NEW WIND社長 風間 新 手記より。
※この手記は基本的にリプレイですが、風間 新 社長視点で書かれており、創作要素を多分に含んでいます。
ここでの各登場人物の設定は公式なものでなく、管理人N独自のものです。
それをご了承の上、つづきへとお進みくださいませ。
※この手記は基本的にリプレイですが、風間 新 社長視点で書かれており、創作要素を多分に含んでいます。
ここでの各登場人物の設定は公式なものでなく、管理人N独自のものです。
それをご了承の上、つづきへとお進みくださいませ。
8年目を迎えるNEW WINDは大問題に直面していた。
ついに以前から恐れていた事態がやってきたのだ。
南の衰えが見えた時から覚悟はしていたのだが・・・ついにこの時が来た。
ラッキー、氷室、マッキーの3人のパフォーマンスが落ち始めてきたのだ。
今はまだ些細な落ちだが、これから先顕著になっていくと思う。
そう、南のように・・・
エース格の伊達が健在なのは幸いだが、伊達だって、いつまでもキープできるわけはない。
それに現在トップグループを形成しているカンナとみことだってもう21歳だ。
南らが22歳を迎えるころに衰えを見せ始めたという事は彼女らも来年の今頃には衰えを見せ始める可能性が高い。
1期と2期だけで7名と所属選手の半数以上を占めるNEW WINDにとっては一大事といえる。
以前の空き巣で受けた損害のせいで宿舎の増築資金は不足しており、残念ながら宿舎の空きは1部屋しかない。
本来なら最後の2部屋を増築をおえ、16人枠まで拡大していたはずなのに。
上がごっそりと抜ける前に新人を増強しないといけないのに空きはたったの1部屋だ。
くそ・・・あの空き巣の野郎・・・あいつがいなければ・・・増築は終わっていたのに・・・ 私は先日逮捕されたという犯人に、場外へと雪崩式ノーザンライトボムを仕掛けて首をへし折ってやりたい気分であった。
「こうなったら仕方ない・・・一人でもいいから、逸材を・・・カンナや武藤、結城クラスの逸材を・・・まてよ、確か井上さんが最強だという噂が流れていたな。井上さんをリングデビューさせれば話題に・・・それに宿舎もいらないし・・・」
「社長、お客様がお越しですけど?」
「ひっ!!」
私は突然井上さんい声をかけられビクンとしてしまった。
「あ、あの?私がなにか??」
井上さんはどうやら私の一人ごとは聞いていなかったらしい。
「い、いやなんでもないよ。あはっはっは。」
「・・・そうですか。お客様ですけど?」
「お客?面会の予定はなかったと思うけどな。」
私はスケジュールボードを確認する。ポードには今日は面会予約は入っていなかった。
「アポなしですけど、私はお会いになった方がよいと思います。」
「どんな客だ?」
「それは秘密です。実際にお会いになれば分かりますよ。」
井上さんはクスクスと笑う。
絶対楽しんでいるな・・・
「まあいいだろう。ここへ通してくれ。」
「わかりました。」
井上さんが出ていってしばらくすると、ダンディ須永さんがやってきた。
「ダンディさんですか、ここに来るのは珍しいですね。」
「なにやら必要だって言われてね。話によると入団希望者が来るみたいだから。」
ダンディさんの目がキラリと光った・・・ような気がした。
「でも入団希望者なら多くきますけど、ダンディさんをわざわざよぶような事ってあまりないですよね。」
「最近は南くんや伊達くんに任せているからな。私だってもう50代だよ新くん。」
「そうですよね、いまは南と伊達がしっかりしているし、みこともサポートしてくれますから、以前ほど大変じゃないですものね。」
ダンディ須永さんはうちの現場監督、そしてうちの所属選手を鍛えてくれた大功労者だ。
最近は練習はコーチ陣に任せ、現場も南、伊達、みことの3人にほぼ任せて、自分はTV解説を中心にしている。
「ま、このダンディ須永、まだまだ大丈夫だがね。新くんが望むならリングにだって上がれるよ。」
ダンディさんはそういってカッカと笑う。
「相手がいませんよ(笑)まさかうちの子たちを相手にするつもりじゃないでしょうね?」
「それじゃただのスケベ親父じゃないか。相手は私の目の前にいるさ。」
「私・・・ですか?」
「そうそう。アメリカンなプロレスならレスラー引退した現場監督と若社長の確執はリング上でつけるものさ。」
「勘弁してくださいよ。私がダンディさんに勝てるわけないじゃないですか。」
「ま、冗談だがね。いつかドームでやる事にでもなったらエキシビジョンでやってみてもいいけどなあ。話題になるぞ。」
ダンディさんは本気か冗談かわからない。
「そりゃ話題づくりはすきですけどねえ。」
