なんとなく思いついて書いてみたものです。
「いつもとは違う面を書いてみたいな~」というのがきっかけです。
力を入れて書いているわけではないので、気楽に読めるかなと思います。
なおこの話の舞台はNEW WIND…カテゴリやタイトルでお分かりの通り、社長室を舞台にしたショートものです。
では、続きからどうぞ。
”ティーラウンジ社長室”へようこそ
ある土曜の午後のNEW WIND社長室。
風間新社長は一人パソコンに向かいながら、紅茶を楽しんでいた。デスク右のサイドボードにはティーコジーで保温した紅茶ポットが置かれている。
「うーん、写真集のオファーか。そろそろ受けてもいいのだけどなあ。今は試合に集中させたいよな。」
風間社長はそう呟くと、申請書類に”却下”の文字を記入した。
コン!コン!
社長室のドアをノックする音が聞こえた。
「どうぞ、あいてるよ~」
手記ではやや堅い風間社長だが、本来の姿はこんな感じだ。
「失礼しま~す。」
入ってきたのは、11期生の藤島瞳だった。
「おっ、西陣の姫のお越しか。」
風間社長はにこっと笑うと、右手でソファーを示した。練習着姿の藤島は、コクンと頷くと慣れた様子でそこに座る。
「何を飲む?…ぶぶ茶か?」
風間社長はニッと笑いながら尋ねる。
「あのね。いくら私が京都出身だからって、それはないでしょ(苦笑)そもそも、ここには置いてないじゃない。」
藤島は半ば呆れる。
「あはは…で、何を飲む?」
「そうね。紅茶がいいな。今日はミルクティーな気分なの。」
藤島は甘えた声を出した。
「ふふ、ミルクティーか。ちょっと待ってて。」
風間社長は、社長室の端にある戸棚からマイセンのカップを取り出すと、慣れた手つきで牛乳を先に注ぐ。
「ちょうど今ミルクティーを飲んでいたところだ。すぐに美味しいのを入れるよ。」
サイドボードに置いてあったティーコジーを外し、中に入っていた白磁のティーポットで紅茶を注ぐ。
「はい、お待たせ。」
風間社長は藤島の前に紅茶を置くと、自らの紅茶を持って藤島の反対側に座った。
「ふ~っ…やっぱり社長の紅茶は美味しいわね。」
「ありがとう。で、今日はどうしたんだ?」
「…なんだか、最近思うように体が動かなくって。」
藤島は美しい顔をしかめた。
「ふむ。疲れがたまっているのかもしれないな。」
風間社長は心配そうな顔をする。
「そうかな?」
藤島は肩をまわす。
「…なあ藤島、休みとるか?」
「えっ?」
藤島は怪訝そうな顔をする。
「海外にでも行って休んでくるというのはどうかな?」
「海外?」
「ああ。実は藤島に写真集とイメージDVDのオファーが来ているんだ。」
「それ、ホント?」
「ああ。ワイキキビーチで撮影したいそうなんだよね。」
これを聞いて藤島の瞳が輝く。
「行ってきていいの?」
「…本来なら、興行に集中してもらいたいのだけどね。その様子だと気分転換は必要だろ?」
「うん。」
「やれやれ現金な奴だな。出版社には連絡しておくから、行ってくるといい。」
「ありがとう社長!」
この後、藤島と風間社長はアイドル活動について色々と話し、藤島は紅茶をきっちり2杯飲み干してから社長室を出ていった。
「やれやれ…書類を見直さないといけないな…」
先ほど”却下”と記した書類を取り出すと、風間は横棒を二本引き、”許可”の文字を記した。
「さ~て、来月の対戦カードをもう一度考え直さないといけないなあ…」
風間社長は紅茶を入れなすと、もう一度パソコンへと向きなおった。
PR