このお話は、NEW WIND編のサイドストーリーにあたるスターライト相羽が主人公のオリジナルストーリーです。
このお話に出てくる設定はほぼ公式なものではなくオリジナルの設定であり、本編であるNEW WIND編のストーリーと密接にリンクしています。
単独でも楽しんでいただけるとは思いますが、本編 NEW WIND編の方も読んでいただけると、さらに楽しめると思います。
では”星明りの少女 第4話「ライバルとの出会い」”
お楽しみくださいませ。
このお話に出てくる設定はほぼ公式なものではなくオリジナルの設定であり、本編であるNEW WIND編のストーリーと密接にリンクしています。
単独でも楽しんでいただけるとは思いますが、本編 NEW WIND編の方も読んでいただけると、さらに楽しめると思います。
では”星明りの少女 第4話「ライバルとの出会い」”
お楽しみくださいませ。
相羽は志望校に合格していたのだが、ギリギリまで手続きを待ってもらう事にして、NEW WINDの入門テストを受ける。
娘に「プロレスラーになりたい!」といわれた両親は戸惑い、反対もしたのだが、娘の決意が堅いとみると「NEW WINDのテストに落ちたら諦めて高校へ行きなさい。」という条件で入門テストを受けることを許可してくれたのだ。
父親がプロレス好きの友人から「NEW WINDは女子で一番敷居が高いから、そう簡単には受からないよ。」という情報を得ていたのである。
相羽和希は3月2週目の日曜日に再び福岡へと向かった。
2月の最終戦を観てからの始動だから、正直準備期間はほとんどなく、受験で鈍った体を戻すのが精一杯。
「ボク・・・大丈夫かな・・・」
ちょっぴり不安になる相羽であった。
もっとも運動神経は抜群であり、スポーツ推薦の話もあったくらいだから体力には自信はある方なのだが、プロレスラーという職業で要求されるレベルまで到達している自信はなかった。
「で、でもこれが最初で最後だから!頑張るぞ!!」
相羽は気合を入れなおしNEW WINDの道場へと向かった。
「ここが女子プロレス一審査が厳しいと言われるNEW WINDの道場かあ。」
NEW WINDの道場兼選手寮兼オフィスを兼ねているビルの前に相羽和希は立つ。
「入門テストの方ですね。こちらで受付いたしますので。」
腰まである髪が綺麗な女の子が相羽に声をかけてきた。
「あ、はい。そうです、よろしくお願いします。」
相羽は持参した書類を手渡す。
「相羽和希さんですね。受験番号は108番になります。」
(この人スイレン草薙選手だ。確かボクより一つ上のはずだけど、丁寧な言葉使いだな。ボクも見習わなくちゃ。)
「ありがとうございます。」
「控え室はこの扉を入っていただいて左側になります。受験番号順にご案内いたします。相羽さんは一番最後の番号になりますのでお時間はかかるかと思います。」
(また最後なんだ。なんだか最後に縁があるのかな。)
「ありがとうございます。」
相羽はお礼を言って控え室へと向かった。
「さすがに長いなあ。」
人が少なくなった控え室で相羽は自分の番を待っている。
もうかなりの人数が受験を終え、荷物を持って帰っていったのはわかっているのだが。
「まだ合格いないって?」
廊下から声が聞こえてくる。
(厳しいんだなあ・・・)
「そうみたいですね。社長達もがっかりしているみたいですよ。」
この声はスイレン草薙だと相羽にはわかった。
「蓮、シャイ、一人でたわよ。」
(あれ?南さんの声に似ているけど・・・妹のハイブリット南選手かな?)
