※罵亜迅蝋怒(ばあじんろうど)
紀元前500年頃、中国にいた伝説の格闘家 罵亜迅が自分の背を預けることが出来る妻を娶るため行ったもの。罵亜迅の高弟5人が守る搭を上りきった者に妻となる資格が与えられるのだが、そのあまりの過酷さに命を落とした花嫁候補は数知れずと言われている。幾多の挑戦者が流した血で、頂上へと至る道は真っ赤に染まっていたとか。
その血で染まった赤い道が、現在のバージンロードと呼ばれるようになったことは言うまでもない。
民明書房館「世界のウェディングあれこれ」より抜粋
5人の門番を倒した榎本綾の体はすでにボロボロになっていた。
だが、罵亜迅蝋怒は終わらない。いや、むしろこれからが本番なのである。
「四天王か…」
僕は綾のことが心配だった。四天王の強さは5人の門番の比ではない。
正直綾の実力で5人の門番を倒せるとは思っていなかった。彼女の僕への思いはそれほどまでに強いのだろうか。
綾、頑張ってくれ。僕は綾のことが好きだ。だから、無事に戻ってきてくれ。
「はあっ…はあっ…」
榎本綾は持てる全ての力を振り絞り、四天王を次々に撃破していった。
「いや~っ」
「助けて~~」
「怖いよおお」
「おかあさ~ん。」
「おにいちゃん~」
半べそをかきながらも最後の一人を強烈なパワーボムで撃破。榎本綾はこの試練を通じて確実に強くなっていたのだった。
「四天王を倒すものがあらわれるとはな。まさかという思いだよ、榎本綾。」
「まだいるの?」
「ふっふっふ。私が最後のボスだ。さあ、われを倒すことができればおぬしの勝ちぞ。かかってこい!」
「もう、ここまできたらやるしかない!大好きなお兄ちゃんのために!!」
榎本綾の前に姿を現したのは、榎本綾の想い人団体社長の僕だった。
「う、うそでしょ、お兄ちゃん。」
「いや綾、僕だよ。」
「本当にお兄ちゃんなの?」
「そうだよ。綾、僕と一緒にいこう。」
「行くってどこへ??」
「もちろん二人でいくところは決まっている。罵亜迅蝋怒を二人で歩くんだ。」
「バージンロード…お兄ちゃん、綾をお嫁さんにしてくれるの?」
「もちろんだよ、さあこっちへおいで。」
僕は綾を手招きした。
「うん…」
綾は一歩前に踏み出したが、歩みをとめた。
「違う…お兄ちゃんじゃない。綾の大好きなおにいちゃんじゃない!」
綾はそういってファイティングポーズをとった。
「な、なにをいうんだ。綾、僕だよ。僕がわからないのかい?」
「違う、なんだかわからないけど、今のお兄ちゃんからはおにいちゃんを感じない。違う!違う!」
綾はそう叫ぶと僕の首筋にチョップを打ち込み、僕が怯むと高々とパワーボムで持ち上げた。
「ビューティ綾ボムッ!!」
高貴かつ華麗かつ愛らしい綾のパワーボムが僕に決まった。
「ぐへっ…」
僕の体はそのまま消滅した。
「ふはははは。よくぞ、我が幻術を見破った。榎本綾よ。合格じゃ。」
「綾っ!無事かっ!」
僕は綾の前にかけつけた。
「お兄ちゃん…」
綾はこの罵亜迅蝋怒を突破する間に大きく成長していた。背も伸びているし、3サイズも格段に大きくなっている。
「綾、大きくなったな。」
「うん。ビューティ綾になれたよおにいちゃん。これでおにいちゃんのお嫁さんになれるんだね。」
そこで僕は…
A「そうだよ。幸せになろう。」といった。
B「そんな、綾は綾じゃない。」といった。
第2部-完ー
いや、こんなんでいいのかな。書いていて楽しいけども(笑)
いつか送った川柳「れいかさま ビューティあやに なれるかな」だったかなを使ってみました。
最近は風間新社長 手記ばかり書いているので、どうしてもハードな文章を書いてます。なので、こういうライトな作品を書くのはいい気分転換になりますね。
もっとも私はPONちゃんのような才能がないので、面白さではPONちゃんには勝てませんね(笑)
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