NEW WIND社長 風間 新 手記より。
※この手記は基本的にリプレイですが、風間 新 社長視点で書かれており、創作要素を多分に含んでいます。
ここでの各登場人物の設定は公式なものでなく、管理人N独自のものです。
それをご了承の上、つづきへとお進みくださいませ。
※この手記は基本的にリプレイですが、風間 新 社長視点で書かれており、創作要素を多分に含んでいます。
ここでの各登場人物の設定は公式なものでなく、管理人N独自のものです。
それをご了承の上、つづきへとお進みくださいませ。
ついにこの日が来てしまった。
1期生南利美の引退の日が。
引退試合の会場は、旗揚げした頃に、”いつかここで”と思っていた地元福岡最大の会場、九州ドーム(収容人数55000人)
夢では単独興行で埋めたかったのだけど現実はそうはいかなかったけどね。
先の東京の新日本ドームを札止めにはできたが、今回はいくら地元とはいえ本当に埋まるのだろうか。
前売りはある程度さばけているけど、まだ満員マークまではいかないし。
今朝は早い時間から結城とカンナ及び永沢と吉田を生放送のTV番組に出演させ、最後のPRをしてもらっている。
これと仲間リングアナが走らせる宣伝カーの効果、駅で配るチラシの効果でどこまで行けるかだね。
開門時間前からすでに並んでくれている熱心な方もいらっしゃるのは嬉しい。
今日はなにしろ南の最後のサイン会もあるし、限定発売の南メモリアルグッズを目当ての方もいるんだろうね。
その南最後のサイン会が終る頃には会場は8割ほど埋まってくれていた。
成功は確実だけど・・・超満員まで届くかどうか・・・南の最後の試合、そしてNEW WINDの新設ベルトの初代女王決定戦を一人でも多くの方に見てもらいたいんだけど。
ダブルメインの前に組まれた試合は武藤VSカオス、永沢VSメガライトのシングルマッチ。
カオスのパワーの前に武藤が粉砕されてしまったが、セミで永沢がメガライトを圧倒してみせてくれた。
武藤が敗れ静まり返ってしまった会場を永沢が温めなおしてくれたのは大きい。
いい雰囲気でダブルメインへとつなぐことができるから。
この永沢が勝利したセミファイナル終了時で54883人(超満員)と観衆を発表する。
すごい・・・8年前1000人の会場や500人の会場ですら苦労していた我々NEW WINDがここまで観衆を集めることができるようになるとは。
関わってくれた全ての人にありがとうといいたい。
「青コーナーより、伊達遥選手の入場です!」
私のコールを合図に伊達のテーマが流れ、ちょっとの間の後、鳳凰のガウンを身に纏った伊達が花道へと姿を現した。
輝く不死鳥をあしらった、伊達カラーのガウン。
伊達コールと大きな拍手を受けながら伊達はゆっくりとリングへ向かってくる。
“威風堂々” まさにこの言葉がぴったりだ。
リングから見るこの入場シーンは、本部席から見るのとはまったく違う。
伊達の眼差しはまっすぐで、その光は勝負に挑むプロレスラーのもの。
伊達には伊達の想いがあるだろう。
でも、今の伊達には同情も迷いもない。
「続きまして赤コーナーより、南利美選手の入場です!」
南のテーマが流れる。
いつもよりも間をおいて花道へと姿を現す南。
その姿を見て客席からどよめきがおきる。
今日の南のガウンは“純白”のロングガウン。
会場のビジョンに映されたガウンの背中にはNEW WINDカラーであるスカイブルーで刺繍された南十字星がきらめく。
このガウンを着るのは今日が最初で最後。
南は覚悟を決めてリングイン。会場のざわめきが徐々に静まる。
私はその瞬間を待ってから
「お待たせいたしました。只今よりダブルメインイベント第1試合、“南利美ファイナルマッチ”を行います。」
ここで拍手と南への歓声。
私はまたその声が弱くなるのを待つ。
「青コーナー、宮崎県出身 “静かなる不死鳥” 伊達はる~か~~!!」
伊達は静かに右手を突き上げ、南をにらみつけた。
南はそれをじっとにらみ返している。
「赤コーナー、高知県出身 “関節のヴィーナス”みなみ~とし~み~~!!」
南カラーの紙テープがリングへと雨のように降りそそぐ。
いてっ!