とここでコンコンとドアをノックする音がした。
「どうぞ!」と私が答えると、井上さんが「失礼します。」と入ってきた。
「お客様をお連れしました。」
「わかった。井上さんも中にいてくれていいよ。」
「はい、わかりました。」
井上さんはお客を中へと案内すると、部屋の隅のスツールに腰掛ける。
「・・・」
訪問者を見て、私は正直“またか”と思った。
一昨年は南利美にソックリな妹、南寿美(ハイブリット南)、去年は伊達ソックリの遠い親戚の片倉遥(フェニックス遥)、そして・・・今年私の前に現れたのはみことのソックリさんだった。
「初めまして風間様。私、草薙蓮(くさなぎ・れん)と申します。いつもミコトがお世話になっております。」
みこととソックリな少女、蓮はみこと同様に丁寧に挨拶をしてきた。
「あ、どうも。NEW WIND株式会社代表取締役社長 風間新です。」
「おお、みことにそっくりだなあ。」
とダンディさん。
「ダンディ須永様ですね。ミコトが大変お世話になっております。」
「いやいや私は何もしていないよ。」
ここからの話は長くなるので簡単にまとめておこう。
みことと蓮は同じ草薙流を名乗っているが、みことが本家で蓮が分家。
みことは草薙流の正統後継者に受け継がれる名前だそうで、蓮は分家の為みことは名乗れず、普段はスイレンと名乗っているそうな。
草薙流の後継者は必ず他の流派の技を学ぶ必要があり、みことがチョイスしたのがプロレスだったそうだ。
蓮・・・いやスイレン草薙といった方がいいかは、昔からみことに可愛がられていたそうで、みことがプロレスで活躍するのをずっと応援していたそうだ。
こないだ永沢に負けたAACタッグを生観戦していて、「あんなのに負けるなんて。草薙流の恥ですわ」と思ったらしい。
そのセリフは私が聞いたものと同じだから、あの時の少女が蓮だったのだろう。
「ネコ耳をつけた色物なんかに負けて許せない」という憤りはなんとなく理解はできるけど(笑)
「それにミコトさんはそろそろ修行を終えなければいけない身です。彼女が急に抜けたりするとNEW WINDさんにご迷惑をおかけすると思いますので、私スイレンが早めにNEW WINDに入団し、ミコトの代わりになれるよう努力したいと思います。」
と蓮は言っていた。
「あくまでもみことの代わりのつもりなら心配はいらない。NEW WINDにはいい人材が揃っているからね。」
「もちろん私自身NEW WINDで力を試したいと思っています。それにNEW WINDは少なくともネコ耳の方には負けません。」
みことよりも勝気か。
どうしてソックリさんは皆オリジナルより勝気なんだろうか。
など色々あって草薙蓮・・・リングネーム“スイレン草薙”はNEW WINDの8期生として入団する事になった。
なおあの日ダンディさんが見抜いたのだが、素材は一級品。
なにしろあのきついNEW WINDの練習に初日から簡単についてきていた。
「2年後が楽しみだな新くん。あの子はみことくんよりも上に行ける逸材だろう。もっとも蓮くんがトップレスラーに育つころには入れ替わりでみことくんがトップクラスではなくなっているだろうから比較はできんが。・・・まるでユズリハ(※)のように入れ変わるな。」
「南とハイブリットはまさにユズリハのようですしね。姉の南という古い葉はハイブリットという新しい葉が伸びてきたところで役目を終え始めた。伊達とフェニはまだわかりませんが、フェニは成長が遅いタイプでしょうし、同じようになるかもしれませんね。」
寂しい気持ちもするが、ずっと現役ではいられない。
全盛期にしか伝えられない物もあるだろうし、逆に全盛期を過ぎているからこそ伝えられるものもあるだろう。
あれだけ完璧な試合にこだわっていた南だって今は・・・それに固執しなくなっている。
ずっとメインやセミで試合をしてきた南だったけど、今は休憩前後の試合で若手を相手に何かを残そうとしてくれている。
プロレス引退後の第2の人生に向かうにあたって、後悔しないプロレスラー人生であってほしい。
あと・・・1年か2年か・・・その時が来たら盛大に送りだしてあげたいよね。
ユズリハ・・・新陳代謝か・・・
これが巧くいかないとNEW WINDは大変な事になってしまう。
先を見て考えないといけないよね・・・8期はもう一人欲しいと思っているから場合によっては・・・あの決断をしなければならないか。
あの決断をする時は出来れば来て欲しくないけど・・・な。
団体の未来の為には泥を被る必要もあるかもしれない・・・
↓ご感想などはこちらからどうぞ。
