NEW WIND社長 風間 新 手記より。
※この手記は基本的にリプレイですが、風間 新 社長視点で書かれており、創作要素を多分に含んでいます。
ここでの各登場人物の設定は公式なものでなく、管理人N独自のものです。
それをご了承の上、つづきへとお進みくださいませ。
※この手記は基本的にリプレイですが、風間 新 社長視点で書かれており、創作要素を多分に含んでいます。
ここでの各登場人物の設定は公式なものでなく、管理人N独自のものです。
それをご了承の上、つづきへとお進みくださいませ。
◇5年目9月◇
「ふー疲れましたね、社長。」
心底疲れきったという顔の井上さん。
「ああ・・・さすがにきつかったな。」
昨日夕方に急遽リリースを流したのだが、EWAタッグ王者武藤めぐみ&結城千種がEWAでの防衛戦が急遽決定し、9月シリーズを欠場する事になってしまった。
おかげで朝からファンからの抗議の電話が殺到。
ようやくひと段落した時にはあたりはもう暗くなっていた。
「先月はAACで今月がEWA・・・2冠王者も大変だよなあ・・・」
武藤&結城は8月はAACへタッグ王座の防衛戦の為遠征し、見事防衛して帰国したばかりなのだが、今月はEWAへと遠征が決定。
人気&実力ともに急上昇中の二人を海外で使うのは勿体無いのだが、この防衛戦を断ればタイトルは剥奪されてしまう・・・
「タイミング悪いですよね。WWCAタッグへの挑戦を発表した後だっただけに・・・」
井上さんは机に頬杖をついている。
普段はあまり見せないが姿だが今日は疲れたんだろうな。
「今月の目玉だったからね。”νジェネWWCAタッグ奪取でタッグ3冠なるか”・・・週刊女子プロレス&週刊レッスルで特集組まれてたくらいだし・・・」
話題性もあっただけに、急遽決まったEWAタッグでの遠征は痛い。
結局今月の目玉カードをみことVS南のパーフェクツ対決でのWWCAヘビー戦に変更。
あと折角のチャンスなので永沢舞のWWCAJrのベルトに吉田龍子を挑戦させる。
返上は決定しているからこそのカード編成なのだが・・・
デビュー半年にもならない吉田では・・・まず100%勝てないだろうな。
◇道場◇
「ね~いいですかあ!」
最近お馴染みとなった道場での永沢のおねだり。
その相手は・・・永沢の専属コーチでもある伊達だ。
永沢はどうしても練習している新必殺技を使いたくて堪らないらしい。
「・・・いいと思う。もう・・・大丈夫。」
「ほんと!?」
「嘘・・・」
「えーっ!! ひどいー!!」
ああ、永沢・・・伊達のタイミングをわかってないな。
伊達は言葉が出てくるタイミング違うんだから。
「・・・じゃないよ。 もう使っても大丈夫。」
「やったあ!!」
まったく・・・おねだりしたり、勝手に勘違いして怒ったり、喜んで飛んだり跳ねたり・・・
「大事に使うんだよ。」
「はーい!」
永沢は元気に返事をしてスキップで道場から出て行った。
「お疲れ伊達。 どうだった永沢の新技は。」
「・・・もう大丈夫。」
「そっか。で、どんな技を使いたいんだ永沢は?」
伊達は言葉では表現せずチキンウイングから後方に投げる動作と、フルネルソンから後方に投げる動作で教えてくれた。
「欲張りだな。タイガースープレックスとドラゴンスープレックスか。」
「・・・フュージョンさせたいんだって。」
フュージョン・・・某漫画(アニメ)で出てきた単語だな。
「タイガーとドラゴンの融合か・・・なんかどっかでその構えは見た事があるような・・・」
◇WWCAJr選手権試合◇
吉田が善戦はしていたが、トップ相手にリーグ戦に出場したりと強豪に揉まれてきた永沢が相手では・・・
「ドラゴンタイガー!いきます!!」
永沢がフィニッシュ宣言。
”ドラゴンタイガーって何?”
という会場の戸惑いとはまったく関係なく永沢は嬉々としてバックから吉田を捕らえる。
吉田の左腕をタイガースープレックスのようにチキンウイングに捕らえ、右腕をドラゴンスープレックスのようにフルネルソンにとってそのまま後方へ!!
