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あの日々はもう二度と戻らない 〜 outsider's report 後編_8

 このお話は、NEW WIND管理人Nの書いた『もう一度あの日のように~再会~』を、「Heel So Bad」のHIGEさんが別の視点から描いてくださった作品です。
 なおHIGEさんの承諾を得て、転載させていただいております。
 ~再会~ と合わせてお読みいただければ幸いです。




以下のSSはレッスルエンジェルスの世界観や、「NEW WIND」のN様により執筆された「NEW WIND」の設定、キャラクターを参考に描かれていますが、内容についてはHIGE個人の創作となります。必ずしも公式設定や開発者の意図、「NEW WIND」の原作、ファンの皆様一人一人の世界観に沿う内容ではない場合がありますことを予めご了承願います。
  ++  ++  ++  ++  ++
コーナーから動かず、視線を交し合う伊達と南。
歓声の高まりと共に、リングシューズを鳴らしてゆっくりと踏み出す。
人が獣だった頃より、闘争では弱い方が強い方の周囲を回るものだ。
油断無く構えて間合いを測り、リングを回り合う二人は、まずは互角といったところか。
時計回りに円を描く二人。
過去に止まった時間を、今へと進めゆく歩み。
南がリング中央で左腕をのばし、力比べを要求する。
身体的な総合力で優劣が決するロックアップではなく、技術を生かせる力比べを選択した南。
その挑戦を受けて立つ伊達。
指先が触れ合う。繊細で力強い指と指が、二人の運命のように絡み合った。
「はぁ〜組みましたね〜。力なら伊達でしょうが、南には技がありますからね」
力比べで組み合った手と手が、まるで再会の握手であったかのような面持ちで、うっとりとして溜息をつくO坂。
「伊達は力だけじゃない。南の技だってブランクで錆付いているかもしれませんよ」
とっさに俺の口をついて出た言葉は、偏った伊達ファン丸出しの意見だった。
「それを言うなら二人ともです……が、ここは伊達さんが有利でしょう。あの人の筋力と瞬発力は凄まじいものがありますから」
“最強の龍”が、解説と共にたしなめる。……考えようによっては、随分と贅沢な席だ。
吉田の言葉通り、伊達が腕力で勝って圧し掛かり、南はブリッジでこれを耐える。
力比べを制したのは伊達だ。
しかしブリッジ上に跳び上がった伊達を、南がモンキーフリップで切り返す。
技比べを制したのは南だった。
じっくりと基本に沿った力比べに加え、二人ならではの攻防が織り交ぜられた立ち上がりに、巨大なドームのそこかしこから拍手が起こる。
両者共にいい動きだ。この程度では息切れもなく、足取りも確かである。
ライトの発する熱、プレッシャーによる呼吸の乱れ、真剣勝負のひりつくような緊張感。
リング上では、練習とは比べ物にならないほど体力を消耗する。年齢による基礎体力の低下に加え、日々の修練を弛まず重ねた現役ではなく、ブランク明けでリングでの消耗度も読めない二人。
動けるのは10分、上手く体力を配分したとしても20分が限界だろう。
その時間を越えてしまったら、両者のスタミナは尽きてしまう。
思うように動けず泥試合になるか、アクシデントによって悲惨な結末を迎えるか——
背筋を怖気が走り、純粋に試合を楽しみ始めていた俺は、再び身を固くした。
続いてのチョップ合戦は、気合いのこもる一撃の交換となった。
打撃となれば無論伊達に分があるが、チョップ合戦ならば打たれ強さ、そして「負けるものか!」という気持ちの強さが勝負を分ける。
両者とも気持ちの乗ったチョップを打つ。汗がミストになって弾ける。退かない二人。
高らかに響く破裂音。どちらの胸元もおそらく、真っ赤に染まっていることだろう。
一際大きな音を響かせたスナッピーな一発に、伊達がよろめく。
南は隙を見逃さず、かさに懸かってチョップを打ち込んでくる。
俺は思わず拳を握った。何もチョップ合戦に付き合う必要はない。その間合いは膝の間合いだ。キツいのを食らわせてやれ!
