このお話は、NEW WIND編のサイドストーリーにあたるスターライト相羽が主人公のオリジナルストーリーです。
このお話に出てくる設定はほぼ公式なものではなくオリジナルの設定であり、本編であるNEW WIND編のストーリーと密接にリンクしています。
単独でも楽しんでいただけるとは思いますが、本編 NEW WIND編の方も読んでいただけると、さらに楽しめると思います。
では”星明りの少女 第8話「3年目のはじまり」”
お楽しみくださいませ。
このお話に出てくる設定はほぼ公式なものではなくオリジナルの設定であり、本編であるNEW WIND編のストーリーと密接にリンクしています。
単独でも楽しんでいただけるとは思いますが、本編 NEW WIND編の方も読んでいただけると、さらに楽しめると思います。
では”星明りの少女 第8話「3年目のはじまり」”
お楽しみくださいませ。
◇11年目◇
相羽のプロレスラー生活も今年で3年目となる。
体つきも大分プロレスラーらしくなってきたし、実力だってついてきている。
すでにJr枠からは卒業している相羽だが、もともとNEW WINDのJr枠はあってないないようなものなので、自分の実力はいまいちわかっていない。
それに未だ同期ジーニアス武藤を評価で上回ることができないままだったし、相羽としては焦りのようなものを感じる毎日だった。
手短なところに目標となるベルトがあればよかったのかもしれないが、相羽が入団した頃からNEW WINDでは保持するベルトの返上が続き、今ではNEW WINDの象徴である“MAX WIND”ベルト(現王者は結城千種)と、AACタッグベルト(現王者は永沢舞と吉田龍子)のみ。
まだまだ相羽にはこのベルトは遠い存在だ。
◇11年目5月◇
「相羽っ!!」
ジーニアスの浴びせ蹴りが立ち上がろうとした相羽にヒット。
相羽は膝から崩れダウンしてしまう。
「カバー!」
1・・・2・・・3!
「16分15秒 浴びせ蹴りからの体固めで勝者 ジーニアス武藤!」
相羽またも対ジーニアス戦勝ち越しならず。
「私はトップだけを狙っていますから。(相羽なんかは)眼中にありません。」
とインタビューでこたえるジーニアス。
「くそっ~!次こそ!!」
相羽は悔しくて仕方ない。
戦績こそほぼ五分だけど、勝ち越しができない。
五分に追いつくと次の対戦では負けてしまう・・・
その結果常に”ジーニアスの方が上”に見られてしまうという状況がデビュー以来続いているのだ。
「どうして・・・ダメなんだろう」
伊達にチャンピオンを狙えといわれ、上を目指している相羽ではあるが、VSジーニアス戦ではどうしても熱くなってしまう。
「もっと冷静にならないとダメよ。」
とラッキー内田。
ラッキーは2月シリーズから負傷欠場していたが、ようやく6月から再復帰の目処が立った。
「はい・・・」
「どうしたの和希?元気ないわね。」
「内田先輩、先輩はどうしてそんなに苦しんでまでプロレスをつづけるんですか?」
ラッキー内田は1度ケガの治療の為に退団して、2年半の時をかけて復帰した。
(※8年目6月退団、10年目12月VS草薙みこと戦で復帰)
だが復帰の直後、再び膝を痛めて入院することになってしまったのだ。
「”プロレスが好き”だからかな。和希だって負けても負けてもプロレスやっているのは好きだからじゃないの?」
負けてもの部分でグサグサと精神ダメージを負った相羽だったが、ラッキーは気付かない。
「は、はい。」
「だったら楽しめばいいと思うわよ。自分と、お客さんを楽しませること。そして強くなればいいと思う。南さんや遥がそうだったようにね。」
「でもボクは・・・」
「あの人達ほど才能がない?」
「はい・・・」
「だったら辞めれば?」
ラッキーの語気が荒くなる。
「悪いけど私だってそんなに恵まれているわけじゃないし、ケガも多かった。それでもまだ上を目指そうって思っていたし、まだそう思っているわよ。」
「・・・」
「南さんだって・・・悩んでいたけど、それでもずっと遥をライバルとして追い続けていたわよ。引退するその日まで。あなたは南さんの引退試合を見て入ってきたんでしょ?一体何を見ていたの?」
「・・・・」
「私はもうそんなに長く現役でいられないけど、あなたよりはよっぽど上をみているわよ。まだ諦めちゃだめ。だいたいジーニアスとの差なんかほとんどないんだからね。」
「は、はい。すいません弱気になって・・・」
「皆から色々受け継いでいたのでしょう?もっと自信を持ちなさい。」
