NEW WIND社長 風間新 手記「新たなる夢のはじまり」より
※こちらはレッスルエンジェルスサバイバー2のリプレイとなります。
旧作版のNEW WINDとはお話上のつながりはありませんが、登場人物などは一部同じものを使用しています。
「げええええええっ…あ、あいつは~~~~!!」
突然現れた謎の人物に、場内のコアなプロレスファンから驚きの声が上がる。
コーナーに現れた人物は、赤と白を基調にしたマスクをした胡散臭い男だった。
「むっ…あの男は…」
ダンディさんはリングへと向かっていた歩みを止めた。
「HAHAHA!この試合のレフェリングは俺に任せな!」
紅白のマスクの額には「鯉」の文字が見える。覆面男は暗い色のジャケットをバッと脱ぎ捨てた。
脱いだ下には用意周到なことにレフェリーシャツを着込んでいる。もっともズボンはなぜかハーフパンツで、脛が剥き出しだった。
「なんだ、おっさん!」
「誰か通報するね!変態仮面が現れたと!」
「HAHAHA!元気がいいなセニョリータ達。プロレス界に在籍しているんなら、もうちょっと勉強しておけよ~。」
謎の覆面男はまったく動揺していない。
「だから何者なんだ、オッサン!」
「俺か?聞いて驚け!我こそは、栃木一レフェリングの」
「カルパッチョー!!」
フライング気味の声援が妨害。
「上手い男…カルパッチョ真岡だ。」
カルパッチョ真岡(もおか)は、自称”栃木一レフェリングの上手い男”だ。
「はあっ?トトカルチョだか、ガスパッチョだかは知らないが、ここは九州だぞ!なんで栃木一とか言ってるやつがここにいるんだよ!」
朝比奈のコメントに爆笑する場内。
「HAHAHA!な~にちょっと温泉旅行にな。そのついでに近くでプロレスがあるっていうから見にきたわけさ。HAHAHA!」
「…」
「確か…カルパッチョ真岡さんでしたな。レフェリングには自信がおありですかな?」
ダンディさんが尋ねる。
「HAHAHA!任せておけ。何しろ俺は…」
「栃木で一番レフェリングがうまい男でしたな。」
お約束でセリフを被せるダンディさん。
「そういうことだぜ。さすがはダンディ須永。覚えが早いなHAHAHA!」
カルパッチョ真岡はセリフを奪われたことに一瞬顔色を変えたが、なんとか場を取り繕った。
こうして朝比奈VSリンの試合を裁くレフェリーはカルパッチョ真岡に決まったのだった。
「チッ…とんだ茶番だぜ。だがな、これから熱い試合を見せてやるぜっ!リン、つぶされる覚悟はできてるなっ!」
「はんっ!それはコッチのセリフね。優香決着をつけるね。」
「優香って呼ぶなっ!俺はオーガ朝比奈様だああっ!!」
前の2試合にも負けない熱い試合が展開される。
あの頃のGGJの試合を見ているかのようなゴツゴツとしたバチバチファイト。力で相手をねじ伏せるという単純ではあるが、なかなかできない試合。
その試合にスパイスを効かせているのは、レフェリーのカルパッチョ真岡だった。
トニー館のレフェリングとはまた違う、的確なレフェリングが試合をさらに引き締める。
「なるほど…栃木一レフェリングの上手い男ですか…ふむ、なるほど…」
ダンディさんは満足そうな顔である。
「いくぜえええええええっ!」
朝比奈のオーガクラッシャーが火を噴いた。
「OHっ!」
顎を抑えダウンするリン。
「フォールだぜっ!」
朝比奈はガッチリと片エビに固めた。
「OK、HA!」
バンッ!
「HA!」
バンッ!
「UUUUU…HA!」
バンッ!!
「うっしゃあああああっ!」
またもオーガクラッシャーでリンを撃破した朝比奈が吠える。
「くっ…これで負け越しね。やるようになったね優香。」
素直に負けを認め、右手を差し出すリン。
「へっ…あんたもさすがだぜ。」
朝比奈は満足そうな笑みを浮かべ握手に応じた。
「優香、またやろう。小鳥遊とやっているみたいで面白いよ。」
「ああ。熱くなれるよな。」
こうして新たなる名勝負数え唄がまた一つ生まれた。
「ま、また何かあったら呼んでくれや。」
カルパッチョ真岡は満足げにいうと、立ち去ろうとする。
「手当を払うよ。」
「いや、ノーギャラでいいぜ、風間社長。なかなか楽しかったしな。ま、縁があったらまた会おうや。HAHAHA!」
カルパッチョ真岡はそういって姿を消した。
あとには一枚の紙が残されていた。
『”カタラータ・カルパ物語”をよろしく』と。
「ふむ…なんのことだかわかりませんし、あの怪しい姿は……まあ、あれですが…なかなかの人物でしたな。」
「ですね。」
第25話へ
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いやいや、ウチでもたった1回だけ出した真岡さんを
使って頂いて恐縮です。邪魔になってなければよいのですが。
ともあれおおきにでした!