編集部より。
これは連載126回にて終了した、『NEW WIND社長風間新手記』を加筆・修正した改訂版です。
無駄な部分をそぎ落とし、表現にも手を入れてあります。
印象が変わるかもしれませんが、NEW WINDの歴史を再度振り返っていただければと思います。
これは連載126回にて終了した、『NEW WIND社長風間新手記』を加筆・修正した改訂版です。
無駄な部分をそぎ落とし、表現にも手を入れてあります。
印象が変わるかもしれませんが、NEW WINDの歴史を再度振り返っていただければと思います。
◇1年目5月◇
屋台骨を支える1期生が3人だけでは心もとないので、第2回の一期生入団テストを行うことになった。
「15名ですか。」
「これでも多いほうですよ、風間君。」
「わかっていますよ、ダンディさん。」
私は受験生たちを観察することにした。
「3番の人がよさそうに見えますね。」
背も高いし、筋肉のつき具合もいい感じに見える。
「うん、理想的ですね。女子プロレスであれだけの体格はなかなかいませんから。しかも顔立ちも整っていますし。」
「ちょっぴり気が強そうですが。」
「それくらいがちょうどいいと思いますよ。私の見立てではあとは12番ですね。」
私は12番の人を確認する。
「・・・人形みたいな子ですね。大人しそうだし、プロレスには向かなそうな気もしますが。」
「おやおや、先日スカウトしてきた伊達遙も、かなり大人しい子ですよ。」
ダンディさんは笑みを浮かべた。
「伊達は・・・リングでは別人です。」
「なら、あの12番の子もそうかもしれませんよ。」
ダンディさんの見立ての方が正しかったのは言うまでもない。
「上戸蒔絵です。よろしくなっ!」
上戸はリングネームを考えてきており、ダンディさんとの相談の結果『マッキー上戸』としてデビューすることになった。
174cmと女子では恵まれた体格の持ち主だから、将来が楽しみだ。
「氷室紫月です。これもまた運命。」
一見人形のように見える氷室だが、以外にもちゃんと鍛えられており、体力テストを軽々とクリアしてみせた。
「だから言ったでしょう。」とダンディさん。
さすがだね。
マッキーと氷室を加え、一期生は5人。
リングアナの仲間君、レフェリーのトニー館さんらスタッフも揃い、いよいよNEW WINDは本格的な活動を開始することになる。
予定通りメキシコの海外団体AACとの提携に成功、AACはうちの旗揚げ興行に4人の選手を派遣してくれるそうだ。
AACがうちのような旗揚げ前の弱小団体と提携してくれたのは、メキシコでのファイト経験のあるダンディさんの存在が大きい。
「スナガがいるならダイジョウブです。」
AACのエージェントはそういって笑っていた。
ダンディさんがいなければ、うちの団体は旗揚げすらできなかったかもしれない。
叔父はいい友達に恵まれたと思う。
「叔父さん、見ていてください。まもなくスカイブルーのリングをお披露目します。」
各マスコミに旗揚げの告知を打ち、ダンディ須永の名前を前面に押し出す。
『福岡に新たなる風が吹く。あのダンディ須永が鍛え上げた5人の天使たちが、リングに舞い降りる。 NEW WINDは頂点へと新しい風を吹かせます。
出場予定選手 伊達遙・南利美・マッキー上戸・ラッキー内田・氷室紫月 およびAAC派遣選手』
ダンディさんを真ん中に、5人の一期生が納まっている集合写真をポスターのど真ん中に掲載している。
新人しかいない団体だけに当面はダンディさんの知名度に頼るしかない。
そして旗揚げを迎える。
旗揚げの舞台は、福岡県にある大牟田市文化体育館。
定員は1000名だが、それ以上に入っており、結局超満員札止めとなった。
「こんなに集まってくれるものなのか。」
私は半分も入れば上出来だと思っていたので、正直驚いた。
「この後の旗揚げシリーズのチケットの売れ行きも上々だそうですよ。」
ダンディさんは笑みを浮かべた。
試合開始前のセレモニーで私が挨拶に立つ。
「本日は、NEW WINDの旗揚げ興行にお集まりいただき、ありがとうございます。
試合開始に先立ちまして、NEW WIND代表風間新が、皆様にご挨拶させていただきます。もともと私の叔父が立ち上げるつもりでいた団体ですが、叔父の死去にともない、私が遺志を継ぎ旗揚げすることになりました。まだまだこれからの団体ですが、王道路線を邁進し、必ずトップの団体まで成長させます。皆様応援よろしくお願いします。」
