非イラスト化川柳SSチャレンジ作品&藤島瞳SSシリーズ第2弾
☆合作SS試作型NX-N01☆
この話は後編です。前編をお読みになってから読まれる事を推奨します。
☆合作SS試作型NX-N01☆
この話は後編です。前編をお読みになってから読まれる事を推奨します。
「入るぞ、藤島。」
団体の社長がガチャリとドアを開けて入ってきた。
「ちょ、ちょっと待って!」
藤島は自分が帯を緩めたままであることに気づき、声を上げたが、もう社長は中に入ってきていた。
「きゃっ。」
藤島はあわててはだけていた襟をつかみ前を隠した。
「きゅ、急に入ってこないでよ!」
「いや、何度もノックをしたんだが、返事がないから、意識を失っているのかと思ってさ。」
「う、後ろ向いていてよ。」
「あ、ああ。」
社長は後ろを向いた。
「まったくもう。」
藤島は帯をきゅっと締め直し、はだけていたコスを直した。
「もういいわよ。」
「あ、すまない。」
「まったくもう。レディの控え室に勝手に入ってくるなんて、社長のエッチ。」
「すまない。だけどさ、中にはインナー着ているんだし、そんなに怒らなくても。」
頭をボリボリと書きながら社長はボソボソと呟いた。
「気分の問題よ。なんか嫌じゃない?」
「う~ん、私ははだけているほうが好きだが・・・」
正直な感想である。
「・・・エッチ。」
「うるさい。正直な感想だ。」
「いくら私が魅力的だからってHなことしたら許さないわよ。」
「・・・するかっ!所属選手に手を出すわけがないだろう。」
「どうだか。じゃあ・・・フリーの選手ならいいの?」
藤島はとんでもない事を聞く。
「う~ん、所属選手ほど問題にはならないかな・・・」
「ふ~ん。ねえ、社長、鏡さんとはどこまで進んでいるの?」
藤島はさらにとんでもないことを聞いた。
「なっ・・・」
「だって鏡さんって、あのプロポーションでしょう?それに団体所属じゃないし、社長の事気に入っているみたいだし・・・」
「ば、バカヤロウ。何もねえよ。」
社長は思わぬ事を聞かれ、顔をまっかにする。
「ムキになるところが怪しいなあ。」
「む、ムキになってなんかない。」
いや、ムキになっていると思うよ。
「嘘。鏡さんと何かあるんでしょ?」
「ないよ、私は他に・・・」
言いかけて口をつぐむ社長。
「他に好きな子がいるの?誰?誰よ?」
「いないよ。とにかく私は所属選手には手を出さない。」
「ってことは所属選手の中にいるのね?」
社長は言葉に詰まった。つまり認めたって事だろう。
「ふ~ん。そうなんだ。」
「そ、そんなんじゃないよ。それより話がある。」
「何よ、ごまかそうとしても駄目なんだから。」
「大事な話だ。」
社長の顔が真剣になる。
「何よ。」
「藤島、限界を感じていないか?」
「えっ?」
自分の心を見透かしたかのような社長の言葉に、藤島は驚きの声を上げていた。
「私、限界かもって思ってないか?」
「・・・」
藤島は言葉が出なかった。
「・・・」
社長は辛抱強く藤島の返答を待った。
「い、いやだなあ、社長。わ、私は無敵のアイドルだよ。限界なんてないよ。」
ぎこちない返事だ。
「誤魔化しても駄目だ。藤島、お前は限界だと思っているだろう?」
「・・・」
「あのなあ藤島、まだお前は全然限界なんかじゃないぞ。アイドルとしてもプロレスラーとしてもまだ伸びる余地は十分残っているんだ。私は信じているんだぞ、藤島の潜在能力の高さを。」
社長は真面目な顔で言う。
「私の潜在能力の高さ?」
「そうだ。アイドルとしても今のポジションより上に行けるだけの素質を持っているし、レスラーとしても持っているポテンシャルの10%も引き出せていないよ。」
「またまたぁ。上手いこと言って、やる気にさせようなんて思ったって騙されないんだから。」
「いや本気だ。私は藤島ならプロレス界を支える存在になれると思っている。藤島は自分で自分の可能性を狭めてしまっているんだ。」
社長はいつになく真剣な顔をしていた。
「狭めて・・・しまっている・・・ウチが?」
「ああ、そうだ。『私はアイドルだからここまででいい。』と思っている部分が必ずある。今日の試合だって本気で勝ちにいっているように見えて、全力を出し切っていないだろう?本当の藤島の実力を発揮できれば、もっと違った試合になっていた。」
「ウチの本当の実力・・・」
「そうだよ藤島。アイドルとしても、もっともっと飛翔できる逸材だし、レスラーとしてももっともっと輝ける。」
社長の熱弁は止まらない。
「・・・」
「藤島、『アイドルの限界こえてみせてみろ。』藤島が感じている限界は、まだまだ限界なんかじゃない。」
「まだ限界なんかじゃない・・・か。わかったわ、社長。『アイドルの限界こえて、みせるわよ!』」
藤島の瞳に光が戻った。
纏う西陣に負けぬ輝きを放つ瞳。