しかし伊達はチョップの雨を受け切り、喉元へのエグい逆水平で後ろ受身を取った。
俺は浮かしかけていた腰を下ろし、憮然として椅子に深く座りなおした。
吉田が試合から視線を外さずに言う。
「伊達さんらしいな。相変わらず真っ直ぐな人だ。でも、何か狙っているようですね」
「う〜んダウンしたフリで寝技に引き込む気なのかな?南が伊達の領域で勝負を挑んで来たみたいに、伊達もグラウンドのテクニックを見せるつもりかも」
O坂が顎に手を当て、考え深そうな顔で呟いた。
敢えて相手の得意分野で勝負するという、一見無謀な挑発行為。
それは自身の余裕を印象付け、相手の冷静さを乱す駆け引きとなる。
意図を察知した南は取り合わずに「起きろ」と手で促し、伊達が跳ね起きる。
やはり伊達のダメージは浅い。決して残された時間は多くない両者だが、それでも勝負はまだ始まったばかりだ。
ストライカーの伊達と、グラップラーの南。
タックルを狙う南の低い構えを、伊達の膝が睨みつける。来るなら顔面を打ちぬくぞ、と。
回り込んでも、サイドステップやフェイントを掛けても、膝は正確に照準を合わせてくる。
南はさながら銃口を突きつけられている心地だろう。しかも相手が熟達の射手となれば、おいそれと銃撃を掻い潜る選択肢は選べない。
慎重になった南の太腿を、伊達のローキックが襲う。小気味いい音を立てたローの二発目は、南にドロップキックで切り返された。倒れた伊達は、足を獲りに来た手から転がって逃れる。
ヒヤリとしたが、立ってしまえば伊達に主導権が戻る。
すると南は、驚いたことにガードを上げて打撃の構えを取り、歓声をどよめきに変えた。
今度は南が伊達を誘っている。主導権が再び入れ替わった。
伊達と南は、大技を出さなくとも勝負の趨勢という天秤を操ってファンを魅了している。
過激な攻撃を繰り出し合うだけがプロレスではない、と教えるかのように。
静かな動きで手に汗握らす、味わい深いベテランの組み立て。
今のNEW WINDに足りないものを明確に指し示す……そんな教導的な試合になるのもいいだろう。最後までやりきれば、それは現役選手たちの身となり、エキシビションとしての体裁も整う。なにより、事故の起きる危険が少ない……
そんな俺の思惑を、伊達の猛烈なラッシュと南の流麗なディフェンスが吹き飛ばす。
ローキックから掌底のワンツー。これを柳に風と受け流し、ヒップトスで投げ捨てる南。
受身を取るなり、柳をへし折る暴風の如く掌底を連打する伊達。
静から動。会場の熱は一瞬で沸点を超え、大歓声が巻き起こる。
剛と柔の攻防は、南が鮮やかな一本背負いからの腕ひしぎ逆十字に切ってとった。
大きな声援の中、伸びきった腕を軋ませてロープへと逃れる伊達。
ようやくロープブレイクを得たところで、俺は詰めていた息を吐く。
「かなり痛めましたね。この試合中、右腕に力が入るかどうか」
吉田が険しい声で言う。
確かに今のは危なかった。終わりかねない極まり方だった。
だが、足でないだけマシだったとも言える。
この試合、伊達にとって足は文字通りの“アキレス腱”だ。必殺の威力を秘めた最大の武器であり、相手の技をかわし、捕まった時に耐え抜くための最後の砦。
再びスタンディングで打撃の差し合いとなったが、右腕を痛めた伊達の優位性は薄い。
痛みで鈍った伊達の掌打を南が捕まえる。捻って高く掲げ——肩での腕折りを極めた。
伊達の右腕関節の悲鳴が、観客の口を借りて場内に広がる。
だが三度目の腕折りを、伊達が南の首に腕を絡めてスリーパーホールドで切り返した。
ワッと歓声が上がる中、倒れ込んで胴絞めスリーパーに移行する。
「伊達さんにはこれがあるんです。密着戦になっても油断できない」
首元に絞めの感触でもよみがえったか、どこか苦い調子を含んで吉田が言う。
周知の通り、伊達はグラウンドが得意ではない。しかし防御や脱出のテクニックこそ凡庸だが、攻撃となればやはり天才的なものがある。かつての試合で、信じ難いほどの間隙を縫って技を極めるシーンを何度も見てきた。
伊達こそ、“攻撃こそ最大の防御”という格言の体現者なのだ。
「ですが……相手が悪い」
俺は吉田にちらりと訝しみの視線を送った。胴絞めスリーパーはいい位置で極まっている。
如何に南と言えど、容易く抜け出せないはずだ。
突然レフェリーがカウントを数えた。慌てて伊達が肩を浮かせる。
あっ、と思わず声が出た。南が身体を預けてフォールに行ったのだ。プロレスならではのインサイドワーク。
どよめきの中、するりと脱出した南は、ただの二動作でキーロックの体勢に持ち込む。
またしても右腕を絞り上げられた伊達は、身体を跳ねさせてロープに逃れた。
開放された腕関節は痛々しく鬱血していた。俺は見ていられず目を逸らす。
10分経過のアナウンス。二人ともまだ気力体力共に残している。
何より、まだそれぞれの代名詞となる技を出していない。