※ユズリハ(楪、交譲木または譲葉、Daphniphyllum macropodum Miquel)は雌雄異株の常緑高木でユズリハ科に属する。ユズリハの名は、春に枝先に若葉が出たあと、前年の葉がそれに譲るように落葉することから。その様子を、親が子を育てて家が代々続いていくように見立てて縁起物とされ、正月の飾りや庭木に使われる。
ついに以前から恐れていた事態がやってきたのだ。
南の衰えが見えた時から覚悟はしていたのだが・・・ついにこの時が来た。
ラッキー、氷室、マッキーの3人のパフォーマンスが落ち始めてきたのだ。
今はまだ些細な落ちだが、これから先顕著になっていくと思う。
そう、南のように・・・
エース格の伊達が健在なのは幸いだが、伊達だって、いつまでもキープできるわけはない。
それに現在トップグループを形成しているカンナとみことだってもう21歳だ。
南らが22歳を迎えるころに衰えを見せ始めたという事は彼女らも来年の今頃には衰えを見せ始める可能性が高い。
1期と2期だけで7名と所属選手の半数以上を占めるNEW WINDにとっては一大事といえる。
以前の空き巣で受けた損害のせいで宿舎の増築資金は不足しており、残念ながら宿舎の空きは1部屋しかない。
本来なら最後の2部屋を増築をおえ、16人枠まで拡大していたはずなのに。
上がごっそりと抜ける前に新人を増強しないといけないのに空きはたったの1部屋だ。
くそ・・・あの空き巣の野郎・・・あいつがいなければ・・・増築は終わっていたのに・・・ 私は先日逮捕されたという犯人に、場外へと雪崩式ノーザンライトボムを仕掛けて首をへし折ってやりたい気分であった。
「こうなったら仕方ない・・・一人でもいいから、逸材を・・・カンナや武藤、結城クラスの逸材を・・・まてよ、確か井上さんが最強だという噂が流れていたな。井上さんをリングデビューさせれば話題に・・・それに宿舎もいらないし・・・」
「社長、お客様がお越しですけど?」
「ひっ!!」
私は突然井上さんい声をかけられビクンとしてしまった。
「あ、あの?私がなにか??」
井上さんはどうやら私の一人ごとは聞いていなかったらしい。
「い、いやなんでもないよ。あはっはっは。」
「・・・そうですか。お客様ですけど?」
「お客?面会の予定はなかったと思うけどな。」
私はスケジュールボードを確認する。ポードには今日は面会予約は入っていなかった。
「アポなしですけど、私はお会いになった方がよいと思います。」
「どんな客だ?」
「それは秘密です。実際にお会いになれば分かりますよ。」
井上さんはクスクスと笑う。
絶対楽しんでいるな・・・
「まあいいだろう。ここへ通してくれ。」
「わかりました。」
井上さんが出ていってしばらくすると、ダンディ須永さんがやってきた。
「ダンディさんですか、ここに来るのは珍しいですね。」
「なにやら必要だって言われてね。話によると入団希望者が来るみたいだから。」
ダンディさんの目がキラリと光った・・・ような気がした。
「でも入団希望者なら多くきますけど、ダンディさんをわざわざよぶような事ってあまりないですよね。」
「最近は南くんや伊達くんに任せているからな。私だってもう50代だよ新くん。」
「そうですよね、いまは南と伊達がしっかりしているし、みこともサポートしてくれますから、以前ほど大変じゃないですものね。」
ダンディ須永さんはうちの現場監督、そしてうちの所属選手を鍛えてくれた大功労者だ。
最近は練習はコーチ陣に任せ、現場も南、伊達、みことの3人にほぼ任せて、自分はTV解説を中心にしている。
「ま、このダンディ須永、まだまだ大丈夫だがね。新くんが望むならリングにだって上がれるよ。」
ダンディさんはそういってカッカと笑う。
「相手がいませんよ(笑)まさかうちの子たちを相手にするつもりじゃないでしょうね?」
「それじゃただのスケベ親父じゃないか。相手は私の目の前にいるさ。」
「私・・・ですか?」
「そうそう。アメリカンなプロレスならレスラー引退した現場監督と若社長の確執はリング上でつけるものさ。」
「勘弁してくださいよ。私がダンディさんに勝てるわけないじゃないですか。」
「ま、冗談だがね。いつかドームでやる事にでもなったらエキシビジョンでやってみてもいいけどなあ。話題になるぞ。」
ダンディさんは本気か冗談かわからない。
「そりゃ話題づくりはすきですけどねえ。」
とここでコンコンとドアをノックする音がした。
「どうぞ!」と私が答えると、井上さんが「失礼します。」と入ってきた。
「お客様をお連れしました。」
「わかった。井上さんも中にいてくれていいよ。」
「はい、わかりました。」
井上さんはお客を中へと案内すると、部屋の隅のスツールに腰掛ける。
「・・・」
訪問者を見て、私は正直“またか”と思った。
