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2017/08/18 02:24 |
”アイドルの 限界こえて みせるわよ”(前編)
 非イラスト化川柳SSチャレンジ作品&藤島瞳SSシリーズ第2弾

 ☆合作SS試作型NX-N01☆
 
 「3!」
 三度目の右手が振り下ろされ、3カウントが入った。
「ああ~。」とため息が漏れる場内。
 フォールを取られた藤島瞳は天井を見つめていた。

「・・・負けちゃったか。」
 勝ち負けにはあまり興味がないとはいえ、負けたら負けたで少しは悔しいものだ。それに今日は勝ちに行った試合だから、いつも以上に悔しい。

 勝ち名乗りを受けるボンバー来島を下から見上げながら、藤島はある事に気づいた。
「そういえば、最後に勝ち名乗りを受けたのはいつだったかな?」
 記憶をたどってみるけど、思い出せない。
「これで55連敗ですよ、瞳先輩。」
 介抱しながら榎本綾が心配そうな顔をする。
「55連敗か・・・一月8試合だから・・・」
「だいたい7ヶ月くらいだよ、たぶん。」
 榎本は慣れた手つきでダメージを受けた藤島の首を伸ばしたり、冷やしたりしている。
「つつ・・・来島はんったら、加減なしなんだから。」
「仕方ないよ。来島先輩は、自分探しの100番勝負終えたばかりだし・・・それに・・・」
 榎本は言いかけてなにかに気づいてあわてて自分の口を押さえた。
「それに、なによ。」
ブンブンと首を左右に振りなりながら、「な、なんでもないよ。」と榎本はごまかした。
「私はアイドルレスラーだから・・・って言いたいんでしょ。」
 藤島は榎本が用意してくれたタオルを頭に被ると、立ち上がってリングを降りた。
「ま、待ってよ~。」
 榎本はあわててバケツなどの道具を掴むと、藤島の後を追った。
バケツにスコップが入っていても違和感がないほど、榎本とバケツは似合っていた。
 このバケツが青い物ではなく、赤くて、少し小ぶりで、イチゴの絵が描いてあれば完璧だろう。

「藤島、よく頑張ったぞ。」
 客席から拍手が送られる。
「よく頑張った・・・か。」
 藤島は心の中に引っかかるものを感じた。
「先輩、お疲れ様です。」
 次の試合に出るキューティ金井が声をかけてきた。
「・・・頑張りや。」
 藤島はひとことだけ答え、控え室の扉を開けた。

「青コーナーより、キューティ金井、富沢レイ、永原ちづる組の入場です。」
 リングアナの声が聞こえ、金井への声援が高まる。
「凄い人気だな、金井先輩。」
 榎本がなにげなく呟いた一言が、藤島の心に引っかかる。
「金井・・・か。」

 藤島は控え室にある長いすに腰かけ、西陣のコスチュームの帯を緩めた。
「ふ~っ・・・」 
 大きく息を吐く藤島。
ボンバー来島から受けたダメージはまだ残っている。
「最後、バックドロップだったよね?」
 藤島は榎本に尋ねた。
「うん。豪快かつ綺麗なバックドロップだったよ。麗華様みたいに豪快かつ華麗かつ『びゅてぃほー』じゃなかったけど。」
 榎本はみんなが距離を置く、危険人物ビューティ市ヶ谷と仲が良い。
「綾もバックドロップつかってみたくなっちゃった。・・・あ、ごめんなさい・・・」
 榎本は興奮気味におしゃべりしていたが、藤島がバックドロップでやられた本人であるが事を思い出し、あわてて謝罪した。
「・・・別にいいわよ。事実を確認しただけだから。綾の体格でバックドロップが出来たら、お客さんきっと大騒ぎだと思う。私じゃ教えられないけど、市ヶ谷はんならきっと教えてくれると思うわ。」
「本当?麗華様教えてくれるかな?」
「大丈夫、綾になら教えてくれるよ。」
「そうかな?そうかな?」
 榎本はまた興奮しているようだった。
「私はちょっと独りで考えごとしたいから、市ヶ谷はんとこ行っておいで。」
「大丈夫?頭悪くない?」
 榎本は心配そうな顔をするが、自分の失言には気づいていない。
「もう、綾ったら。悪くないわよ、ちょっぴり痛いだけ。」
 藤島はちょっぴりプンプンしてみせた。
「ご、ごめんなさい・・」
「気をつけなよ。綾の同期はつかさとか美沙とか問題児ばっかりなんだし。」
「は~い。」
 榎本は市ヶ谷のところへ行く為に出ていった。

