ＮＥＷ ＷＩＮＤ社長 風間新 手記より
このお話は”もう一度あの日のように～再会～”、”それから～再会の後に～”の流れを受けています。
スターライト相羽が主役のため、星明りの少女にカテゴリされていますが、過去の星明り～とは違い風間社長視点で書かれています。
このお話は”もう一度あの日のように～再会～”、”それから～再会の後に～”の流れを受けています。
スターライト相羽が主役のため、星明りの少女にカテゴリされていますが、過去の星明り～とは違い風間社長視点で書かれています。
「ＯＫ、ＧＯ！」
レフェリーのギムレット美月の合図で女王戦の始まりを告げるゴングが打ちなされた。
その瞬間「わああああああああっ！」という歓声があがった。 ……いつもなら、この歓声とともに相羽が突っ込んでいくのだが今日は違った。相羽はあえてコーナーから飛び出さすことなくじっくりと余裕を持って祐希子の様子を見ている。
「………」
「………」
両者はゆっくりと動きつつ相手を目で牽制する。
「！」
「っと…」
目の動きで「行くぞ！」とフェイントをかける相羽。祐希子がそれに警戒して反応する。
「…相羽にあんな芸当ができたとはね。少々驚いたな。」
「彼女が常に”ボクがボクが”と言い続けているせいかなかなか実感はできませんが、もう立派なベテランですからな。」
ダンディさんは顎先を右手で撫でた。
「…それに南の指導の元で修行をしてきたわけですからな。その成果でしょう。」
「なるほど。」
リング上は静かながらも緊張感が漂っている。その様子に引き込まれたのか、いつしかファンの歓声も消え、すべての意識が二人の動きを注視していた。
「……」
「くっ…」
先に先に仕掛けたのなんと祐希子の方だった。恵まれたスピードを活かして素早く差をつめると、打点の高い強烈なドロップキックを放った！
「わあっ！」
やっと出た技に歓声が上がったが、それが「おおおおっ！」というどよめきに変わるまでにはさほど時間はいらなかった。
通常ならば相羽の体は後方に吹き飛ばされるのだが、今日の相羽は違った。しっかりと両腕を上げてドロップキックをガードして見事に弾き返したのだ。
祐希子のドロップキックは女子プロレス界でもトップクラスの打点と威力を持っており、そう簡単に弾き返せるものではない。しかも、強烈なドロップキックであったにも関わらず相羽は動一歩も後退していない。
「ほう…あの祐希子のドロップキックを受けてビクともしないとは…」
「相羽は元々足腰が強いですが、これほどではなかったはずです。どうやら相当鍛えてきたようですな。」
私とダンディさんは相羽の足腰の強靭さに感嘆の声を洩らした。
「たああっ！」
ヘッドスプリングで飛び起きた祐希子めがけて、相羽は正面飛びドロップキック！相羽の両足が祐希子の胸部を正確に打ち抜いた。
「アグッ！」
祐希子は弾き飛ばされてしまった。それにしても相羽のドロップキックってこれほど威力があったか？
「ふむ…思いの込められたいいドロップキックですな。」
基本技にはうるさいダンディさんもこのドロップキックを評価する。
「くっ…やってくれるじゃない！」
祐希子は再びドロップキックを放つが相羽もドロップキックでそれを迎撃！二人のドロップキックがリング中央で交錯する。ドロップキックの威力・高さ・フォームの綺麗さ…全てにおいて祐希子の方が上だといわれていたが、今日の相羽は見劣りしない。
「ぐうっ…」
むしろ、威力に関しては相羽の方が強いくらいだ。
「たああっ！！」
打ち勝った相羽は素早く起き上がると、魂を込めたエルボーを祐希子の起き上がりにあわせて打ち込んだ。
「ぐうっ…」
重いエルボーにたまらずグラつく祐希子。だがここで倒れないのが女王の女王たる所以だ。
「…調子にのるなああっ！」
祐希子も強烈なエルボーを返す。
「あぐうっ…」ハードな一撃がテンプルをとらえ一瞬だが相羽の意識が飛んだ。
「はああああっ！」
祐希子はその隙を逃さない。素早くロープへと走って反動をつけると相羽の後頭部を引っ掴みスカイブルーのキャンパスへと豪快に叩きつけた。意識は飛んでいてもプロレスラーは体が覚えているもので、相羽はきっちりと前受身をとっている。
「いたあああっ…」
とはいえ微妙に受けのタイミングを外したらしく鼻を押さえながら立ちあがる相羽。
「ふむ…前受身の練習が足らなかったようですな。もっとも相羽の意識は戻ったようですから、よしとしますかな。」
「祐希子のエルボーの威力も凄かった。何時の間にあのような強烈なエルボーを使うようになったのだろう。」
「ふふっ…人は負けて学ぶものです。一度女王から陥落したからこそでしょうな。」
ダンディさんは満足そうな笑みを浮かべていた。
PR
