このお話は、NEW WIND編のサイドストーリーにあたるスターライト相羽が主人公のオリジナルストーリーです。
このお話に出てくる設定はほぼ公式なものではなくオリジナルの設定であり、本編であるNEW WIND編のストーリーと密接にリンクしています。
単独でも楽しんでいただけるとは思いますが、本編 NEW WIND編の方も読んでいただけると、さらに楽しめると思います。
では”星明りの少女 第5話「特訓の日々」”
お楽しみくださいませ。
このお話に出てくる設定はほぼ公式なものではなくオリジナルの設定であり、本編であるNEW WIND編のストーリーと密接にリンクしています。
単独でも楽しんでいただけるとは思いますが、本編 NEW WIND編の方も読んでいただけると、さらに楽しめると思います。
では”星明りの少女 第5話「特訓の日々」”
お楽しみくださいませ。
「オラオラどうした和希い!」
マッキーの声が道場に響く。
「この程度で終わりかよ!それじゃいつまで経ってもデビューなんかできねえぞ!」
「だ、だって体が・・・」
「泣きごと言うなあ!だからあいつに先にデビューされちまうんだよ。”ボクには才能がないから特訓してください!”って泣いて頼んできたのは和希だろうが。」
マッキーはダウンしている相羽の顔を覗き込む。
「お前、本当にケイに勝ちたいのか?この程度の特訓で泣きいれてるようじゃ、ケイの影すら踏めないぞ。」
「ボ、ボクは負けません。」
よろよろと相羽は立ち上がる。
「よっし、いい根性だ。いくぞ!」
マッキーはニカッと笑う。
「は、はい!お願いします!!」
「ちゃんと受身とれよ!マッキーボンバー!!」
マッキーのラリアットをまともに食らい相羽はロープまで吹き飛ばされてしまう。
「おいおい、手加減してんだけどなあ。ちゃんと踏ん張らないとだめだぞ。」
マッキーは相羽を起こしてやる。
「は、はい、すいません・・・」
「おら、もう一丁いくぞ!体で受身のタイミングを覚えるんだ!!」
「ぎゃうっつ!!」
これは拷問やいじめではなく、スパーリング形式の特訓。
5月にデビューを予定している相羽の為、特訓の相手をマッキーが務めている。
「もう終わりか~?」
「まだです!」
相羽の特訓の日々は続く。
同期のジーニアス武藤はすでに4月シリーズでデビューし、デビュー戦で武藤めぐみ相手に食い下がり高評価を得ていた。
「あら練習生の相羽ちゃんじゃない。ま、頑張れば。」
「ぐぎぎ・・・」
相羽とジーニアスはまったくソリが合わない。
ジーニアスは先輩である武藤めぐみをさらにツンケンさせたタイプで、相羽は熱血スポ根娘だ。
そりが合うわけはない。
そもそも先輩の武藤めぐみだって合うのは同期の結城くらいだし。
(もっともそれでも他の人とも会話はするのだが・・・)
ジーニアスが話すのは先輩と必要最低限、あとは相羽に嫌味をいう程度だ。
相羽は常にジーニアスを意識していた。
(ボク、絶対ケイちゃんに負けられない。)
5月シリーズでなんとか相羽はデビューする。
スターライト相羽というリングネームを貰ってのデビュー戦の相手は、なんと現MAX WIND女王の結城千種。
結城の第一試合出場は数年ぶりとあって、それだけで話題になってしまっていた。
「結城を引っ張りだすくらいだから、きっと凄い新人だろうな。」
試合開始前のファンの声をきき、プレッシャーを感じる相羽。
(うわーどうしよう・・・)
「ほら行け和希!誰もお前が勝てるなんて思ってないからよ。気楽にぶつかっていけ!思いっきり体当たりを食らわすのが今日の目標だぞ。」
マッキーに背中をバーンと張られ、相羽は痛みで緊張が解ける。
「は、はい!いってきます!!」
スターライト相羽のデビュー戦の結果は、当然の負け。
だけどマッキーの指示通りに結城に思いっきり体当たりをぶちかますことはできた。
「これで一歩前進。」
満足してはいないが、体に受けた痛みと、まばゆいライト、そして自分に送られる声援。
プロレスラーになったと実感した相羽であった。
「ふふん、6分だから私の勝ちね。」
「なにいってるのさ!ボクの対戦相手の結城さんの方が、ケイちゃんの相手の武藤さんより強いんだし、差はたったの41秒じゃないか。引き分けだよ引き分け。」
「ふん、認めないわ。」
「生意気だな~。直接対決で決着つけてやる!」
「残念だけど、このシリーズでは組まれてないわ。私は先輩達とのタッグを組むけど、貴方は外人選手とのタッグマッチだし。」
「ケイちゃん・・・決着はリングの上でいずれつける。才能ではケイちゃんのほうが上かもしれないけど、努力でカバーしてみせる。ボクは負けない!!」
だがこの後6月シリーズでの相羽はジーニアスとのシングル3連戦で3連敗。
「くっそおおお!どうして勝てないんだ!」
あと一歩、あと一歩のところまでは追い詰めるのだが、あと一歩が遠い。
「あ~あ、壁に当たるなよな。大体お前は勝とう勝とうとするあまり、“力が入りすぎてるのだ”。それでスタミナをロスしているんだよ。」
ここでNEW WIND社長風間新が登場。
いつもながら絶妙なタイミングでの登場だ。
あまりにいつもタイミングが居場所にあらわれるので影武者説、忍者説が流れているが、そんな事はない。
風間が現れるのは本部席、バックステージなど決まった場所だけだ。
「あ・・・社長。」
「タックルをしてみな。私に。」
「えっ!社長にですか??」
相羽はびっくりしている。
「おいおいそんなに頼りないかな?少なくても相羽のタックルでどうにかなるほどやわじゃないぜ。」
このしゃべりはヒールバージョン風間だ。
何気に挑発を入れるのも慣れてきている。
「むかっ!どうなっても知りませんよ!」
「おーこわこわ。全力でこいよ!」
「よ~し見ててくださいよ!てええいいっつ!」
相羽全力のショルダータックル。
ガシっ!
