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2024/11/23 23:53 |
NEW WINDの物語 第27話「ダークスター・カオス」
NEW WIND社長 風間新 手記より
 


 改訂版発行にあたり、編集部よりご挨拶。

 この作品は連載126回で終了した長編リプレイ『NEW WIND社長 風間新 手記』に大幅な加筆・修正を加えた作品です。
 以前の作品と比べると印象が変わる部分もあるかもしれませんが、より深みを増した風間新社長率いるNEW WINDの成長物語を楽しんでみてください。

(※今回はNEW WIND編のその36「猛威のダークスター」およびその37「プライド」に該当するお話です。)

◇5年目6月◇

 結城千種、永沢舞に相次いで公式ファンクラブが設立された。実力・人気ともに高い結城はわかるけど、まさか永沢にファンクラブが出来るとは思わなかったな。それも一年先輩の結城と同時とはね。驚いたよ。
「ファンクラブですか!やったあ!嬉しいです。感謝!カンシャ!」
「…はしゃがないの。」
「いいじゃないですか。折角出来たし~だし」
 まったく永沢は先輩に対する遠慮がないのだから困る。武藤とは違う意味でね…
「武藤!てめえ!!」
「なんですか?マッキー先輩、何か文句でも??」
「ある!おおいにある!!」
「ま、私に文句つけるヒマがあるなら…練習した方がいいと思いますけどね。」
「なんだとこらあ!」
 で、このあと結城とラッキーに止められるのがいつものパターンだ。

◇スーパー新風リーグ05 参加選手◇
 南利美、カンナ神威、草薙みこと、武藤めぐみ、結城千種、永沢舞、ダークスター・カオス、コーディの8選手だ。今回のリーグ戦からは伊達はわざとメンバーから外してある。『EWA王者』VS『WWCA王者』の試合は引っ張っておきたいからね。

 さてこのリーグ戦は、WWCA王者カオスが猛威を振るった。
 最初の犠牲者となったのは結城で、カオスの必殺技、あのぶっとい右腕からくり出される暗黒の鉄槌、ダークスター・ハンマーで轟沈。
「あいたた…首から上がなくなったかと思いました。」
 そしてみことが第二の餌食に。
「まだまだ私も修行が足りませんね。あの方の…最後の技に修行の歴史を感じました。」
 南はパワーボムで撃沈。
「なんて威力なの。まさに完璧なパワーだったわ。」
 盟友結城の敵討ちを誓って望んだ武藤も、結城同様にダークスター・ハンマー葬。
「くっ…ごめん千種。」
 そして最後の砦だったカンナも、ダークスター・ハンマーで葬られた。
上位陣が壊滅させられた化け物相手に成長途上の永沢が勝てるはずもなくあっさりと撃沈。WWCAのナンバー2のコーディもあっさり敗北。カオスは余裕の全勝優勝を飾った。
「この程度か。あえて防衛戦をやるまでもないが、巫女を指名してやる。」 
 WWCA王者カオスは、一番長い時間粘り善戦した、草薙みことを指名してきた。
「ふっっふっふ。」余裕で勝てるけどなという意識がその笑い方に見え隠れしていた。
 頼むよ、みこと。来月のタイトル戦は勝ってくれよ。
 
