引っ張っておいてこっちかよ!
という声もあるでしょうが(苦笑)、すでに出来ている夢のリングへの第5話を先にUPします。 一応今回のストーリーで一区切りになります。
という声もあるでしょうが(苦笑)、すでに出来ている夢のリングへの第5話を先にUPします。 一応今回のストーリーで一区切りになります。
夢のリングへ・・・
クイーンズロードシリーズ最終戦東京後楽園ホール大会。
ついに私とすずさんのデビュー戦の日がやってきた。
ここはプロレスの聖地と言われる場所。
インディ団体などは後楽園を目標に! なんて頑張っている場所。
こんないい場所でデビューをさせてもらえるなんてとても幸せなことだと思う。
「里香、すず。お前達に期待する事は特にない。」
上野さんが厳しい顔つきで私達に言う。
「だけど、ひとつだけ言っておくよ。一人でも多くのお客さんに、”応援したいな”、”先が楽しみだな”って思わせる何かを見せてこい!」
上野さんは笑顔でそういうと、私達の背中をバーンと張る。
「いったった!」
「あうち!」
「試合はじまったらもっと痛いぞ(笑)」
「青コーナーより小早川すず選手の入場です!」
スピーカーから山中リングアナの声が聞こえてくる。
「すずさんのテーマがかかった・・・もうすぐ出番だ・・・」
しばらくすると会場の方から拍手の音が響いてきた。
すずさん・・・あんなに拍手してもらってる・・・
「私もあんなに拍手してもらえるのかな?」
私は天井を見上げながら呟いた。
「もし・・・誰も拍手してくれなかったら・・・どうしよう。みんながすすずさんの応援だけしてたら・・・」
私は2000人のお客さんが全員 すずコールをしている状況を思い浮かべて怖くなった。
「ダメ・・・里香しっかりするのよ! リングでは誰も助けてくれない。お客さんが・・・みんなすずさんの応援してたとしても・・・私が頑張れば・・・大丈夫!」
「赤コーナーより、岩井里香選手の入場です!」
「里香、テーマかかってるわよ!」
美知さんの声がする。
「はい!いってきます!!」
私は美知さんの声に答え、リングへとゆっくりと向かっていった。
【光輝く星のように、キラリと私は輝くの・・・夢の舞台(リング)で】
私のために書き下ろしてもらったテーマ曲『夢のリングへ』が流れる中、私は歌詞に励まされるようにリングへと進む。
「里香~~!!」
「岩井ーっ!」
拍手に混じって野太い男性の声が飛んでくる。
「里香ちゃん頑張って~~!!」
女性の声する。
私に声援を送ってくれる人がいる。
ありがとう・・・頑張ります。
気づくとロープはかずみさんが上げてくれている。
「楽しんでおいで。余裕あればね。」
「はい。」
かずみさんの笑顔に勇気を貰った私は、一礼をしてから夢のリングへ。
「大変ながらくお待たせいたしました。只今より本日の第一試合、新人デビュー戦シングルマッチ15分1本勝負を行います。」
私のドキドキはピークに達していた。
「青コーナー、本日デビュー戦、愛知県出身~149パウンドー! ”バーニングレディ” 小早川~ すーずー!!」
すずさんは落ち着いているみたい。
丁寧に四方へとお辞儀をすると、すずさんのコスチュームと同じ、ピンク色の紙テープがリングを染める。
「赤コーナー、同じく本日デビュー戦 群馬県出身114パウンドー、”オレンジストリーム”岩井~里~香~!!」
私は右拳を(遠慮がちに)突き上げてから一礼する。私のイメージカラーのオレンジ色の紙テープが投げ込まれた。
「ちょっと少ないなあ・・・」
私よりもすずさんの紙テープが多かったのよ。ちょっと残念。
「レフェリー徳島かおる!」
レフェリーのかおるさんが私のチェックをしながら「同じ数だよ。」と。
「えっ?」
「紙テープでしょ。同じ数よ。ただし、オレンジの投げる人はヘタが多かったみたいで、リングに届いてないだけ。紙テープは放物線を描くように投げないと届かないのにね」
かおるさんは女優さんみたいな綺麗な顔でウインクしてくれた。
なんだ・・・そういうことか。
「シェイクアップ!」
かおるさんの声に促されるように私とすずさんは右手を差し出し、軽く握りあってお互いのコーナーへと下がる。
「オーケー、ゴー!!」
かおるさんの声が響き、私の・・・いえ私とすずさんのファイティングロードの始まりを告げるゴングが高々と打ち鳴らされた。
◇◇◇
「試合時間10分経過! じゅつ、ぷん経過! 残り試合時間5分!」
もう10分・・・か・・・
「てええ!!」
私はドロップキックを放つ。
だけど、手ごたえはなかった。 すずさんは受けではなく避けを選択したんだと気づいた時には体に鈍い衝撃が・・・
「ぐう。」
「こんの野郎!立てえ!!」
すずさんのストンピングが嵐のようにふってくる。
立てっていってるのにやってる事逆でしょ?
