ＮＥＷ ＷＩＮＤ社長 風間新 手記より
改訂版発行にあたり、編集部よりご挨拶。
この作品は連載１２６回で終了した長編リプレイ『ＮＥＷ ＷＩＮＤ社長 風間新 手記』に大幅な加筆・修正を加えた作品です。
以前の作品と比べると印象が変わる部分もあるかもしれませんが、より深みを増した風間新社長率いるＮＥＷ ＷＩＮＤの成長物語を楽しんでみてください。
（※今回はＮＥＷ ＷＩＮＤ編のその４６「個人闘争」に該当するお話です。）
◇５年目３月◇
個人闘争が加熱する流れを受け、今月はシングル戦をいくつか組んでみた。
第１戦 伊達遥 ＶＳ 草薙みこと
第２戦 伊達遥 ＶＳ 南利美
第３戦 カンナ神威ＶＳ 武藤めぐみ
第４戦 結城千種 ＶＳ 武藤めぐみ
第８戦 ＷＷＣＡ認定世界ヘビー級選手権試合６０分１本勝負
（王者）草薙みこと ＶＳ カンナ神威（挑戦者）
◇第２戦 伊達遥 ＶＳ 南利美◇
第一戦のみこと戦に圧勝した伊達は、今日は南と対戦する。伊達のファイトスタイルは、『受けきった上で、打撃で終わらせる。』というスタイルだ。この試合も南の攻めを受けてから反撃していったのだが、ここに油断があった。伊達の中に、『南さんの打撃なら大丈夫』という思いがあったのだろうか、まともにもらってしまった裏拳でダウンを奪われ、立ち上がる前に『ネオ・サザンクロスロック』でガッチリと決められてしまった。しかもリング中央ド真ん中。
南の関節のキレは国内屈指であり、伊達の関節防御は国内最低レベルである。
「くうっ…あう…」
伊達は、しばらくの間粘ったものの、外す事も、ロープににじり寄る事も出来ずにギブアップを宣言したのだった。
「『勝機！…見逃すわけにはいかない！』よ、遥。」
南は伊達の得意のセリフをマネする。かなりご満悦のようだ。
「…油断…した？」
「したわね。私の打撃なら受けきれると甘くみたのが間違い。」
「…ごめん…」
「別に謝ることはないと思うけど。私は勝ったわけだし。」
◇第３戦 カンナ神威 ＶＳ 武藤めぐみ◇
カンナは、武藤のフライングニールキックを自爆させると、伝家の宝刀『クロスフェイス・カンナ』をリング中央でガッチリと極める。
武藤はギブアップを宣言するが、ゴングが鳴ってもカンナは武藤を絞め続け、止めに入ったレフェリーのトニー館を蹴り飛ばし、救出しにきた結城に裏拳を叩きこむなど大暴れ。
カンナはハッキリとした反則技を使うわけではないのだが、最近荒さの加わったファイトスタイルに変わりつつある。
◇第４戦 結城千種 ＶＳ 武藤めぐみ◇
同期対決は白熱の一戦となった。
裏投げを２．８で返した武藤に、さらに必殺のバックドロップを決める結城。決まったかと思ったのだが、これを２．９でクリアする武藤。
武藤は先に立ちあがり、結城にストンピングを３発入れコーナーへと上る。
ここで必殺の『ダブルスピンムーンサルト！』これを結城は返せずにカウント３。
この後、結城のアピールを受け、第７戦で再戦が決定したのだが、再戦でも武藤が初公開の『むとめドライバー』（変形タイガードライバー）で勝利し、現ＥＷＡ王者結城から２連勝。
「そのベルト。貰うわよ。」
「挑戦は受けるわ、めぐみ。でも勝つのは私だからね。」
来月の大会での結城ＶＳ武藤の『ＥＷＡ認定世界ヘビー級選手権試合』が決定。
最終戦で組まれた『ＷＷＣＡ認定世界ヘビー級選手権試合』は、挑戦者カンナが、タッグパートナーでもある王者みことを終始圧倒し、足極め式ドラゴンスリーパー『ドラゴンパンサー』で勝利した。
「ふーん、あれがカンナ神威ね・・・確かに関節は巧いみたいね。」
「来ていたのか？」
「ええ、入団前にもう一度見ておきたくて。」
「そうか。レベルが高いだろう？」
「そうですね。」
「ついてこれそうか？」
「最初から完璧にはいかないでしょうけど、大丈夫です。」
この子がうちの６期生になる。
『未来のエースになるかもしれない逸材だ』と、ダンディさんは評価していた。
「そうか。期待しているよ。」
「はい。明後日に入寮しますので、よろしくお願いします。」
「わかった。覚悟はして来いよ。」
「はい。入ると決めた時から覚悟は出来ています。」
「わかった。ならば何も言わん。楽しみにしているよ。」
「はい。」
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