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星明りの少女 第7話「贈り物」
 このお話は、NEW WIND編のサイドストーリーにあたるスターライト相羽が主人公のオリジナルストーリーです。

 このお話に出てくる設定はほぼ公式なものではなくオリジナルの設定であり、本編であるNEW WIND編のストーリーと密接にリンクしています。

 単独でも楽しんでいただけるとは思いますが、本編 NEW WIND編の方も読んでいただけると、さらに楽しめると思います。

 では”星明りの少女 第7話「贈り物」” 

 お楽しみくださいませ。


 スターライト相羽は新人王を逃してしまった。

 相羽の所属している女子プロレス団体NEW WINDは8年連続で受賞しており、複数の同期がいる場合は”新人王を獲った者”が出世頭になっている。

 2期生のカンナ神威、3期の結城千種はその後同期のライバルに決定的な差をつけている。
 
「ボクは・・・負けられない!勝つんだ!」
 相羽は頑張っていた。

 そう本当に頑張っていたのである。

 特訓!特訓!!特訓!!!

 特訓好きな相羽が特訓という言葉が嫌いになるほどの特訓を繰り返す。

 だが・・・

「ダメだあ・・・どうしてもケイちゃんに届かない・・・」

 ジーニアスにはシングルで勝つ事はできるのだが、ジーニアスが勝てる先輩には相羽は勝てないでいた。
 その結果、“ジーニアスの方が相羽より上”という評価は変わらず。


「なんでだろう。ボクとケイちゃんってそんなに違うかな?」
 悩む相羽。

“当たり前じゃない。私は天才だし、必要な努力も怠ってはいないわ。”
 というジーニアスの声が聞こえた気がして相羽はキーッツと唸った。

「・・・おさるがここにいる気がする。」
 後輩のなぎさに真顔で言われ、ますますきーっとなる相羽。
「なぎさちゃん、こんな変な人に関わらないで、練習しましょう。上手くできたらお姉さん風船あげるわ。」
「・・・ホント?」

(十分なぎさちゃんの方が変だと思うけどなあ)
 つかみ所のない少女、“なぎさ”の相手を出来るのは今のところ永沢舞と富沢レイだけ(※1)である。



「相羽、ちょっと練習相手になってくれるか?」
 振り向いて声の主を見た相羽は固まる。
(か、カンナ先輩・・・)
 他の人とはあまり打ち解けない雰囲気であり、特に相羽達の世代からすれば遠い存在であるカンナに声をかけられた相羽は狼狽の色を隠せない。
「聞こえなかったのか?なら耳の穴を大きくしてやるかな・・・」
 カンナの眼が光る。
「は、はい!聞こえています!!光栄です。よろしくお願いします。」
 今までカンナと練習したことはないが、折角のチャンスである。
「・・・ならリングへ上がれ。スパーリングだ。 ニヤリ・・・」
(な、なんだ・・・あの最後の笑み・・・怖いっ!!)
「返事がないぞ。耳の穴大きくするか?」
「スパーリングよろしくお願いしますっ!」

 相羽は時々カンナが容赦のないファイト(※2)をするのを知っているので、声が震えていた。

(ボ、ボク・・・大丈夫かな・・・)

 思いっきり不安な相羽だった。






「ぐえっ!」
   

「どうした!気が入ってないぞ!」
 相羽のチョップを平然と受け、カンナはするどいチョップを相羽のノドへと叩きこむ。
「げほっ! は、反則ですよ・・・ノド。」
 せきこみながら抗議する相羽。

「覚えておきな相羽。“5カウント以内なら反則じゃない”。」
 といいつつ、再びカンナのチョップが相羽のノド元をえぐる。
「げほっつ・・・」
 再び咳き込む相羽。

「どうした?打ってこないのか?」
「ええいっ!!」
 相羽渾身の逆水平チョップがカンナの胸板へ。
 だがあまりいい音はしない。

「気が足らない。もっと、体内からエネルギーを手に集めるイメージで打て!それから遠慮はするなっ!喉元へ打ってこい!」

(そ、そんなこといわれても・・・打てるわけないですよっ!)