「えーっうそお・・・」
軽々と受け止められ、ショックの相羽。
「だから言っただろ。力を入れすぎてスピードがないから受け止めるのもよけるのも簡単なんだ。そしてっ!」
風間はそのまま相羽の右腕を絡めとり、サザンクロスロック(変形チキンウイングアームロック)の体勢に極める。
「いたった・・・」
「技を出した事に満足するな。次の一手を考えておくんだね。相手によってはよけられるかもしれないし、ジーニアスだったら丸めこんでくるかもしれない、伊達ならヒザで迎撃してくるかもしれない。そう考えておかないと、相手の思うツボだぞ。」
「は、はい。」
相羽は解放されて腕をさする。
(社長・・・なんでこんな技を・・・)
「もう全力で当たる段階ではなく、力の配分を覚えろ。というか、間だな。相羽はマッキーの特訓のおかげでパワーの出し方は学んだようだけど、間が悪い。氷室やみことの試合を見て勉強しなさい。」
風間は飄々とした感じで本部席へと戻っていった。
相羽はマッキーにこのことを話した。
「なんだ知らなかったのか?社長はダンディさんの指導でトレーニングはしているんだぜ。もっとも体力維持が目的だと聞いていたけどね。体もあるし、そりゃ相羽のタックル程度なら受けきれてもおかしくはないだろう。サザンクロスロックはいつ覚えたのか、わからないけど。」
「は、はあ。」
「アタシは直線ファイターだし、そういう間の取り方なら、確かに紫月やみことの方が上だ。じっくり見てみるんだな。」
それからというもの相羽はセコンドや雑用の合間に氷室やみことの試合をじっと見続ける。
「なるほど。みことさんや紫月さんはゆったりとした間をとりつつ、突然スピードを上げて攻撃したりするんだ。緩急・・・か。そして相手の勢いを利用して投げたり、関節に持ち込んだりするんだな・・・」
「おらあ!!」
マッキーのマッキーボンバー。
「ここだっ!」
突っ込んでくるマッキーの腕を交わし、相羽はマッキーの胴を取る。
「てえいっ!」
そしてそのままフロントスープレックスでマッキーを投げ飛ばす。
「どわっ!」
マッキーは受身を慌ててとる。
「よしっ決まった!」
「油断するなあ!!」
マッキーはひょいっと立ち上がると相羽へ、ヘッドバットを叩きこむ。
「いたっ!」
「技が決まったからって油断するな。」
「は、はいっ!!」
そして7月シリーズがはじまる。
二人の対決は最終戦の第一試合で組まれていた。
「おっと。」
相羽はジーニアスの攻撃をするりとかわす。
「てえいっ!」
そして一気にパワーを爆発させての体当たりをぶちかます。
「相羽の癖に生意気な真似を・・・」
ジーニアスは反撃をしようとするが、相羽は今回はいつもとは違った。
体当たりを決めたところまでは同じだが、そのままジーニアスの胴に腕を回していた。
「な、なにを・・・」
「てえいっ!」
出した技はフロントスープレックス。
相羽が今使える最高の技である。
「カバー!!!!」
相羽はジーニアスの右足を抱えて必死にフォールする。
「こ、このっ」
ジーニアスは足をバタバタさせるが、肩をあげることができない。
そしてそのまま3カウント。
直後に肩をジーニアスが肩をあげたが、時すでに遅し。
「やったあ!勝った!!」
相羽初勝利!
「ちょっとレフェリー、私肩上げたわよ。」
「あがったのは3カウントの後よ。」
レフェリーのトニー館は毅然と言い放つ。
「くっ・・・認めない。」
「へっへ・・・ボクの勝ちだよ。」
「くっ・・・でもまだ私の方がリードしているんだから。」
動揺しているのがわかるジーニアス。
「通算成績なんか関係ない。現時点ではボクの方が上って証明だから。」
「な、なんですって?」
ジーニアスと相羽はリング上で取っ組み合いになる。
バシイっ!
ジーニアスの張り手が決まり、相羽はよろめくが、反動をつけて張り手を返す。
カン!カン!カン!
仲間リングアナがゴングを鳴らす。
「こら和希よせ。」
「落ち着きなさい。」
マッキーと氷室が二人をおさえつけ、控え室へと引っ張っていく。
マッキーは相羽をカナディアンバックブリーカーに極め、氷室はジーニアスに紫龍を極めたまま・・・二人はしばらく動けなかった。
ようやく一矢報いた相羽。この二人の張り合いはまだまだ続く。
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コメント
おめでとうございますw
やはり、新人の試合は好きだな~♪
posted by オーサカURLat 2007/01/20 23:19 [ コメントを修正する ]