このお話は、NEW WIND編のサイドストーリーにあたるスターライト相羽が主人公のオリジナルストーリーです。
このお話に出てくる設定はほぼ公式なものではなくオリジナルの設定であり、本編であるNEW WIND編のストーリーと密接にリンクしています。
単独でも楽しんでいただけるとは思いますが、本編 NEW WIND編の方も読んでいただけると、さらに楽しめると思います。
では”星明りの少女 第2話「憧れの人」”
お楽しみくださいませ。
このお話に出てくる設定はほぼ公式なものではなくオリジナルの設定であり、本編であるNEW WIND編のストーリーと密接にリンクしています。
単独でも楽しんでいただけるとは思いますが、本編 NEW WIND編の方も読んでいただけると、さらに楽しめると思います。
では”星明りの少女 第2話「憧れの人」”
お楽しみくださいませ。
そして時は流れ、NEW WIND2月興行最終戦九州ドーム大会当日。
相羽は”ミムラんず”を引き連れ九州ドームへとやってきていた。
懸念された男子達との遠出であるが、相羽の両親は合格祝いも兼ねてあっさりと許可をくれた。信用されているのか、放任なのか・・・
「おお!ここが九州ドームかあ!!」
相羽は長旅の疲れもみせず元気一杯。
一番行きたがっていたのはミムラんず田村だったはずなのだが、相羽のテンションの高さにやられたのか、元気がない。
「さ、サイン会の整理券は先着だったよね!急がなくちゃ!」
サイン会という言葉に反応したのかミムラんずは幾分元気を取り戻したようだ。
その後4人は苦戦しつつも、サイン会の列を見つけたのだが、サイン会の整理券を貰う列は大分並んでいた。
「相羽あ、やばいかもしれないぜ。」
「急ごう!」
相羽とミムラんずは列へとダッシュする。
「間もなく人数一杯となります、お急ぎください。」
拡声器を持った係員の声がする。
「やば!」
相羽と田村が猛ダッシュ。
村田と山村が遅れる。
田村・相羽がほぼ同着で列に飛び込む。
やや遅れて村田と山村が到着したのだが、係員に遮られてしまった。
「申しわけありません。この方までで人数一杯となります。」
相羽が最後ということらしい。
村田と山村が抗議するが、係員は丁寧にお詫びをいうだけで、認めては貰えなかった。
「仕方ない。グッズを手に入れるほうに周るよ。田村ほど熱心な南さんファンじゃないしさ、な。」
「そうだね。しょうがないよ。後でね!」
二人は急いで別のゲートへ。
「田村はそんなに南さんのことが好きなの?」
二人残されてしまった相羽は少々話しずらそうに聴く。
「うん。憧れのお姉さんって感じなんだよね。綺麗だし、クールだろ。それに俺はある程度物静かな方が好きだしね。」
この場にNEW WINDの社長 風間新がいたら間違いなく爆笑し、笑い転げていただろう。
”物静かな女性がプロレスするか?”・・・と相羽は思ったりもした。
「ふ、ふーんそうなんだ。」
実はちょっとだけ田村を意識している相羽なのだが、本人はその気持ちに気づいていない。
その後取りとめのない話をしているうちに、相羽たちの順番が近づいてきた。
ようやく目的の人物に会えるという興奮が二人を支配し始めた。
「すげえ。本物の南さんだ。綺麗だなあ・・・」
「実物の方が全然可愛い・・・」
これが二人の”生南利美”の感想であった。
そしてまずは田村の番。
「南さん、いつも見てました。引退されるのは残念です。もっともっと現役を続けてほしかったです。」
と田村は顔を真っ赤にしながら言う。
「ありがとう。ずっと現役でいたいけどそれは難しいのよ。ごめんなさいね。・・・お名前伺ってよいかしら?」
南は笑顔のまま、田村を見つめながら尋ねる。
本人にその気はなくても、これだけの綺麗なお姉さんにこのような表情をされては純情な男子中学生などイチコロだろう。
「は、はい! 田村正和です。」
声が上ずる田村。
「あら、あの田村正和さんにしては随分若いわね。字も同じなのかしら?」
田村は激しく首を縦に振る。
それを見た南は”田村正和さんへ・・・”と書いてから、色紙へサインを入れる。
「写真持ってきてる?」
「あ、はい。南さんの写真はいつも持ってます。」
てんぱる田村。
「そうじゃないわ。カメラの事よ。」
南は笑顔のまま。
「は、はい。お願いします。」
そばに控えていたスタッフがカメラを受け取り、ツーショット写真をとってくれた。
「ありがとうございます。あ、あの南さん・・・」
田村はカチコチになって南を見る。
「なにかしら?」
相変わらず南は優しい微笑みを浮かべたままだ。
「あの、5年後にお迎えに行きますから、待っていてください!」
田村愛の告白・・・
