この物語は一人の少女が主人公です。
私は岩井里香。
女子プロレス団体”上野女子プロレス”の第４期生です。
４期生っていっても、まだデビューしてないのでまだプロレスラーじゃないんですけどね。
この上野女子プロレスは、元新日本女子プロレスのスター選手だった上野由里加選手が旗揚げした団体です。
今年で旗揚げから４年目。
まだまだ歴史の浅い、若い団体なんです。
なぜ上野さんが新女を飛び出したのか？
なぜ”上女”を創ったのかはよく知らないけど、私はたまたま観戦した上女の興行を見て、『いいな♪』と思って入団テストを受けました。
それまで格闘技の経験はなかったけど、体操部で鍛えた柔軟性を買われて入団する事が出来ました。
私は岩井里香。
身長１５３ｃｍ 体重５２ｋｇ 群馬県出身の１８歳です。
あ、ちゃんと高校は卒業してますよ♪
今の女子プロレスでは中学卒業してすぐ入団する選手ってのはそんなに多くないそうです。
昔は違ったそうなんですけど、だから私の入団はそんなに遅いわけじゃないみたいです。
先輩の中には私より年下の方もいらっしゃいますけどね。
この団体のエースは上野由里加さん。
ボーイッシュな髪の方で、女性に人気のある選手なんですが、カリスマ性があるっていうか、試合とか見てるとやっぱり憧れちゃいますね。
ファイトスタイルはオールラウンド。
打撃よし、投げよし、関節よし・・・飛んでよし。
凶器も使えるし、火も噴けるけど、それはめったにださない”ダークサイト由里加”の時だけ。
ヒールとの抗争時の切り札的なスタイルで、そのスタイルでは負けたことがないそうです。
そんな伝説を持つレスラーになりたいなあ・・・
でも残念な事に私にはあのスタイルは無理です。
体がもっと大きければよかったのになあ。
「１５３ｃｍだもん・・・無理だよ。 はあ・・・」
「何が無理なの岩井ちゃん？ 溜息までついちゃって。」
「あ、吉川先輩・・・」
私は思わず口にしていたらしい。
「背が低いから無理だな・・・って。」
「あら。 私より高いのに？」
確かに・・・この吉川美知先輩は１５１ｃｍしかない。
体重だってやっと５０ｋｇになったくらいだし・・・
私よりも１回り小さい先輩・・・でもこの人は凄い人なんだ。
キャリアは３年、今年４年目だけど・・・バックボーンが私なんかとは違う。
”柔道４８ｋｇ世界王者”だったのだから。
高速で叩きつける、”竜巻”一本背負いを武器に世界を席巻した凄い人なんだ。
「吉川先輩は柔道というバックボーンがありましたけど・・・私には・・」
「そうかな？ 努力すれば結果は出るんじゃないかな？ 私はそう思うけどね。 もし出来ないと思うんなら・・・辞めればいいんじゃない？」
この人・・・超美人なのに結構きつい事いうんだよなあ・・・
でもこの人は私をやめさせようとして言ってるんじゃないのはわかってる。
厳しいことを言ってるけど、愛があるのがわかるから。
「そうですよね。 私身近にこんなにいいお手本がいるのに・・・最初から諦めちゃってました。 すいません。」
「いいのよ・・・みんなそう思うものだしね、諦めちゃったらそこまで なんだから頑張りなさい。 大体岩井ちゃんはまだデビューすら決まってないんだからね。」
「はい。 ありがとうございます先輩。」
「うんそれでいいの。 じゃ、ちょっとスパーリングの相手してもらえうかな岩井ちゃん。」
吉川先輩は、超美人な顔で微笑む。
女の私ですら見とれてしまう美貌の持ち主。
アイドルでもこんなに可愛い人はいないんじゃないかな・・・
私はせいぜい魅力的程度なのかな。
「岩井ちゃん、レスラーは顔だけじゃないのよ。 力強さでも、華麗さでも美しさでも、パフォーマンスでも・・・素早さでも、打たれ強さでも・・・どんな事でもいいからお客様を魅了するのがお仕事。」
「はい！ 頑張ります！！」
私は岩井里香。
デビューはまだしてないけど、吉川先輩のようなレスラーになりたい。
憧れられるレスラーに・・・なるんだ！！
～ 夢のリングへ 第１話 憧れのレスラー 了 ～
▲解説▲
このお話のベースはガープス☆リングドリームです。
冒頭で名前の出てくる新女は、ソニック・キャットや田中えり子などが所属しているリンドリの新女です。
レッスルエンジェルスサバイバーでは１５歳でデビューが基本ですが、リンドリではそういう縛りはありません。
女子プロレスを題材にしているので、世界観は基本的に同じです。
このあたりに注意してお読みいただければ幸いです。
Ｎ
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私はリンドリは良く知らないのですが、何かと絡んできそうな感じもあることだし
勉強がてら、楽しませていただきます。
頑張ってくださいね～