私はすずさんの攻撃疲れを待ってようやく立ちあがると・・・
「このお!!」
私は渾身の力を込めて、右手で張り手をお見舞いした。
防御の事は忘れて、ただ攻撃のことだけを考えた張り手。
「おおっ!!」
客席からどよめきが聞こえたので私はすずさんを見る。
どよめきの原因は、すずさんの唇から流れた血がだった。
デビュー戦で流血・・・
「てめえっ!!やりやがったなあ!!」
血を見て一瞬気をそらした私の左頬へ衝撃が走る。
「あ・・・」
私はお返しの張り手を貰った事だけは理解した。
「よっしゃあカバー!!!」
すずさんの叫びが遠くから聞こえる。
私の右足は抱え上げられているような気がするけど・・・
・・・バン!「1!」
なんの音だろう。
・・・バン!!「2!」
2って何?
ドン!!ドン!!「里香、返せ!!」
「岩井~~!!」
「返せー!!」
「はっ!試合!!」
私はセコンドについて下さっている美知さんの声とお客さんの声で今が試合中だということを思い出した。
私は右肩を上げていた。
見るとかおるさんの右手がマットに触れる寸前だった。
いわゆるカウント2.99ってやつね。
美知さんの声と、観客・・・お客さんの声がなければ私ここで負けてたわ。
「スリー!!」
すずさんが右手の指を3本立ててかおるさんに詰め寄っているが判定は代わらない。
「なにやってんだ小早川攻めろよ!!」
「いわい~~!!しっかりせんかい!!」
客席からは声援とも罵声ともとれる声がする。
お客さんの声援って、凄い力をくれるんだね。
私はふらふらとしながらもなんとか立ち上がる。
「おわりだ~~!!」
すずさんがロープに飛ぶのが見える。
決めるという魂が右腕に込められたのが見える。
「必殺心・・・まずい!」
必殺心とは決めるという魂をこめること。
技の威力云々というよりも、気持ちの技術だって上野さんは言っていた。
「心が消耗するからベテランでもそう何回もできるもんじゃないんだよ。」
ならばデビュー戦の私たちでは1度が限界。
ここを凌げば、私に勝機がある。
すずさんの渾身の必殺ラリアートを私は両腕でブロックし、衝撃を逃がす。
すずさんの気が落ちたのを見て私は・・・
「フォール!!」
私は叫んでいた。
両足をとって・・・必死で押さえ込んでいる。
私は決めるという気持ちを込めて、ウラカン・ラナを放っていた。
「1!」
「返せ!!」
「2!」
「すず!!」
「里香~~押さえろ!!」
もう誰の声だか分からない。
すずさんも足をバタバタさせるし、押さえるのに必死。
そして3度目のマットを叩く音がした。
カン!カン!カン!