戦いはまだ終わらない。
伊達が鋭い蹴りを放つ。膝を軸にした軌道の変化。ローからミドル、ミドルからローへと変化するキックが、南の腹部と太股に着弾して派手な音を立てる。
反撃の勢いに乗ったキックの乱れ打ち。効いているが、だからこそ警戒すべきなのは——
——南の腕が蹴りを捕らえる。まずい、と思った時にはもう遅い。体ごと一回転してのサザンスクリューに伊達の足は絡めとられ、膝十字固めを極められてしまった。
「いや〜ついに始まりましたよ……南の足殺しフルコース!」
ぶるりと武者震いしたO坂が、唸り声にも似た感想を漏らした。
「懐かしい……とは、直に受けたことがある身としてはとても言えませんけどね」
膝へのストンピング、低空ドロップキック。激しい足攻めに柳眉を寄せた吉田が呟く。
伊達の足は、現役生活中にも常に大なり小なりの怪我を抱え続けていた。
分厚い筋肉の鎧も剥がれ落ちて久しいその足にとって、南の足攻めは厳しすぎる。
マットを蹴ってのスピニングレッグロック。南の体が着地する度、伊達が苦悶の呻きを漏らす。苦しげな視線がロープを探すが遠すぎる。
続けざまに、足を中心に回転するスピニングトーホールドに移行する。オールドスクールな技の登場に、場内から拍手とやんやの歓声が起こった。のみならず、南の動きに合わせて、回転数のカウントが合唱される。
ピンチではあるが、観客の反応はこの技がフィニッシュには結びつかない見せ技であることを示していた。
掛け手がいかにテクニシャンの南といえど、名手ダンディ須永の薫陶を受けていようとも、この技の「ギブアップを奪える秘伝」を体得しているわけではない。
隙を見い出した伊達がスモールパッケージで丸め込んで、ひとまず危機を脱する。
だが軽やかさを失った伊達の足運びが、技が効果的だったことを如実に表していた。
南は容赦なくローキックを放つ。執拗な足攻めに、ガクリと膝を折った伊達。
これまでか。
そう思い、目を閉じようとした瞬間、屈んだ状態から跳ね上がっての膝蹴り——変形のフェニックスJが南の腹を打ち抜いていた。
膝蹴り一発で試合の流れを変えた伊達が、膝関節の痛みをものともせずロープに走る。
ランニング式のフェニックスニー。だが得意技で畳み掛けてきた伊達の膝を、スピードに乗り切る前に踏み出した南が捕らえた。
またサザンスクリューを受けてはたまらない。伊達が足掛け延髄を放つが、これを屈んでかわした南がスタンディングのアンクルホールド!
流れるような攻防はまた、伊達のピンチで区切りをつけた。足首が異様な方向に曲げられる。
伊達はロープへと必死ににじり寄り、危ういところでロープブレイク。
額に脂汗を滲ませ、小刻みに震える右足を拳で叩く。ロープにすがって立ち上がる。
もう無理だ。レフェリーのトニー館を見るが、止める気配はない。
南が反対側のロープに走り、なんと側転してのエルボーを放つ。
上がった驚きの声と歓声は、それをキャッチした伊達のリバースブレーンバスターに移り、
次いで場外エプロンに着地した南の磔式ネオ・サザンクロスロックへと移った。
静かな攻防は一転、目まぐるしい最先端のプロレスに変貌を遂げた。
伊達のセコンドについている永沢が、レフェリーにロープブレイクを訴えるが南は離さない。
「ロープだろう……ッ!」
俺の歯噛みは、巨大会場を二分するブーイングと大歓声に溶けて消えた。
「そう、ロープです——そして、これもプロレスです」
吉田の、自ら永く頂点で戦い抜いた含蓄ある言葉が、俺の憤激を諌める。
「ですが彼女達は——」
もうプロレスラーではない。そう言おうとしたが、何故か言葉にならなかった。
二度目の反則カウント4でようやく開放された伊達は、ぐったりとマットに倒れ伏す。
南は伊達を休ませない。伊達を俺たちが観戦しているサイドの場外に引きずり出す。
ここで、伊達が痛む足で蹴りを放って反撃。見事なフォームで繰り出されるキック。
打つ方と打たれる方の表情が、骨まで響く打撃音が、両者の痛みを伝えてくる。
伊達が膝蹴りの連打から距離をとった。ランニングしてのニーリフト狙いか。南はダメージで立ち上がれない。今度こそ直撃は避けられないはず——だが、南はセコンドの相羽を掴んで盾にすることで、これを防いでのけた。
膝蹴りをモロに受けて吹き飛び、派手に鉄柵を鳴らす相羽。
誤爆に戸惑い、相羽を心配げに見やる伊達。
南は、倒すべき相手から視線を外した伊達に組み付くと、フロントスープレックスで場外マットのない場所に投げつけた。固い床が鈍い音をたてる。
勝負では非情に徹すことのできる伊達だが、敵のセコンドに対してはそうではなかった。
伊達の優しさが生み出した隙。南はそれすらも計算していたのかもしれない。
伊達が場外バックドロップの構えで持ち上げられた。客席から悲鳴が上がる。しかし南は後ろには投げ捨てず、鉄柵の上に伊達の右膝を叩きつけた。鉄柵を使ったニークラッシャー。
