NEW WIND社長 風間新 手記「新たなる夢のはじまり」より
※こちらはレッスルエンジェルスサバイバー2のリプレイとなります。
旧作版のNEW WINDとはお話上のつながりはありませんが、登場人物などは一部同じものを使用しています。
◇3年目11月
大の字に倒れる北条の前にソニックが仁王立ちし、両腕を大きく広げた。
「決めるお~~~!!」
ソニックは両腕を広げたままファンにフィニッシュアピール。
「ソニック~~~!!」
「いけ~~~ソニック~~~!!」
「決めろ~~~~!!」
ファンの声援が大きく広げた両腕からソニックに吸い込まれていく。
「みんなの気持ち…“観客ポイント”は受け取ったのさね!…だから“必殺心”宣言だお!……ここで必殺技が炸裂なの!」
ソニックは北条の首を掴んで引き起こすと、その華奢な体からは想像もつかない怪力で軽々と北条を持ち上げた。
「いけ~~~!」と観客が心を一体にして叫ぶ。
小さいお友達から大きなお友達までつながる力だ、プラズマソニッ~ク♪
ソニック式のスピードに乗ったライガーボム、プラズマソニックボムが炸裂!!
北条は急角度でマットへ叩きつけられた。
「フォール!ワンッ……トゥ……」
レインボー岩城レフェリーがマットを叩くが北条は反応しない。
「えいっ!」
バンッ!「スリー!!」
「えっ…北条がソニックに取られた?」
私は目の前で起きた出来事を素直に受け入れることができなかった。正直なところ「まさか…そんな馬鹿な…」という気持ちだった。
「…ソニック劇場に飲み込まれましたな。」
ソニック劇場…それは対戦した相手を“悪役”に設定し、自分を絶対的正義のヒロインとして観客の支持を集めるというソニックだけが持つ特殊な空間だ。
ソニック劇場に引きずり込まれた相手はかなりの確率でソニックの前にフォールを奪われてしまう。
ちなみに計算をしてみたのだが、ソニック劇場に相手を引きずりこんだ場合、勝率は通常の時と比べて3倍になっていた。
この結果を持って“ソニック劇場ではソニックは3倍の力になる”という気はないが、それに近い効果はありそうだ。
元々人気が先行していたソニックだが、ここにきてようやく実力が伴ってきたというところだろう。
「それにしてもソニック劇場では3倍の勝率ですよ。その空間で3倍になるといえば“魔空(マクー)空間”でしたが…」
私の言葉にダンディさんは苦笑する。
「はは…その理論で言うとソニックの頑張り次第では通常の4倍の力になる“幻夢界”になるかもしれませんな。もっともソニックはヒロインですから、そんな悪そうなものは似合いませんがね。」
まさかダンディさんがこの系統の知識を持っているとは。
「そうそう不思議時空も4倍でしたなあ。」
不思議時空か…ある意味ソニックに一番あっているような気もするな。
「…でも引きずり込めばパワーアップするという意味では同じでは?」
「まあ、そうかもしれませんな。正直、ソニックは声援を糧とし、能力以上の力を引き出すタイプです。言ってみれば“天性のベビーフェイス”なんですな。」
ちなみにテレビシリーズ“音速ヒロイン”の番組内でもソニックは新必殺技プラズマソニックボムを習得し披露している。
リング上で繰り出す技よりもCGが使われている分派手な技だ。何しろ相手の怪人を持ち上げて叩きつけると爆発するくらいだからなあ(苦笑)
「ちなみに北条も“北条ワールド”を築くことのできる存在です。北条も女性の声援を一身に集めてそれを糧とするタイプですからな。今回はソニック劇場に負けましたが、それは北条ワールドが本来の力を発揮できなかった…ともいえるでしょう。北条ワールドは本来“難攻不落”なのですよ。」
「難攻不落ですか…」
「ええ。小田原級にね。」
ダンディさんはカカッと笑った。
なおこのシリーズの最終戦では南がTWWA王座へ挑戦。
エース小鳥遊が勝てない相手に挑んで予想通りに玉砕したものの、メガライトに南利美という存在を認識させるには十分な試合内容だったと思う。
「やっぱり勝てなかったのは悔しいわね。今度は完璧な内容で勝ってみせるわ。」
こうして南の目標に打倒メガライトが加わった。
第78話へ
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