旗揚げシリーズは概ね盛況であり、選手達の頑張りは評価されたが、最終戦でジュニア王座に挑戦した南が完敗を喫したように、AAC勢との実力差はまだまだ明らかだった。
◇1年目6月◇
旗揚げ2ヶ月目で行った『新風スーパールーキーリーグ』は、驚きと批判の目で見られる事が多かったようだ。
だが、狙い通り『話題作り』としては悪くなかった。各地とも観客の入りは上々である。
旗揚げ2ヶ月目の団体が8戦全部満員御礼を出せるなど、中々ないだろう。
やはりAAC勢のおかげかなあ。この辺はそう簡単には改善しないと思うが、今後の課題だと思う。
さて、肝心のリーグ戦は当然のごとくAAC勢の独壇場。
お互い全勝で迎えたデスピナとミレーヌだったが、ジュニア王者であるミレーヌが勝利し、優勝をさらっていった。
うちの所属選手では、他の選手よりも1年年上で基礎が一番出来ている南が一番上だったが、外人選手を撃破する事はできなかった。
予想通りの結果だったが、このキツイリーグ戦をこなすことで、みんなプロとして成長したようだ。
◇1年目8月◇
南と氷室が負傷欠場・・・恐れていた事が現実になってしまった。
まだまだ体力不足の彼女たちには、月8戦でのシリーズは過酷だったようだ。
いつかは必ず起こると思っていたが、正直二人同時の欠場は痛い。
軽症ですんだのが幸いだったが、大事をとって欠場を命じる。
「出ます。出させてください!」
と言い張る彼女たちを説得するのは大変だったが、「治すのもプロの仕事だ。」といい続け、なんとか休ませる事に成功する。
「完璧に治してみせます」とは南の弁。
まったく・・・年頃の娘さんを預かる仕事というのも大変だよ。
二人が欠場しても、欠員を補充することはできない。
幸いなことに地元九州でのツアー。8人でもお客さんは入ってくれた。
やはり地元は大事にしないといけないね。
ちなみに九州ローカルではうちの団体のTV中継をしてくれているのだ。
これも叔父が生前に根回ししていたことと、ダンディさんの存在のおかげだ。
そうでもなければ、こんな弱小団体がTV中継なんて出来るわけがないのだから。
屋台骨を支える1期生が3人だけでは心もとないので、第2回の一期生入団テストを行うことになった。
「15名ですか。」
「これでも多いほうですよ、風間君。」
「わかっていますよ、ダンディさん。」
私は受験生たちを観察することにした。
「3番の人がよさそうに見えますね。」
背も高いし、筋肉のつき具合もいい感じに見える。
「うん、理想的ですね。女子プロレスであれだけの体格はなかなかいませんから。しかも顔立ちも整っていますし。」
「ちょっぴり気が強そうですが。」
「それくらいがちょうどいいと思いますよ。私の見立てではあとは12番ですね。」
私は12番の人を確認する。
「・・・人形みたいな子ですね。大人しそうだし、プロレスには向かなそうな気もしますが。」
「おやおや、先日スカウトしてきた伊達遙も、かなり大人しい子ですよ。」
ダンディさんは笑みを浮かべた。
「伊達は・・・リングでは別人です。」
「なら、あの12番の子もそうかもしれませんよ。」
ダンディさんの見立ての方が正しかったのは言うまでもない。
「上戸蒔絵です。よろしくなっ!」
上戸はリングネームを考えてきており、ダンディさんとの相談の結果『マッキー上戸』としてデビューすることになった。
174cmと女子では恵まれた体格の持ち主だから、将来が楽しみだ。
「氷室紫月です。これもまた運命。」
一見人形のように見える氷室だが、以外にもちゃんと鍛えられており、体力テストを軽々とクリアしてみせた。
「だから言ったでしょう。」とダンディさん。
さすがだね。
マッキーと氷室を加え、一期生は5人。
リングアナの仲間君、レフェリーのトニー館さんらスタッフも揃い、いよいよNEW WINDは本格的な活動を開始することになる。
予定通りメキシコの海外団体AACとの提携に成功、AACはうちの旗揚げ興行に4人の選手を派遣してくれるそうだ。
AACがうちのような旗揚げ前の弱小団体と提携してくれたのは、メキシコでのファイト経験のあるダンディさんの存在が大きい。