ガシャン、と響いた鉄柵の音は、伊達の膝が砕けた音を思わせた。
リングに戻り、悠々と大観衆にアピールする南。
リングアウト負け寸前で辛うじて這い戻った伊達。
もはや、どちらが優勢なのかは明らかだ。天秤は完全に南に傾いてしまった。
ダメージで精彩を欠いた伊達の打撃をいなし、南が飛びつき腕十字を極めた。
右腕が発する千切れんばかりの激痛の中、命綱であるロープに伸ばした伊達の右足をも、南が捕えて引き絞る。強力な複合関節技が伊達の手足を破壊していく。
叫びを上げながら空を掴む伊達の左手が、何度目かでロープに届いた。
立ち上がろうとした伊達が、膝を折って屈み込む。足の震えが、もう立てないと告げていた。
伊達コールが巻き起こる。立ってくれと、無責任な言葉が投げかけられる。
歓声を受けた伊達が顔を上げる。歯を食いしばり、左手でロープを掴んで身を起こす。
どうして、そんな痛みを抱えてまで、立ち上がらねばならないのか。
——かつて、どんな苦境からも立ち上がる“不死鳥”と呼ばれた少女に問うたことがある。
痛くて、苦しくて、死にかけて……それでも立ち上がるのはなぜなのか?と。
小首を傾げて少し考え、小さな声で囁いた少女の答えは、いたってシンプルだった。
『……それは、私がプロレスラーだから——』
プロレスラー伊達遙が立ち上がる。
何とか立ち上がった伊達だが、構えた右腕が低い。腕が上がらぬほどのダメージと疲労。
試合時間は体力の限界である20分を越えていた。
距離を測る南に、伊達が打撃ではなく組み付いていく。構えを下げていたのはそのためか。
脇下を両腕でクラッチすると、フロントスープレックスで反り投げる。さらにクラッチを外さず、フロントスープレックスを連発で放っていく。
次々に繰り出されるフロントスープレックスに、南は対応に追われて反撃できない。
投げのスピード、落とすタイミングなどを変えて放つため、受身をとるのが精一杯なのだ。
受身の勘は練習だけでは取り戻せない。
勘の鈍りと限界を越える疲労は、“できる”と思ったことをできなくする。
一瞬の気の緩みが命取りとなる。
しかし南もこのままやられるわけにはいかない。
何発目かのフロントスープレックスを放とうとした伊達の両腕を抱え込み、南が閂に固めた。
腕をへし折らんばかりに絞り上げての閂スープレックスで投げ捨てられた伊達だが、跳ね起きるなり南の側頭部をハイキックで蹴り抜く。
よろめく南の逆側頭部に、鋭いスピンキックが直撃して脳を揺らした。
ワッという歓声と共に崩れ落ちた南を片エビに固める。レフェリーの手がマットを叩く。
南が肩を上げる。カウントは2.5。
伊達が底力を見せ、流れを変えた。
ダメージの深さでは未だ伊達が不利だが、打撃による逆転KOは十分ありえる。
南は慎重に片膝をつかぬよう立ち上がる。シャイニングフェニックスを警戒しているのだ。
だが両手両足で起きるのに要したわずかな時間は、伊達に主導権を与えた。
伊達には片膝をつかせずとも放てる技がある。ロープに走ってのフェニックスJ。矢のような飛び膝蹴りが、今宵初めて——永き歳月を越えて——南の顔面を捉えた。
すかさず首相撲に持ち込み、強烈なフェニックスニ—を腹に突き刺す。南の身体が浮く威力。
足を背後にグンッと振り、再びフェニックスニ—。南の腰が跳ね上がった後、ガクリと落ちる。
勝負を決めに行った伊達のラッシュに、大歓声が降り注ぐ。
下がった頭に照準を変え、顔面に向けてのフェニックスニ—!南の身体が三度跳ねた——
——両腕でブロックした膝の威力を殺すために。そして、膝を殺すために。
南の両腕が伊達の足を捕獲する。
逃げられない。そう観客と共に悟った伊達が、サザンスクリューの受身を取ろうと身構える。
しかし南が回転したのは逆方向だった。リバースのサザンスクリュー!完全に虚を突かれた伊達は受身が遅れ、膝の靭帯が伸び切った状態でマットに倒れ込んだ。
呻きを上げて倒れる伊達の足を取り、南が足関節を極めていく。
ブロックしようと蹴りつけた左足も捕えられ、変形の足4の字固めがガッチリと極まった。
「ああぁあぁああぁ……!」
大音響の歓声にも負けぬ、悲痛な伊達の叫びが木霊する。
大観衆は、南に足を砕けと気炎を揚げる。伊達に足の砕ける激痛を耐えろと奇声を上げる。
俺は自分の膝を掴み締め、歯軋りを鳴らす。
これ以上は無理だ。ここが限界だ。よくここまで頑張った。
彼女には、戻るべき明日からの日常があるんだ。
「もういいんだ……もう十分だッ……だてええ!!」
数度マットを叩けば楽になる。足の捻じ切れる激痛から解放される。
血と汗と痛みと苦しみに満ちたリングから離れ、安寧の日々へと戻ることができる。
「伊達さんは——」
吉田が狂騒の渦にも飲まれぬ、凛とした声音で言った。