「ええいっ!!」
 相羽は言われたとおり、手にエネルギーに集中してチョップを放つ。
だがあまりにも集中しすぎた為に、胸板ではなく喉へ入ってしまった。
「あっ・・・」
気づいた時にはカンナが膝をついている。
(や・・・やばい本当に入れちゃった・・・どうしよ~~!!)
 先輩相手に大変な事をしてしまった・・・
 相羽はパニック状態に陥るが・・・

「そうだ。それでいい。今のうち方はよかったぞ。でもまだ威力が足らない!」
 カンナは怒ってはいないようだが、お手本とばかりに、チョップが相羽の胸板へ。

 いい音がして決まり、相羽は膝から崩れる。

(うっそっ!なんでこんなに重いの?)

「どうした?」
「はい、どうしてこんなに威力が違うのかなと。」
 素直な相羽。こういうところが可愛がられるのだろうか。

「筋力では相羽の方が上かもしれないが、私はそれを気でカバーしているからだろう。胸板へでも、ノドでも構わんが、今教えた打ち方ができるようになればチョップ一つで会場を沸かせる選手になれるはずだ。」

「チョップだけでですか?」
 相羽は目をパチクリさせる。
「そうだ。こんな単純な技で会場が沸くとは思わないだろう?だけど、実際にこれが出来るようになれば試合を組み立てるのは楽になるよ。 最初にチョップを出しただけで客席が沸くのだから。こんな楽な方法はない。」
「なるほど。でもカンナ先輩はなんでボクに?」
 そう相羽は不思議に思っていた。
なんであのカンナ先輩が、自分を指導してくれるのかと。
 カンナは微笑みを浮かべる。
優しさの中に寂しさのある笑みだ。

「それは・・・私が引退するからだ。」

 カンナの言葉に固まる相羽。
「引退・・・ですか・・・」
「ああ。もう決まった事だ。シリーズの最終戦で発表する。」
「そんなまだまだ出来ますよ!」
「そういってもらえるうちに引退するよ。相羽、チョップの使い方は覚えること。手ごたえができたら“スターライトチョップ”とでも名づけてみな。」

 相羽は6月シリーズから“スターライトチョップ”と命名、地味な基本技に注目を集める事に成功する。

「たああっ!」
 名前負けしない、いいチョップになるまでにはまだ少し時間がかかるようではあったが。




 そして7月・・・

「おう。相羽リングに上がれ。」
 今度はマッキーに呼び出される相羽。
「久しぶりに特訓してやるよ。体でこの技を覚えてみろ。」
 といってマッキーは相羽をパワーボムで叩きつける。
「いったああ・・・・」
「まだまだ受身がヘタだな。ほれもう一丁!!」
「きゃうっ!!」
 それから何発投げられただろうか。
10発目までは受身を取りながら数えたが、あとは覚えていない。
「どうだ、パワーボムは?」
「い・・いたいです・・・・」
「そうだろうな。この技でフォールは取れるからな。さ、今度はアタシを投げてみろ。」

 この後特訓を重ね相羽はスターライトボムを習得。

「受身をとることで、タイミングを覚えさせられました。痛かったけど防御も上手くなったし、技も覚えるし・・・マッキー先輩には感謝してます。」
 この後の8月大会でマッキーも引退する。


