NEW WIND社長 風間 新 手記より。
※このお話は、長編リプレイ『NEW WIND編』および『栄光のスターロード編』の『創作アフターストーリー』です。
このお話の設定には、ゲーム上では再現できない設定を盛り込んでいますので、ご注意ください。
単独作品としても十分楽しんでいただけるように留意しておりますが、登場人物の設定などは『NEW WIND編』に準拠していますので、NEW WIND編を読まれているとより楽しめると思います。
※※再会試合について※※
この試合に関しては、ほぼリアルタイムでお話が展開します。
今回は34分15秒から試合終了までの出来事です。
※このお話は、長編リプレイ『NEW WIND編』および『栄光のスターロード編』の『創作アフターストーリー』です。
このお話の設定には、ゲーム上では再現できない設定を盛り込んでいますので、ご注意ください。
単独作品としても十分楽しんでいただけるように留意しておりますが、登場人物の設定などは『NEW WIND編』に準拠していますので、NEW WIND編を読まれているとより楽しめると思います。
※※再会試合について※※
この試合に関しては、ほぼリアルタイムでお話が展開します。
今回は34分15秒から試合終了までの出来事です。
掟破りのシャイニングフェニックスが炸裂!
「おおおおおおおっ!」
その綺麗なフォームに驚き、どよめく場内。まさか…このための腕攻めだったのか?だとすれば、伊達は完全に南の術中に嵌ったと言えるだろう。
南と伊達を比べて、どちらが戦略的か?といえば、確実に南の方に軍配が上がる。なにしろ、彼女はNEW WINDの歴代全所属選手の中で一番の策士なのだから。
「姉さん!カバー、カバーして!」
「南さん、カバーしてください!」
セコンドはフォールにいくように促す。
今フォールに行けば、3カウントは十分取れるだろう。南のシャイニングフェニックス…いや、シャイニングサザンクロスは、素晴らしいスピードと角度で決まっていた。
南流に言えば、“完璧な技”だった。
「遙さん、起きて!起きてください!」
永沢が悲痛な叫びを上げる。だが、伊達の反応は鈍い。起き上がろうと頭を持ち上げたが、すぐに倒れこんでしまう。
「だてええええっ!」
伊達ファンの悲鳴交じりの声援。伊達はもう一度起き上がろうとするが、意思とは裏腹に体はまったくついていっていない。
「これで終わりだ~~~っ!」
両拳を握りしめながら、南…魂の咆哮!
南のフィニッシュ宣言を聞きながら、私は再会試合という無謀な発案に賛同し、ここまで素晴らしい試合をしてくれた二人に向かって、最後のエールを送ることにした。
(二人とも、頑張れ!頑張れ!頑張れ!頑張れ!頑張れ!頑張れ!頑張れ!頑張れ!頑張れ!頑張れ!頑張れ!頑張れ!頑張れ!頑張れ!頑張れ!頑張れ~~! 最後までこの試合を、無事にこの日を闘い抜いてくれっ!)
「いけえええ、南~っ!」
南はフォールにはいかず、仰向けにダウンしている伊達の右足を持ってステップオーバー!
伊達をあっさりとうつ伏せに引っくり返すと、左足を右足に絡めさせ、両足首をホールドする。右手で伊達の右腕をチキンウイングアームロックに決め、左手で伊達の左手首をとると、その左腕を伊達の首に巻きつけた。そして左腕を離すと、素早く自らの手をフェイスロックに決め直す…南の両手は伊達の右の肩口で、指一本で鍵型にロックされている。
伊達は両足をホールドされた上に、左腕を絡めとられてしまい、さらに右肩はチキンウイングアームロック、そして頬骨をフェイスロックで極められてしまった。
ダブルトーホールド+チキンウイングフェイスロック+ハーフ極楽固め…という超複合関節技だ。
「あぐあああああああああああああっ!!」
伊達が大きな悲鳴を上げた。
「うおおおおおおおおっ…」
場内は異様な興奮に支配された。客席の興奮はMAXボルテージ!いや、すでに針を振り切っている。
「これじゃあ逃げられない…」
「うっそだろ!?あのネオ・サザンクロスを改良してきやがった。」
実況席の二人も驚くしかなかった。
「このための右腕攻めだったのか…」
「ですな。右足だけを攻めるよりも効果的です。これは自力では外せませんし、逃げることは事実上不可能でしょう。」
ダンディさんはそういって目を閉じた。
「これは無理だ…」
「私も返せないと思う。」
南の勝利への執念の篭った新型のネオ・サザンクロスロック。
伊達はギブアップせずに耐えているが、その強靭な心が折れるのも時間の問題だろう。
「南さん!絞れ、絞れ~~っ!」
「ねえさんっ!」
「そのまま決めろ~~!」
客席から大きな声援が飛んだ。この声は哲さんだろう。
「耐えてくれ、伊達!伊達えええっ!」
伊達ファンの祈るような声援が飛ぶ。ファンの声に反応し、わずかににじり寄るような動きを見せた伊達だったが、その動きもやがて完全に消えてしまった。
「伊達!ギブアップ?」
トニー館が伊達の顔を覗き込む。
「ノー…」
弱々しい声で拒否する伊達。
「だ~て!だ~て!」
もう一度伊達コールが巻き起こるが、伊達の顔からは血の気が引いて行く。
「はるかっ!」
南が最後の力を振り絞る。伊達の心をへし折る事が出来るだろうか?
「だ~て!だ~て!」
「み・な・み!み・な・み!」
伊達コールが徐々に南コールにかき消されていく。
「はるかさ…」
「南さ~~ん!」
試合開始からずっと支えてくれた永沢の声が、相羽の声にかき消される。
「伊達、ギブアップ?」
トニー館レフェリーがもう一度伊達に確認する。伊達の両腕は動かせないので、タップすることはできない。
「……」
伊達の反応はないが、まだギブアップの意思表示はしていない。
「はるかあああああっ!」
最後の力を集めて絞り上げる南。もう一度あの日のように!最後まで南は勝利への執念を燃やす。あの頃と変わらぬ熱い魂を持つ南利美がそこにいた。
「伊達、ギブアップかっ!?」
トニー館レフェリーは、無意識のうちに首を左右に振った。
場内にどよめきが広がる。トニー館の首ふりはフィニッシュサインに等しい。
そして…
「…ギ…ブアップ」
伊達がついにギブアップの声を発した。
「OK、ギブだ!ギブアップ!」
トニー館は右手の人差し指で本部席にゴングを要請した。
カン!カン!カン!
6万人の観衆で埋まった新日本ドームに南利美と伊達遙…二人の最初で最後の再会試合が終わった事を告げるゴングが鳴り響いた。
「わああああああああああっ!」
同時に場内からこの日一番大きな歓声が沸きあがる。
「只今の試合は、37分17秒、37分17秒 パーフェクト・サザンクロスロックによりまして勝者、南利美!」
仲間元リングアナのアナウンスに、もう一度大きな拍手と歓声が送られた。
【試合終了】
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