「——まだ、十分だとは思っていないようですよ」
高まる声援に、伊達が髪の毛が張り付いた汗みずくの顔を上げる。
絶え間ない苦悶の中、強き意思を持った瞳がサードロープを見る。
悲鳴を上げてのたうちながらも、ロープを目指して這いずり進む。
伊達コールと南コールが交錯する大声援合戦の中、伊達はロープへとにじり寄り——
ロープブレイクした。
まだ終われない。それが伊達遙の意思だった。
ここに至りようやく俺は、伊達が全身全霊を懸け、“勝つため”に闘っていることを悟った。
最高のライバルである南と、熱狂する大観衆と、過去の自分と——今の自分に勝つために。
思えばいつも、いつだってそうだった。
伊達遙は、いつだって命懸けで戦い抜き、俺たちに感動をもたらしてくれたのだ。
25分経過のアナウンス。
南がコーナートップを襲う。南も攻め続け、絞り上げ続けて、体力は限界のはずだ。
雄叫びを上げながらの高い跳躍。狙うは一点、伊達の膝。非情なるダイビングフットスタンプの重爆撃。
転がって身をかわした伊達だが、南は空中で両足を開いてのギロチンに移行し——
——見事、伊達の右膝に踵を着弾させた。
南の閃きと伊達の痛みが観客の心を震わせ、悲鳴と歓声が耳朶を震わせる。
吉田が微かに震える声で囁いた。
「……とはいえ、いかに伊達さんといえども、もう足がもたないでしょう」
そう、これ以上は無理だ。
「もう体力は尽きて、ダメージも大きすぎます。たとえ現役だったとしても限界です」
ここが限界だ。
「ですが——」
だから。
「だから——伊達遥はここからだ」
俺の独白に、吉田とO坂が驚いた顔で振り向いた。
静かなる不死鳥は、いつも灰燼と帰した果てから甦る。
伊達遥が、まだ終わりじゃないと言うならば。
まだ見ぬ限界の向こう側が、そこにあるはずだ。
両者とも中々立ち上がれない。
当然だ。体力もダメージも、とうに限界を超えているのだから。
それでも、伊達と南は立ち上がる。
大歓声が巻き起こる中、リング上の空気が張り詰めていく。
焦点の定まりきらない目は、全ての景色がうすらぼやけてるに違いない。
見えるのは、ただ眼前の相手のみ。
ドームを埋め尽くす満場の観客に気を配る余裕もない。
観客を煽れないなら素人だ。自分の闘いに没頭するだけならアマチュアだ。
いつもの俺なら“それでもプロか”と毒づくところだが、今はもうできなかった。
代わりに、「これがプロだ」と。 我知らず呟いていた。
観客たちは、自分たちを忘れ去ったかのようなその姿に向け、声を嗄らして声援を送り続ける。
彼女たちは観客を見ていないのではない。
見るまでもないのだ。
この世界中から響く声援を、視線を、熱狂を。体中で感じているのだから。
たとえ彼女たちが純粋に、生涯最高のライバルとの闘いに没入しているだけだとしても。
それこそが、かつて叶わぬ夢となり、今この時に結実した観客の願いそのものだ。
“もう一度あの日のように、南利美と伊達遙が全力を尽くして闘う”
これは俺たちが、彼女たちが、心から願って止まなかった、叶うはずのない夢の続きだ。
両者が同時にマットを蹴った。ドロップキックの相打ち。
受身を取って走りこんだ両者の肩がぶつかり合う。重い衝撃音が響く。
当たりは互角だったが、伊達は右腕の痛みに顔をしかめて一歩下がる。
同じタイミングで放たれた右のハイキックをガードし合い、伊達のスピンキックと南のローリングソバットが空中で交差する。
どよめきの中、着地した南の放つ裏拳を、伊達がローリングエルボーで撃ち落とした。
息もつかせぬ打撃戦。伊達が紙一重で上回るものの、ペースは奪えない。
南が伊達の得意とする打撃戦で勝負に出たのは、今まで蓄積させた腕と足のダメージという勝算あってのことだ。
伊達の右腕と右足は、攻撃に振るっても、防御で受けても、激痛で身体を蝕んでいく。
動きが鈍った伊達は、南の裏拳をダッキングしてなんとかかわす。
だが続けざまに放たれた、右に一回転しての拳打が伊達の頬を音高く捉えた。
さらに裏拳、拳打。拳骨による痛烈な往復ビンタが伊達の脳味噌を揺さぶる。
意識を飛ばしたか、ふらつく伊達の姿に勝機を見た南が、組みつこうとして——
カウンターで突き刺された膝の一撃に、ガクリと“片膝をついた”。
一瞬の判断の誤りで、勝機はピンチに、ピンチは勝機となる。
勝機を見逃さずに走り込んだ伊達が、膝を駆け上がってシャイニングフェニックスを放つ。
だが南も、この技を喰らう危険性は誰より理解している。両腕を上げて万全な防御の構え。
弾ける打撃音。膝がガードで止められた。
だが、それでも伊達は止まらない。
膝蹴りを受け止めた腕と肩を踏み台にして、さらなる高みへと不死鳥は舞い上がる。
高い!伸び上がった伊達のしなやかな肢体、振り上げられた左脚をライトが照らし出す。
これは——フェニックス遥の必殺技、ライジングフェニックスだ!
