NEW WIND社長 風間新 手記「新たなる夢のはじまり」より
※こちらはレッスルエンジェルスサバイバー2のリプレイとなります。
旧作版のNEW WINDとはお話上のつながりはありませんが、登場人物などは一部同じものを使用しています。
◇2年目7月
WWCA認定世界タッグ王座の防衛戦を行うため、海外遠征していた小鳥遊&朝比奈の師弟タッグが見事防衛に成功してスカイブルーのリングに戻ってきた。
「社長、戻ったぜ。」
「同じく…戻ったぜ、社長。」
小鳥遊と朝比奈は海外遠征を経て一回り大きくなった気がするな。
「…お帰り。防衛おめでとう…それとお疲れ様というところかな?」
「…ああ、お疲れ様だぜ。」
先ほどまで機嫌よく見えた小鳥遊の顔が不満そうに変わる。
「…どうした?」
「どうしたもこうしたもねーよ!なっ、大将。」
「ああ。」
私は心あたりはあったが、あえて尋ねない。
「ったくよ、人がWWCAまで防衛戦に行っている間によお、他の連中は海外へ慰安旅行にいきやがったらしいじゃねえか。」
やっぱりな。これに関しては本当に申し訳ないと思っている。
「……すまない。本当はみんなで行きたかったんだがね。」
「私らもいきたかったんだよな……まあ仕方ないってわかってはいるんだけどよ、私も朝比奈もな。なにしろ防衛にいかなきゃタイトル剥奪だからなあ。」
「せっかく獲ったベルトを何もしないで剥奪されるのはゴメンだぜ。チッ、バカンスに行きたかったぜ。」
「…すまないな。本来は全員で行く予定だったんだが…」
私だって全員を連れていきたかったんだよなあ。
「その詫びってわけではないんだが、小鳥遊にひとつ提案がある。」
「なんだよ?」
「チッ…オレにはないのかよ。」
朝比奈が毒づく。
「いや朝比奈にも十分関係のある話だ。」
「ヘッ?」
朝比奈は間の抜けた声を出す。
「我々NEW WINDは、ガルム小鳥遊に対し、コーチ就任を要請する。」
「コーチ…」
「就任?」
私の言葉を理解するのに二人は少々時間を必要としたようだ。
「おいおい、大将に引退しろってことかよ!」
「さすがにまだ引退する気はねえよ。」
二人は同時に声を上げた。
「ははは…違う、違うよ。小鳥遊には兼任コーチになってほしいんだ。」
「兼任コーチ?」
「兼任ってことは現役とコーチを両方やるってことか。」
朝比奈は理解できなかったようだが、さすがに小鳥遊は理解してくれたようだ。
「小鳥遊は、今でもコーチのようなことはしてくれているけどね。今回は正式にコーチ就任を依頼したい。」
「…ふん。まあ引き受けてやってもいいぜ。」
「やってくれるか?」
「ああ。人に物を教えるガラじゃねえけどよ…後輩に教えることで自分にもプラスになるだろうしな。やる以上は覚悟を決めとけよ、朝比奈。」
「はあ?なんでオレなんだよ。」
朝比奈は戸惑う。
「ありがとう小鳥遊…しかも私がこれから出す予定のオファーも理解してくれているようだね。」
「まあな。」
「おい!どういうことか説明しろよ!」
朝比奈がカリカリしている。
「やれやれ。これだけわかりやすいのに説明が必要か。」
小鳥遊はため息をつく。
「私が説明しよう。小鳥遊は兼任コーチだから、一度に指導できるのはせいぜい一人だ。それでな、小鳥遊に朝比奈の専属コーチについてもらう。」
「へえ…そういうことか。」
「そういうことだよ。まあ……もともと半分面倒みていたようなものだからな。私は構わねえぜ。」
「……ちょ…っと待てよ。」
「不満か?」
私の問いに朝比奈は頭を振る。
「いやそうじゃねえけどよ。オレは大将を超えることを目標にしてんだ。大将にコーチにつかれるのはどうもやりずらい。」
「はん。お前にこされるほどヤワじゃねえよ。だけどな自分のライバルを育てるのも悪くはないね。手ごたえがある奴が多い方が面白いからな。」
「…ちぇっ…大将には負けるよ。」
こうして小鳥遊の兼任コーチ就任が決定し、朝比奈のコーチにつくことになった。もともとファンからも”二人は師弟”だとみられていたわけだし、これでより絆が深まることだろう。
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旧年中は大変お世話になりました。
今年もよろしくお願いします。
毎日きっちりとした更新大変でしょうが
こちらの北条さんの活躍を期待して、よまさせていただきます。