芯を抜いてない紙テープを投げたのがいるな。ちゃんと抜いて巻きなおしてから投げてくれよと。
「レフェリー、ダンディ須永!!」
ダンディさんのボディチェックが始まると私のお仕事は一旦終わり。
本部席で待つ仲間リングアナのとなりへと坐る。
「ちゃんとできてましたよ、社長。しかもアレンジ加えましたね。」
「ありがとう仲間くん。同じじゃ面白くないからね。」
ここで仲間リングアナがゴングを鳴らした。
南最後の試合が始まる。
南と伊達の最後の対決。
やはりロックアップから始まるが南のパワーの衰えは顕著。
伊達に押し込まれてしまう。
だけどさすがは南、不利とみるととっさに関節へと切り返し、伊達の機先を制す。
力まかせに振りほどいた伊達は早くも得意の打撃へとつなげる。
昔なら南はこれを軽くさばいただろうけど、今の南は体がついていかない。
前ならガードできた技でもガードが追いつかなくなってしまっているんだ。
やがて伊達の暴れん坊なヒザが決まりだす。
いくつものベルトを奪ってきた伊達のヒザが容赦なく決まる。
顔面にフェニックスJ、腹部にフェニックスニー。
南もただやられっぱなしではなく、足をキャッチしては強引なサザンスクリュー、サザンブレーカーで足にダメージを与えていくが、伊達の攻撃の方が激しい。
いつか見た攻防だけに、南の衰えがはっきりとわかってしまう。
でも南利美の目は死んでいなかった。
どんなに伊達の攻撃を食らっても南の目は生きている。
まだチャンスを狙っている。
だが反撃に移る前に伊達のシャイニングフェニックスが決まってしまった。
会場から上がる悲鳴・・・崩れ落ちる南。
南利美はここで終わってしまうのか。
ダンディさんの右手が1度、2度・・・マットを叩く。
ダンディさんの3度目の手がマットへ・・・
だが南はカウント2.99でクリア。
大南コールが起きる。
“まだだ!まだ終られないわ”という南の目。
「勝機、見逃すわけには行かない!」
伊達が南へと突進する。
もう一度シャイニングフェニックスか!?
だが南はそれを上手くかわし、伊達のバックをとると足を引っ掛けてダウンを奪う。
そして・・・最後のネオ・サザンクロスロックを決めた!!
この瞬間会場はMAXボルテージ。
南は渾身の力で絞めあげる。
「南!!」
「南さん!!」
「南~~!!」
さまざまな声が飛ぶ。
南利美の最後の試合、勝利で飾って欲しい!という皆の想い。
南渾身のネオ・サザンクロスロック。
これが南利美の現役最後の技となった。
伊達はこの技を耐え切った。
「勝機、見逃すわけには行かない!」
伊達、涙の咆哮。
伊達が最後にセレクトした技はやはりシャイニングフェニックスだった。
全力をつぎ込み、すでに精根尽きていた南はこれをまともにもらう。
カバーする前にもはや南に返す力は残っていないのは明らかだった。
伊達は“フォール!!”と大きく叫ぶ。
ダンディさんの右手が1度、2度とマットに振り下ろされ、会場はシーンと静まり返る。
いつもなら「返せ!」という声が飛ぶのに、無音。
まるで儀式のようにダンディさんの右手が3度目のマットを叩くのを皆見つめていた。
そして3カウント。
この瞬間プロレスラー南利美の魂がNEW WINDのスカイブルーのマットへと吸い込まれたのが見えたような気がした。
NEW WINDにより生を受けたプロレスラー南利美は今ここで役目を終えたのだ。
「11分11秒、11分11秒・・・シャイニングフェニックスからの体固めで勝者 伊達遥!!」
伊達はフォールしたまま動かない。
肩が小刻みに震えている所を見ると泣いているのだろう。
南の右手が伊達の頭を優しく南が撫でる。
お互いに言葉を交わしているようだが、その言葉は拾えない。
やがて南は伊達、マッキー、氷室に抱えられ花道を退場していく。
メイン終了後の引退式に備える為に。
×南利美(11分11秒 シャイニングフェニックス→体固め)伊達遥○
ダブルメインイベントの第2試合は結城が激闘の末カンナを下し、NEW WIND認定MAX WIND 初代女王に輝いた。
