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2017/12/11 13:08 |
”さよなら言葉” その95
 NEW WIND社長 風間 新 手記より。



※この手記は基本的にリプレイですが、風間 新 社長視点で書かれており、創作要素を多分に含んでいます。
 ここでの各登場人物の設定は公式なものでなく、管理人N独自のものです。
 それをご了承の上、つづきへとお進みくださいませ。


 1期生最後の一人となってしまった伊達遥が引退する。
すでにライバルだった南利美、カンナ神威はリングを去り、同期も皆NEW WINDのリング上にはいない。

 エースとして支えてくれた伊達もリングを去る時が来たのだ。

「スカイブルーのリングも寂しくなるな。」
 私はとても寂しい気持ちだった。
「舞や龍がいるし・・・それに・・・」
「それに?」
 伊達はちょっと間をおいてから
「・・・社長がいるから。」
 といってくれた。
「・・・私はレスラーではないよ。」
 伊達はちょっと考えてから・・・
「そうだけど・・・舞や龍のように素質のある子がいて・・・社長がプロデュースしてくれるから・・・」
 嬉しい事を言ってくれるなあ。
「ありがとう伊達。そういって貰えると嬉しいよ。」
「うん。・・・社長、今までありがとう。」
「こちらこそありがとう。伊達がいてくれたから今のNEW WINDがある。」

 もちろん伊達一人の力ではないけれど、伊達がいなかったらどうなっていたかはわからない。
 伊達がリング上の主人公であった事は間違いがないから。

「・・・ありがとう。でも私だけじゃない・・・よ。」
「うん。そうだな。伊達がいてみんながいて、それでNEW WINDだったものな。」
「・・・うん。」 

 伊達遥 フェニックス伝説ファイナルロードは以下の通りに決定。

第1戦 VSジーニアス武藤(9期)
第2戦 VS白石なぎさ(10期)
第3戦 VSスターライト相羽(9期)
第4戦 VSシャイニング神威(8期)
第5戦 VS草薙みこと(2期)
第6戦 VS結城千種(3期)&ハイブリット南(6期)
    パートナーはフェニックス遥(7期)
第7戦 VS吉田龍子(5期)&スイレン草薙(8期)
    パートナーは永沢舞(4期)
第8戦 VS永沢舞(4期)

 前半は若手への直接指導の場、中盤は関わりの深い後輩たちとの惜別マッチ。
 最後は弟子永沢が引退試合の相手を務める。

  色々考えたのだが、永沢以外伊達の引退試合の相手はいないだろう。

 永沢と結城は9月シリーズで負った怪我が治ってはいないが、伊達遥引退興行には出ると言ってきている。
 そして引退する伊達も先月のジーニアス戦でケガをしているが、「最後だから・・・」と強行出場の構え。

 皆、無理して悪化させないでくれよ。

 最終戦は新日本ドームを確保、他の7興行はアリーナクラスの会場が中心。

 引退ロードを駆け抜ける伊達。
もう鳳凰の羽ばたきは見られないと思うと寂しいものだ。
 
 だけど、試合を見ていても衰えは明らかだし、これ以上衰えを見せる彼女を見たくない気持ちと、それでもリング上で伊達遥を見たいという気持ちが複雑に絡み、なんともいえない気持ちになる。


 だが、第1戦のジーニアス戦であっさりと敗れた伊達を見て、私の中で前者の思いが強くなった。 

 いくら相手が天才を名乗るとはいえ、正直カンナ、結城、武藤に比べれば明らかに劣る。
 ピーク時の伊達なら負けるような相手ではないのに。


 それでも続く第2戦、第3戦は伊達の貫禄勝ち。

 第2戦のなぎさのパワーをテクニックで完璧に封じこめた。
リーチの差もあり、ロングレンジでの戦いではなぎさはどうしようもなかった。
 この辺りはキャリアだな。 

「・・・ずるい・・・」


 第3戦の相羽は同期でライバルのジーニアスに続けと奮闘。
伊達をカウント2.8までは追い詰めたが、ここからが伊達が凄みをみせる。
 まずするどく重いハイキックを突っ込んでくる相羽の側頭部に叩きこむと、膝から崩れた相羽に必殺のシャイニングフェニックスを叩きこんだ。
 伊達の打撃コンビネーションの前に相羽、轟沈。 

