前回の続きです。
「てめえはっ!」
「なにやってんだ、オークス!どうしてお前が人間なんかと一緒にいるんだ!」
オレたちの行く手に立ち塞がったのはオレと同じオークキング族の奴らだった。
その中にはオレのよく知った奴がいた。そいつの名はマクベス。
オレと同じオークキング族で、オレの親友にしてライバルといえる奴である。
「オレが認めた男だからだ。」
オレはそういってマクベスを見つめた。
「オークキング族の誇りを忘れたか!この裏切り者め!」
マクベスはそういってオレに向かってヤリを突き出してきた。
「ルーザー、こいつはオレに任せてくれ。」
「わかった。気をつけてよ。」
「ああ。」
ふっ…出会って数日しかたっていないというのにな。オレとルーザーは通じ合っていた。
「おりゃあああ!」
「おらああああっ!」
オレとマクベスの実力は互角…だった。
だが、オレは数日前からルーザーとともに戦っていたし、ルーザーとの稽古も積んでいた。
マクベスと互角だったころよりも少しだけ強くなっていたらしい。
「ぐはっ!」
マクベスは片ヒザをついた。
「くそっ…腕を上げたな、オークス。」
マクベスはそういってオレを睨みつけた。
「まあな。」
オレはそういってヤリをおさめた。
「どういうつもりだ、オークス。人間に寝返ったんじゃなかったのか?」
「オレは寝返ってなどいない。」
「ならどういうつもりだ?」
「友達…さ。」
オレは数日前のオレなら決して口にしていなかったであろう言葉を口にしていた。
「友達だと?…ハッハッハッハ、人間を友達というオークキング族がいるとは思わなかったぜ。」
マクベスは哄笑する。
「笑いたければ笑え。だがこれは紛れもない事実だ。」
オレはマクベスを見つめた。
「どうした、オークス。大丈夫か?」
話題の主であるルーザーが他の奴らを追い払ってこちらへと駆けつけてきた。
「お前か?オークスを誑かした奴は。」
「誑かしてなどいないよ。僕はオークスとは友達なんだ。」
ルーザーはそういって屈託なく笑った。
「ふん。オークキングを相手に友達と言いきれるとはな。おかしな奴だが、気に入ったぜ。」
マクベスは真剣な眼差しでルーザーを見た。
ルーザーもまたあの独特の瞳でマクベスのことを見ている。
「オレもついていく。オークスが本当に誑かされたのではないことを確認したいからな。」
「ふん。素直じゃない奴だな。仲間になりたいといえばいいのによ。」
「なんだと、こらあっ!」
「まあまあ。よろしくね、マクベス。」
「…ああ。」
こうしてマクベスが仲間に加わった。
その後の数年間…オレとマクベスはグランバニアの城にいる。
「あいつ…どこにいっちまったんだ。」
「わからんが…きっと戻ってくるさ。」
ルーザーとフローラは忽然と姿を消してしまった。
一緒にいたプックルとピエール、メッキーの話では、ゲマとかいう奴に石にされてしまったらしいのだが…未だに見つかっていない。
「ねえ、オークス、マクベス。」
そういってオレたちの側にやってきたのは、グランバニアの王子…ルーザーの息子のアレスである。あいつは…ルーザーは…アレスとその双子の妹サラが生まれた直後に行方不明になってしまった。
「どうした、王子。」
マクベスはからかうようにいう。
「もう。僕のことはアレスって呼んでっていっているのに。」
アレスは頬をぷく~っと膨らませた。
「はっはっは。そうだったそうだった。」
「こいつはアレスのことが好きだからワザとやってるんだぜ。」
「ホント?」
アレスは瞳を輝かせた。
「ホントさ。」
マクベスは困った顔をする。
「あのね、お父さんの情報がつかめたからサンチョと一緒に出かけてくるんだ。それでオークスとマクベスには城の警備をお願いしたいんだけど。」
「ああ、わかった。今度こそ見つかるといいな。」
本当はオレも行きたいが、あいつの城を守るのも大事な役目だ。
「うん。行ってくるね。」
オレは今度こそ、ルーザーに会える予感がしていた。
「早く帰ってこいルーザー。オレたちはまたお前と旅がしたいんだ。」
オレは親友の笑顔を思い出していた。
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そういっていただけるとうれしいです。
リクエストいただいた内容に関しては善処してみますね。