試合終了を告げるゴングが鳴り響き、歓声とため息が聞こえる。
「12分13秒、じゅう、にふん、じゅうさん秒。 ウラカン・ラナにより勝者、岩井里香!」
山中アナのコールが聞こえ、私のテーマ曲がホールに流れる。
【光輝く星のように、キラリと私は輝くの 夢の舞台(リング)で。】
「スリー?」
私はかおるさんに尋ねる。
「そうだよ、里香。みっつ取れたね。」
かおるさんはそういって私の腕を取る。
客席からは拍手の雨が降り注ぐ。
「初勝利おめでとー!!」
「これからも頑張れよ~~!!」
「デビューおめでとう~~!!」
初めて味わう勝者への歓声を浴び、私の瞳から熱いものが流れ、頬を伝った。
私は・・・この瞬間デビューした事、胸を張って”プロレスラーです”といえる日が来たことを実感した。
「里香!今度は負けないからな。」
すずさんが悔しさ一杯の顔で右手を差し出してきた。
「私ずっと負けませんよ!」
私は断言すると手を握り返す。
「二人ともがんばれよー!!」
「今日はよくやったぞ~~!!」
「小早川~~リベンジだ!!」
再び拍手と歓声がリングに注がれる。
夢のリングへと立った私は・・・プロレスラーなんです。
岩井里香は今日からプロレスラーになりました。
夢のリングだったけど、これからは夢ではなく現実のリングとなります。
でもリングには夢がまだまだ詰まっています。
それを私はリングでプロレスラーとして叶えていきます。
いつかチャンピオンベルトを巻く・・・それが私の夢であり目標なんです。
私は体は小さいし、それほど期待されてるわけじゃない。
でも・・・小さくたってプロレスラーにはなれるんです。
だったらチャンピオンにもなれますよね。
私は岩井里香。
上女の新人プロレスラーです!!
-ひとまず了ー
☆あとがき☆
夢のリングへはひとまず最終回です。 ありがとうございました。
この作品の主人公である、岩井里香というキャラにはモデルがいます。
それは元GAEAの石井里奈選手です・・・多分知らない人ばかりでしょうけど。
体格・コスチュームの色・群馬出身・ウラカンが得意など設定はかなり頂いてます。
私は彼女のファンでした。
現役は長くはなかったし、里香とは違ってデビューからしばらくは連敗街道まっしぐらでしたけど、軽快な動きとひたむきなファイトは私の心に今も残っています。
石井さんはリンドリで言えば結局威厳3程度、レッスルなら評価値700(ひいき目)で終わってしまったんですけどね。
素質が大きくあるわけではなかったでしょうが、まだ上にいけたと思ってます。
レッスルでいう素質D(贔屓目で)くらいだったのかな・・・応援しがいのある選手でした。
せめて物語の中ででも活躍してもらいたいなと思って大分前に書いていたのが、この夢のリングへです。
当時と書き方は変えましたが、こうやって日の目を見ることになるとは思いませんでした。
リンドリとレッスルに感謝しつつ、この物語は一旦終了とさせていただきます。
ありがとうございました。
◇デビュー戦のリング☆ドリームルールでの解説◇
文中で岩井里香の放つ張り手は”全力ダメージ+2”で攻撃。
さらにダイスがクリティカルで判定は流血。
ただし、ダウンはしませんでした。
すずのお返しの張り手はダメージ強烈。
観客ポイントのおかげで回復。(なければ終わってます)
すずの”必殺心”ラリアートはサイコロが不発。
ダメージ弱く、里香は倒れません。
すずは必殺心を使い切り、ピンチになります。
里香は全力ダメージ+2&必殺心でウラカン・ラナ・
ダイス目が大きくすずは6面ダイス*3で”3・4・5”が出ないと返せません。
1回目(カウント1)・・・失敗
2回目(カウント2)・・・失敗
3回目(カウント3)・・・失敗
で3カウントが入りました。
観客ポイントはすでに里香のカウント3を回避するので使い切りましたのでそのまま終わりです。
時計を止めると24分26秒。これを半分にしたものが勝負タイムですから12分13秒、ウラカン・ラナで岩井里香選手の勝利となります。
ルールブックをお持ちの方はこういう風な場面だと思っていただければと思います。
結構文章にすると難しいですね。
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クイーンズロードシリーズ最終戦東京後楽園ホール大会。