ラッキーに叱責された相羽は再び特訓を開始。
「ボクは強くなるって気持ちを強くもたないといけないんだ。」
特訓を続ける相羽に社長 風間からチャンスが与えられた。
「相羽、次の大会で“ハン”とのシングル組んどいたからな。」
「はい!・・・えっ~!!」
相羽は元気よく返事をしてから言葉の意味に気付いたらしい。
「まさかEWA王者のハン選手ですか?」
「そうだよ。ハンっていったらEWAのハンしかいないだろう?」
「そ、そんなEWA王座っていったら昔のNEW WINDの最高峰のベルトですよ?それを巻いているハン選手と私ですかっ?」
「うん最高峰だったのは昔の話だし、当時のうちの王者に比べたらハンなんて弱い弱い。大丈夫だよ相羽、期待しているからな。」
風間はカラカラと笑いながら行ってしまった。
「ちょ、ちょっと社長~~!!」
風間が去ったドアからジーニアスが入れ替わるように入ってくる。
「聞いたわよ。なんであんたが先にハンとシングルなのか理解できないけどね。」
「け、ケイちゃんいつのまに・・・盗み聞きはよくないと思うよ?」
「あっ!そうか。先に“弱い”相羽ちゃんがハンに負けたところを実力ではるかに勝る私が蹴散らすというシナリオなのね。社長もちゃんと考えているわね。」
相羽の言葉など聞こえてないらしい。
「・・・戦績はボクと五分の癖に。」
と相羽。
「ふん。手加減してあげているだけよ。」
「なにおー!」
「やるっての?」
「先にハンに勝つ!」
「無理!」
「やれる!」
「無理ね。」
とまあそんなやりとりがあって、相羽はVSハン戦に燃えていた。
「明日は、アレを使うつもりです。」
試合を翌日に控えた相羽は誰かに電話を掛けていた。
「自信を持てば大丈夫ですよ、和希さん。あの技を使いこなす素養は十分に持っていますから。」
「はい、ありがとうございます。絶対勝ってみせます。」
そして迎えたハンとのシングル。
打撃を上手くかわし、受け流しながら相羽は隙を見ては打撃で応戦する。
(気を集めるように・・・うてっ!)
カンナの教えが頭によぎる。
強烈なチョップがノド元に入り、悶絶するハン。
「てえええいっ!!」
そこを逃さず右のハイキックを放つ。
(・・・コンビネーションは素早く)
伊達の声が聞こえる。
ハンは相当効いたらしく、まだふらふらとしている。
(ラッシュは一気にいけっ!)
相羽はハンを抱えあげると、強烈なパワーボムで叩きつける。
(よーしそうだ。いいぜ相羽。ちゃんと最後はエビに固めろよ。強烈に叩きつけるだけのパワーボムじゃ片手落ちだからな。固めるのがキモだぞ。)
「フォール!!」
相羽はギュッツとエビに固める。
1・・・2・・・
「くっ!」
ハンはなんとかカウント2.9でクリア。
「はっ!!」
立ち上がったハンの掌底が唸る。
(終盤は大技を狙うので隙が大きくなります。相手の打撃を掻い潜れば機会到来ですよ。)
相羽はダッキングで掌底をかわすと、その腕を掴みながらバックへと回る。
「すごいのいきますっ!!」
バックにまわった相羽はハンの腕を前で交差させて肩車の要領でハンを担ぎあげる。
「うおおおおおっつ!!!」
半回転を加えて高速でそのまま後方に叩きつけ、ブリッジでフォール!
バン!「1!」
バンッ!!「2!!」
レフェリートニー館がマットを叩くたびに会場から3カウントの合唱。
バンっ!!「3!!!」
「11分11秒、相羽流奥義ハイパースターライト(旋回式高速JOサイクロン)により勝者スターライト相羽!!」
「や、やったあ!!」
相羽は精魂つきすわり込んだまま両腕をつきあげた。
スターライト相羽、EWA王者ハンを撃破!!
ジーニアスより先に世界レベルまで到達した相羽の逆襲が始まるかに見えたのだが・・・
「勝者 ジーニアス武藤!!」
次の大会で組まれたジーニアス戦で相羽は敗れてしまう。
「くそっ!次こそはっ!」
「聞き飽きたわよそのセリフ。」
相羽にとってジーニアスのカベは意外と厚いようである。
だが9期生のレベルがEWA王者のレベルまで上がってきている事は確か。
この結果にニンマリとしていたのはもちろん、社長の風間である。
「ようやく育ってきたようだね。だけど、まだ時間はかかるだろう。相羽とジーニアスがMAX WINDに挑戦する時、誰が女王として迎えるか・・・楽しみだな。」
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もっとも、ジーニアスには負けてるようですがw
おめでとう~w