NEW WIND社長 風間 新 手記より。
※このお話は全126話で終了した、長編リプレイNEW WIND編および栄光のスターロード編のアフターストーリーです。
ただし、リプレイではなく創作になりますので、通常のゲーム上ではありえない展開になっております。
その辺りをふまえた上で続きへとお進みください。
単独でも楽しめるとは思いますが、人物の設定などはNEW WINDに準拠していますので、NEW WIND編を先に読んで頂く事をお勧めいたします。
※※ご注意事項※※
ストーリーの都合上、登場人物に恋愛などの設定が加味されています。
そのような表現が苦手な方はご遠慮ください。
※このお話は全126話で終了した、長編リプレイNEW WIND編および栄光のスターロード編のアフターストーリーです。
ただし、リプレイではなく創作になりますので、通常のゲーム上ではありえない展開になっております。
その辺りをふまえた上で続きへとお進みください。
単独でも楽しめるとは思いますが、人物の設定などはNEW WINDに準拠していますので、NEW WIND編を先に読んで頂く事をお勧めいたします。
※※ご注意事項※※
ストーリーの都合上、登場人物に恋愛などの設定が加味されています。
そのような表現が苦手な方はご遠慮ください。
「伊達と・・・南か・・・」
私は一期生の中で一番人気と実力のあった二人を思い浮かべた。
伊達遙は『偉大なる鳳凰』と呼ばれたNEW WINDの元祖エースだ。
シングル・タッグ問わず数多くのタイトルを獲得しているし、女子プロレス大賞のMVPも受賞経験のある選手だ。
一期生5人の中では抜群の実績を残しているし、人気も高い。
それもそのはずで、同期のライバルである南利美とのライバルストーリー、後輩カンナ神威と組んでの無敵タッグ『サイレントヴォイス結成』、新興勢力である3期生結城&武藤の『νジェネ』との世代闘争・・・
そして愛弟子永沢舞との師弟タッグ結成・・・と、常にNEW WINDのストーリーの中心にいたのは伊達遙だったのだから。
そして南利美は、入団当初から主力選手として期待された逸材であり、彼女はその期待に応え立派なメインイベンターとして成長してくれた。
ライバル伊達遙とのライバルストーリーは、NEW WIND史上最高と呼ばれている。
なにしろ、南がリングを去ってから9年ほど経った今でも、「あなたの選ぶベストバウトは?」というアンケートをとると伊達遙VS南利美が上位にランクされているくらいなのだから・・・
「まず伊達にメールを打ってみるよ。」
「お願いします。社長か、舞じゃないとまともな連絡とれませんからね。」
武藤は苦笑する。
伊達は人見知りが激しいので、連絡を取れる人間は限られてしまう。
「わかったよ。メールで送るから武藤でも出来そうな気もするけどな。」
「私・・・口ではハッキリ言えるんですけど、メールだと上手く文章にできないので・・・」
なるほど、あまり考えないでしゃべっているのかな?
私はパソコンのメールBOXを開き、伊達遙宛にメールを打った。
伊達は今、福岡でささやかだが幸せな生活を送っているはずだ。
伊達が住んでいるマンションの隣室は永沢の部屋だと聞いている。
伊達の飼っているムトメとチダネというチンチラの世話をするというのが名目らしいが、実際は伊達の傍にいたいのだろう。
伊達は伊達で、永沢のことを気に入っているみたいで、一緒に買い物をする姿などを何度か見かけたことがある。
「伊達に永沢のコーチを任せた時は、ここまで仲良くなるとは思わなかったんだがなあ。」
メールの返事を待つ間、私はあの頃のことを思い浮かべた。
永沢はただ元気なだけの奴だったし、伊達は今以上に人見知りが激しかった。
伊達と触れ合うことで永沢はエースの自覚を身につけ、メインイベンターへと駆け上がっていったし、伊達は永沢と・・・そしてムトメとチダネと触れ合うことで、多少人見知りは解消されたらしい。
「おっ、返事が来たぞ・・・」
私は受信メールBOXを開いた。
果たしてどんな返事が来るかな・・・
私は期待3割不安7割でメールをクリックした。
『風間社長へ。私は一夜限りであれば、復帰することに抵抗はありません。もう一度あのスカイブルーのリングに立てるのであれば、喜んでお受けいたします。幸いまだ半年ほどお時間もありますし、十分トレーニングできると思います。ただし、条件を一つだけつけさせてください。』
「伊達・・・。」
私は伊達のメールを何度も読み返した。
伊達がつけてきた条件は・・・
『エキシビションではなく、ちゃんとした試合・・・60分1本勝負か無制限一本勝負で、相手は南さんでお願いします。』と言うものだった。
「プロは辞めてもプロってことか。」
復帰するのであれば、万全な状態でリングに上がりたいということなのだろう。
「問題は南か・・・」
私は南と会うために南の家を訪ねた。
南は地元には帰らず、現在も福岡で暮らしている。
もう姓は変わっていて南ではないのだが、私はやはり南と呼んでしまうな。
「・・・遙がそういうのなら、私は構わないわ。」
意外にも南はあっさりと承諾した。
「おいおい、大丈夫なのか?」
「もちろん色々と問題はあるけど、遙だけを出させるわけにはいかないでしょう?それに、これは借りを返す絶好のチャンスでもあるわ。」
思えば南の引退試合の相手は伊達だったな。
「引退試合の借りをか?」
「それだけじゃないわ。折角のチャンスだから、完璧に返してみせるわ。」
「それはいいけど、子供はどうするんだ?」
南はすでに結婚しており、一児の母でもある。
「ま、優しい旦那様がいるから大丈夫よ。」
そういって南はにっこりと笑った。思えば、ずいぶんと穏やかになったものだ。
「・・・やれやれ。旦那に全部押し付けるってか。」
「ま、そういうことよ。社長からちゃんと伝えておいてね、私の旦那に(笑)」
「やれやれ。『南の旦那』には伝えておくよ、きっとわかってくれるだろう。」
「そりゃそうよ。完璧とはいえないけど、いい人ではあるからね。」
その日から南は完璧な復帰を目指してトレーニングを再開した。
『もう一度あの日のように・・・完璧な私でみんなの前に現れてみせるからと。』
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