この作品はこちらの続編です。
前のお話を読まれてから、続きをお読みください。
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『ジャーマン・シスターズ』を結成した永原と相羽は秘密練習を行い、連携を磨いていた。
「ジャーマンバリエーション1!」
「いくぞっ!」
「決めるわよ!」
「ジャーマンバリエーション2!」
「いまよっ!」
「はいっ!」
「ジャーマンバリエーション3!」
「たあっ!」
「えいっ!」
「ジャーマンバリエーション4!」
「だあっ!」「たあっ!」
全てジャーマンを使った連携技ばかりを練習する二人。
『ジャーマン・シスターズ』ではなく『ジャーマン・バカズ』でもよかった気がする。
「動くわよ。和希。」
「はい、ちづる先輩!」
秘密練習を重ね、準備万端整えた二人は、ついに行動に出ることになった。
「23分15秒、バックドロップホールドで、勝者結城千種!」
挑戦者を退け、初防衛を果たした、武藤と結城。
ベルトを巻いてもらった二人は、カメラマンの要請に答えてポーズをとっていた。
「今よっ!」
「はいっ!」
花道をダッシュする影が二人。
武藤&結城は花道を背にしているので気づかない。
客席がダッシュする影に気づき沸き始めるが、武藤と結城は何を沸いているのかと怪訝そうにしている。
その間にリングまでたどりついた二人は、永原が武藤を、相羽が結城の腰に手を回した。
「たあっ!」
「えいっ!」
ベルトを巻いたまま、武藤と結城は投げっぱなしジャーマンでリングへと叩きつけられた。
武藤は右手にトロフィーを、結城の左手には賞状が握られていたままだった。
「とあっ!」
「このっ!」
永原と相羽は不意をつかれて戸惑う二人に容赦なくストンピングの嵐。
さらに馬乗りになると、張り手を連打する。
「ブーブーブー!」
場内からはブーイングが飛ぶが、同じくらいの歓声も巻き起こっている。
「なにをやっている!」
竹刀片手に越後が飛び込んできたところで、永原と相羽はさっとリングが降り、本部席のマイクを強奪する。
「おい、チャンピオン!今のは挨拶代わりよ。」
「その腰に巻かれているベルト、ボクたちがもらいます。」
このアピールに場内からは、罵声が飛ぶ。
「お前らじゃ役不足だ~っ!」
「武藤、言い返せ~っ!」
武藤はマイクを引っつかむと「聞いたでしょ?お客さんは役不足だっていっているわ。」と一言。
「ふ~ん。そうやって逃げるんだ。『孤高の天才姫』さんは臆病者なのね。負けるのが怖いんでしょ!」
「なんですって?」
「武藤っ!知っていますか?臆病者のことはチキンっていうんですよ。お前はチキンだ!」
無理にわるぶってみせる相羽だが、言葉の端々に人のよさがでてしまい、客席はほんわかしてしまう。
「このっ!」
武藤は挑発に乗りやすいタイプのようだ。エキサイトする武藤を結城が押しとどめる。
「チ・キ・ン!チ・キ・ン!」
相羽と永原は客席を煽る。
「チ・キ・ン!チ・キ・ン!」
「武藤はチキンだけど、結城は愛知出身だから、名古屋コーチンね。」
この言葉に客席から笑い。
「このおっ!」
さっきまで武藤を抑えていた結城だが、このセリフにカチンときたようで一気にヒートする。
「千種、いい?」
「OK。」
「上等じゃない。ここまで辱められて逃げるわけにはいかないわ。受けてたつわよ。」
「よく言ったわ。私たちに勝ったら、さっきの言葉取り消してあげるわよ、チキン&コーチン。」
「永原さんや相羽じゃ私たちには勝てないわ。」
「そうよっ!」
「首洗ってまっていてください!」
「ちゃんとベルトも磨くのよ。」
「その必要はないわ。」
「そうよ。」
「だって私たちが勝つから!」
ビシッツと指を突きつける武藤と結城。息はぴったりだ。
「最終戦、後楽園プラザで待っているわ。」
「バッド・ラックです!」
相羽と永原はマイクを投げ捨てて退場。
この後正式に最終戦でのタッグ王座挑戦が決定することになる。
「お客さんもいっていたように、あの二人じゃ役不足ですね。」
結城がインタビューに答える。
「なら、どうして挑戦を受けたのですか?」
「あれだけ言われて黙ってられますか、記者さん。」
「・・・うーん、言い返しますね。」
記者さんは逆に問われてしまい困惑しながら答えた。
「そうでしょう?そういうことですよ。」
「それに私たちがあの二人に負けるわけがないじゃないですか。元々バカだなとは思ってましたけど、本当にバカですね、永原さんは。」
武藤には挑発する気はないのだが、挑発ぽく聞こえる。
「永原さんと相羽、どういう経緯で組んできたのかはしりませんけど、私たちが勝ちます。」
結城は断言した。
「実績もここの実力も違うかもしれない。でも、ボクたちには彼女たちにはないものがある。」
「それを見せつけてやりますよ。私たちのこの思い。受けきれるものなら受けきってみろ!といいたいですね。」
ここまでは永原と相羽の思惑通りの展開であるが、果たしてどうなることやら。
(次回へ続く)
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