NEW WIND社長 風間 新 手記より。
※この手記は基本的にリプレイですが、風間 新 社長視点で書かれており、創作要素を多分に含んでいます。
ここでの各登場人物の設定は公式なものでなく、管理人N独自のものです。
それをご了承の上、つづきへとお進みくださいませ。
※この手記は基本的にリプレイですが、風間 新 社長視点で書かれており、創作要素を多分に含んでいます。
ここでの各登場人物の設定は公式なものでなく、管理人N独自のものです。
それをご了承の上、つづきへとお進みくださいませ。
◇6年目1月◇
書き忘れていたが、昨年の女子プロレス大賞は結城千種。
エースは伊達と言い続けていたが、さすがに結城であることを認めざるを得ない。
彼女の強さの秘密は”根性”と”穴のなさ”そして”投げの破壊力”にあると思う。
現在のNEW WINDのトップクラスの選手は試合を諦めることを中々しないが、結城はその中でも抜群の粘り強さを持っている。
カウント2.9で返す回数が多い。
ハイスパートレスリングを得意とする結城だが、あの粘りは一昔前の四天王プロレスを彷彿させるものだ。
結城はカンナとのシングルでベストバウト受賞、武藤とのタッグで伊達&カンナと対戦した試合でタッグのベストバウトも受賞している。
新人賞はハイブリット南。
目立った活躍はなかったが、姉譲りのプロレスセンスを随所で見せてくれている。
そういえば今年の外国人部門もダイナマイト・リナだったな。
他団体の提携外人選手の試合なんてみた事ないけど、うちと提携してる時には目立った存在ではなかったと思うが・・・
さてこの1月は色々あった。
まずラッキーが練習中にケガでシリーズ欠場。
タイミングのいい事に映画出演の話が来たので出演させる。
人気連続学園ドラマの映画版で主人公の後輩の見習い教師役だと。
・・・確かにあの容姿に眼鏡をかければ女教師に見えなくもないか。
さらにEWAタッグを返上する事に。
ここまでのNEW WINDを盛り上げてくれたベルトだが、一つの団体にタッグ王座が3つもあると混乱するのもあって返上とする。
AACタッグを残したのはNEW WINDで一番権威の高いとされているタッグベルトだから。
そのAACタッグは今月は防衛戦があり、伊達&永沢の師弟タッグがホワイトスノーに挑んだ。
Wドロップキック4連発からの合体パイルドライバーで伊達が撃沈。
ホワイトスノーが4度目の防衛に成功している。
なんで4度も成功したかといえば、レフェリーに永沢の”たいあたり”が誤爆したのが原因。
これでレフェリー不在となり、永沢を場外へ落した後、伊達に波状攻撃。
合体パイルが決まってカンナがカバーした時、レフェリーが復帰して3カウント。
ちょっと釈然としない終わり方ではあったが、これもまたプロレス。
◇シリーズ最終戦◇
本日のメインイベントは伊達VS南のWWCAヘビー選手権試合。
先のイシュタル・インパクトでは7位に終わった南だが、志願してのベルト挑戦だったのだが・・・
「28分53秒、28分53秒 バックドロップからの体固めで勝者、伊達遥!」
王者伊達初防衛に成功。
南は伊達の余裕を崩す事が出来ず、試合内容としては完敗。
最後もシャイニングではなく、珍しいバックドロップ。
南はかなり憮然として引き上げていった・・・
私は南を探していた。
南は控え室から忽然といなくなってしまったのだ。
私は会場近くの公園でコスチューム姿のまま電話ボックスにもたれてうつむいている南を発見し、近づいていった。
「南・・・探したよ。」
雨が降っているのに南は傘すらさしていない。
「社長・・・」
「風邪引くぞ。体が資本だろうに。」
私は上着を南の肩にかける。
「ありがとう。」
「何もコスチュームのままこの氷雨の中飛び出さなくたって・・・」
「私・・・自分が許せなくて・・・」
「南・・・」
私は今回のタイトルマッチに対する南の決意を聞いていただけにかける言葉が見つからない。
「完璧な負けだった。」
「・・・」
私は黙って南を見つめる。
といえば格好はつくが、実際には言葉が出ないだけ。
「遥との差は、わかっていたはずなのに、追い続ける私がいて・・・届かない、終わったってわかっているのに・・・なんで私は追ってしまうのかな。」
南はちょっぴり瞳を潤ませる。
このまま泣かれたら、私が何かしたみたいになるぞ。
「それはライバルだからじゃないのか?そして南利美というレスラーは伊達遥というレスラーが好き。だからこそ・・・終わった、届かないと思っても追いかけてしまうんだろう。」