高々度から、背後に倒れ込みつつ放たれた左踵落しが南を襲う。
とっさに首を捻り、頭部への直撃を避けた南の右肩に、不死鳥の牙が喰らいつく。
右僧帽筋と鎖骨を噛み千切られた如き激痛。声にならぬ叫びを上げて動きが止まる。
受身をとって跳ね起きる伊達。南は片膝をついたまま動けない。
伊達は吼えると、膝を踏んでゼロ距離からのシャイニングフェニックス!
閃光弾に側頭部を撃ち抜かれ、南がどうっと倒れる。
跳びつくようにカバーした伊達だが、南は意地のカウント1ではね退ける。
伊達の切れ味は微塵も鈍っていなかった。その鋭さと南の執念に身震いする。
「黒沢さん」
O坂のたしなめるような声。俺は無意識のうちに煙草に火を着けていた。
ぼうとしたまま「すまない」と言って、胸元の携帯用灰皿を取り出そうとした時、
大歓声が会場を揺るがした。
伊達が南の背後に組み付いて勝負に出たのだ。
南の両手首をそれぞれ掴む。伊達の得意技、フェニックス・スープレックスのクラッチだ。
両腕を広げようとする伊達と、広げさせまいと抵抗する南。
広げきれば強烈な反り投げが待っている。
クラッチを切った右手首が再び捕らえられ、変形のハーフネルソンに固められる。
なんとか振りほどいた南の左手が、命綱のロープへと伸ばされる。
それを伊達の腕が絡めとり、力づくでチキンウイングの形に極めた。
ドームをどよめきの波紋が走る。
この体勢がどのような意味を持っているか、ここに集ったファンは良く知っているのだ。
テキーラサンライズ。
伊達が愛弟子である永沢に授け、現役最後の試合において引導を渡された、
文字通りの必殺技。
太陽は再生と繰り返される死を象徴する。この戦いの終幕を飾るに相応しい技だ。
南は頭を振って必死にもがくが、クラッチは外れない。
セコンドについた相羽の悲痛な応援を、永沢の涙でかすれた声援が圧倒した時、
豪快なスープレックスが大きく弧を描いた。
南の身体が、後頭部から受身を取れない形でマットに突き刺さる。
爪先で立った見事なブリッジ。クラッチしたままの力強いホールド。
大観衆が一体となって数えたカウントは、2.9で南の肩が上がって歓声の津波となった。
これを返すのか。
この二人は一体どこまでいくのか。
固く握り締めた掌の内で、煙草の火はいつの間にか消えていた。
熱さは感じなかった。
眼前に繰り広げられる火傷しそうな闘いの熱に、胸の内から湧きいずる熱情に、
爆発しそうな会場の熱狂に、身体はとうの昔に燃え上がっていたから。
伊達が息を整えながらコーナーに昇っていく。歓呼の声が際限なく高まっていく。
コーナートップからの伊達の決め技と言えばフェニックススプラッシュだが、
静かなる不死鳥は「たてえええ、みなみ〜〜〜っ!」と、声を限りに張り上げた。
6万の歓声に拮抗する怒号に促され、南がよろめきながら立ち上がる。
伊達もまた、コーナートップに立ち上がる。スラリとした体躯。鳳凰たる華麗な立ち姿。
しかし、この距離からでもガクガクと震える膝が見て取れた。
何を狙っているにせよ、果たして——飛べるのか。
「飛べるさ」
太陽を見るように眩しげな目をして、吉田が呟いた。
「だってあの人は——不死鳥なんだから」
大声援を受け、伊達の膝の震えがピタリと止まる。
両腕を翼のように広げ、ゆっくり天へと掲げてゆく。
ファイヤーバードの構えの如く、グンッと仰け反った。
コーナーを力強く蹴り、不死鳥が飛ぶ。
上空で膝を抱えて一回転し——両手を広げてダブルニーアタック!