急角度で叩きつけ、そのままブリッジワークでフォール。
こんなの・・・新人の吉田に返せるわけないだろ。
それにこの技は・・・ドラゴンタイガーっていうか・・・
「12分06秒、12分06秒、ドラゴンタイガースープレ・・・いえ、テキーラサンライズで勝者、永沢舞!」
さすがうちが誇るプロレス技辞典の仲間リングアナ。
ちゃんとわかったみたいね。
「ドラゴンタイガー!!っていったのにィ!」
永沢が抗議するが、会場から笑いがおきる。
「いえ、これはテキーラサンライズです。」
会場から笑い声。
その中を先輩であるラッキーに支えられ退場していく吉田。
健闘の吉田に拍手が送られる。
伊達は、”両方使いたい”という永沢に対し、”なら合体させたドラゴンタイガー的な技を覚えたら?”とアドバイス。
ドラゴンとタイガーをミックスしたようなこの技を教えた。
ダンディ須永氏に言わせると、”一工夫くわえればドラゴンタイガーにも出来るけどな”だそうです。
多分旋回させたりするんでしょうね・・・
さてその伊達だが・・・今シリーズは不調。
タッグとは言え、カンナにドラゴンスープレックスで負け、南にネオ・サザンで負け。
さらにこの2試合でのダメージのせいなのか、ケガをしてしまい10月シリーズは欠場となってしまう。
「すいません・・・社長。」
「気にするな。ケガはつきものだから。それに・・・」
「それに?」
「全部永沢のせいだから。」
「ひどーい!私なにもしてませんよお!」
「クス。そうかもしれない・・・」
「あー遥さんまで・・・ひどいですう。」
ぷくーっと頬をふくらませ抗議する永沢の姿に、ちょっと重かった控え室の空気が和らいだ。
◇WWCA認定世界ヘビー選手権◇
パーフェクツ対決となったこの試合。
最近成長著しいみことが南を圧倒していた。
”誰も勝てなかったカオスに勝った”という自信がみことからみなぎっているのがわかる。
しかし・・・そのみこと以上に自信をみなぎらせていたのは南。
しかもみことのように表に出すわけでもなく、その自信は内に秘めたままだ。
どんなに劣勢になっても南の瞳は諦めていない。
そして・・・みことがフィニッシュの竜巻狙いに入った瞬間、南のナイフが、自信を秘めていた磨きぬかれたナイフがみことを確実に抉った。
「きゃあああ!!!!」
南”必殺”のネオ・サザンクロスロックが完璧に極まり悲鳴を上げるみこと。
・・・しかも確実にフォールがとれるように”リング中央で竜巻”※を狙った為、ロープが遠い。
(草薙流竜巻兜落しは担ぎ上げ、旋回するのでどうしてもリング中央がベスト)
「このおお!!」
南が渾身の力で絞る。
普段タッグパートナーとして頼もしく見ていたであろうネオ・サザンで追い込まれるみこと。
必死にもがくが、これ以上ないってくらい完璧に決まっており、振りほどくこともロープに逃げることも出来ない。
そして・・・みことの右手がマットを連続で叩いた。
タップした・・・?
レフェリーのトニー館が確認してゴングを要請。
「24分57秒 ネオ・サザンクロスロックにより勝者南利美!」
みことは初防衛に失敗。
◇試合後◇
「強くなったわよ、みこと。」
満足そうな南。
「そうか。」
「ええ。みことは立派なプロレスラーになったと思うわ。私も勝てないあのカオスに勝ったわけだし。」
「でも、そのカオスに勝ったみことに南は勝ったわけだろ?」
「そうね。確かに勝ったけど、私の力じゃない・・・あれは油断したみことが悪いのよ。」
南は寂しそうな顔をする。
「南?」
「私ももう20歳よ。アスリートとしては伸びる時期は過ぎたと思うのよ、勝つには勝ったけど・・・ね。内容としては完璧じゃなかったわ。 技は完璧だったけど」
南は笑う。
「だな。確かに褒められた内容ではなかったかな・・・けど技は完璧だった。」
「あと・・・1年早かったらなあ・・・」
南が寂しそうな表情を浮かべる。
「1年早かったら?って?」
私は意味がわからずそのまま聞き返してしまった。
「NEW WINDがあと1年早くできていたらよかったのに・・・って。」
「・・・」
「あと1年早かったらもっと違う結果になっていたかもしれないなって思う時もあるのよ。」