一昨年は南利美にソックリな妹、南寿美(ハイブリット南)、去年は伊達ソックリの遠い親戚の片倉遥(フェニックス遥)、そして・・・今年私の前に現れたのはみことのソックリさんだった。
「初めまして風間様。私、草薙蓮(くさなぎ・れん)と申します。いつもミコトがお世話になっております。」
みこととソックリな少女、蓮はみこと同様に丁寧に挨拶をしてきた。
「あ、どうも。NEW WIND株式会社代表取締役社長 風間新です。」
「おお、みことにそっくりだなあ。」
とダンディさん。
「ダンディ須永様ですね。ミコトが大変お世話になっております。」
「いやいや私は何もしていないよ。」
ここからの話は長くなるので簡単にまとめておこう。
みことと蓮は同じ草薙流を名乗っているが、みことが本家で蓮が分家。
みことは草薙流の正統後継者に受け継がれる名前だそうで、蓮は分家の為みことは名乗れず、普段はスイレンと名乗っているそうな。
草薙流の後継者は必ず他の流派の技を学ぶ必要があり、みことがチョイスしたのがプロレスだったそうだ。
蓮・・・いやスイレン草薙といった方がいいかは、昔からみことに可愛がられていたそうで、みことがプロレスで活躍するのをずっと応援していたそうだ。
こないだ永沢に負けたAACタッグを生観戦していて、「あんなのに負けるなんて。草薙流の恥ですわ」と思ったらしい。
そのセリフは私が聞いたものと同じだから、あの時の少女が蓮だったのだろう。
「ネコ耳をつけた色物なんかに負けて許せない」という憤りはなんとなく理解はできるけど(笑)
「それにミコトさんはそろそろ修行を終えなければいけない身です。彼女が急に抜けたりするとNEW WINDさんにご迷惑をおかけすると思いますので、私スイレンが早めにNEW WINDに入団し、ミコトの代わりになれるよう努力したいと思います。」
と蓮は言っていた。
「あくまでもみことの代わりのつもりなら心配はいらない。NEW WINDにはいい人材が揃っているからね。」
「もちろん私自身NEW WINDで力を試したいと思っています。それにNEW WINDは少なくともネコ耳の方には負けません。」
みことよりも勝気か。
どうしてソックリさんは皆オリジナルより勝気なんだろうか。
など色々あって草薙蓮・・・リングネーム“スイレン草薙”はNEW WINDの8期生として入団する事になった。
なおあの日ダンディさんが見抜いたのだが、素材は一級品。
なにしろあのきついNEW WINDの練習に初日から簡単についてきていた。
「2年後が楽しみだな新くん。あの子はみことくんよりも上に行ける逸材だろう。もっとも蓮くんがトップレスラーに育つころには入れ替わりでみことくんがトップクラスではなくなっているだろうから比較はできんが。・・・まるでユズリハ(※)のように入れ変わるな。」
「南とハイブリットはまさにユズリハのようですしね。姉の南という古い葉はハイブリットという新しい葉が伸びてきたところで役目を終え始めた。伊達とフェニはまだわかりませんが、フェニは成長が遅いタイプでしょうし、同じようになるかもしれませんね。」
寂しい気持ちもするが、ずっと現役ではいられない。
全盛期にしか伝えられない物もあるだろうし、逆に全盛期を過ぎているからこそ伝えられるものもあるだろう。
あれだけ完璧な試合にこだわっていた南だって今は・・・それに固執しなくなっている。
ずっとメインやセミで試合をしてきた南だったけど、今は休憩前後の試合で若手を相手に何かを残そうとしてくれている。
プロレス引退後の第2の人生に向かうにあたって、後悔しないプロレスラー人生であってほしい。
あと・・・1年か2年か・・・その時が来たら盛大に送りだしてあげたいよね。
ユズリハ・・・新陳代謝か・・・
これが巧くいかないとNEW WINDは大変な事になってしまう。
先を見て考えないといけないよね・・・8期はもう一人欲しいと思っているから場合によっては・・・あの決断をしなければならないか。
あの決断をする時は出来れば来て欲しくないけど・・・な。
団体の未来の為には泥を被る必要もあるかもしれない・・・
↓ご感想などはこちらからどうぞ。
※ユズリハ(楪、交譲木または譲葉、Daphniphyllum macropodum Miquel)は雌雄異株の常緑高木でユズリハ科に属する。ユズリハの名は、春に枝先に若葉が出たあと、前年の葉がそれに譲るように落葉することから。その様子を、親が子を育てて家が代々続いていくように見立てて縁起物とされ、正月の飾りや庭木に使われる。
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