NEW WIND社長 風間新 手記「新たなる夢のはじまり~飛翔編~」より
※こちらはレッスルエンジェルスサバイバー2のリプレイとなります。
旧作版NEW WINDとはお話上のつながりはありませんが、登場人物などは一部同じものを使用しています。
◇5年目9月
老舗新女からパンサー理沙子・ミミ吉原・サンダー龍子といった上位メンバーが殴り込みをかけてきた。
「乱入などという悪しき行動許すまじ!正義の力で、この間の借りは必ず返してやる!」と越後は正義感に燃えている。
「私もこの間の借りは返させていただきます。」
越後同様に乱入者に襲撃された桜崎もその黒さを出している。
スカイブルーのリングでは初めての本格的な他団体との抗争…どんな結果を迎えるのか楽しみだ。
第1戦
「これでっ!」
桜崎が萌える裏拳…通称“萌拳”をミミ吉原の顔面に叩きこんだ。
「どうだ!」
手ごたえを感じたか、桜崎は拳を突き上げた。
「いったあっ…やってくれるわね!」
しかし…吉原は倒れることなく、逆に裏拳を返してきた。
「そ…そんな…」
強烈な一撃を受け桜崎の意識が飛んだ。
「あーだめだ!ゴング鳴らせ!」
桜崎の様子を確認したトニー館レフェリーがゴングを要請した。
「イロモノだと思っていたけど…結構やるじゃない。」
言葉こそ余裕のあるものだったが、その表情は真剣そのもの。敗れはしたものの桜崎の実力は十分に伝わっただろう。
「らあああああっ!」
越後のヒップアタックに合わせ、龍子が飛んだ。
「なっ…!」
驚く越後にカウンターの延髄蹴りを打ち込み、サンダー龍子が勝利を決めた。
「結構やってくれたね。でもまだまだだ。」
サンダー龍子…さすがに新女の次期エースと目されているだけのことはあるな。
「くそおおっ…」
試合内容としては悪くなかったのだが、勝利を望んでいた越後にとっては納得のいく結果ではないだろうな。
「…こんなものかな。」
メインでは南が理沙子を子供扱いし、あっさりとサザンクロスボムでスカイブルーのマットに沈めてみせた。
この日はNEW WINDの1勝2敗に終わったが、まだまだシリーズは始まったばかりだ。大将の理沙子が敗れているだけに新女勢としても勝ったとは思ってはいまい。
第2戦
「これで終わりね。」
理沙子は、必殺技キャプチュードで朝比奈をマットに叩きつけた。
「ぐはっ…」
頑健で知られる朝比奈も、さすがに女帝パンサー理沙子の必殺技を食らってしまっては返すことができなかった。
「くそっ…」
朝比奈は首を押さえながら控え室へと戻っていく。
「よくやったぞ朝比奈!」という声と大きな拍手が朝比奈を包む。
「うるせえ。うるせえよ!」
朝比奈はその声援に毒づく。今は勝てなかった悔しさでいっぱいなのだろうな。
「それだけではないでしょうな。」
ダンディさんは重々しい声だった。いつものような陽気な声ではない。
「…そうなんですか?」
私は驚いてダンディさんの顔を見た。表情は硬い。
「ええ。ただ勝てなかっただけではないのです。朝比奈は後輩が3回も勝っている相手に、負けたのです。それも…よくやったと善戦を称えられるおまけつきですからな。朝比奈の悔しさ…惨めさはかなりのものでしょう。」
なるほど…確かにそうかもしれないな。
「砕け散れっ!」
敗れた弟分…いや妹分の借りを返すべく、気合十分の大将…ガルム小鳥遊は、お嫁さんにしたいレスラーナンバー1の呼び声高いミミ吉原を、ファンの悲鳴とともに地獄の晩餐会へご招待しこの日の新女とのスコアをタイに持ち込んだ。
「ふん…ちょっと手ごたえがなかったな。」
小鳥遊の標的はやはりパンサー理沙子だろうか。フリー時代に何度か対戦経験があるとも聞いているし、なにやら因縁もあったという話だ。
「オーホッホッホ。お膳だては見事にそろいましたわね。私が勝って今日の勝ち越しを決めてみせますわ。」
市ヶ谷は自信満々にメインWINDのリングへと向かった。
「相変わらず自信満々ですね。」
「その自信が油断にならねばよいのですがな。」
このダンディさんの懸念は見事現実となる。
試合は終始市ヶ谷のペースで進んでいたのだが、フィニッシュのビューティボムを狙った瞬間にできる一瞬の油断をつかれ、サンダー龍子のプラズマサンダーボムが炸裂!これで市ヶ谷がまさかの3カウントを奪われてしまった。
「くっ…なにかの間違いですわ。」
市ヶ谷は唇を噛みしめるがこれは間違いではなく、事実である。
これで2日目も1勝2敗。これでトータルは2勝4敗か…リベンジに燃える新女勢を甘く見てはいけないようだ。
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