「まるで失恋したみたいな言い方ね。」
「同じようなもんじゃないのか? もう終わったはずなのに、何故か追いかける。恋も、プロレスも自分が諦めた時が終わりの時。恋愛なら振られたから・・・って諦めたらそこまでだし、勝つことを目指さなくなったら、そこまでさ。」
「私・・・まだ」
「そう、南利美はまだ諦めていない。だから追いかけるんじゃないのか?」
南がつねに伊達を追いかけているのは知っている。
プロレス名鑑のライバルの項に”伊達遥”、今年の抱負に”伊達に勝ってベルトを巻く”と書いてある南なのだから。
「・・・」
「なんでも勝たないと気がすまないんじゃなかったか?」
「・・・言うわね社長も。」
「そりゃどーも。」
「最近私も気が弱くなってたのかな。まだやれるわよね・・・」
「大丈夫ですよ、南さん。まだまだやれますよ。」
私はこの間の言葉をまたいう。
「あはは。社長も馬鹿ねえ。何度も同じセリフでこの南利美さんが励まされると思ったら大間違いよ。」
「でも元気でたみたいだな。」
私は笑顔を取り戻した南を見て微笑みを浮かべる。
「それは・・・社長だから・・・」
南は何かをボソッといったが私はよく聞き取れなかった。
(これは想像でこういったんじゃないかとして書いてます。)
「なに?」
「なんでもないわ。さ、戻りましょう。」
南は笑う。
雨は相変わらず降り続いているが、南の心は少し晴れ間が覗いたようだ。
「似合わないからな・・・レイニーブルーなんて・・・」
私は呟く。
「何か言った?社長。」
「いやなんでもないさ。南には雨の色は似合わないと思っただけで。」
「そう?じゃなにが似合うのかしら?」
「曇りかな。」
「もう!そこはもっと違う表現があるでしょ?!」
「あっはっは。」
「まったく。さっきは大人ぽい事言ってた癖に。なんなのよ。」
この後判明したことだが、伊達は南の関節技でヒザを負傷していた。
それで最後はシャイニングではなく、バックドロップだった。
南を甘くみたわけではないらしい。
伊達は2月シリーズは欠場。
この影響もあり、2・3月のNEW WINDはタイトル戦を組まずにサーキット。
特に大きな事件もなく、NEW WINDは7度目の春を迎える事になる。
↓励みになります。メッセージ、ご感想などお待ちしてます。
※レイニーブルー=1986年発売の徳永英明さんのデビュー曲。
今回のイメージソングです。
書き忘れていたが、昨年の女子プロレス大賞は結城千種。
エースは伊達と言い続けていたが、さすがに結城であることを認めざるを得ない。
彼女の強さの秘密は”根性”と”穴のなさ”そして”投げの破壊力”にあると思う。
現在のNEW WINDのトップクラスの選手は試合を諦めることを中々しないが、結城はその中でも抜群の粘り強さを持っている。
カウント2.9で返す回数が多い。
ハイスパートレスリングを得意とする結城だが、あの粘りは一昔前の四天王プロレスを彷彿させるものだ。
結城はカンナとのシングルでベストバウト受賞、武藤とのタッグで伊達&カンナと対戦した試合でタッグのベストバウトも受賞している。
新人賞はハイブリット南。
目立った活躍はなかったが、姉譲りのプロレスセンスを随所で見せてくれている。
そういえば今年の外国人部門もダイナマイト・リナだったな。
他団体の提携外人選手の試合なんてみた事ないけど、うちと提携してる時には目立った存在ではなかったと思うが・・・
さてこの1月は色々あった。
まずラッキーが練習中にケガでシリーズ欠場。
タイミングのいい事に映画出演の話が来たので出演させる。
人気連続学園ドラマの映画版で主人公の後輩の見習い教師役だと。
・・・確かにあの容姿に眼鏡をかければ女教師に見えなくもないか。
さらにEWAタッグを返上する事に。
ここまでのNEW WINDを盛り上げてくれたベルトだが、一つの団体にタッグ王座が3つもあると混乱するのもあって返上とする。
AACタッグを残したのはNEW WINDで一番権威の高いとされているタッグベルトだから。
そのAACタッグは今月は防衛戦があり、伊達&永沢の師弟タッグがホワイトスノーに挑んだ。
Wドロップキック4連発からの合体パイルドライバーで伊達が撃沈。
ホワイトスノーが4度目の防衛に成功している。
なんで4度も成功したかといえば、レフェリーに永沢の”たいあたり”が誤爆したのが原因。
これでレフェリー不在となり、永沢を場外へ落した後、伊達に波状攻撃。
