ＮＥＷ ＷＩＮＤ社長 風間新 手記「新たなる夢のはじまり」より
※こちらはレッスルエンジェルスサバイバー２のリプレイとなります。
旧作版のＮＥＷ ＷＩＮＤとはお話上のつながりはありませんが、登場人物などは一部同じものを使用しています。
◇１年目３月
「うーん、それにしてもうちの団体は毎月のようにケガ人が出るな。」
こう毎月ケガ人が出ては、マッチメイク担当の私としては頭を抱えるしかないし、大事な娘さんを預かっている責任者としても親御さんに会わせる顔がない。
２月シリーズで南が軽傷、祐希子が重傷で両名ともに３月シリーズを欠場することになってしまった。
南と祐希子を欠き陣容としては少々手薄になるが、今シリーズは軸がしっかりしている。
軸となるのはオーガ朝比奈だ。先月強敵スナイパーズシスターズを撃破し、念願のタッグ王座を獲得した朝比奈は最終戦青森大会で、パートナーであり師匠的な存在でもあるガルム小鳥遊との初シングルを控えている。
「オーガ朝比奈様の力、見せてやるぜ！」
主役となる意識を持っている朝比奈は張り切ってシリーズに突入した。
「その程度で小鳥遊を倒せるとでも思っているのですか！」
第２戦で北条とのシングルマッチを行った朝比奈だったが、今回は北条の必殺技パーフェクトキックに沈んでしまった。
「うるせえっ！言われるまでもないんだよ！」
朝比奈は吠えたが、さすがに今日の内容では厳しいといわざるをえない。
「ちょっと朝比奈さん、少々気を抜きすぎではなくて？」
パートナーを務めた市ヶ谷が呆れ顔でダウンしたままの朝比奈を見下ろしている。
「うるせええ！」
朝比奈はギュッと唇を噛みしめた。
市ヶ谷と組んでのバニー＆ソニックとのタッグと激突した朝比奈だったが、すでに天敵ともいえるほど相性の悪いソニックの猛攻を受けてフォール負けを喫してしまっていた。
「次をみていろ、次を！」
朝比奈はリベンジを誓ったが、その直後に組まれたソニックとのシングルでまたも敗退してしまう。
「朝比奈さん、その程度ですの？」
試合とは関係のない市ヶ谷がわざわざエプロンサイドまでやってきて朝比奈を挑発する。
「今日はたまたまだ！」
朝比奈は強がったが、それが虚勢であることは会場の誰もがわかっていた。
「そうですの。次回は見せてくださいますわね？」
「ああ。見てろよ！」
第６戦で組まれたソニックとのシングル再戦。
ソニックとしてはここでも鬼を退治し、正義の味方としてのスキルアップを見せたいところ。そして朝比奈としては、ここは負けるわけにはいかない試合だ。
「いっくぜえええええ！」
朝比奈の必殺技旋回式のスクラップバスター“フィニッシュバスター”が炸裂。
天敵ソニックから見事３カウントを奪って見せた。
「どうでい、市ヶ谷！これで文句ないだろつ！」
「ええ。覚悟は見せていただきましたわ。青森での試合楽しみにしていますわ。」
市ヶ谷はそういって実に楽しそうに引き上げていった。
市ヶ谷のエールを受けて朝比奈は奮起し、第７戦ではリンをケンカキックで沈めて最終戦をいい状態で迎えることができた。
そして迎えた青森黒石大会。ＮＥＷ ＷＩＮＤ初の青森大会は３１５０人…超満員札止めという大盛況であり第一試合から盛り上がっていた。
だが、メインを前にしたセミファイナルの試合が終わった直後…トニー館レフェリーが
突然腰を押えてリング上にダウンしてしまう。
「トニーさん！」
「大丈夫ですか、トニーさん！」
選手たちが心配して集まるが、トニー館レフェリーは本部席に向かって両腕を交差させ、レフェリングが続行不可能であることを告げた。
「またもレフェリー不在ですか…」
「ふむ…私が…やるしかありませんな。」
ダンディさんが紫色のスーツの上着を脱ぎ、Ｙシャツの袖をまくりながらリングへと向かっていく。
「ちょっと待ったあ！」
と前回同様に突然叫ぶ声が聞こえたかと思うと、一人の人物がリングめがけて走っていく。
「たあっ！」
その人物は軽快にエプロンサイドに駆け上がると、そのままコーナーポストへと昇った。
「この試合の裁きは私に任せてもらおう！」
白を基調にした覆面をかぶった謎の人物はそう叫んだ。
「げええええええっ…あ、あいつは～～～～！！」
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