 その他のリーグ戦では番狂わせが多発する。まず、初日のセミファイナルで組まれた『パーフェクツ対決』で、2期生みことが1期生の南に勝利した。南の必殺ネオ・サザンクロスロックを凌いで、草薙流竜巻兜落し2連発から最後はパイルドライバーへとつなげ、見事なピンフォール勝ちをおさめたのだ。(勝負タイム=26分18秒)
「成長したわね…あの子も。」
 相手を認める素直さは南の魅力の一つだけど団体を預かる社長としては、ちょっと意地悪を言いたいところだ。
「そっか、それじゃ来月から草薙みこと&南利美組に変更するかな。南利美&草薙みこと組ではなくて…」
「なんですって!」南の顔色が変わる。
「冗談だよ。でもあまり不甲斐無いとそうなるよ。」
 南の為にもこれは言っておかないとな。
「…そうはさせないわ。」
 そんな事を話していると、歓声とゴングの音が聞こえてきた。メインの試合が終わったのだろう。うーん、この沸き方は試合が終わっただけの沸き方じゃないな。
「…いつもと沸き方が違うわね。」
「そうだな。なにかあったのかもしれない。」
「仲間さんのアナウンスがそろそろ入るはずね。」
 私と南は耳を欹てた。
「只今の試合は、15分3秒、15分3秒!フライングニールキックからの体固めで勝者、武藤めぐみ!!」
「わあああああっ!」と大きな歓声が上がった。
「なんだと!カンナが負けたのか?」
「みたいね、ちょっと驚いたわ。」
 ダンディさんに試合内容を確認したところ…カンナペースで試合は進んだのだが、武藤のムーンサルトプレスが決まってから流れが変わり、裏投げ→フライングニールキックと得意技を一気呵成に叩き込んだ武藤が、逆転勝利をおさめたとの事だった。
 しかし、後輩が先輩に勝つという流れはまだ終わらない。
「15分16秒、フランケンシュタイナーからの体固めで勝者カンナ神威!」
 南がカンナに負けた。しかも、まったくいいところのない完敗だ。
「…完璧に負けたわ。まさかね…後輩相手に連敗するとは思ってなかったわ。」
「南…」このリーグ戦、南は開幕してから4連敗といいところがない。WWCA勢の二人にも敗北を喫してしまっている。
「ちょっと南さん!だらしないですよ。」
「武藤!お前…」
「あら、社長。私は事実を言っただけですけど?」
「だからといってだな…」
「いいのよ、社長。」
「私は、南さんが負けたコーディにも勝ちましたし、カンナさんに勝ちました。これって私の方が……南さんより上って事を証明していますよね?」
 先輩を相手にも臆するところなく、武藤はズバズバと自分の意見を言う。
「武藤、お前先輩に向かって…」
「いいから!」
 文句を言いかけた私を南が制す。
「明日の試合、がっかりさせないでくださいね、南さん。」
 言いたい放題言って武藤はさっさと行ってしまった。
「あいつ…」
「ふふ。わざわざ励ましにきたのよ、あの子は。」
「励ます?あれがか?」
 私にはそうは思えなかったけど。
「そう、あの子なりにね。誤解されやすいけど、めぐみは優しい子だから。」
 
 翌日、南はきっちりネオ・サザンクロスロックで武藤をギブアップさせた。武藤曰く「それでこそ南さんですよ。」だと。なんだよ、可愛いとこあるじゃないか。ちょっとだけ見直したよ。でもあの言い方はあまり褒められたものじゃないな。
 さらにこの日、3期生の結城が先輩のみことから勝利を奪うことに成功した。
「修行の成果を見せつけられましたね…」
 この結果からもわかるように、現在のNEW WINDマットは上位選手の実力が拮抗してきている。伊達、南の一期生コンビを中心に、2期生のカンナとみこと、3期生結城&武藤。この6人がうちの主力、核となる選手たちだ。しかし、この6人も伊達を除いてカオスに撃破されてしまった。以前ハンが初来日した時にも同じような状況になったことがあるのだが、その時と状況は似ている。
 現在のNEW WINDはカオスの脅威にさらされているといえるだろう。まだ対戦していない伊達は絶対に負けられないし、一度敗れた5人もリベンジを果たして欲しい。カオスは確かに凄い選手だが、うちの子たちだって負けてはいないはずだ。経験の差は若さでカバーするしかないだろう。臆せず、堂々と撃破して欲しいものだ




 私がタクシーを飛ばして会場に駆けつけたのは午後8時30分だった。今日の試合開始は、午後6時半だから今頃はもうメインイベントを行っている頃だろうな。私はタクシーの料金を投げつけるように支払うと会場へと飛び込んで行った。