「南・・・」
「あら、もしもの話よ。そしたら私もっとレスラーとしていい選手になれたと思わない?遥たちはまだのびるのに私は現状維持になってしまう。 この差は結構大きいわよ・・・私は諦めないけどね。あいつには無駄にして欲しくないなあ・・・」
といって南は故郷のある方向を見つめる。
「南・・・」
「さ、社長食事でもおごってくれない?勝ったからご褒美に♪」
「あのなあ・・・」
こうして南の名演技に騙された(?)私は食事をおごらされる事になってしまったのだった。
コイツ・・・策士だよ・・・
こちらから管理人に拍手及びメッセージを送ることができます。
「ふー疲れましたね、社長。」
心底疲れきったという顔の井上さん。
「ああ・・・さすがにきつかったな。」
昨日夕方に急遽リリースを流したのだが、EWAタッグ王者武藤めぐみ&結城千種がEWAでの防衛戦が急遽決定し、9月シリーズを欠場する事になってしまった。
おかげで朝からファンからの抗議の電話が殺到。
ようやくひと段落した時にはあたりはもう暗くなっていた。
「先月はAACで今月がEWA・・・2冠王者も大変だよなあ・・・」
武藤&結城は8月はAACへタッグ王座の防衛戦の為遠征し、見事防衛して帰国したばかりなのだが、今月はEWAへと遠征が決定。
人気&実力ともに急上昇中の二人を海外で使うのは勿体無いのだが、この防衛戦を断ればタイトルは剥奪されてしまう・・・
「タイミング悪いですよね。WWCAタッグへの挑戦を発表した後だっただけに・・・」
井上さんは机に頬杖をついている。
普段はあまり見せないが姿だが今日は疲れたんだろうな。
「今月の目玉だったからね。”νジェネWWCAタッグ奪取でタッグ3冠なるか”・・・週刊女子プロレス&週刊レッスルで特集組まれてたくらいだし・・・」
話題性もあっただけに、急遽決まったEWAタッグでの遠征は痛い。
結局今月の目玉カードをみことVS南のパーフェクツ対決でのWWCAヘビー戦に変更。
あと折角のチャンスなので永沢舞のWWCAJrのベルトに吉田龍子を挑戦させる。
返上は決定しているからこそのカード編成なのだが・・・
デビュー半年にもならない吉田では・・・まず100%勝てないだろうな。
◇道場◇
「ね~いいですかあ!」
最近お馴染みとなった道場での永沢のおねだり。
その相手は・・・永沢の専属コーチでもある伊達だ。
永沢はどうしても練習している新必殺技を使いたくて堪らないらしい。
「・・・いいと思う。もう・・・大丈夫。」
「ほんと!?」
「嘘・・・」
「えーっ!! ひどいー!!」
ああ、永沢・・・伊達のタイミングをわかってないな。
伊達は言葉が出てくるタイミング違うんだから。
「・・・じゃないよ。 もう使っても大丈夫。」
「やったあ!!」
まったく・・・おねだりしたり、勝手に勘違いして怒ったり、喜んで飛んだり跳ねたり・・・
「大事に使うんだよ。」
「はーい!」
永沢は元気に返事をしてスキップで道場から出て行った。
「お疲れ伊達。 どうだった永沢の新技は。」
「・・・もう大丈夫。」
「そっか。で、どんな技を使いたいんだ永沢は?」
伊達は言葉では表現せずチキンウイングから後方に投げる動作と、フルネルソンから後方に投げる動作で教えてくれた。
「欲張りだな。タイガースープレックスとドラゴンスープレックスか。」
「・・・フュージョンさせたいんだって。」
フュージョン・・・某漫画(アニメ)で出てきた単語だな。
「タイガーとドラゴンの融合か・・・なんかどっかでその構えは見た事があるような・・・」
◇WWCAJr選手権試合◇
吉田が善戦はしていたが、トップ相手にリーグ戦に出場したりと強豪に揉まれてきた永沢が相手では・・・
「ドラゴンタイガー!いきます!!」
永沢がフィニッシュ宣言。
”ドラゴンタイガーって何?”
という会場の戸惑いとはまったく関係なく永沢は嬉々としてバックから吉田を捕らえる。
吉田の左腕をタイガースープレックスのようにチキンウイングに捕らえ、右腕をドラゴンスープレックスのようにフルネルソンにとってそのまま後方へ!!
