二日続けての更新です。
これで第46話は終了となります。
では、続きからどうぞ。
これで第46話は終了となります。
では、続きからどうぞ。
「八島ぁ、俺に決めさせろよ、ルール。」
この言葉に会場がどよめく。
「・・・ほう。頭を使うのは苦手な癖にルールを考えてきたってのかい。いい心がけだねえ。」
八島の言葉には棘があった。
「なんだと?」
ライラの目に狂気が宿る。
「よせよ。二人とも。」
朝比奈が割って入る。
「フン、まあいい。聞いてやろうじゃないか。」
「よ~し、よく聞けよ、暑苦しい正義軍、そして正義軍を応援するブタども!」
ライラに対し、ブーイング。
「うるっせえ!聞け!」
ライラは手に持っていたペットボトルを西側リングサイドへ投げ込む。
「ぶー!ぶー!」
ブーイングがさらに大きくなるが、それを楽しむのがヒール。
「ルールは簡単だ。8VS5の勝ち抜き戦で、俺たちはフリーウエポンだ。」
「8VS5だと?」
越後が抗議の声をあげる。
「ああそうだ。完全決着戦だろう?」
「・・・」
「うちは、真鍋・村上*2・俺、朝比奈・八島・山本・鏡で8人だ。そっちは5人だろう?」
「くっ・・・」
「いやなら受けなくてもいいんだぜ?」
完全に自分たちが有利なルールを提案するライラ。
「ぐっ・・・」
「越後さん・・・」
「くそっ、卑怯だぞ!」
「卑怯だあ?それは俺たちには褒め言葉だぜ。なあ八島。」
「・・・」
八島は腕を組んでじっと考えこんでいる。
数で勝っている上に、フリーウエポンでは、S・H・Uが完全に有利であることは間違いがない。
だが、ここで負けるようなことがあれば、S・H・Uとしても相当な痛手を受けることになる。
(まあ・・・負けなければいいだけのことなんだけどね。万が一ってこともある。)
そのあと、バルコニー上ではS・H・Uの面々が、リング上では正義軍がこの件について相談している。
ライラは実に楽しそうにその光景をみていた。
「おい、正義軍!どうするんだ?」
「5VS5の勝ち抜き戦で、そっちがフリーウエポンなら構わない。」
正義軍を代表して越後がそう答える。
「なんだと?」
いきり立つライラ。
「よしな、ライラ。」
八島が沈黙を破る。
「正義軍は解散を賭けるって言っているんだ。5VS5でいいじゃないか。」
八島の言葉に場内から拍手がおきる。
「なんだと?」
「ライラ、お前には聞こえなかったのかい?このお客の拍手が。解散をかけてくる相手に絶対有利の条件でやるのはフェアじゃないだろう。8VS5なんて聞いたことないしねえ。」
八島は言葉で上手く観客をコントロールしていた。
実はもっともらしいことは言っているのだが、自分たちに有利なルールである『フリーウエポン』に関しては一切触れていない。
「そうだ~八島の言うとおりだぞ~!」
「そうだ!そうだ!」
場内からは八島のセリフを肯定する声援が飛ぶ。
「そういうことだよ、わかったかいライラ。」
「チッ、面白くねえけど、いいよ、それで。」
「じゃあ決定だよ。メンバーは当日発表させてもらうよ。」
「上等だ!」
しばしにらみ合う両陣営。
「じゃ、今日はここまでだ。さ、引き上げるよ。またな!」
八島が〆て、颯爽と引き上げる。
「では、ごきげんよう。」
フレイア鏡も続き、S・H・Uの面々はそのまま引き上げた。
そして・・・
「越後さん・・・いやジャスティス、本当にあのルールでよかったんすか?」
バーニング真田が心配そうな顔をする。
「フリーウエポンなんてルール、引き受けてよかったんですか?」
「当然だ。我々には正義の心という鋼の鎧がある。凶器なんて、私たちジャスティス5には通用しない!」
最初の頃とは違い、今の越後はジャスティス越後というキャラクターを楽しんでいる。
ここまで言い切れるのも、その証だろう。
「じゃすてぃす~!」
子供たちの声援が飛ぶ。
「まけないで~。」
勝って~!ではなく、まけないで~!というところが子供たちは正直だ。
不利だとわかっているのだろう。
「大丈夫だ。我々はなんだ?」
「正義戦隊ジャスティス5です!」
橘と藤原が呼応する。
元はといえば、この二人が渋る越後を正義軍に勧誘したのである。
『正義軍 旗揚げしましょう! 越後さん。』という言葉とともに。
「正義はわれにあり!正義は~~っ!」
「か~つ!!」
子供と一緒に決め台詞をシャウトする正義軍。
「正義!」
「友情!」
「努力!」
「勝利!」
「我々は、正義戦隊ジャスティス5だあっ!」
越後は天高く竹刀を突き上げた。
場内暗転し、正義軍はその間に退場。
退場し終わったのを確認して、ナレーションが入る。
「次回 後楽園プラザ大会 正義戦隊ジャスティス5 第47話『決戦!』 でまた会おう。 君は、正義の輝きを信じるか?」
このナレーションが終わると場内に明かりが灯り、プラザには全試合終了を告げるリングアナの声が響いた。
第46話 ~終~
S・H・Uの馴れ合いではない緊張感あるやり取りにドキドキです。
決着を期した全面対抗戦、しかも勝ち抜き!
や~プロレスの醍醐味が来ましたね~ワクワクしながら次回を待ってますっ