「スナガがいるならダイジョウブです。」
AACのエージェントはそういって笑っていた。
ダンディさんがいなければ、うちの団体は旗揚げすらできなかったかもしれない。
叔父はいい友達に恵まれたと思う。
「叔父さん、見ていてください。まもなくスカイブルーのリングをお披露目します。」
各マスコミに旗揚げの告知を打ち、ダンディ須永の名前を前面に押し出す。
『福岡に新たなる風が吹く。あのダンディ須永が鍛え上げた5人の天使たちが、リングに舞い降りる。 NEW WINDは頂点へと新しい風を吹かせます。
出場予定選手 伊達遙・南利美・マッキー上戸・ラッキー内田・氷室紫月 およびAAC派遣選手』
ダンディさんを真ん中に、5人の一期生が納まっている集合写真をポスターのど真ん中に掲載している。
新人しかいない団体だけに当面はダンディさんの知名度に頼るしかない。
そして旗揚げを迎える。
旗揚げの舞台は、福岡県にある大牟田市文化体育館。
定員は1000名だが、それ以上に入っており、結局超満員札止めとなった。
「こんなに集まってくれるものなのか。」
私は半分も入れば上出来だと思っていたので、正直驚いた。
「この後の旗揚げシリーズのチケットの売れ行きも上々だそうですよ。」
ダンディさんは笑みを浮かべた。
試合開始前のセレモニーで私が挨拶に立つ。
「本日は、NEW WINDの旗揚げ興行にお集まりいただき、ありがとうございます。
試合開始に先立ちまして、NEW WIND代表風間新が、皆様にご挨拶させていただきます。もともと私の叔父が立ち上げるつもりでいた団体ですが、叔父の死去にともない、私が遺志を継ぎ旗揚げすることになりました。まだまだこれからの団体ですが、王道路線を邁進し、必ずトップの団体まで成長させます。皆様応援よろしくお願いします。」
旗揚げシリーズは概ね盛況であり、選手達の頑張りは評価されたが、最終戦でジュニア王座に挑戦した南が完敗を喫したように、AAC勢との実力差はまだまだ明らかだった。
◇1年目6月◇
旗揚げ2ヶ月目で行った『新風スーパールーキーリーグ』は、驚きと批判の目で見られる事が多かったようだ。
だが、狙い通り『話題作り』としては悪くなかった。各地とも観客の入りは上々である。
旗揚げ2ヶ月目の団体が8戦全部満員御礼を出せるなど、中々ないだろう。
やはりAAC勢のおかげかなあ。この辺はそう簡単には改善しないと思うが、今後の課題だと思う。
さて、肝心のリーグ戦は当然のごとくAAC勢の独壇場。
お互い全勝で迎えたデスピナとミレーヌだったが、ジュニア王者であるミレーヌが勝利し、優勝をさらっていった。
うちの所属選手では、他の選手よりも1年年上で基礎が一番出来ている南が一番上だったが、外人選手を撃破する事はできなかった。
予想通りの結果だったが、このキツイリーグ戦をこなすことで、みんなプロとして成長したようだ。
◇1年目8月◇
南と氷室が負傷欠場・・・恐れていた事が現実になってしまった。
まだまだ体力不足の彼女たちには、月8戦でのシリーズは過酷だったようだ。
いつかは必ず起こると思っていたが、正直二人同時の欠場は痛い。
軽症ですんだのが幸いだったが、大事をとって欠場を命じる。
「出ます。出させてください!」
と言い張る彼女たちを説得するのは大変だったが、「治すのもプロの仕事だ。」といい続け、なんとか休ませる事に成功する。
「完璧に治してみせます」とは南の弁。
まったく・・・年頃の娘さんを預かる仕事というのも大変だよ。
二人が欠場しても、欠員を補充することはできない。
幸いなことに地元九州でのツアー。8人でもお客さんは入ってくれた。
やはり地元は大事にしないといけないね。
ちなみに九州ローカルではうちの団体のTV中継をしてくれているのだ。
これも叔父が生前に根回ししていたことと、ダンディさんの存在のおかげだ。
そうでもなければ、こんな弱小団体がTV中継なんて出来るわけがないのだから。
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*パワーアップしてますしw
この旗揚げ戦に、O坂記者も来てたのでしょうwww
*最近仕事が忙しくて、ご無沙汰してました~