NEW WIND社長 風間 新 手記より。
※このお話は、長編リプレイ『NEW WIND編』および『栄光のスターロード編』の『創作アフターストーリー』です。
このお話の設定には、ゲーム上では再現できない設定を盛り込んでいますので、ご注意ください。
単独作品としても十分楽しんでいただけるように留意しておりますが、登場人物の設定などは『NEW WIND編』に準拠していますので、NEW WIND編を読まれているとより楽しめると思います。
※※再会試合について※※
この試合に関しては、ほぼリアルタイムでお話が展開します。
今回は5分経過から7分45秒までの出来事です。
※このお話は、長編リプレイ『NEW WIND編』および『栄光のスターロード編』の『創作アフターストーリー』です。
このお話の設定には、ゲーム上では再現できない設定を盛り込んでいますので、ご注意ください。
単独作品としても十分楽しんでいただけるように留意しておりますが、登場人物の設定などは『NEW WIND編』に準拠していますので、NEW WIND編を読まれているとより楽しめると思います。
※※再会試合について※※
この試合に関しては、ほぼリアルタイムでお話が展開します。
今回は5分経過から7分45秒までの出来事です。
二人はそれぞれ先ほどまでとは違う構えを取った。伊達は両腕のガードをあげて、左腕をやや前にして構えた。得意の打撃を出すつもりなのだろう。そして南は…重心を低くした構えを取った。伊達の打撃を素早いタックルでかいくぐって懐へと飛び込む腹積もりだろう。
二人の表情は緊張感を帯びており、その緊張感が会場へと伝播していくのがわかる。チョップ合戦で盛り上がったのが嘘のように、今はピンと張り詰めた空気が会場を支配している。
南がタックルにいく構えをみせると、伊達が素早いキックで牽制する。
「おおっ!」
再び南の体が沈み、タックルにいく!が、伊達のキックを警戒してストップ。フェイントのつもりなのだろうか。南は肩の動きでフェイントをかけ、伊達は目の動きで南の動きを止める。その一つ一つの動きがお互いの技を封じる。
「緊張感あるなあ。」
「フェイントや目の動きだけで、これだけ惹き付けることができるなんて…二人は進化しているとしかいえないわね。」
南はタックルを狙い、伊達はキックを放とうとする。この両者が動きを見せるたびに場内は沸いた。先ほどのチョップ合戦は南が口火を切ったが、今度は伊達が先に攻勢に出た。
「タアッ!」
瞳を動かし、南を誘った伊達は、素早く差を詰め右足でローキックを放った。
バシッ!といい音がして伊達のローキックが南の左腿に決まる。
「くっ…」
キックの威力に南の顔が歪んだ。
「タアッ!」
再び右ローキックを放つ伊達。
「ハアッ!」
南はそれを読んでおり、リングを蹴るとドロップキックで伊達の胸板を正確に打ち抜いた。不意をつかれた伊達は後ろ受身でダメージを逃がす。
関節を狙う南が右足を捕まえに行くが、伊達は横に転がってそれを回避し、勢いをつけて素早く立ち上がった。
二人はまた間合いをとってお互いの出方を伺う。打撃で主導権を握りたい伊達と、組み付いて関節技を狙いたい南の思惑が交錯する。
主導権を握るのはどちらか…観客の興味がそこに集中し始めた時、南が意外な行動に出た。
「いいわ。勝負してあげるわよ。」
南はそう言い放つと、ガードを上げ、左腕を少しだけ前に…これは伊達とまったく同じ打撃用の構えだ。鏡合わせのように同じ構えで正対する二人。
「……」
伊達の顔に自然と笑みが浮かぶ。南は伊達ほどではないが打撃も使いこなす。結構いい勝負になるだろう。
「ハアッ!」
南の右足ローキックが放たれた。バシッ!…伊達はそれをノーガードで受ける。
「うっ…」
南のキックの威力に驚いた顔をした伊達だが、すぐさまローキックを返す。
「くっ…」
これを南もきっちりと受ける。
「タアッ!」
伊達は素早く距離をつめると、ジャブ気味の左掌底を放ったが、これを南はスウェーで回避。
「タアッ!」
しかしこれは伊達の計算内。伊達は追い打ちで、右のストレート掌底を放つ!
「甘いっ!」
そう、このワンツーコンビネーションは、南に読まれていたのだ。南は両腕で素早く伊達の右腕を掴むと、スピードに乗ったアームホイップで伊達の体を軽々と投げ飛ばした。
「おおっ!」
綺麗な返し技に歓声があがるが、アームホイップ程度の技では伊達は止まらない。何事もなかったかのように伊達は素早く立ち上がると、距離をつめて再び左のジャブ掌底。
「くっ…」
キックを想定していたのか、南はこれをまともにもらってしまう。
「タアッ!」
連発で放った左のジャブ掌底が、南の顔面を捉える。
「ぐっ…」
ジャブとはいえ、伊達の掌底は重い。
「いいぞ!伊達!」
「タアッ!」
南が怯んだところに3発目の左ジャブ掌底が決まる。
「タアッ!」
伊達はコンビネーションの右ストレート掌底を放つ。
「!」
しかし、この右腕はまたも南に両腕でキャッチされてしまった…と思った次の瞬間、伊達の体は見事な一本背負いでスカイブルーのリングに叩きつけられていた。
「おおおっ!」
そのあまりの見事さにレフェリーのトニー館が思わず「一本!」とばかりに右手を上げてしまった。これが柔道なら南の完璧な一本勝ちというところだが、これはプロレスだ。これでは終わらない。
南は投げ飛ばしたあとも腕を離さずに、そのまま素早く腕ひしぎ逆十字固めが極まった。
「ああうっ!」
伊達は一瞬何が起こったのか理解できず、腕の痛みに悲鳴を上げた。
「伊達、ギブアップ?」
トニー館が、よく通る声で伊達の意思を確認する。腕ひしぎ逆十字固めがリング中央でガッチリと極まっており…極まり具合は……完璧だ。伊達の右腕が伸び切っている。
「上手いっ!さすが南さんだ。観ているだけでも右腕が痛くなるぜ。」
「遙ならこれは凌げると思うけど…」
伊達は長い足をバタつかせ、必死にロープへと伸ばす。
「ああうっ!」
伊達は苦悶の表情を浮かべ、悲鳴を上げる。
「伊達~~!!」
場内のファンからの声も悲鳴混じりだ。決まり具合を見て、危険さを感じているのだろう。
「遙さん!もう少し、もう少し!あと少しで届きます、届きます!」
エプロンを右手でバンバン叩きながら、セコンドの永沢が声を張り上げる。
「南さん、絞れ~~!!」
相羽が対抗して声を張り上げる。
「ブレイク!」
長身の伊達の長い足がどうにかサードロープに届き、場内からは拍手が送られる。
「これで決まったら面白くないからな…」
「ええ。それにしても綺麗なコンビネーションだったわね。」
伊達は右腕をぶらぶらさせながら立ち上がった。今の腕ひしぎで右腕にかなりのダメージを受けたのは間違いないだろう。
【7:45】
PR