急角度で叩きつけ、そのままブリッジワークでフォール。
こんなの・・・新人の吉田に返せるわけないだろ。
それにこの技は・・・ドラゴンタイガーっていうか・・・
「12分06秒、12分06秒、ドラゴンタイガースープレ・・・いえ、テキーラサンライズで勝者、永沢舞!」
さすがうちが誇るプロレス技辞典の仲間リングアナ。
ちゃんとわかったみたいね。
「ドラゴンタイガー!!っていったのにィ!」
永沢が抗議するが、会場から笑いがおきる。
「いえ、これはテキーラサンライズです。」
会場から笑い声。
その中を先輩であるラッキーに支えられ退場していく吉田。
健闘の吉田に拍手が送られる。
伊達は、”両方使いたい”という永沢に対し、”なら合体させたドラゴンタイガー的な技を覚えたら?”とアドバイス。
ドラゴンとタイガーをミックスしたようなこの技を教えた。
ダンディ須永氏に言わせると、”一工夫くわえればドラゴンタイガーにも出来るけどな”だそうです。
多分旋回させたりするんでしょうね・・・
さてその伊達だが・・・今シリーズは不調。
タッグとは言え、カンナにドラゴンスープレックスで負け、南にネオ・サザンで負け。
さらにこの2試合でのダメージのせいなのか、ケガをしてしまい10月シリーズは欠場となってしまう。
「すいません・・・社長。」
「気にするな。ケガはつきものだから。それに・・・」
「それに?」
「全部永沢のせいだから。」
「ひどーい!私なにもしてませんよお!」
「クス。そうかもしれない・・・」
「あー遥さんまで・・・ひどいですう。」
ぷくーっと頬をふくらませ抗議する永沢の姿に、ちょっと重かった控え室の空気が和らいだ。
◇WWCA認定世界ヘビー選手権◇
パーフェクツ対決となったこの試合。
最近成長著しいみことが南を圧倒していた。
”誰も勝てなかったカオスに勝った”という自信がみことからみなぎっているのがわかる。
しかし・・・そのみこと以上に自信をみなぎらせていたのは南。
しかもみことのように表に出すわけでもなく、その自信は内に秘めたままだ。
どんなに劣勢になっても南の瞳は諦めていない。
そして・・・みことがフィニッシュの竜巻狙いに入った瞬間、南のナイフが、自信を秘めていた磨きぬかれたナイフがみことを確実に抉った。
「きゃあああ!!!!」
南”必殺”のネオ・サザンクロスロックが完璧に極まり悲鳴を上げるみこと。
・・・しかも確実にフォールがとれるように”リング中央で竜巻”※を狙った為、ロープが遠い。
(草薙流竜巻兜落しは担ぎ上げ、旋回するのでどうしてもリング中央がベスト)
「このおお!!」
南が渾身の力で絞る。
普段タッグパートナーとして頼もしく見ていたであろうネオ・サザンで追い込まれるみこと。
必死にもがくが、これ以上ないってくらい完璧に決まっており、振りほどくこともロープに逃げることも出来ない。
そして・・・みことの右手がマットを連続で叩いた。
タップした・・・?
レフェリーのトニー館が確認してゴングを要請。
「24分57秒 ネオ・サザンクロスロックにより勝者南利美!」
みことは初防衛に失敗。
◇試合後◇
「強くなったわよ、みこと。」
満足そうな南。
「そうか。」
「ええ。みことは立派なプロレスラーになったと思うわ。私も勝てないあのカオスに勝ったわけだし。」
「でも、そのカオスに勝ったみことに南は勝ったわけだろ?」
「そうね。確かに勝ったけど、私の力じゃない・・・あれは油断したみことが悪いのよ。」
南は寂しそうな顔をする。
「南?」
「私ももう20歳よ。アスリートとしては伸びる時期は過ぎたと思うのよ、勝つには勝ったけど・・・ね。内容としては完璧じゃなかったわ。 技は完璧だったけど」
南は笑う。
「だな。確かに褒められた内容ではなかったかな・・・けど技は完璧だった。」
「あと・・・1年早かったらなあ・・・」
南が寂しそうな表情を浮かべる。
「1年早かったら?って?」
私は意味がわからずそのまま聞き返してしまった。
「NEW WINDがあと1年早くできていたらよかったのに・・・って。」
「・・・」
「あと1年早かったらもっと違う結果になっていたかもしれないなって思う時もあるのよ。」
「南・・・」
「あら、もしもの話よ。そしたら私もっとレスラーとしていい選手になれたと思わない?遥たちはまだのびるのに私は現状維持になってしまう。 この差は結構大きいわよ・・・私は諦めないけどね。あいつには無駄にして欲しくないなあ・・・」
といって南は故郷のある方向を見つめる。
「南・・・」
「さ、社長食事でもおごってくれない?勝ったからご褒美に♪」
「あのなあ・・・」
こうして南の名演技に騙された(?)私は食事をおごらされる事になってしまったのだった。
コイツ・・・策士だよ・・・
こちらから管理人に拍手及びメッセージを送ることができます。
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