざるをえない。スカイブルーのマットで一年間戦ってきたのは、カオスやメガライトではない。小鳥遊をはじめとするうちの所属選手たちなのだから。
「来年はうちの選手同士のカードでベストバウトを取りたいですな。」
「ええ。そのためにもさらなるレベルアップが必要ということですね。選手たちも…そしてそれを支える我々も…」
新たなる風を吹かせ続けるためには常に成長が必要だ。そのために我々は日々の努力を怠ってはならない。
第79話へ
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