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2024/04/24 15:13 |
必殺技 ~NEW WIND編より~
 NEW WIND社長 風間 新手記より 

※このお話は、NEW WIND編のストーリー&星明りの少女の続編です。
 NEW WIND編後半部分(9年目以降)および、星明りの少女をあわせてお読み頂けるとより深みが増すと思います。


 なおゼロさんの書かれたお題SS「ライバル」および、私N作の「ライバル~NEW WIND編より~」の続編です。
 上記2話を先に読んでから続きを読まれる事を推奨いたします。
 
 
 「ツリー式合作SS」です。 
 
☆NEW WIND新日本ドーム大会のメインイベントは、『MAX WIND女王戦』。

 「女王」スターライト相羽 VS 「挑戦者」ジーニアス武藤の一戦は、大方の予想を覆し、挑戦者ペースで進んでいた。

「はああっ!」
 ジーニアスの浴びせ蹴りが決まり、バランスを崩した相羽。隙を逃さず、ジーニアスが組み付く。
「いけ~ケイ!」
 観客席から結城の声が飛ぶ。
「あれは、バックドロップ!」
 結城のそれほどの角度はないが、美しいフォームからかなりの急角度で相羽をリングに突き刺す。
「ぐうう・・・いつものと違う・・・」
 相羽は予想以上の角度で落とされ、受身を上手くとれなかったようだ。
「よくもやったなあ!」
 相羽は一声吼えると、ジーニアスに組み付き、急角度のフロントスープレックスを放つ!  
「・・・やるわね。」
ジーニアスはカウントをすくっと立ち上がると、笑みを浮かべた。
「てえええいいいっ!」
 タックルを狙う相羽。
「!?」
ジーニアスはタックルを上手く切ると、サイドスープレックスクラッチ。
「サイドスープレックスなんてっ!」
 相羽はサイドスープレックスだと判断し、強靭な足腰の力で逆に持ち上げるつもりだったそうだ。
「食らえっ!」
 しかし予想に反し、ジーニアスは相羽を半回転させると、パワーボムの要領でリングに叩きつけた。
「こ・・この技は・・・」
 相羽はこの時、遠のく意識の中で、はっきりと技を思い出していたという。
「す、スーパーフリーク!」
 スーパーフリークは、結城のフィニッシュホールドの一つであり、結城引退後は誰も使い手がいなかった幻の技だ。

バンッ! バンッ!!
「たああっつ!」
 さすがに女王だ。この程度では終わらない。
だが、片ヒザをついて立ち上がろうとする相羽に向かって閃光が走った。
 ジーニアスのシャイニングウイザードだ!
「うわあああっ。」
 しかし相羽、これを両腕でブロック。
「なっ!」
 驚くジーニアス。
「うおおおおっ!」
 逆に片ヒザ立ちになったジーニアスの脚を踏み台にし、閃光弾を叩きこむ相羽。
 場内から歓声が沸き起こる。
「いくぞ!ムーンサルトだあ!」
 相羽まさかのムーンサルト宣言。
意外と器用にコーナーを駆け上がると、『ノールック』で飛ぶ。
「舐めるんじゃないわよ!」
 両足を突き出し、串刺しにしようするジーニアス。
「おっと。」
 相羽はそれを上手く回避すると両足で着地。
どうやら『ムーンサルトフットスタンプ』を狙ったらしい。
「このお!」
 ジーニアス再び浴びせ蹴り。
「しまった。」
 相羽は足を滑らせてしまい、モロにもらってしまい、ダウン。

「これで決める!」と高らかに宣言したジーニアス、軽やかにコーナーへ駆け上がる。
「終わり~~!!」
 叫んで飛ぶ。
「!?」
 いつもと違う高さ、いつもより早い回転!あれは・・・『ダブルスピンムーンサルト』かっ!
 私は驚いたが、入団テストの時にすでにあの技をマスターしていたジーニアスなら使えて当然という気もした。

バン!「ワン!」
バンッ!「トゥ!!」
 相羽はまだ反応がない。王座陥落か?
だが相羽はカウント2.9で右肩を上げた。

ドドドドドドド!! 
5万5千大観衆の重低音ストンピングに、新日本ドームが揺れる。

「なっ・・・」
 驚くジーニアス。
「すごい技を身につけたね・・・でも、ボクは負けない!」
 相羽は、ジーニアスに組み付く。
「ボクは、女王だ!」と叫んだ相羽は、必殺のスターライトジャーマン!
「!!」
 これをなんとカウント1で返すジーニアス。