 今日の大会は7月シリーズ第5戦千葉大会。超満員札止めという報告は井上さんから受けている。メインイベントはEWAタッグ選手権試合。王者『パーフェクツ』に、現AACタッグ王者『νジェネ』が挑戦するカードであり、決して交通の便がよくないこの会場を超満員にするだけの話題性はある。私は、本当はもっと早く到着する予定だったのだが、飛行機のトラブルで予定が大幅に狂ってしまった。

 私が会場へ飛び込んだ時、リング上では結城が南を裏投げでリングに叩きつけたところだった。厳しい角度の裏投げを食らった南は、そのまま3カウントを奪われてしまう。
 武藤のフライングニールで場外に落されてしまったみことは、南を救い出す事は出来なかった。

『EWA認定タッグ選手権試合』
○結城&武藤(45分32秒 高角度裏投げ→片エビ固め)みこと&南×
※王者組が5度目の防衛に失敗。結城&武藤組が新王者に。

 3期生タッグである『νジェネ』に1期生&2期生のタッグである『サイレントヴォイス』『パーフェクツ』が相次いで敗れるという波乱。このまま3期生の時代になってしまうのだろうか?いや…そんな事があるはずはない。
 確かに3期生の二人は脅威の成長を遂げているが、1期生も2期生も成長が止まったわけではないのだから。
 
 ◇最終戦 神奈川大会◇

今日のメインというか、今シリーズのメインイベントは、WWCA認定世界ヘビー級選手権試合。圧倒的な強さを見せる王者ダークスター・カオスに、草薙みことが挑戦する。
 『WWCA王者』カオスは今シリーズも7戦全勝(シングル3勝、タッグ4勝)と向かう所敵なしだ。マッキー、ラッキー、氷室の一期生3名がシングルで挑戦してのだが、全員10分もたずに撃沈してしまった。
「悔しいけど、パワーが違いすぎたぜ。まともにやったんじゃ勝てねえ。」
「何も出来なかった…悔しい」
「あの強さも運命の力…でも運命は変えられる」とそれぞれコメントを残している。
すでに伊達以外の所属選手(新人吉田は論外)を撃破したカオスを見て、WWCA首脳陣は、今日の防衛戦は当然で、王座を防衛した上で、EWA王者伊達へと挑戦し、ベルトを強奪してやろうと考えているらしい。
だが…「21分59秒、草薙流竜巻兜落し固めで勝者 草薙みこと!!」
 みことはそんなに甘くない。必殺のダークスター・ハンマーを狙ったカオスの腕を巧く絡めとると、逆に必殺の草薙流竜巻兜落しで3カウントを奪ってみせた。
 この時の本部席にいたWWCA首脳陣の顔といったら…最高だったよ。
このまさかの結果に、場内は総立ち!拍手の雨と、大みことコールが、新王者となった草薙みことを祝福していた。

 そして試合後のバックステージ。
『ドンガラガッシャン!』 というベタな音がWWCA勢の控え室のほうから聞こえてくる。
 どうやらバケツを蹴飛ばしているようだ。国は変わっても怒りをぶつけるものは変わらないらしいな。
「みこと、おめでとう!」
「やったね!」
「おめでとう…凄かったね。」
「すげえじゃんか!」
「すごいです、すごいです!」
 口々に祝福の言葉が飛び交う。
「ありがとうございます。」
「最後は素晴らしい切り返しだったわ。さすが、みことね。」
「はい、あれは修行の成果ですね。あれだけダークスター・ハンマーを毎試合見せてもらえていれば、タイミングは掴めますよ。」
 あれだけ猛威を振るったカオスを完璧に仕留めたみことは胸を張る。
「素晴らしい試合だったよ。おめでとう、みこと。」
「ありがとうございます。意地とプライドに賭けて負けられませんでした。ここで負けたらかませ犬になってしまいますから。」といってみことは笑った。
 ここ2ヶ月ちょっと重くなっていた空気が明るくなったと感じたのは私だけではなかっただろう。
 夏の日差しも眩しいが、この日の草薙みことはもっと輝いてみえた。

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2008/04/04 19:00 | Comments(0) | NEW WIND 改訂版

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