ついに私とすずさんのデビュー戦の日がやってきた。
ここはプロレスの聖地と言われる場所。
インディ団体などは後楽園を目標に! なんて頑張っている場所。
こんないい場所でデビューをさせてもらえるなんてとても幸せなことだと思う。
「里香、すず。お前達に期待する事は特にない。」
上野さんが厳しい顔つきで私達に言う。
「だけど、ひとつだけ言っておくよ。一人でも多くのお客さんに、”応援したいな”、”先が楽しみだな”って思わせる何かを見せてこい!」
上野さんは笑顔でそういうと、私達の背中をバーンと張る。
「いったった!」
「あうち!」
「試合はじまったらもっと痛いぞ(笑)」
「青コーナーより小早川すず選手の入場です!」
スピーカーから山中リングアナの声が聞こえてくる。
「すずさんのテーマがかかった・・・もうすぐ出番だ・・・」
しばらくすると会場の方から拍手の音が響いてきた。
すずさん・・・あんなに拍手してもらってる・・・
「私もあんなに拍手してもらえるのかな?」
私は天井を見上げながら呟いた。
「もし・・・誰も拍手してくれなかったら・・・どうしよう。みんながすすずさんの応援だけしてたら・・・」
私は2000人のお客さんが全員 すずコールをしている状況を思い浮かべて怖くなった。
「ダメ・・・里香しっかりするのよ! リングでは誰も助けてくれない。お客さんが・・・みんなすずさんの応援してたとしても・・・私が頑張れば・・・大丈夫!」
「赤コーナーより、岩井里香選手の入場です!」
「里香、テーマかかってるわよ!」
美知さんの声がする。
「はい!いってきます!!」
私は美知さんの声に答え、リングへとゆっくりと向かっていった。
【光輝く星のように、キラリと私は輝くの・・・夢の舞台(リング)で】
私のために書き下ろしてもらったテーマ曲『夢のリングへ』が流れる中、私は歌詞に励まされるようにリングへと進む。
「里香~~!!」
「岩井ーっ!」
拍手に混じって野太い男性の声が飛んでくる。
「里香ちゃん頑張って~~!!」
女性の声する。
私に声援を送ってくれる人がいる。
ありがとう・・・頑張ります。
気づくとロープはかずみさんが上げてくれている。
「楽しんでおいで。余裕あればね。」
「はい。」
かずみさんの笑顔に勇気を貰った私は、一礼をしてから夢のリングへ。
「大変ながらくお待たせいたしました。只今より本日の第一試合、新人デビュー戦シングルマッチ15分1本勝負を行います。」
私のドキドキはピークに達していた。
「青コーナー、本日デビュー戦、愛知県出身~149パウンドー! ”バーニングレディ” 小早川~ すーずー!!」
すずさんは落ち着いているみたい。
丁寧に四方へとお辞儀をすると、すずさんのコスチュームと同じ、ピンク色の紙テープがリングを染める。
「赤コーナー、同じく本日デビュー戦 群馬県出身114パウンドー、”オレンジストリーム”岩井~里~香~!!」
私は右拳を(遠慮がちに)突き上げてから一礼する。私のイメージカラーのオレンジ色の紙テープが投げ込まれた。
「ちょっと少ないなあ・・・」
私よりもすずさんの紙テープが多かったのよ。ちょっと残念。
「レフェリー徳島かおる!」
レフェリーのかおるさんが私のチェックをしながら「同じ数だよ。」と。
「えっ?」
「紙テープでしょ。同じ数よ。ただし、オレンジの投げる人はヘタが多かったみたいで、リングに届いてないだけ。紙テープは放物線を描くように投げないと届かないのにね」
かおるさんは女優さんみたいな綺麗な顔でウインクしてくれた。
なんだ・・・そういうことか。
「シェイクアップ!」
かおるさんの声に促されるように私とすずさんは右手を差し出し、軽く握りあってお互いのコーナーへと下がる。
「オーケー、ゴー!!」
かおるさんの声が響き、私の・・・いえ私とすずさんのファイティングロードの始まりを告げるゴングが高々と打ち鳴らされた。
◇◇◇
「試合時間10分経過! じゅつ、ぷん経過! 残り試合時間5分!」
もう10分・・・か・・・
「てええ!!」
私はドロップキックを放つ。
だけど、手ごたえはなかった。 すずさんは受けではなく避けを選択したんだと気づいた時には体に鈍い衝撃が・・・
「ぐう。」
「こんの野郎!立てえ!!」
すずさんのストンピングが嵐のようにふってくる。
立てっていってるのにやってる事逆でしょ?