合体パイルが決まってカンナがカバーした時、レフェリーが復帰して3カウント。
ちょっと釈然としない終わり方ではあったが、これもまたプロレス。
◇シリーズ最終戦◇
本日のメインイベントは伊達VS南のWWCAヘビー選手権試合。
先のイシュタル・インパクトでは7位に終わった南だが、志願してのベルト挑戦だったのだが・・・
「28分53秒、28分53秒 バックドロップからの体固めで勝者、伊達遥!」
王者伊達初防衛に成功。
南は伊達の余裕を崩す事が出来ず、試合内容としては完敗。
最後もシャイニングではなく、珍しいバックドロップ。
南はかなり憮然として引き上げていった・・・
私は南を探していた。
南は控え室から忽然といなくなってしまったのだ。
私は会場近くの公園でコスチューム姿のまま電話ボックスにもたれてうつむいている南を発見し、近づいていった。
「南・・・探したよ。」
雨が降っているのに南は傘すらさしていない。
「社長・・・」
「風邪引くぞ。体が資本だろうに。」
私は上着を南の肩にかける。
「ありがとう。」
「何もコスチュームのままこの氷雨の中飛び出さなくたって・・・」
「私・・・自分が許せなくて・・・」
「南・・・」
私は今回のタイトルマッチに対する南の決意を聞いていただけにかける言葉が見つからない。
「完璧な負けだった。」
「・・・」
私は黙って南を見つめる。
といえば格好はつくが、実際には言葉が出ないだけ。
「遥との差は、わかっていたはずなのに、追い続ける私がいて・・・届かない、終わったってわかっているのに・・・なんで私は追ってしまうのかな。」
南はちょっぴり瞳を潤ませる。
このまま泣かれたら、私が何かしたみたいになるぞ。
「それはライバルだからじゃないのか?そして南利美というレスラーは伊達遥というレスラーが好き。だからこそ・・・終わった、届かないと思っても追いかけてしまうんだろう。」
「まるで失恋したみたいな言い方ね。」
「同じようなもんじゃないのか? もう終わったはずなのに、何故か追いかける。恋も、プロレスも自分が諦めた時が終わりの時。恋愛なら振られたから・・・って諦めたらそこまでだし、勝つことを目指さなくなったら、そこまでさ。」
「私・・・まだ」
「そう、南利美はまだ諦めていない。だから追いかけるんじゃないのか?」
南がつねに伊達を追いかけているのは知っている。
プロレス名鑑のライバルの項に”伊達遥”、今年の抱負に”伊達に勝ってベルトを巻く”と書いてある南なのだから。
「・・・」
「なんでも勝たないと気がすまないんじゃなかったか?」
「・・・言うわね社長も。」
「そりゃどーも。」
「最近私も気が弱くなってたのかな。まだやれるわよね・・・」
「大丈夫ですよ、南さん。まだまだやれますよ。」
私はこの間の言葉をまたいう。
「あはは。社長も馬鹿ねえ。何度も同じセリフでこの南利美さんが励まされると思ったら大間違いよ。」
「でも元気でたみたいだな。」
私は笑顔を取り戻した南を見て微笑みを浮かべる。
「それは・・・社長だから・・・」
南は何かをボソッといったが私はよく聞き取れなかった。
(これは想像でこういったんじゃないかとして書いてます。)
「なに?」
「なんでもないわ。さ、戻りましょう。」
南は笑う。
雨は相変わらず降り続いているが、南の心は少し晴れ間が覗いたようだ。
「似合わないからな・・・レイニーブルーなんて・・・」
私は呟く。
「何か言った?社長。」
「いやなんでもないさ。南には雨の色は似合わないと思っただけで。」
「そう?じゃなにが似合うのかしら?」
「曇りかな。」
「もう!そこはもっと違う表現があるでしょ?!」
「あっはっは。」
「まったく。さっきは大人ぽい事言ってた癖に。なんなのよ。」
この後判明したことだが、伊達は南の関節技でヒザを負傷していた。
それで最後はシャイニングではなく、バックドロップだった。
南を甘くみたわけではないらしい。
伊達は2月シリーズは欠場。
この影響もあり、2・3月のNEW WINDはタイトル戦を組まずにサーキット。
特に大きな事件もなく、NEW WINDは7度目の春を迎える事になる。
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※レイニーブルー=1986年発売の徳永英明さんのデビュー曲。
今回のイメージソングです。
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