このお話は、榎本綾誕生日記念マルチエンディングSS「おねえさんだもん」のマルチエンディングの一つである、アワモさん作エンディング(幻想の泡沫編)の続きとなります。
上記2作品をお読みになってから読まれる事をオススメ致します。
というよりも、必須だと思います。
単独だと意味がわからない部分があると思いますので。
上記2作品をお読みになってから読まれる事をオススメ致します。
というよりも、必須だと思います。
単独だと意味がわからない部分があると思いますので。
「おねえさんだもん」 エンディング幻想の泡沫編 エンディング続き(NEW WINDバージョン)
「ぶううううっ!」
僕は豪快にお茶を吹きだしてしまった。
「あらあら、こんなに汚して。仕方のない人ですね。ま、そういうほっとけないところが好きですけど。」
霧子君は微笑ながら手馴れた動作で汚れをふき取ってくれた。
「あ、あの…霧子君…」
「なんでしょうか、社長。」
美人秘書は微笑みを絶やさない。
「さっきの件だけど、冗談だよね?」
「いえ、本気ですよ。」
僕は霧子君の顔をまじまじと見た。とても嘘をついているようには見えない。長い間、僕の仕事をフォローしてくれていた霧子君。旗揚げからずっとほぼ毎日一緒だった。思い出は一杯あるけど、僕は社長で、霧子君はその有能な秘書だ。 ずっとそう思ってきたけど、霧子君の思いは違ったのか??
「嘘だろう?」
僕は信じられなかった。
「ずっと、ずっとお慕いしておりました。」
霧子君はそういって僕の両手をそっと包みこんだ。
「はじめて、社長に「僕の婚約者になってくれ」といわれた時は、涙が出そうになるくらい嬉しかったんですよ。でも、それはうちの選手たちを諦めさせる為のお芝居でした。ショックでしたよ、社長。」
霧子君の瞳が潤んでいる。長い事一緒にいるけど、霧子君のこういう表情は初めてだ。
「…霧子君…」
「社長は罪な人ですね。何人もの女の子の心を傷つけ、そして私の心も傷つけた…」
霧子君の瞳から大粒の涙が流れ落ちる。
「霧子君…」
「社長、私と結婚してください。私を花嫁さんにしてくださいませんか?」
「霧子君…本気なんだね。」
「はい。」
僕は…覚悟を決めた。
「僕は社長として社長秘書、井上霧子君に辞令を伝える。」
「えっ、はい??」
「君はクビだ!」
僕は非情なる通告を行った。僕の秘書はそんな気持ちでは務まらないだろうから。
「そ、そんなっ!社長、あんまりです!」
霧子君は取り乱した。
「ひどい、ひどいですっ!」
霧子君は泣きながら僕の胸に顔を押し付け、僕の胸をボカボカと叩いた。僕はそっと上着の右ポケットに手をいれ、とあるものを取り出した。
「霧子君、いや霧子さん…顔を上げてくれないか。」
「いやです、社長…」
「仕方ないな…」
僕は霧子君の左腕をそっと掴むと、その美しい指先にそっと指輪をはめた。
「えっ…!」
「いつか、こうなることを夢見ていた。初めて出会ったその時から、僕は井上霧子…あなたにほれていた。ずっと前からこれを渡したかったんだ。」
「しゃ、社長!」
「だから、君はクビだといっただろう。これからは僕の妻として、僕をそして団体を支えて欲しい。」
「はい、社長!」
こうして僕たちの嘘は本当になったのだった。
今までについた嘘のことは、二人だけの秘密だよ。
「ところで、秘書はどうするのですか?」
「うん?小川ひかる君に任せるよ。」
「なっ…」
「彼女よりも劣るかもしれないけど、有能だよ彼女は。」
先代秘書VS2代目秘書のバトルストーリーが始まろうとしていたことは、僕は知るよしもなかった。
(END?)
「おねえさんだもん」のエンディングのエンディングをつけてみました。
書いていて恥ずかしくなるくらい甘甘です。 たまにはこういう霧子さんもいいよね?いいよね?
いやね、『もう一度あの日のように~再会~』のようなプロレス中心の創作を書いていると、こういう気楽な作品を書きたくなるんですよ(笑)
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恋愛要素を盛り込まないのが本館での姿勢だったもので
あのようなものにしましたが
まさか、ここまでスィートなものになるとは。
嬉しい限りです。ありがとうございました。