忍者ブログ
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


2024/03/28 21:55 |
月明かりの少女 その2「クール&エレガント」

月明かりの少女~憧れを☆に隠して~より 


 ※こちらはレッスルエンジェルスサバイバー2リプレイNEW WIND編のサイドストーリーとなります。

「席は…うわー!」
 さやかが大声をあげた。
「どうしたのよ、さやか?」
「本部席の隣だよ。」
「本部席?」
 さやかは無言でココと指を指す。
「おやおや、今日はずいぶん可愛らしいお嬢さんたちがお隣さんのようですな。」
 そんなに背は高くないがガッチリとした体格の男性が二人に挨拶をしてきた。
「はい。未熟者ですが、よろしくお願いします。ダンディさん。」
「はっは…楽しんでいってくださいよ。」
「はい!」
「…誰あの人?なかなかダンディなオジサマだったけど。」
「ナツキはああいうのが好みなの?…まあいいけど、あの人はダンディ須永さんと言って、この団体の現場監督&総合コーチを務めている凄い人なのよ。」
 さやかはジトっとした目で那月を見る。
「な、なにを言っているのよ。そんなわけないでしょ!…ダンディさんね。そのまんまじゃないの。」
「まあそうだけど。」
「通してもらっていいかい?」
 先ほどとは別の男性がやってきた。
「は、はい。もちろんです。」
「ありがとう。今日はゆっくりと楽しんでいってね。…北条の応援に来たんだろう?」
「はい!」
「だよね。今日は気合入っているから、しっかり応援してやってよ。」
「はい!任せてください、風間社長!」
 さやかはドンと胸を叩いた。
「社長?」
 那月は社長と呼ばれた男を見た。年齢は先ほどのダンディ須永に比べると遥かに若い。
多分30前後くらいだろうか。
「若い社長さんだわね…」
 那月はそう呟いた。
     
 この日…さやかのお目当てであるロイヤル北条は、メインWINDに登場することになっていた。
「うわああ…」
「あちゃー…」
「うはーっ…」
 それまでの試合を見ながら那月はいろいろな声を発していた。
野蛮だと思っていたプロレスだったが、いざ生で見てみると、リングで戦う女の美しさに魅了されていく自分がいるのだが不思議だった。
「へへ…すごいでしょ?」
「た、大したことないわね。」
「そお?かなり夢中になっていたみたいだどねえ…にひひひっ…」
 実はさやかは何度か話かけていたのだが…那月はまったく気づかず試合に夢中になっていたのだ。
「あなたも“レッスルエンジェルス”の魅力にはまったみたいねえ。」
「レッスルエンジェルス?」
 その言葉にドキンとし、心臓の鼓動が高鳴るのを那月は感じていた。
「そ。“リングに輝く天使たち”って意味。私たちファンが女子プロレスラーを称して使う最大級の賛辞なんだよ。」
「レッスルエンジェルスか…」
「きゃ~~~~っ沙希さま~~~~っ!!」
 那月の思考をさやかの大声が遮った。
「青コーナーより“クール&エレガント”完璧姉妹…ロイヤル北条選手の入場です。」

「沙希様~~」
「さき~~~」
「北条さま~~~!!」
「ホウジョウさん!!!
 黄色歓声の一色の中に甲高い男性の声も混ざっている。この声の主は愛知県在住の住職さんの声なのだが、那月はそんなことはまったく知らないでいた。
「!あれがロイヤル北条…確かにエレガントだわ。」
 表情はクールを装っていたが、那月は興奮していた。
「同じく完璧姉妹…南利美選手の入場です!」
「!」
 那月は入場してくる南に釘つけとなった。
“クール&エレガント”完璧姉妹を結成する時の南は、北条に合わせたガウンで入場してくる。
 クールな表情は変わらないが、エレガントな雰囲気が加わり気品を放っているように感じる。
 市ヶ谷とは“クール&ビューティ”というチーム名で呼ばれているが、そもそも南は一人でも“クールビューティ”冷静な頭脳と際立つ美しさとを併せ持つ女性なのである。
「…クール&エレガントだわ。」
 那月は北条のエレガントさにも心ひかれたが、それよりも南により心を惹かれ始めていた。
 
 試合は南のサザンクロス・スペシャルでコーディが沈み、南&北条組の勝利。
「沙希さま~~!」
 北条に声援を送るさやか。一方の那月は南をじーっと見つめていた。
「南利美…素敵な人だわ。クール&エレガントでありながら…心は熱く燃えている…これが私の目指す理想なのかもしれない。」
 那月は一人呟いていた。
「応援ありがとう。まだまだ完璧な試合はできると思います。次に大分に来る時はもっと完璧な試合をお見せします。」
 この南の挨拶で大会は終了した。
「次に大分に来る時は完璧な試合をお見せします…か。」
「ちょっとナツキ…あなたって南さんの声に似ているわね。」
「そう?」
 どきっとする那月。
「うん。もう一度言ってみて。」
「次に大分に来る時はもっと完璧な試合をお見せします。」
「うわ、そっくり。ちょっとだけトーンが違うけど似てるわ~っ。」
「そ、そうかしら。」
 那月は悪い気はしなかった。それどころかちょっとうれしかったのであった。


第2部飛翔編-14へ
PR

2009/03/06 18:00 | Comments(3) | サバイバー2リプレイ NEW WIND編

コメント

なんと、北条さんと見せかけて、南さんに憧れるとは・・・・
これは、また面白い事になりそうですねぇ
実にこの後の展開が楽しみです

まあ、声が似てるのは当然ですね(笑)
posted by 豆腐屋の哲URLat 2009/03/06 21:41 [ コメントを修正する ]
声が似てるのは確かに♪
クールも南さんがいるので言われれば確かに。ですね。
posted by シローURLat 2009/03/06 22:13 [ コメントを修正する ]
>哲さん

 南は同性から見ても魅力があると思うのです。
前回の星明かりでは、体格のほとんど変わらない南がこれだけできるのか!という部分に対して相羽が憧れていましたが、今回はクール&エレガントです。
 真壁の決め手になったのはやはりその部分ですね。

>シローさん

 声が似ているのはキーワードです。ちょっとスパロボ的な持っていきかたですけどね。
 万丈さんが「左舷弾幕薄いぞ!何やってんの!」とマネするようなものですね(笑)
  
posted by Nat 2009/03/08 23:16 [ コメントを修正する ]

コメントを投稿する






Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字 (絵文字)



<<新たなる風の物語 第2部飛翔編ー14「進出!」 | HOME | 月明かりの少女 その1「運命の誘い」>>
忍者ブログ[PR]