私はすずさんの攻撃疲れを待ってようやく立ちあがると・・・
「このお!!」
私は渾身の力を込めて、右手で張り手をお見舞いした。
防御の事は忘れて、ただ攻撃のことだけを考えた張り手。
「おおっ!!」
客席からどよめきが聞こえたので私はすずさんを見る。
どよめきの原因は、すずさんの唇から流れた血がだった。
デビュー戦で流血・・・
「てめえっ!!やりやがったなあ!!」
血を見て一瞬気をそらした私の左頬へ衝撃が走る。
「あ・・・」
私はお返しの張り手を貰った事だけは理解した。
「よっしゃあカバー!!!」
すずさんの叫びが遠くから聞こえる。
私の右足は抱え上げられているような気がするけど・・・
・・・バン!「1!」
なんの音だろう。
・・・バン!!「2!」
2って何?
ドン!!ドン!!「里香、返せ!!」
「岩井~~!!」
「返せー!!」
「はっ!試合!!」
私はセコンドについて下さっている美知さんの声とお客さんの声で今が試合中だということを思い出した。
私は右肩を上げていた。
見るとかおるさんの右手がマットに触れる寸前だった。
いわゆるカウント2.99ってやつね。
美知さんの声と、観客・・・お客さんの声がなければ私ここで負けてたわ。
「スリー!!」
すずさんが右手の指を3本立ててかおるさんに詰め寄っているが判定は代わらない。
「なにやってんだ小早川攻めろよ!!」
「いわい~~!!しっかりせんかい!!」
客席からは声援とも罵声ともとれる声がする。
お客さんの声援って、凄い力をくれるんだね。
私はふらふらとしながらもなんとか立ち上がる。
「おわりだ~~!!」
すずさんがロープに飛ぶのが見える。
決めるという魂が右腕に込められたのが見える。
「必殺心・・・まずい!」
必殺心とは決めるという魂をこめること。
技の威力云々というよりも、気持ちの技術だって上野さんは言っていた。
「心が消耗するからベテランでもそう何回もできるもんじゃないんだよ。」
ならばデビュー戦の私たちでは1度が限界。
ここを凌げば、私に勝機がある。
すずさんの渾身の必殺ラリアートを私は両腕でブロックし、衝撃を逃がす。
すずさんの気が落ちたのを見て私は・・・
「フォール!!」
私は叫んでいた。
両足をとって・・・必死で押さえ込んでいる。
私は決めるという気持ちを込めて、ウラカン・ラナを放っていた。
「1!」
「返せ!!」
「2!」
「すず!!」
「里香~~押さえろ!!」
もう誰の声だか分からない。
すずさんも足をバタバタさせるし、押さえるのに必死。
そして3度目のマットを叩く音がした。
カン!カン!カン!