結城はこれでEWA王座との2冠女王となる。
○結城千種(29分21秒 ミサイルキック→体固め)カンナ神威×
結城がMAX WIND初代女王に。
そして迎えた南利美引退式。
花束贈呈は8期生からはじまる。
ある者は泣き崩れ、ある者は南に気合注入を要求し、強力な張り手で悶絶し・・・またある者は笑顔で花束を渡していった。
氷室、マッキー、伊達と終ったところで、耳慣れた音楽が流れ、花束を抱えた松葉杖の女性が一人リングへとやってきた。
ラッキー内田だ。
「私を忘れちゃこまるわ。南さん、お疲れ様。」
といってラッキーは花束を南に渡す。
「ありがとう佐知子。」
南とラッキーは抱擁を交わす。
「ヒザどう?」
「まだまだね。この間手術したばかりよ。またこのリングに上がりたいけど、プロレスができるまでは当分かかるわね。」
ラッキーは笑顔のまま下がる。
会場からは「戻ってこいよ~」という声も。
ラッキーはヒザの治療の為メスを入れたらしい。
よくなってくれるといいんだけどね。
リング上で南の挨拶が始まった。
「入団してから約8年完璧を目指して頑張ってきました。そして私なりの完璧な試合をお見せすることができなくなった今引退を決意しました。 私は不器用なのでうまく言えないけど・・・今まで応援ありがとう。 こんな大勢の皆さんに見送ってもらえて私は幸せです。
ありがとう!!」
南利美に惜別の拍手・・・そして10カウントゴングが鳴らされる。
「以上を持ちまして南利美選手の引退式を終了いたします。南利美選手、いえ南利美さんにもう一度盛大な拍手をお願い致します。」
南のテーマがもう一度かかり、盛大な拍手が送られるなか南は花道を歩いて退場していく。
いや・・・来るか。
私は花道の奥のステージで待っているのだから。
「南お疲れ様。ありがとう。」
「社長、ありがとう。」
南利美は笑顔で現役を終えた。
南利美引退。
これをきっかけにNEW WINDに新旧交代の波が押し寄せることになる。
のだが、それはあとの話。
今は南に、”たくさんの想い出をありがとう”とだけ言っておきたい。
ありがとう南。
↓ご感想などはこちらからどうぞ。
1期生南利美の引退の日が。
引退試合の会場は、旗揚げした頃に、”いつかここで”と思っていた地元福岡最大の会場、九州ドーム(収容人数55000人)
夢では単独興行で埋めたかったのだけど現実はそうはいかなかったけどね。
先の東京の新日本ドームを札止めにはできたが、今回はいくら地元とはいえ本当に埋まるのだろうか。
前売りはある程度さばけているけど、まだ満員マークまではいかないし。
今朝は早い時間から結城とカンナ及び永沢と吉田を生放送のTV番組に出演させ、最後のPRをしてもらっている。
これと仲間リングアナが走らせる宣伝カーの効果、駅で配るチラシの効果でどこまで行けるかだね。
開門時間前からすでに並んでくれている熱心な方もいらっしゃるのは嬉しい。
今日はなにしろ南の最後のサイン会もあるし、限定発売の南メモリアルグッズを目当ての方もいるんだろうね。
その南最後のサイン会が終る頃には会場は8割ほど埋まってくれていた。
成功は確実だけど・・・超満員まで届くかどうか・・・南の最後の試合、そしてNEW WINDの新設ベルトの初代女王決定戦を一人でも多くの方に見てもらいたいんだけど。
ダブルメインの前に組まれた試合は武藤VSカオス、永沢VSメガライトのシングルマッチ。
カオスのパワーの前に武藤が粉砕されてしまったが、セミで永沢がメガライトを圧倒してみせてくれた。
武藤が敗れ静まり返ってしまった会場を永沢が温めなおしてくれたのは大きい。
いい雰囲気でダブルメインへとつなぐことができるから。
この永沢が勝利したセミファイナル終了時で54883人(超満員)と観衆を発表する。
すごい・・・8年前1000人の会場や500人の会場ですら苦労していた我々NEW WINDがここまで観衆を集めることができるようになるとは。