「意地ですな。効いてないわけがない。」とダンディさん。
「ですね。意地と意地のぶつかり合いですから。」
 カウント1で返したものの立ち上がれないジーニアス。 
「ならばっ!」
 相羽ここでスタークロスロック!
相羽版ネオ・サザンクロスロック(変形STF)がガッチリとジーニアスの体を捕らえる。
「完璧ね。」と思わず南は呟いたらしい。
 確かに完璧に決まっていた。
「ぐううう・・・」
 しかし、呻きながらもロープへと這うジーニアス。
「絞れ~~~!」
 セコンド藤島の声が飛ぶ。
「!!?」
 すごい形相で絞める相羽。
「!!!」
 声にならない声を上げ、ロープへとにじり寄るジーニアス

「ブレイク!」
 ロープエスケープ。
ジーニアスはよく粘ったな。いつもならギブアップをしていたはずなのに。
「ハア・・・ハア・・・」
「ぜい・・」
 今の攻防で大分スタミナを消耗したようだったが、試合はまだ終わっていない。
 ジーニアスはダブルスピンを狙いたいだろうし、相羽は相羽でハイパースターライトを狙っている。
 先に仕掛けたのはジーニアスだった。
ローリングソバットでペースを握る。
「ハアッ!」
 だが2度目のローリングソバットは相羽に読まれていた。
相羽は足をはたいて技をとめると、素早く腕をロックし、持ち上げると旋回を加えてから後方にブリッジワークで叩きつけた。
 場内から歓声とため息。

バン!
バンッ!
 かろうじて肩をあげるジーニアス。
隠し技として有名なハイパースターライトが返された相羽だが、焦りの色はなかった。

「魂さえ込めれば、どんな技だって必殺技になるんだ。ハイパーを返されたからと言って、終わったわけじゃない。」と相羽はこの時考えていたという。

「ジーニアスっ!」
 相羽が選んだ技は・・・魂を込めたスターライトチョップだった。
 胸元に打ち込まれた手刀は、バチーン!とすごい音を出す。
ジーニアスの体がのけぞり、そして崩れ落ちた。




 必殺技とは、『これで決める』というものであり、仮面ライダーならライダーキック、ウルトラマンならスペシュウム光線、コンバトラーVなら超電磁タツマキ→超電磁スピンというような『これが出れば終わり』という技を指す。
 かつてのプロレスでは『これが出たら終わり』という技は多数あったが、今現在のプロレスにおいて、この定義はかなり崩れ去っている。
 
 NEW WINDマットでも、これが出たら終わりという技の使い手は存在しない。
 だからこそ、『これで倒すんだ!』という気持ちを込めることが大切なのである。

  
 この試合の結末はあえて語らないが、女王戦にふさわしい戦いだったことだけは書き記しておく。



(終)
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2007/10/02 20:34 | Comments(3) | NEW WIND編

コメント

『NEW WIND』版必殺技SS小説拝見させて頂きました


スターライト相羽VSジーニアス武藤、必殺技飛び交う激しい試合になってましたね




読んでいてまた『NEW WIND』編のお題目に挑戦したくなりました
posted by ゼロat 2007/10/02 21:29 [ コメントを修正する ]
これぞ!って感じです。
それに比べておいらのは・・・ε=(~Д~;)

やっぱ、レッスルはこうでなくっちゃ!
posted by アワモURLat 2007/10/02 22:59 [ コメントを修正する ]
>ゼロさん
 
 いやーNEW WIND編のアフターストーリーみたいなもので書いていて楽しかったです。
 改訂版含めると一年以上もNEW WINDを書いているので、いくらでも書けそうな気がします。
 相羽の女王戴冠で本編は終了し、35周年をエンディングにしてありますから、アフターストーリーは自由に創作できます。
 私もまた書くかもしれませんし、ゼロさんの挑戦もお待ちしています。

>アワモさん
 いやいや、変化球も必要だと思います。
私も変化球で行く予定だったのですが、正統派の「ライバル」が長くなってしまったので、二つにわけました。
 ライトな文章にも挑戦したいですね。
posted by Nat 2007/10/03 01:10 [ コメントを修正する ]

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