アイドルレスラーだから、ここまででいい。
アイドルレスラーだから、弱くてもいい。
アイドルレスラーだから、負けてもいい。
アイドルレスラーだから、ベルトに縁がなくてもいい。
そんな全ての枠を取っ払い、限界をこえてみせろ。
「ついでに、アイドルだから、ここまでしか露出できない・・・ってのも超えてみせてくれると嬉しいのだがね。」
社長が本音を漏らした。
「ちょっとお、今だって結構ギリギリ限界ショットなのよ。これ以上は見せられません。」
「う~ん、そこをなんとか。」
「ダメ。」
「いや、そこを超えないと・・・ダメだ。」
「いやよ。」
「だめだ。」
「いやよ。」
「だめだ。」
この言い合いはしばらく続いたそうです。
藤島瞳が、本当にアイドルの限界をこえたかは、また別の機会のお話となります。
(終)
『アイドルの 限界こえて みせるわよ』 (Nの非イラスト化採用句です。)
主演 藤島瞳
出演 榎本綾、ボンバー来島、キューティ金井、社長
さてこのお話は単独作品として書きつつ、harutoさんのサイトで連載されているボンバー来島主役の話のサイドストーリー的にも書いてあります。
『ボンバー来島VS藤島瞳』のシングルマッチの内容については、コチラでご確認ください。
相違点としては、あちらでは菊池が登場しますが、こちらでは榎本に代わっています。
これは書き手の都合で、菊池より榎本の方が書きやすいからです(笑)
またあちらは新女ですが、こちらは新女ではありません。
合作の一つの方法として、一つの話を別の視点から見ながら、また別の話を展開するという方法を構築してみました。
リレー式とは違った形ですが、こういうのもありかなと思っています。
なおこの川柳自体は、イラスト化を狙ったもので、遊べる川柳でしたが、イラスト化どころか、かなりの低空飛行でした。
即日UPできるように原稿書いておいたのになあ(苦笑)
なお、このお話の後日談は二つに分岐します。
一つは、『藤島瞳のお話』で、もう一つは『榎本綾のお話』です。
分岐する二つの話を私以外の誰かが書く事も可能だと思います。
話の中にサイドストーリーが展開できるようにしておくことで、話を広げる事ができ、それを組み合わせる事で、一つのワールドを形成する事ができるかもしれませんね。
それぞれの話は単独で楽しめ、つながりを知っているとより深く楽しめる。
そんな合作SSになっても面白いのではないかなあ。なんて思っています。
団体の社長がガチャリとドアを開けて入ってきた。
「ちょ、ちょっと待って!」
藤島は自分が帯を緩めたままであることに気づき、声を上げたが、もう社長は中に入ってきていた。
「きゃっ。」
藤島はあわててはだけていた襟をつかみ前を隠した。
「きゅ、急に入ってこないでよ!」
「いや、何度もノックをしたんだが、返事がないから、意識を失っているのかと思ってさ。」
「う、後ろ向いていてよ。」
「あ、ああ。」
社長は後ろを向いた。
「まったくもう。」
藤島は帯をきゅっと締め直し、はだけていたコスを直した。
「もういいわよ。」
「あ、すまない。」
「まったくもう。レディの控え室に勝手に入ってくるなんて、社長のエッチ。」
「すまない。だけどさ、中にはインナー着ているんだし、そんなに怒らなくても。」
頭をボリボリと書きながら社長はボソボソと呟いた。
「気分の問題よ。なんか嫌じゃない?」
「う~ん、私ははだけているほうが好きだが・・・」
正直な感想である。
「・・・エッチ。」
「うるさい。正直な感想だ。」
「いくら私が魅力的だからってHなことしたら許さないわよ。」
「・・・するかっ!所属選手に手を出すわけがないだろう。」
「どうだか。じゃあ・・・フリーの選手ならいいの?」
藤島はとんでもない事を聞く。
「う~ん、所属選手ほど問題にはならないかな・・・」
「ふ~ん。ねえ、社長、鏡さんとはどこまで進んでいるの?」
藤島はさらにとんでもないことを聞いた。
「なっ・・・」
「だって鏡さんって、あのプロポーションでしょう?それに団体所属じゃないし、社長の事気に入っているみたいだし・・・」
「ば、バカヤロウ。何もねえよ。」
社長は思わぬ事を聞かれ、顔をまっかにする。
「ムキになるところが怪しいなあ。」
「む、ムキになってなんかない。」
いや、ムキになっていると思うよ。
「嘘。鏡さんと何かあるんでしょ?」
「ないよ、私は他に・・・」
言いかけて口をつぐむ社長。
「他に好きな子がいるの?誰?誰よ?」
「いないよ。とにかく私は所属選手には手を出さない。」
「ってことは所属選手の中にいるのね?」
社長は言葉に詰まった。つまり認めたって事だろう。
「ふ~ん。そうなんだ。」
「そ、そんなんじゃないよ。それより話がある。」
「何よ、ごまかそうとしても駄目なんだから。」
