NEW WIND社長 風間新 手記「新たなる夢のはじまり」より
※こちらはレッスルエンジェルスサバイバー2のリプレイとなります。
旧作版のNEW WINDとはお話上のつながりはありませんが、登場人物などは一部同じものを使用しています。
「これより認定式を行います。」
私はリングに上がり認定状を読み上げた。
「認定状。ガルム小鳥遊殿、オーガ朝比奈殿。貴殿らは本日行われたWWCA認定世界タッグ選手権に見事勝利をおさめられました。この栄誉をたたえ、貴殿らを正式にWWCA認定世界タッグ選手権王者と認定いたします。2月24日 WWCA代表ピンズ・エヌール・ジュニア 代理人風間新。」
私は認定状を小鳥遊に手渡し、次いで記念のトロフィを朝比奈に手渡した。
「それではチャンピオンベルトの授与を行います。」
小鳥遊はサイズがあわずベルトを右肩にかけ、朝比奈はぎりぎり巻くことができた。
「サイズは直しておくよ。」
私はそっと呟いた。
「頼むぜ。どうせならちゃんと巻きたいからよ。」
「それでは、見事チャンピオンとなりましたお二人に今のお気持ちを伺ってみましょう。ガルム小鳥遊選手ベルトの感触はいかがですか?」
ちなみにインタビュアーは提携ケーブルテレビのアナウンサーだ。
「こういうこというガラじゃねえけどよ。やっぱ嬉しいよな。」
大きな歓声があがる。
「ありがとうございます。朝比奈選手はどうでしょうか?」
「…嬉しいっすね、やっぱ。」
朝比奈は照れながらもぶっきらぼうに応える。
「朝比奈選手は初めてのベルトになりますが?」
「大将と獲れてよかったよ。」
これは偽らざる本音だろう。
「団体としても初めてのベルトになりますが?」
「ちょっと時間かかってしまったからな。やっとって感じだよな。朝比奈も頑張ってくれたしよかったよ。」
「ありがとうございます。では最後にお二人からファンの皆さんへの一言いただきましょう。まずは小鳥遊選手」
「今日は応援ありがとうございました。次の大会もみにきてください。また応援お願いします。」
うーん、完全にヒールって感じではなくなっているなあ。
「朝比奈選手お願いします。」
「……わりい、ファンのみんなにってわけじゃないけど…これだけは言わせてもらいてえんだ。」
朝比奈は間をおく。顔は真剣なそのものだ。
「大将!」
「なんだよ、朝比奈。マジな顔してよ…ど~したよ。」
自分に話が振られるとは思っていなかった小鳥遊はびっくりしながらも小鳥遊節で聞き返す。
「大将、来月の青森大会で、オレとのシングルマッチ受けてくれ!」
朝比奈の意外な要求に場内がざわめく。
「なんだよ、仲間割れでもしようってのか?」
「ちげえよ…ちげえけど、一度シングルをやってみてえんだ。ずっと傍にいたから大将の強さはわかっている。だけど、シングルで勝負したい。」
朝比奈の眼は真剣そのものだ。
「…おめえも成長したな。いいだろう、受けてやるぜ。」
こうしてタッグ王者となった二人の初シングルが朝比奈の地元青森大会で組まれることが正式決定となった。
「今の朝比奈ならいい試合ができるでしょうな。」
「ですね。楽しみです。」
タッグ王座を奪取するまでに成長した今の朝比奈ならば、小鳥遊ともいい勝負ができると思う。いや、もしかすると勝てる可能性もあるだろう。
来月の最終戦、青森大会が今から待ち遠しい。
「本当に楽しみですな。」
「ですねえ。」
私とダンディさんだけが知っている、とあるお楽しみがあるのだが、それは多分青森大会で仕掛けることになるだろうな。
1年目2月 ガルム小鳥遊&オーガ朝比奈組 スナイパーシスターズを破り、団体に初のベルトをもたらす。
この事実はNEW WINDの歴史にハッキリと刻まれ、ずっと忘れられることはないだろう。
第35話へ
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