NEW WIND社長 風間新 手記「新たなる夢のはじまり」より
※こちらはレッスルエンジェルスサバイバー2のリプレイとなります。
旧作版のNEW WINDとはお話上のつながりはありませんが、登場人物などは一部同じものを使用しています。
NEW WIND旗揚げシリーズ トピックス
第2戦沖縄大会では、市ヶ谷がソニック・キャットを強烈な喉輪落としでKOしプロ初勝利を挙げた。
「ふんっ…この程度ですの?」
この大会でベビーエースのロイヤル北条はシングルマッチでリリィに挑んだが、10分持たずにドラゴンスープレックスで3カウントを喫する。
「くっ…完璧には程遠いようです。」
唇をかむ北条。エースという肩書を重く感じなければいいのだが…
この日のメインはコリィ&バニーの外国人コンビに、元GGJ師弟コンビ改めヘルズ・ボンバーズ…ガルム小鳥遊&オーガ朝比奈組が激突。
大熱戦の末、ヒールエース小鳥遊がコリィのSSDでマットに叩きつけられ、3カウントを奪われてしまった。
第2戦で突きつけられた現実…正悪両エースがWWCA勢に完敗とは…まさかの結末に私は言葉がでなかった。
第3戦では同カードでリマッチが組まれたが。これも両エースが敗退。旗揚げシリーズでNEW WINDの課題が浮き彫りとなる。
第5戦
これまで勝ち星のなかった南が、同期の祐希子からアンクルホールドでギブアップを奪いプロ初勝利をあげた。
「まだまだ完璧じゃないわね。でも、これが本当のスタートだから…やっぱりうれしいわね。」
「頑張れよ南。」
「ありがとう。」
南はこの直後に行われた第6戦でも祐希子からギブアップ勝利。さらに最終第8戦でもギブアップを奪ってみせた。
「くっ…利美に3回も負けるなんて…」
祐希子はショックの色を隠せない。このシリーズでは5回南とシングルで対戦し、2勝3負とひとつ負け越した。
2連勝のあとの3連敗だから、余計に負けのイメージが残っているのだろうな。
そして迎えた第7戦ではいきなりの事件が起きた。
「いよっしゃあああああっ!」
オーガ朝比奈の歓喜の叫びと、大きな歓声が巻き起こった。
この日堂々のセミWINDで行われたロイヤル北条VSオーガ朝比奈のシングルマッチ。
誰もが正規軍エースロイヤル北条の勝利を確信していたのだが、終わってみれば勝ったのは朝比奈の方だった。
20分近い熱戦の末、朝比奈の得意技であるオーガクラッシャーで北条から見事ピンを奪ったのだった。
「負ける気がしねえぜっっ!」
リング上で勝ち誇る朝比奈に無言で背を向け控え室へと足早に戻る北条。
「まさか北条が負けるとは…」
「朝比奈の潜在的なパワーの高さでしょうな。爆発力を北条は見誤りましたな。」
北条に油断があったわけではないだろうがエースと期待されただけにこの結末はいただけない。エースの看板がいきなり旗揚げシリーズで揺らいでしまった。
さらに、この敗北のショックを引きずったのか、北条は最終戦でもバニーにフォール負けを喫してしまう。
来月からのシリーズでの復権を期待するしかあるまい。
旗揚げシリーズで大きく評価を落とした北条とは逆に、評価を大きく上げたのは意外にも朝比奈だった。
第7戦でベビーエース・ロイヤル北条をシングルで撃破した勢いのまま最終戦のメインイベントに出場。
師匠ガルム小鳥遊と組んでWWCAタッグ王者スナイパーシスターズと対戦し、なんとスナイパーシスターズを撃破してしまった。
「やったぜ大将!」
「騒ぐなって…これくらいはやれて当然なんだからよ。」
フォールを奪った小鳥遊は勝利を喜んではいたが浮かれてはいなかった。
「運よく勝てたけどよ。あいつらの実力はこんなもんじゃねえからな。」
負けたとはいえ余裕の表情で引き上げていくスナイパーシスターズ。まだまだ奥がありそうだ。
「ふむ…こういう展開になるとは思いませんでしたな。北条の巻き返しに期待しましょう。それにしても朝比奈は思っていた以上にいいですな。」
「ですね。ここまで活躍してくれるとは思いませんでしたよ。」
大きめの箱で勝負をかけた旗揚げシリーズは、過半数を超える動員を確保するのが精いっぱいで、赤字で終わってしまった。
「まだ1500人の会場は早すぎたようですね。」
「すまない。これほどまで動員に苦戦するとは思わなかったんだ。」
霧子さんの渋い顔を見て頭をかくことしかできなかった。
「とはいえ損益分岐点はほとんどクリアしていたから…悪くてとんとんくらいだと思っていたのだが、赤字とはね。なんだか予想以上に経費がかかってないかい?」
私の質問に霧子さんは一枚のプリントを手渡した。
「赤字の原因はずばり”食費”です。」
「食費?十分に予算を組んでいたはずだろう?」
私は首をひねった。
「はい。普通なら余裕で足りるはずなのですが…その…うちの所属選手には二人ほどバキュームのように食べるのがいますので…」
「祐希子とソニックか?」
「はい。二人の食費だけで他の全員分以上かかっていますので。」
…それは食べ過ぎだろう。
「………食うなともいえないしなあ。」
「ええ。ですが安心してください社長。北条家の関係者と市ヶ谷財閥から我が団体に対し資金の提供がありましたので、赤字は解消されます。」
「選手に援助してもらう形になるとは…」
「いえ、あくまでもグループ企業の独断だそうです。」
「…ありがたく頂いておこう。わが団体が大きくなった時には必ず借りは返さねばな。」
こうして旗揚げシリーズが終わりNEW WINDは本格的に始動することになる。
第12話へ
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北条さんとは実質1年も空いてないのでカード運次第では……なところがありますけど、スナイパーシスターズから獲っちゃったというのは凄いですねぇ>朝比奈
こうスタートが良いと、どこで挫折がくるのかドキドキです(笑)。