試合終了を告げるゴングが鳴り響き、歓声とため息が聞こえる。
「12分13秒、じゅう、にふん、じゅうさん秒。 ウラカン・ラナにより勝者、岩井里香!」
山中アナのコールが聞こえ、私のテーマ曲がホールに流れる。
【光輝く星のように、キラリと私は輝くの 夢の舞台(リング)で。】
「スリー?」
私はかおるさんに尋ねる。
「そうだよ、里香。みっつ取れたね。」
かおるさんはそういって私の腕を取る。
客席からは拍手の雨が降り注ぐ。
「初勝利おめでとー!!」
「これからも頑張れよ~~!!」
「デビューおめでとう~~!!」
初めて味わう勝者への歓声を浴び、私の瞳から熱いものが流れ、頬を伝った。
私は・・・この瞬間デビューした事、胸を張って”プロレスラーです”といえる日が来たことを実感した。
「里香!今度は負けないからな。」
すずさんが悔しさ一杯の顔で右手を差し出してきた。
「私ずっと負けませんよ!」
私は断言すると手を握り返す。
「二人ともがんばれよー!!」
「今日はよくやったぞ~~!!」
「小早川~~リベンジだ!!」
再び拍手と歓声がリングに注がれる。
夢のリングへと立った私は・・・プロレスラーなんです。
岩井里香は今日からプロレスラーになりました。
夢のリングだったけど、これからは夢ではなく現実のリングとなります。
でもリングには夢がまだまだ詰まっています。
それを私はリングでプロレスラーとして叶えていきます。
いつかチャンピオンベルトを巻く・・・それが私の夢であり目標なんです。
私は体は小さいし、それほど期待されてるわけじゃない。
でも・・・小さくたってプロレスラーにはなれるんです。
だったらチャンピオンにもなれますよね。
私は岩井里香。
上女の新人プロレスラーです!!
-ひとまず了ー
☆あとがき☆
夢のリングへはひとまず最終回です。 ありがとうございました。
この作品の主人公である、岩井里香というキャラにはモデルがいます。
それは元GAEAの石井里奈選手です・・・多分知らない人ばかりでしょうけど。
体格・コスチュームの色・群馬出身・ウラカンが得意など設定はかなり頂いてます。
私は彼女のファンでした。
現役は長くはなかったし、里香とは違ってデビューからしばらくは連敗街道まっしぐらでしたけど、軽快な動きとひたむきなファイトは私の心に今も残っています。
石井さんはリンドリで言えば結局威厳3程度、レッスルなら評価値700(ひいき目)で終わってしまったんですけどね。
素質が大きくあるわけではなかったでしょうが、まだ上にいけたと思ってます。
レッスルでいう素質D(贔屓目で)くらいだったのかな・・・応援しがいのある選手でした。
せめて物語の中ででも活躍してもらいたいなと思って大分前に書いていたのが、この夢のリングへです。
当時と書き方は変えましたが、こうやって日の目を見ることになるとは思いませんでした。
リンドリとレッスルに感謝しつつ、この物語は一旦終了とさせていただきます。
ありがとうございました。
◇デビュー戦のリング☆ドリームルールでの解説◇
文中で岩井里香の放つ張り手は”全力ダメージ+2”で攻撃。
さらにダイスがクリティカルで判定は流血。
ただし、ダウンはしませんでした。
すずのお返しの張り手はダメージ強烈。
観客ポイントのおかげで回復。(なければ終わってます)
すずの”必殺心”ラリアートはサイコロが不発。
ダメージ弱く、里香は倒れません。
すずは必殺心を使い切り、ピンチになります。
里香は全力ダメージ+2&必殺心でウラカン・ラナ・
ダイス目が大きくすずは6面ダイス*3で”3・4・5”が出ないと返せません。
1回目(カウント1)・・・失敗
2回目(カウント2)・・・失敗
3回目(カウント3)・・・失敗
で3カウントが入りました。
観客ポイントはすでに里香のカウント3を回避するので使い切りましたのでそのまま終わりです。
時計を止めると24分26秒。これを半分にしたものが勝負タイムですから12分13秒、ウラカン・ラナで岩井里香選手の勝利となります。
ルールブックをお持ちの方はこういう風な場面だと思っていただければと思います。
結構文章にすると難しいですね。
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試合の場面、「あ、クリティカル→流血したな」とか「朦朧→観客Pでフォール返し?」とか、ルールブックをめくって一生懸命判定してた当時を思い出して懐かしかったです。
今回で最終回とのことで残念ですが、またいつか気が向かれたら、里香ちゃん達のその後も見せてくださいね。お疲れ様でした。