NEW WIND社長 風間新 手記より
このお話は”もう一度あの日のように~再会~”、”それから~再会の後に~”の流れを受けています。
スターライト相羽が主役のため、星明りの少女にカテゴリされていますが、過去の星明り~とは違い風間社長視点で書かれています。
◇18年目12月◇
NEW WIND年内最終興行は埼玉県にある市ヶ谷記念ホールで行うことになった。
「せっかくの年内最終戦ならもっと別のところにすればいいのに…」と露骨に嫌そうな顔をしたのはマイティ祐希子である。
会場は豪華な作りで座席もゆったりとしている。収容人数はやや少なめなものの、ファンからの評判もいい会場だ。だが…何しろその名の通り市ヶ谷記念ホールはその名の通り市ヶ谷財閥の持ち物である。
まあエースの気持ちはともかく経営側からすればこのホールはありがたい存在なのだがね。
都心から近く交通の便もいいし、ファン人気も高い上に、NEW WINDにビューティ市ヶ谷が在籍していることからタダ同然の格安な金額で借りることができる。
「メインは祐希子だぞ。それを忘れるなよ。」
「あちゃ~~~、神聖なタイトルマッチをあそこでかあ…」
「山口の田舎娘には少々豪華にすぎますわね。」と市ヶ谷が反撃。
「ふん、あんなクサレ会館なんて大したことないわよ。」
このあと二人はしばらくの間舌戦を繰り広げることになるのだが…まあそれはいつものことなので割愛しよう。
さて、気を取りなおして年内最終興業の話をしようか。
この大事な大事な年内最終興業のメインは先ほどチラリと触れたようにマイティ祐希子が保持するMAX WIND女王戦だ。
絶対女王”炎の女帝”と呼ばれた祐希子は2度目の女王戴冠後、その座を長い間守り続けていたが、”勝利への執念に目覚めた”ビューティ市ヶ谷に敗れ女王の座から陥落。
その市ヶ谷へのリベンジを誓い関節技の習得に励んだ祐希子であったが、肝心な市ヶ谷が初防衛戦で南智世に敗れて女王の座からあっさり陥落してしまう。
ターゲットを南智世に切り替えたマイティ祐希子は、初公開の”チキンウイングドラゴンスリーパー”で関節の名手南智世からギブアップの声を吐かせ、三度目の女王の座につく。
その祐希子に挑戦するのは、かつてエース候補と目されMAX WIND戴冠したこともある現役最古参9期生のスターライト相羽である。
「南十字星に輝きに導かれた少女は、いつしか自ら輝く星になり、その美しい星明かりでスカイブルーのリングに未来を照らした。だが、より強烈な輝気を放つ炎に照らされいつのまにか輝きを失っていた。しかし、消えたはずの南十字星が不死鳥とともに蘇り、再びスカイブルーのリングを照らし出した時、星明かりの少女はもう一度輝く決意をする。」
団体の掲示板にファンの誰かがこのようなことを書いていたそうだ。
まさにその通りだと思う。祐希子には勝てないと思いこんでしまった相羽は、かつてエースを目指していた時の輝きを失っていたから。
「南さんにできてボクにできないわけはない。でもそのためには準備が必要なんです。」
相羽はそういって私に休養を申し出てきた。
「休むのは構わないがきちんと成果をもって戻ってこいよ。」
「ハイッ!」
相羽は元気に返事をすると憧れの存在である南利美の元へと修行に向かった。
どんな特訓をするのかはしらないが、完璧さを求める南のことだ。かなりハードな特訓をするんだろうな。
相羽は現在目に見えない強敵”おとろえ”と闘っている。ここを乗り切れるかどうかで選手生命も変わってくるだろう。
女王の座陥落以降相羽はシングルでは祐希子には勝っていない。ということは当然ながら下馬評は圧倒的に祐希子優位だ。
私だって普通に考えれば祐希子だろうと思ってしまうくらいなのだから、それも当り前といえる。あとは南とのの特訓で相羽が化けることができるかだろうな。
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遂に、念願の相羽ちゃんの話のが!!!
連続なのかは分りませんが、とにかく続きを心から楽しみにしてますね