関わってくれた全ての人にありがとうといいたい。
「青コーナーより、伊達遥選手の入場です!」
私のコールを合図に伊達のテーマが流れ、ちょっとの間の後、鳳凰のガウンを身に纏った伊達が花道へと姿を現した。
輝く不死鳥をあしらった、伊達カラーのガウン。
伊達コールと大きな拍手を受けながら伊達はゆっくりとリングへ向かってくる。
“威風堂々” まさにこの言葉がぴったりだ。
リングから見るこの入場シーンは、本部席から見るのとはまったく違う。
伊達の眼差しはまっすぐで、その光は勝負に挑むプロレスラーのもの。
伊達には伊達の想いがあるだろう。
でも、今の伊達には同情も迷いもない。
「続きまして赤コーナーより、南利美選手の入場です!」
南のテーマが流れる。
いつもよりも間をおいて花道へと姿を現す南。
その姿を見て客席からどよめきがおきる。
今日の南のガウンは“純白”のロングガウン。
会場のビジョンに映されたガウンの背中にはNEW WINDカラーであるスカイブルーで刺繍された南十字星がきらめく。
このガウンを着るのは今日が最初で最後。
南は覚悟を決めてリングイン。会場のざわめきが徐々に静まる。
私はその瞬間を待ってから
「お待たせいたしました。只今よりダブルメインイベント第1試合、“南利美ファイナルマッチ”を行います。」
ここで拍手と南への歓声。
私はまたその声が弱くなるのを待つ。
「青コーナー、宮崎県出身 “静かなる不死鳥” 伊達はる~か~~!!」
伊達は静かに右手を突き上げ、南をにらみつけた。
南はそれをじっとにらみ返している。
「赤コーナー、高知県出身 “関節のヴィーナス”みなみ~とし~み~~!!」
南カラーの紙テープがリングへと雨のように降りそそぐ。
いてっ!
芯を抜いてない紙テープを投げたのがいるな。ちゃんと抜いて巻きなおしてから投げてくれよと。
「レフェリー、ダンディ須永!!」
ダンディさんのボディチェックが始まると私のお仕事は一旦終わり。
本部席で待つ仲間リングアナのとなりへと坐る。
「ちゃんとできてましたよ、社長。しかもアレンジ加えましたね。」
「ありがとう仲間くん。同じじゃ面白くないからね。」
ここで仲間リングアナがゴングを鳴らした。
南最後の試合が始まる。
南と伊達の最後の対決。
やはりロックアップから始まるが南のパワーの衰えは顕著。
伊達に押し込まれてしまう。
だけどさすがは南、不利とみるととっさに関節へと切り返し、伊達の機先を制す。
力まかせに振りほどいた伊達は早くも得意の打撃へとつなげる。
昔なら南はこれを軽くさばいただろうけど、今の南は体がついていかない。
前ならガードできた技でもガードが追いつかなくなってしまっているんだ。
やがて伊達の暴れん坊なヒザが決まりだす。
いくつものベルトを奪ってきた伊達のヒザが容赦なく決まる。
顔面にフェニックスJ、腹部にフェニックスニー。
南もただやられっぱなしではなく、足をキャッチしては強引なサザンスクリュー、サザンブレーカーで足にダメージを与えていくが、伊達の攻撃の方が激しい。
いつか見た攻防だけに、南の衰えがはっきりとわかってしまう。
でも南利美の目は死んでいなかった。
どんなに伊達の攻撃を食らっても南の目は生きている。
まだチャンスを狙っている。
だが反撃に移る前に伊達のシャイニングフェニックスが決まってしまった。
会場から上がる悲鳴・・・崩れ落ちる南。
南利美はここで終わってしまうのか。
ダンディさんの右手が1度、2度・・・マットを叩く。
ダンディさんの3度目の手がマットへ・・・
だが南はカウント2.99でクリア。
大南コールが起きる。
“まだだ!まだ終られないわ”という南の目。
「勝機、見逃すわけには行かない!」
伊達が南へと突進する。
もう一度シャイニングフェニックスか!?
だが南はそれを上手くかわし、伊達のバックをとると足を引っ掛けてダウンを奪う。
そして・・・最後のネオ・サザンクロスロックを決めた!!