どうみても中学生の男の子の告白に南は苦笑しながら、「ありがとう。気持ちは嬉しいわ。でも、5年もたったら私は29よ。その時貴方は20歳くらいじゃないのかな。同じ年くらいのいい子見つけたと思うわよ。」
と応えるのだった。
「そ。。。そうですか・・・」
明らかにガッカリする田村。
「ふふ。ありがとう、気持ちは嬉しいわ。若い子に告白されるのも悪い気分じゃないわね。」
南は笑顔で握手を交わし、田村を見送ると、最後に待っていた相羽の方を向く。
「最後の方になります、南選手。」
スタッフが南に告げる。
「そう。わかったわ。どうぞ、相羽さん。」
南は待っていた相羽に声をかける。
「えっ!なんで名前わかるんですか?!」
相羽はびっくりして大きな目をパチクリさせる。
「なんでって・・・お名前書いてあるわよ、カバンに。」
相羽が担いでいたスポーツバックには石川○○中 相羽和希と名前が入っていた。
「あっ・・・そうだった・・・」
その様子がおかしかったのか、南はニコニコとしている。
「相羽さんは、さっきの方と同い年くらいだと思うけどお知り合いかしら?」
「は、はい。同級生です。」
「そう“2人で”石川県からはるばる来てくれたのね。ありがとう。」
「いえ本当は4人だったんですけど、入れなくて。」
相羽は正直に答える。
「あら、本当に?人数だけで判断するなんて、まだまだ完璧な仕事とはいえないわね。相羽さん、そのお二人のお名前教えてくださるかしら。」
南は予備の色紙をスタッフから受け取る。
「は、はい。村田長治と山村美佐雄です。」
南は残っている予備の色紙にその二人の名前を書いてサインをいれる。
「お友達に渡してあげてね。スタッフが融通きかなくてごめんなさいね。」
南は相羽の分と村田・山村の分3枚のサインを相羽に手渡す。
「あ、ありがとうございます!感激です!!」
そして相羽は南とのツーショット写真を撮ってもらった。
「あ、あの南選手!」
まっすぐに南の目を見つめる相羽。
「なにかしら?もしかして貴方も告白?」
南は笑う。
「いえ違います!・・・でもそれに近いかもしれません。ボクはこのインタビュー記事の写真を見てファンになったばかりですけど、南さんにとっても憧れてます。こんな可愛い人が強いなんて凄すぎます!それにとっても優しいですし、ボク、南選手のこと大好きです!」
相羽の1人称がボクであるので、とても告白チックに聞こえる。
「ありがとう。可愛い女の子にそういわれるとなんだか照れちゃうわね。ねえ、その記事にサインしてあげようか?」
普段のクールぶりはどこへ消えたのやら。
あとでスタッフからこの話を聞いた社長の風間は首を傾げていたという。
「ほんとですか!嬉しいです!!」
相羽は興奮しきっている。
南は相羽からガールズ・ゴングを受け取ると、自分の写真の邪魔にならないようにサインを入れた。
「はい、どうぞ。」
「ありがとうございます。あの・・・もう一つあるんですけど、大丈夫でしょうか?」
相羽は時計と周りを気にしながら尋ねる。
「いいわよ。貴方が最後だし、まだアップまでは時間あるから。」
「ありがとうございます。あの、これ手作りなんですけど受け取ってください。」
相羽は手作りの布製人形を手渡す。
2頭身のSD南利美人形だが、南の特徴をよく捉えている。
「あら可愛いわね。ありがとう嬉しいわ。」
南は優しい微笑みを浮かべる。
あとでこの話を聞いた風間社長曰く、「私が同じもの渡したら、完璧じゃないわね。っていうさ。」といったとか言わないとか。
「一生懸命つくりました!私にとって南選手は憧れの人です。南選手みたいになりたいです。」
「相羽さん、相羽さんには貴方のよさがあると思うわ。人に憧れるのはいいけど、真似をしても上手くいかないと思うの。どんな人生を歩むにしても貴方の人生なのだから、誰の真似もせず、堂々と生きていけばいいと思うわよ。憧れてくれるのは嬉しいけど、真似をしてはだめよ。」
南はやっぱり優しい声で言った。
「は、はいありがとうございます!今日の試合、声を枯らして応援します!勝ってください!!」
と相羽は自分のエネルギーを南に注入するように言った。
「ありがとう、頑張るわ。」
女子プロレス界屈指にスター選手 南利美。
南十字星の優しいスターライトは相羽の心を照らす。
NEW WINDマットで出会う事はなかったこの二人だが、縁は確かにあったのだった。
「さあ、試合見るの初めてだし楽しみだな!!」
・・・本人の意識はこの程度だったらしいのだけどね・・・
PR
コメント
ああ~~~
あの人形、相羽のだったのかw
posted by オーサカURLat 2007/01/16 00:25 [ コメントを修正する ]