「本当ですか、寿美さん!」
「ええ。体力テストは満点だったわ。ちょっと生意気そうな子だけどね。」
(やっぱりハイブリット南選手か。声似ているなあ。それにしてもあれだけ受けてるのに一人だけかあ。ボク大丈夫かな・・・)
「ううん、考えてもしかたない。ストレッチでもして体あっためなおそう!」
相羽はじっくりとストレッチで体をほぐす。
「うわー緊張しすぎて、がちがちだよ~。」
元来夢中になりやすい性格の相羽はストレッチに集中し自分の番が来るまでストレッチしていた。
そしてスイレン草薙に呼ばれ道場の入り口へと案内される。
「108番の方どうぞ。」
風間社長の声がする。
「は、はい!よろしくお願いします!!」
相羽は自分を励ますかのように大きな声を出して道場へと入った。
入って正面の長テーブルには風間社長、ダンディ須永、マッキー上戸、草薙みこと、武藤めぐみという審査員が、道場内には永沢舞、吉田龍子、フェニックス遥といった面々がサポート役として相羽を待っていた。
一次テストは体力測定。
かなり厳しいメニューを課せられるが、相羽はなんとか目標時間内にクリアしていく。
(はあ、はあ・・・厳しいや・・・悔しいけど受験勉強で体力落ちてるからキツイ・・・)
かなり”あっぷあっぷ”になりながらも、なんとか最後まで終える。
しばらくすると風間社長から一次テスト合格を言い渡され、準備が整うまで控え室で待つようにと指示された。
(なんとか最初の関門はクリアしたけど・・・)
相羽はバテバテで控え室へと戻り、荷物を持って2次審査進出者用の控え室へと入った。
「あら、お仲間がいたのね。」
先に控え室で待っていた黒髪の少女が相羽を一瞥して意外そうにいう。
「君がもう一人の合格者・・・」
「武藤恵(ケイ)よ。」
「あ、ボク、相羽和希です。よろしく!」
相羽は右手を差し出すが、無視されてしまう。
(なんだこいつ。ツンケンして生意気~!!)
これがスターライト相羽の最大のライバルとなる武藤ケイことジーニアス武藤の出会いである。
この二人は引退するまで意地を張り合い、お互い競い合って
成長していくことになる。
いわゆる終生のライバルといったところか。
二次審査では武藤めぐみしかできないと言われた幻の技”ダブルスピンムーンサルト”を武藤ケイが披露。
そのセンスの片鱗をみせる。
そのあとにアピールすることになった相羽はマッキーの策に嵌められ(?)きついブリッジをさせられる羽目になるが、強靭な足腰をアピールすることに成功。
見事 NEW WINDの9期生として採用されることになる。
「ふ~ん、合格するとは思わなかったわ。ひとまず同期という事になると思うけど、馴れ合うつもりはないから。」
と武藤ケイはジーニアス武藤を名乗り、相羽に独立宣言を言い渡す。
「な、なんだよいきなり。普通さあ・・・同期ならよろしく!とかあるんじゃないの?」
一方の相羽和希は”スターライト相羽”を名乗る事になる。
「馴れ合うつもりはないの。じゃあそういうことでよろしく。じゃあね。」
「なんだよ・・・ボクいきなりこんな展開で大丈夫なのかなあ・・・」
ジーニアス武藤とスターライト相羽、相反する同期は入寮前からこんな関係だった。
そして相羽和希故郷出発の日。
「凄いよな。まさか本当に受かるとは思っていなかったぜ。」
と山村。
「おかげで俺と山村は大損だよ。」
「ってことは田村だけボクを信じてくれたんだね?」
ちょっとうれしい相羽。
「まあな。体力バカだから受かるかもしれないとは思っていたよ。」
「あーひっどいなあ。」
相羽は頬を膨らませる。
「あっはっはごめんごめん。近くに興行来たら応援に行くよ。練習が厳しいからって逃げ出すなよ。」
「うん、約束だよ。」
相羽と田村は指きりをする。こうみると悪くないカップルだと思うんだけどね。
「相羽、どんなレスラーになるか楽しみにしてんぞ。」
「南さんみたいな、”クールビューティ”なレスラーになってみせる!」
「・・・それは絶対ないな。保証するよ。」
「ど、どういう意味だよ!」
「クールでもないし、そもそもビューティじゃないもんな。」
これにはミムラんず爆笑。
「い、いったなあ田村~~!!」
「ほらみろ、そのどこが”クールビューティ”なんだよ。ま、愛嬌はあって可愛いとは思うけどね~。」
この田村の言葉に真っ赤になる相羽。
感動の別れとはいかなかったが、気分的には悪くないまま相羽は電車に乗り込む。
「ミムラんずともしばらくお別れかあ・・・ちょっと寂しいかな・・・」
相羽を乗せ電車は走りだした。
NEW WIND9期生 スターライト相羽のレスラー生活はもうすぐ始まる。
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