「勝者!ジーニアス武藤!!」

 9月シリーズで組まれた伊達遥VSジーニアス武藤のシングルマッチ。
ここでまさかまさかのジーニアス勝利。
 これにはファンだけでなく関係者もびっくり。相羽は驚くと同時に、悔しい思いをする。
 それを「ケイちゃんにできるならボクだって!」と意気込みに変え、伊達引退シリーズに組まれた伊達とのシングルに燃えた相羽だったが、健闘及ばず3カウントを奪われてしまった。
「和希よくなったね。」
 担当コーチでもあった伊達にそういわれてもやはり悔しいものは悔しい。
「何が足らないのかなあ・・・」
「・・・こだわりすぎるから・・・小さくまとまっているの。・・・ケイだけじゃなく、もっと大きく見る。・・・かな。」
「・・・でもケイちゃんには勝ちたいんです。」
「・・・和希、あのね・・・チャンピオンを目指したら、気持ち変わると思う。・・・」
「チャンピオン?ボクがですか?いまはとても無理・・・」という相羽に伊達の顔つきが変わる。
「はっ!」
 伊達の右足が相羽の側頭部を狙う。
「えっ!」
 相羽は慌ててガードする。
「な、なにするんですかあっ!」
 先輩とはいえこの不意打ちは許せない。
「前の和希なら止められなかった。」
「そ、そうですけどっ!」
 相羽は伊達の意図がわからず混乱する。
「成長しているってこと・・・それに和希はなりたくないの?チャンピオンに。」
「そりゃ・・・なりたいです。」
「だったら・・・目指すの。・・・チャンピオンってどんな存在?」
 伊達はまだ表情が硬い。
「えーと、一番強い人です!」
「・・・そう・・・ケイや、蓮、それに龍よりも強い。」
「吉田先輩よりもですか?あはっ、今のボクじゃそんな大それたこと・・・」
「遠慮・・・しちゃ駄目。目標をどこに置くかで考えかわる・・・の。」
「目標ですか?」
「そう・・・目標。和希が強くなるなら、ベルトを狙う事。そのためには・・・もっと幅を広げるの。」
「は、幅ですか・・・太れってことですか?」
「・・・あとは自分で考えて・・・」
 伊達はちょっとあきれたような顔をしてクルリと背を向けた。
「あ、遥先輩・・・いっちゃった・・・」
 伊達のハイキックを受け止めた左腕がジンジンする。
(いたたっ・・・本気で蹴ってくるんだもん。とめられたのはまぐれだけど・・・そういえばボク手技は覚えてるけど、足技ってないな・・・もしボクにキックがあればもっと幅を持った攻撃が出来るはず。・・・そういうことかあ・・・)

 伊達が最後に伝えたかったもの。“それは視野を広げる事”だ。
 投げ技にこだわるのもいいし、ケイにこだわるのも悪くない。
でも、強くなりたかったらより遠くの目標に向かって行くべきだし、そのためにはどうするかは自分で考えること。
“そうすれば強くなるよ。”というメッセージだった。

「そういえば、カンナ先輩やマッキー先輩もそういう意味で投げ技以外の部分を教えてださったんだ・・・ボク全然気づかなかった・・・いい先輩達に囲まれていたのに・・・」
 さてこれが真実なのかは本人にしかわからない。
特訓にかこつけて、苛めて楽しんでいるだけだったかもしれないし(笑)
でもそんな事をする先輩達でない事は、相羽が一番知っていた。

「投げ技をベースに、カンナ先輩からは“手技”を、マッキー先輩からは“パワー技”を、伊達先輩からは“蹴り技”を・・・後は関節技・・・かなあ・・・」
 
 相羽和希の2年目は視野を広げる特訓で過ぎていく。

 12月に引退するみことから草薙流の手ほどきを受け、相羽の“投げ+オールラウンドスタイル”はこの時期に基礎を固めた。
 飛び技に関してはジーニアスとのライバル対決を繰り返すうちに自然と身に着けていった事を付け加えておく。
 ただ草薙流の本質は投げ+絞め。関節技という面でまだ完全なオールラウンドではない。それを補うのはまたの機会になる。
  
 リングを後にする先輩達からの贈り物。
 この贈り物を相羽が使いこなせるようになるのは、まだちょっとだけ先の事になりそうである。 


※1 富沢レイはカンナと同日に引退し、退団。 その後は永沢が基本的になぎさの面倒を見ている。

※2 カンナはヒールレスラーではないが、団体内で唯一のEVIL属性。 たまに見せる凄味のあるファイトは恐怖の的だった。

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2007/02/14 22:00 | Comments(2) | 星明りの少女

コメント

こうやって受け継がれていたわけですね~w
*見事に勘が外れた記者w
posted by オーサカURLat 2007/02/15 01:32 [ コメントを修正する ]
 こういうのありなんじゃないかな~と。

 確かに理沙子さんにも読める書き方でしたからね、東京で・・・ブランクがあって・・・ですから。
 書き手としてはバレバレ?とか思っていたのですけど。
posted by N at 2007/02/15 12:35 [ コメントを修正する ]

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