編集部より。
この作品は連載126回で終了した長編リプレイ『NEW WIND社長 風間新 手記』に大幅加筆・修正を加えております。
以前の作品と比べると印象が変わるかもしれませんが、風間新社長率いるNEW WINDの成長物語を再度楽しんでみてください。
※今回は4年目11月のお話です。※
(NEW WIND編のその23「ピンチヒッター」のお話に該当します。)
◇4年目11月◇
シリーズ第5戦で、ビッグサプライズが発生!
カンナVS氷室のシングルマッチで、カンナがまさかのギブアップ負けを喫した。
最近は地味な印象だった氷室だが、マッキー&ラッキーと同じくらいの実力はあるわけだし、カンナはそもそも後輩だ。ビッグサプライズというのは失礼かもしれないけど、この結果には驚いた。
「これも運命・・・」
うーん…まさに運命な展開だ。
これを期待してシングルを組んだわけじゃないけどね。
この結果…『Xは氷室紫月に決定か!』と見出しが躍る事になる。
そして当日 先に入場したみことの後、氷室のテーマがかかると大歓声が巻き起こったのだった。賭けに近いカードだったけど、受け入れてもらえてよかったよ。
伊達&カンナVSみこと&氷室
この試合は予想をはるかに超えてスイングしまくり!
こんなに面白い試合になるとは思わなかった。
一進一退、時間はドンドンすぎて行く。
みことの綺麗な投げ技が、氷室の得意の絞め技が、伊達のキレのある重い打撃が、カンナの見事な関節技が見事な試合を創り出す。
「50分経過!50分経過!残り試合時間、10分!」
このアナウンスをきっかけにここからさらにヒートアップ!
伊達がデスバレーを氷室に決めるも2.8でクリア、さらにバックドロップ2連発をも氷室はクリア。
場外へ転がって逃げた氷室を伊達が追いかけ、場外でフェイスクラッシャー!!
あまりラフな技は仕掛けない伊達が場外でここまでするとは!
これで虫の息となった氷室を場内に戻し、仕留めにかかる伊達。だが、これは氷室の『死んだふり』だった。
ここで必殺の紫龍!!
油断していた伊達はリング中央でがっちり決められてしまった。
みことはすばやくカンナを草薙流裸絞めにとらえ、リング上ではダブルドラゴン競演が実現(紫龍も草薙流裸絞めもどちらも変形のドラゴンスリーパー)
「伊~達!伊~達!」「氷室~!!」「逃げろ~!」「離すな~!!」
様々な声が飛び交う。
そんな中「残り試合時間1分」のコール!”
歓声はますますヒートアップ。もはや何がなんだか聞き取れない。
カンナは完全に極められてしまい救出にはいけない。
氷室も全力で、魂を込めて絞っている。
だが極め切れないと感じたが、氷室は技をといた。フォール狙いの技へつなぐつもりだったろう。
この時点で、残り試合時間10秒のアナウンス。
ここで技を決めたのは伊達の方だった。
一瞬の隙をついてフィニッシュホールドのシャイニングフェニックスが完璧に入ったのだ。
レフェリーがカウントに入るのと時を同じくしてリングアナがカウントダウンに入る。
3カウントが先か、タイムアップが先か?どっちだ…どっちがはやい!
レフェリーの右腕が3度目のマットを叩いたのとほぼ同時に試合終了のゴングが鳴り響いた。
「どっちだ?」ざわつく場内。
カウント3であれタイムアップであれ防衛は防衛だが印象はまるで変わってしまう。
しばしの沈黙の後・・・
「只今の試合は60分0秒シャイニングフェニックスからの体固めで勝者 伊達遥!」
NEW WIND史上初の60分ジャストでの試合決着。歴史に刻まれる一戦となった。
鳴り止まない拍手と歓声。
勝者、敗者どちらへでもない歓声と拍手がリングを包んでいた。
気づけば私も思わず立ち上がって拍手をしている。
(いい試合だった。)
正直な話、氷室抜擢は正解だったな・・・
◇試合後のコメント◇
「あのまま引き分けたら負けなので、最後は決めにいったんですけど・・・残念です。これも運命なのかなあ・・・」
「氷室さんが引っ張ってくれたので。勝ちたかったんですけれど。」
あと一歩及ばなかった挑戦者たちはがっかりしていた。
「正直、氷室選手を甘く見すぎました。さすがは一期生です。」
「嬉しかった・・・紫月があれだけやれるってこと。大切な同期だから・・・」
カンナと伊達は氷室の実力を認めていた。まあ、急造タッグ相手に負けなくてよかったというような事も言ってはいたが。
代打氷室は立派に、いや代打なんて誰も思わないほどのいい試合をしてくれた。
ありがとう、氷室。
氷室はいまだ無冠だけど、なんとかベルト奪取のチャンスをあげたいなあ。
ベルトまで到達するだけの実力はあると思うのだが。
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