「大事な話だ。」
社長の顔が真剣になる。
「何よ。」
「藤島、限界を感じていないか?」
「えっ?」
自分の心を見透かしたかのような社長の言葉に、藤島は驚きの声を上げていた。
「私、限界かもって思ってないか?」
「・・・」
藤島は言葉が出なかった。
「・・・」
社長は辛抱強く藤島の返答を待った。
「い、いやだなあ、社長。わ、私は無敵のアイドルだよ。限界なんてないよ。」
ぎこちない返事だ。
「誤魔化しても駄目だ。藤島、お前は限界だと思っているだろう?」
「・・・」
「あのなあ藤島、まだお前は全然限界なんかじゃないぞ。アイドルとしてもプロレスラーとしてもまだ伸びる余地は十分残っているんだ。私は信じているんだぞ、藤島の潜在能力の高さを。」
社長は真面目な顔で言う。
「私の潜在能力の高さ?」
「そうだ。アイドルとしても今のポジションより上に行けるだけの素質を持っているし、レスラーとしても持っているポテンシャルの10%も引き出せていないよ。」
「またまたぁ。上手いこと言って、やる気にさせようなんて思ったって騙されないんだから。」
「いや本気だ。私は藤島ならプロレス界を支える存在になれると思っている。藤島は自分で自分の可能性を狭めてしまっているんだ。」
社長はいつになく真剣な顔をしていた。
「狭めて・・・しまっている・・・ウチが?」
「ああ、そうだ。『私はアイドルだからここまででいい。』と思っている部分が必ずある。今日の試合だって本気で勝ちにいっているように見えて、全力を出し切っていないだろう?本当の藤島の実力を発揮できれば、もっと違った試合になっていた。」
「ウチの本当の実力・・・」
「そうだよ藤島。アイドルとしても、もっともっと飛翔できる逸材だし、レスラーとしてももっともっと輝ける。」
社長の熱弁は止まらない。
「・・・」
「藤島、『アイドルの限界こえてみせてみろ。』藤島が感じている限界は、まだまだ限界なんかじゃない。」
「まだ限界なんかじゃない・・・か。わかったわ、社長。『アイドルの限界こえて、みせるわよ!』」
藤島の瞳に光が戻った。
纏う西陣に負けぬ輝きを放つ瞳。
アイドルレスラーだから、ここまででいい。
アイドルレスラーだから、弱くてもいい。
アイドルレスラーだから、負けてもいい。
アイドルレスラーだから、ベルトに縁がなくてもいい。
そんな全ての枠を取っ払い、限界をこえてみせろ。
「ついでに、アイドルだから、ここまでしか露出できない・・・ってのも超えてみせてくれると嬉しいのだがね。」
社長が本音を漏らした。
「ちょっとお、今だって結構ギリギリ限界ショットなのよ。これ以上は見せられません。」
「う~ん、そこをなんとか。」
「ダメ。」
「いや、そこを超えないと・・・ダメだ。」
「いやよ。」
「だめだ。」
「いやよ。」
「だめだ。」
この言い合いはしばらく続いたそうです。
藤島瞳が、本当にアイドルの限界をこえたかは、また別の機会のお話となります。
(終)
『アイドルの 限界こえて みせるわよ』 (Nの非イラスト化採用句です。)
主演 藤島瞳
出演 榎本綾、ボンバー来島、キューティ金井、社長
さてこのお話は単独作品として書きつつ、harutoさんのサイトで連載されているボンバー来島主役の話のサイドストーリー的にも書いてあります。
『ボンバー来島VS藤島瞳』のシングルマッチの内容については、コチラでご確認ください。
相違点としては、あちらでは菊池が登場しますが、こちらでは榎本に代わっています。
これは書き手の都合で、菊池より榎本の方が書きやすいからです(笑)
またあちらは新女ですが、こちらは新女ではありません。
合作の一つの方法として、一つの話を別の視点から見ながら、また別の話を展開するという方法を構築してみました。
リレー式とは違った形ですが、こういうのもありかなと思っています。
なおこの川柳自体は、イラスト化を狙ったもので、遊べる川柳でしたが、イラスト化どころか、かなりの低空飛行でした。
即日UPできるように原稿書いておいたのになあ(苦笑)
なお、このお話の後日談は二つに分岐します。
一つは、『藤島瞳のお話』で、もう一つは『榎本綾のお話』です。
分岐する二つの話を私以外の誰かが書く事も可能だと思います。
話の中にサイドストーリーが展開できるようにしておくことで、話を広げる事ができ、それを組み合わせる事で、一つのワールドを形成する事ができるかもしれませんね。
それぞれの話は単独で楽しめ、つながりを知っているとより深く楽しめる。
そんな合作SSになっても面白いのではないかなあ。なんて思っています。
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この後を見て見たい・・・そんな気になりましたw