この瞬間会場はMAXボルテージ。
南は渾身の力で絞めあげる。
「南!!」
「南さん!!」
「南~~!!」
さまざまな声が飛ぶ。
南利美の最後の試合、勝利で飾って欲しい!という皆の想い。
南渾身のネオ・サザンクロスロック。
これが南利美の現役最後の技となった。
伊達はこの技を耐え切った。
「勝機、見逃すわけには行かない!」
伊達、涙の咆哮。
伊達が最後にセレクトした技はやはりシャイニングフェニックスだった。
全力をつぎ込み、すでに精根尽きていた南はこれをまともにもらう。
カバーする前にもはや南に返す力は残っていないのは明らかだった。
伊達は“フォール!!”と大きく叫ぶ。
ダンディさんの右手が1度、2度とマットに振り下ろされ、会場はシーンと静まり返る。
いつもなら「返せ!」という声が飛ぶのに、無音。
まるで儀式のようにダンディさんの右手が3度目のマットを叩くのを皆見つめていた。
そして3カウント。
この瞬間プロレスラー南利美の魂がNEW WINDのスカイブルーのマットへと吸い込まれたのが見えたような気がした。
NEW WINDにより生を受けたプロレスラー南利美は今ここで役目を終えたのだ。
「11分11秒、11分11秒・・・シャイニングフェニックスからの体固めで勝者 伊達遥!!」
伊達はフォールしたまま動かない。
肩が小刻みに震えている所を見ると泣いているのだろう。
南の右手が伊達の頭を優しく南が撫でる。
お互いに言葉を交わしているようだが、その言葉は拾えない。
やがて南は伊達、マッキー、氷室に抱えられ花道を退場していく。
メイン終了後の引退式に備える為に。
×南利美(11分11秒 シャイニングフェニックス→体固め)伊達遥○
ダブルメインイベントの第2試合は結城が激闘の末カンナを下し、NEW WIND認定MAX WIND 初代女王に輝いた。
結城はこれでEWA王座との2冠女王となる。
○結城千種(29分21秒 ミサイルキック→体固め)カンナ神威×
結城がMAX WIND初代女王に。
そして迎えた南利美引退式。
花束贈呈は8期生からはじまる。
ある者は泣き崩れ、ある者は南に気合注入を要求し、強力な張り手で悶絶し・・・またある者は笑顔で花束を渡していった。
氷室、マッキー、伊達と終ったところで、耳慣れた音楽が流れ、花束を抱えた松葉杖の女性が一人リングへとやってきた。
ラッキー内田だ。
「私を忘れちゃこまるわ。南さん、お疲れ様。」
といってラッキーは花束を南に渡す。
「ありがとう佐知子。」
南とラッキーは抱擁を交わす。
「ヒザどう?」
「まだまだね。この間手術したばかりよ。またこのリングに上がりたいけど、プロレスができるまでは当分かかるわね。」
ラッキーは笑顔のまま下がる。
会場からは「戻ってこいよ~」という声も。
ラッキーはヒザの治療の為メスを入れたらしい。
よくなってくれるといいんだけどね。
リング上で南の挨拶が始まった。
「入団してから約8年完璧を目指して頑張ってきました。そして私なりの完璧な試合をお見せすることができなくなった今引退を決意しました。 私は不器用なのでうまく言えないけど・・・今まで応援ありがとう。 こんな大勢の皆さんに見送ってもらえて私は幸せです。
ありがとう!!」
南利美に惜別の拍手・・・そして10カウントゴングが鳴らされる。
「以上を持ちまして南利美選手の引退式を終了いたします。南利美選手、いえ南利美さんにもう一度盛大な拍手をお願い致します。」
南のテーマがもう一度かかり、盛大な拍手が送られるなか南は花道を歩いて退場していく。
いや・・・来るか。
私は花道の奥のステージで待っているのだから。
「南お疲れ様。ありがとう。」
「社長、ありがとう。」
南利美は笑顔で現役を終えた。
南利美引退。
これをきっかけにNEW WINDに新旧交代の波が押し寄せることになる。
のだが、それはあとの話。
今は南に、”たくさんの想い出をありがとう”とだけ言っておきたい。
ありがとう南。
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