急降下した鳳凰の鉤爪に胸を穿たれ、南が後方にもんどり打って倒れ込む。
驚愕の大技に度肝を抜かれた観衆が、ほとんど絶叫のような歓声を上げる。
前受身で着地した伊達は、膝の激痛を噛み殺しながら這い進み、南に覆い被さった。
右足を抱えて片エビ固め。レフェリーが大観衆と共にカウントを数える。
しかし南は3カウント寸前でフォールを返し、驚きの声で会場を揺るがした。
ここに至り、勝負の趨勢はまさに五分と五分。
敗北寸前だった伊達は、限界を遙かに超え、土壇場で天秤を平行に戻した。
どちらもあと一手で詰みとなる究極の消耗戦。
見れば、伊達も南も笑みを浮かべていた。
それは、歓喜の笑みだった。
最高のライバルが、今でもやはり最高の存在だったことを、心の底から喜んでいる笑み。
両者は喚きを上げながらリング中央でロックアップ。
伊達がデスバレーボムの形で肩に担ぎ上げようと試みる。
ヘッドロックで防いだ南が、鉄槌を何度も打ちつけて逃れる。
下がった伊達の頭を、南はパイルドライバーを狙って太股に挟む。
伊達は持ち上がりかけた身体を、足をばたつかせてディフェンスする。
大歓声の中、二人は再び顔を突き合わせた。
肌が触れ合う密着戦の距離。関節の女神のテリトリー。
南の右手が伊達の肩に伸びると、伊達は突き放そうと反射的に右掌底を繰り出した。
至近距離からの一撃をヘッドスリップでかわした南が、伊達の脇下に頭を滑り込ませる。
右腕で首を抱え、捻りを加えながら後方に投げつける。伊達の身体が扇のように開く。
裏投げ——いや、体を返して右腕で相手を垂直に叩き落すこれは——草薙流兜落しだ!
真っ逆さまに後頭部から落ち、くの字に潰れた伊達の身体が、ゆっくりと大の字に倒れた。
南は右足をとると、トーホールドから右足を巻き込んでステップオーバー、うつ伏せになった伊達に覆い被さってのフェイスロックを流れるように極める。
ネオ・サザンクロスロック!遂に南も伝家の宝刀を抜いた。
しかし伊達もこの技の脅威は身に沁みている。
歓声が高まる前に、南を乗せたまま匍匐で猛進し、ロープを掴むことに成功した。
漏らしかけた安堵のため息は、膝にストンピングを叩き込んでから足を掴み、ロープから引き離そうとする南の姿に、喉元で行き場を失って息を詰まらせた。
ロープを掴む伊達の右腕には力が入っていなかった。たやすく引き剥がされ、リング中央まで連れて行かれてしまう。
足を挟み込むと同時に伊達に圧し掛かった南は、ガチッと音がしそうな完璧なフェイスロックを極め、リング中央でネオ・サザンクロスロックを完成させた。
先ほどの匍匐前進で力を使い果たした伊達に、完全に極まったネオサザンを防ぐ術はない。
もう無理かもしれない。これで終わりかもしれない。
だから、なんだ?
だから、叫ぶのだ。
声を限りに名を呼ぶのだ。
再び巻き起こる伊達コール。
巨大な会場中から響き渡る大歓声は、伊達の身体中が上げる悲鳴のようだ。
「伊達ぇーッ!」
俺も喉を嗄らして叫びを上げる。伊達の痛みを叫び続ける。
顔を思い切り捻られた体勢のまま、伊達の目がロープを見た。
ほんのわずか、南を乗せて身体を引きずる。
南が渾身の力を込めて伊達の顔を引き絞る。
震える手がマットを叩く形に伸び……マットを掴み締めて身体をわずかに前進させた。
絶望的に遠いロープが、少しずつ、わずかに、しかし確かに近づいていく。
引き絞られ、捻じられ、揺さぶられるたび、伊達の顔が苦悶に歪む。
糸のような青息吐息を吐きながら、ボロボロの身体がロープへとにじり寄っていく。
無限の距離を踏破して、不死鳥がロープを掴んだ。
精根尽き果てた南と伊達が、のろりと身体を起こす。
渦を巻く南コールと伊達コール。
リング中央で待つ南に向けて、伊達がファイティングポーズを構え、足を引きずり進みゆく。
極限を越えた二人が組み合った。
有利な体勢の奪い合いから、ブレンバスターの打ち合いになる。
南が抱え上げると、伊達が足をそろえて身体を捻り、着地する。
今度は伊達が抱え上げたところで、南が身体を捻って下ろし——
待ち構えていた伊達の右膝が突き立った。
片膝をついた南は、とっさに側頭部へ両腕を掲げてシャイニングへの防御体制をとる。
その顔面を、伊達のトラースキックが打ち抜いた。
仰向けに倒れる南。伊達はフォールに行く代わりに、右足を捻ってステップオーバーし、うつ伏せになった南に覆い被さってのフェイスロックを流れるように極める。
掟破りのネオ・サザンクロスロックだ!
