NEW WIND社長 風間新 手記「新たなる夢のはじまり」より
※こちらはレッスルエンジェルスサバイバー2のリプレイとなります。
旧作版のNEW WINDとはお話上のつながりはありませんが、登場人物などは一部同じものを使用しています。
またも出版社から連絡が入った。
「風間社長…小鳥遊さんの写真集は大ヒットです。そこで、今度を十六夜美響さんの写真集も出したいのですが……」
小鳥遊の成功を受け、これからは女子プロレスラーシリーズを展開していきたいのだという。
「まあ構いませんけど…」
「ありがとうございます。きっと空前の大ヒット間違いなしですよ。」
担当者はそういってガハハッと笑った。
「災厄が降りかかるかもしれないのに……物好きねえ。」
十六夜はそうつぶやいたが出すことに関しては抵抗がないようだった。
十六夜美響ファースト写真集”女神降臨”発売決定。撮影は鷹羽キシンではなく、邪風というカメラマンだそうだ。
「あまり聞いたことないけど、大丈夫なのかな。それにしても……十六夜の写真集か…どんな出来になるのかな…そういえば、朝比奈あてにも何かオファーが来ていたな…」
私は朝比奈を事務所に呼んだ。
「なんだよ、社長。」
「おう、きたか。」
私の対応を見て朝比奈が明らかに警戒した顔になる。
「…なんだよ、まさか写真集じゃねえだろうな?だったらお断りだぜ。」
「いや違う。学園祭だよ、学園祭。」
とある学校から朝比奈への学園祭出演要請が来ている。
「はあっ?なんだよ、ケガが治ったと思ったら学園祭のゲストだって?」
朝比奈はさすがに驚いた顔をしていた。
「ああ。水瀬女子大付属高校というところなんだけどね。どうも朝比奈のファンが多いらしくてねえ。」
「…なんだかわからねえけどよ、行けばいいんだろう?」
朝比奈は水瀬女子大付属高校のゲストとして呼ばれていった。
「うふふふっ…」
リング上では十六夜が北条を見下ろしている。
「お立ちなさい。」
十六夜はそういって北条の喉を右手で掴み持ち上げた。
「ぐっ…くっ…」
北条は技から逃れようともがくが、これまでの十六夜のパワーラッシュで体力を奪い取られてしまっており力が入らない。
「これで終わり…」
ワンハンドコブラクローからの喉輪落とし…災厄降臨が北条の体を粉砕する。
「フォール。」
十六夜は右足を北条の体に乗せる。
「沙希さま~~!!」
「返せっ!」
「北条っ!!」
観客の声は届かず、そのままスリーカウントが入った。
「ただいまの試合は15分28秒…災厄降臨からの踏みつけ体固めで勝者十六夜美響!」
「これが災厄の女神の力よ。」
勝ち誇る十六夜、そして敗れた北条は…
「やられましたね。」と意外にもさっぱりとした表情だった。
「北条…」
私は掛ける言葉を探していた。
「心配しないでください社長。負けは負けとして事実は受け止めています。そして、何をすべきかということも。」
北条の瞳の輝きは失われていない…いやむしろ輝きを増していた。
「ここから何をなすべきか…ですから。」
もう振りかえらない。北条は前だけを見据えていた。
「頼もしくなりましたな。」
「ですね。本当の意味でのNEW WINDのロイヤル北条はここからはじまるのかもしれませんね。」
第23話へ
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