NEW WIND社長 風間 新 手記より。
※この手記は基本的にリプレイですが、風間 新 社長視点で書かれており、創作要素を多分に含んでいます。
ここでの各登場人物の設定は公式なものでなく、管理人N独自のものです。
それをご了承の上、つづきへとお進みくださいませ。
※※お待たせしました、その100です。※※
※この手記は基本的にリプレイですが、風間 新 社長視点で書かれており、創作要素を多分に含んでいます。
ここでの各登場人物の設定は公式なものでなく、管理人N独自のものです。
それをご了承の上、つづきへとお進みくださいませ。
※※お待たせしました、その100です。※※
◇11年目春◇
春といえば入団テスト、入団テストといえば春である。
昨年大量に引退者が出て、現在のNEW WINDは人数が不足している。
だからこそ、今年は大量に新人を獲得したいのだが・・・獲りたい時に限って人材不足。
「困ったねえ。」
「そうですねえ。困りました。」
「はあ・・」
「ふう・・・」
審査員の結城と二人でため息をつく。
なにしろここまで見てきて最低基準を満たす受験生すら居ないのだ。
「これじゃあ、ハッピー枠で入団させるのもいないかな・・・」
ハッピー枠はなにもフリーランス・インディだけに使うものではない。
“育成枠”としての意味合いも持っているのだ。
すでにハッピープロジェクトからの推薦で一人採用する事は決まってはいるのだが。
「あの子なら何もハッピー枠でなくても?」
「いや、彼女はハッピー枠だ。それに素性を隠す為、マスクウーマンとしてデビューさせるよ(※)」
「関係のない新人として扱うおつもりですね?」
「うん。」
「さて、今年は受験者も少ないね。これが最後、66番の方どうぞ。」
「3年続けて福があるといいですけど。」
「66番、入ります!」
ドアを開けて道場に姿を現した少女を見たとき、私は年甲斐もなくトキメイタ。
もし私が彼女と同級生だったら、間違いなく告白し、玉砕していたであろう。
まさに美少女・・・今までにも何人もの可愛い子はみてきたし、うちの団体は“美人揃い”だから慣れてはいるのだが、群を抜いて可愛い。
顔の可愛さもそうだが、15歳の少女とは思えない抜群のプロポーション。
・・・あの、”受けるとこ間違えてない???”と思わず思ってしまうほど、完璧だ。
「・・・合格。」
私は思わず呟いてしまった。
「えっ!社長!!」
「えっ?・・・まだ何もしてないですけど?」
道場中の視線が私に集まる。
「・・・社長、それはどういうことですか?」
右隣の武藤がジト目で私を見る。
しまった・・・うかつ・・・
「あ、あの・・・本当に合格でいいの?」
少女はまだ名前さえ名乗っていない。
「テストは受けてもらわないと。ダメですよね?」
結城が確認をしてくる。
「・・・合格だ。テストは受けてもらうがその結果はどうであれ、合格。」
開きなおりっ。前言撤回などしない。
「はあっ?なによ、それ!」
武藤があきれ顔になる。
「社長・・・?」
結城も悲しそうな目をする。
「ダンディさん・・・なんとか言ってください!」
武藤が顧問であるダンディさんに突っかかる。
「これまで、数多くの受験生を見てきた風間社長が合格と決めたからにはそれに従うべきですが、少々手順が違いますぞ、風間社長。」
「うっ・・・すいません。」
「合格を前提にテストなど前代未聞ですが、まあいいでしょう。66番さん、テスト始めましょうか。」
「は、はいよろしくお願いしますっ!」
こうして第一印象で合格が決まった少女はテストに臨む。
テストの結果は・・・・
女子プロレスラーとしては最低基準の数字ぎりぎり。
つまりNEW WIND基準からは相当離れているのだが、瞬発力には見るべきところがある。
「瞬発力だけは、合格ラインね。」
武藤の言葉に場の空気が澱む。
「あ、あの・・・本当に合格でいいの?」
きついメニューをこなした受験生はペタンと座り込んだまま尋ねてきた。
「私は反対ね。」
武藤にぴしゃりと言われ、受験生がひるむ。
「社長が合格というからにはなにかあるのでしょう。私は反対も賛成もしません。」
結城も厳しいね。
「素材はS級だ。武藤より上かもしれないぞ。」
私は断言する。
「へえ・・・そこまでいうならやってもらおうじゃない。」
前途多難。
私の不用意な一言で混乱をもたらしてしまった。反省だ。
だが、この子を入団させないわけにはいかない。
経営者としての経験がそう言っている。
「社長、ハッピー枠でなく、11期生として迎えるのですな?」
とダンディさん。
「はい。NEW WINDの11期生として迎えます。」
「わかりました。社長がそうおっしゃるならば、それに従いましょう。」
「やったあ!まさか受かるとは思ってなかったもんね。嬉しいなっ♪」
はしゃぐ姿も可愛いねえ。
先輩達はまだ疑いの目を向けるが、相羽が真っ先に駆け寄る。
「合格おめでとう!よろしくね。」
「ありがとうございます。うち、藤島瞳です。よろしゅう。」
NEW WIND11期生は二人だが、純11期生は藤島瞳一人だけ。
ハッピー枠入団の“謎のマスクウーマン”も一応11期生扱いになります。
素質はあまりないかもしれない。
でも、彼女のアイドル性はSクラスの逸材だと思う。
“彼女をどこまで伸ばすことができるか”
私にとって、そしてNEW WINDにとってそれは新たなる時代作りへの挑戦のはじまりだった。
この時点で私の中で彼女のキャッチコピーは“無敵のアイドル”として決定されていた。
可愛さは・・・武器だよ、武器。
先輩達の反発はあるだろうけど、彼女は性格もよさそうだから、きっと大丈夫。
11期生 藤島瞳をよろしくお願いします。
なお、この後の3月シリーズで、永沢&吉田の“ドラゴンダンス”に破れ、AACタッグ王座から陥落した“νジェネ”武藤めぐみが、引退を表明した。
飛び技に見どころのある新人“瞳”と入れ替わるように、飛び技で会場を沸かせてきた、“孤高の天才姫”がリングを去る。
これも運命なのだろうか。
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※サバイバーにはマスクはありませんが、イメージ上必要なのでマスクを被ってもらいます。
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