相手の必殺技を仕掛ける掟破り。もちろん南は防御法を心得た超一流の使い手ではあるが、伊達も攻め手においては天才を発揮する。
——にも関わらず、南は苦もなく這い進んで、あっという間にロープブレイクしてみせた。
理由は明白だ。伊達の右腕にはすでに感覚がない。肝である右腕によるフェイスロックが、極めどころを外されても対応できなかったのだ。
南はロープを掴んで、先にゆらりと立ち上がる。
伊達も死力を振り絞り、わななく膝で立ち上がる。
拳を握って気合いを入れた伊達は、乾坤一擲、右のハイキックを放った。
南は後ろに倒れ込んでかわしながら、低空ドロップキックで軸足を蹴り飛ばす。
ガクリと“片膝をついた”伊達に、ロープの反動を利した南が走り込み——
掟破りのシャイニングフェニックス!
自らの必殺技への防御法は、無論伊達も心得ている。
だがその右腕は、微かに持ち上げられただけだった。
閃光弾の直撃を受けた伊達が、真後ろにくずおれる。
意識を刈り取られたボクサーのような危険な倒れ方。
「だてええええっ!」「伊達さぁぁん!」「伊達ぇッ……!」「だぁてえーッ!」
掠れた声の大群がドームの全方位から、倒れ伏す伊達へと雪崩込む。
伊達が目を開けた。
首をもたげようとして叶わず、頬をマットに押し付ける。
意識などほとんどありはしない。自分がどうしてここにいるのかも分かるまい。
しかしそれでも立ち上がろうと、満身創痍の身体を起こそうと、もがかせる。
——痛くて、苦しくて、死にかけて……それでも立ち上がるのはなぜなのか?
それは決まりきったこと。
みんなの声援が、自分の名を呼ぶ声が、その魂まで響くから。
最高潮に達した大歓声に応えるため、プロレスラー伊達遙は立ち上がるのだ。
もはやそこが床なのか壁なのか天井なのかわからぬまま、激痛の塊と化した肘を立てる。
ぶるぶると震える身体を起こそうとして、右腕から崩れ落ち、仰向けに倒れた。
照り注ぐライトの輝きを仰いだ伊達を、立ち上がった南の影が翳らせる。
「これで終わりだ〜〜〜っ!」
南は両拳を握り締め、星々よりも眩ゆい天に向かって咆哮を上げる。
伊達の右足を取ってステップオーバー。両足をデスロック状に捕らえてから、右足をトーホールドで固めつつ覆い被さる。
伊達の右腕をチキンウイングに極める。さらに伊達の左腕を首に巻きつけて絞め上げると、その手首を南の右手が掴み締めた。
そして左手がフェイスロックをぎちりと極め、鉤にした人差し指同士で右手とロック。
伊達の肺から絶息の呼気が、断末魔となって搾り出された。
満場の観客から慄きを帯びた歓声が、地鳴りの如く轟き渡る。
がんじがらめに固められた伊達は、もはやもがくことすらできはしない。
——それでも。
伊達の瞳は、真っ直ぐに見ていた。
ロープを、ロープの向こうの後輩たちを、その先で声援を送り続ける俺たちを。
みしりみしりと肉と骨が軋む。
時を経て、時を越え、時を止め、そこにはただ、あの頃の熱気と輝きを迸らせる、今が。
ぽたりぽたりと血と汗を零す。
伊達と南は、リングに遺してきた想念の強さをぶつけ合った。
かつて勝利し、頂点を極めるも栄枯盛衰の理のまま、至高の玉座を失った、伊達の無念。
かつて敗れ、追ってなお届かずに、見果てぬ夢となって胸の奥で澱と凝った、南の無念。
伊達は願う。最高のライバルと最高の試合を。
南は誓う。最高のライバルから最高の勝利を。
——勝敗を分けたのは、勝利を渇望する執念の強さ。
この試合はリバイバルではない。
10年越しのリベンジだ。
南十字星が永劫の時を絞め上げて、遂に——不死鳥の魂ごと捻じ切った。
“完璧なる関節の女神”南利美が、“偉大なる鳳凰”伊達遥を打ち破った瞬間。
死闘の終焉を知らせるゴングが鳴り響き、新日本ドームが爆発した。
大観衆は皆立ち上がり、割れんばかりの拍手と歓声で世界を覆い尽くす。
俺は一人座ったまま目を瞑り、無意識に胸ポケットへと手を伸ばす。
だがそこにはもう、煙草はなかった。
  ++  ++  ++  ++  ++
NEW WINDにて掲載された『もう一度あの日のように〜再会〜』の再会試合を、マスターシュ黒沢と共に観戦させて頂きました。
試合をなんとかして一気に描きたかったので、長すぎて読みづらいのがアレですけどもヒールなので反省してま……す(エェー)
ともあれ、Nさんに多大なご迷惑を掛けつつも試合終了までなんとか漕ぎつけました。
語りたい諸々もございますが、試合を見終えた黒沢のエピローグなモノローグや、後書き記事にて書かせて頂きたいと思います。
  ++  ++  ++  ++  ++
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2015/08/08 18:00 | Comments(0) | あの日々はもう二度と戻らない 〜 outsider's report 

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