「やっぱりバックドロップだったのね。あそこはジャーマンで来るかと思ったのに・・・手加減されたか・・・」
 藤島は大きくため息をついた。
「本気で勝つつもりだったのに。悔しいなあ。」
 『よく頑張った。』という観客の言葉が再び頭に響く。
「よく頑張った、善戦した・・・これがうちの今の評価って事ね。」
 藤島瞳は全国区で名前が知られるレスラーであるが、その知名度はバラエティ番組やCM・歌番組などで得たアイドルとしての知名度である。
 世間的には、『アイドルがプロレスもする』と言う認識。
エンタメ路線の団体ではお笑い芸人やアイドルが、リングに上がると言うご時勢だけに、そういう認識もやむなしなのかもしれない。

「ウチは、レスラーのアイドルタイム(空き時間)に映画出たりしているだけ・・・でもその逆に見られてしまうんかなあ。」 
 女子プロレス界最強・無敵のアイドルとして君臨する藤島だが、レスラーとしての実力は前座レベルでしかない。
『凄い人気だな、金井先輩。』
 榎本の言葉を思い出す。
「美加がここまで人気あるなんて思わなかったな。」
 無敵のアイドルである自分が単なる泣き虫に負けるとは思っていないが、気になる存在であることは間違いない。

「入るぞ、藤島。」
 団体の社長がガチャリとドアを開けて入ってきた。
「ちょ、ちょっと待って!」
 藤島は自分が帯を緩めたままであることに気づき、声を上げたが、もう社長は中に入ってきていた。


(続く)





 ボンバー来島VS藤島瞳の試合内容についてはコチラをご覧ください。
 この試合終了後の藤島サイドのお話として書いています。
ただ、こちらの設定をはめ込んでいますので、正確な続編ではありません。
 単独作品でもあり、別の作者の別のSSの流れを受け継いでいるという合作風の作品です。
 
 ※なお、後編は土曜日のUPを予定しています。※

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2007/09/13 19:38 | Comments(3) | レッスルSS

コメント

 昨日職場で休憩中に携帯で見ましたが、「自分探しの100番勝負」という単語を序盤に発見、リンクを見たら自分のブログだったんでびっくりしました。
 確かにそんなことを書いていたなーと思い出しました(実際忘れていました>爆)

 他サイトによる話の流れから、あるキャラの視点で書く。
 藤島ちゃんが試合に負けた後どうしていくのか、それを書くのにレッスル川柳を生かしているところがうまいと思いました。
 登場キャラの視点を変えれば、今回の話の流れを踏まえつつ、まだまだ続けられそうな感じも。
 そしてそれらを基に、「次の流れ」を書くこともできそうですし(例:無敵のアイドルレスラー藤島瞳、ついにIWWF王座に挑戦!)
 後編も期待しています。
posted by harutoat 2007/09/14 08:52 [ コメントを修正する ]
>harutoさん
 川柳SSを書きはじめた時に、そちらの藤島VS来島戦を使わせてもらおうと思いました。
 単独の話でありながら、続けても楽しめる。
そんな風につなげられたら面白いかなと。
 後編は土曜にUPしますね。

posted by Nat 2007/09/14 16:10 [ コメントを修正する ]
>川名ユタカさん
 切り開いているつもりはありませんが、盛り上げに貢献できればと思っています。
 レッスル専属も気づけば一年。早いものですねえ。
 文での合作は難しい部分はありますが、今回のような書き方ならば、自由度を残したまま話を構築できると思います。
 
posted by Nat 2007/09/14 16:12 [ コメントを修正する ]

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