「そんなあ・・・勝てたと思ったのになあ・・・」



 ところが、よかったのはここまでであとはタッグ含め全敗。

「・・・もう無理っぽい・・・」
 という言葉は真実を語っていたか。

 永沢との師弟コンビも今では永沢の動きの方が上だし、余計さびしさを感じてしまった。
 永沢も久しぶりに組んで違いに驚いていたものなあ。


 そしてついにファイナルマッチを迎える。


 伊達の引退試合はダブルメインイベントの第1試合。
 
 その前のセミファイナルで組まれた武藤VSスイレンの試合で、引退する伊達に捧げる勝利を収めたのは、スイレンだった。

 草薙流飛十字(飛びつき腕十字)で武藤から“ギブアップ”の言葉を吐かせる事に成功。
「悔しいけど・・・認めるしかない。油断したわけではないからです。」
 武藤が試合後にこのようにコメントを残した。
 武藤が衰え始めているとは言え、まだまだスイレンに負けるには早すぎる。
「修行の成果が出せました。ですが、運に導かれた部分もあります。もっと精進いたします。」
 スイレンは喜ぶわけでもなく、淡々と感想を述べた。


 そして伊達の引退試合。

「赤コーナーより伊達遥選手の入場です。」
 永沢が待つリングに伊達が入場してくる。
「だ~て! だ~て!」

 テーマに合わせて手拍子がおこり、伊達コールが巻き起こる。
NEW WINDのエース伊達遥、最後の舞台(リング)へ。

 伊達は鳳凰をあしらったガウンをなびかせ花道を堂々と入場してくる。
花道の真ん中で一度立ち止まると伊達は両腕を大きく広げた。

 伊達コールからエネルギーを集めるようにしばらくそのままでいた伊達は、やがてゆっくりと歩きだす。
そして深々とリングに一礼すると、珍しくコーナーポストへと登った。

「赤コーナー宮崎県出身 ”偉大なる鳳凰!” 伊達はる~か~!!」
 機転を利かせて私はコールをいれる。

 それにあわせ伊達はコーナーで両腕を大きく広げる。

 そう、鳳凰が羽を広げているように。

 そして羽から炎を吹き上げるようかのように、大量の紙テープがリングへと投げ込まれる。
 
「青コーナー 福岡県出身”鳳凰伝承”永沢~ま~い~!!」
 
 永沢はどんな思いでリングにたっているのだろうか。

 間近でみた感じでは気合十分に見えたけれど。

「レフェリー、トニー館。」

 セコンド総出で紙テープを撤収。
みんな慣れたものだ。それにしてもこの紙テープの量、紫月の引退の時と同じくらいかそれ以上にある気がするよ。

 伊達と永沢は両手で握手して言葉を交わす。
言葉は聞き取れなかったが、口の動きから察するに・・・

「よろしく、舞。」
「全力でいきますよ、遥さん。」
「望むところ・・・手抜きは許さない。」
「はい。」
 
こんな感じだろうな。 
 
 そして二人はコーナーに散る。

「OK、ゴー!」

 カァンッ!! 

トニー館の合図で、最後の試合のゴングが鳴らされた。


 伊達の“暴れん坊なヒザ”・・・最近は大分大人しくなっていたが、今日が最後、”壊れても大丈夫”とばかりに大暴れ。

 永沢の顎先を鋭いフェニックスJが打ち抜き、みぞおちを重いフェニックスニーが抉る。

「さすがにやるやる。でも舞は負けられません!」

 うまく打撃をかわして組みついた永沢は得意のブリザードスープレックス!
 これは師・伊達から最初に教わった大事な技。

「この程度っ!」
 伊達カウント2.5でクリア。
「今度はこっち!」
 伊達のフェニックススープレックス。鳳凰がリングに羽を広げる。
「まだまだあ・・・」
 永沢はカウント2でクリア。
 しかもブリッジで。余裕あるなあ・・・
「え~いっ!」
 永沢のデスバレーボム。

 これも伊達とのタッグを組んでいる間に覚えた技だ。
「やらせない。」
 伊達はこれを2.8でクリアして、永沢を担ぎあげる。
「こうやるのっ!」
 身長がある分見栄えのする伊達のデスバレーボムが炸裂。
見栄えだけでなく、角度もかなりデンジャラス。
「っつ!」
 永沢はこれを2.8で返す。
が、さすがにダメージが大きく膝をついて立ち上がろうとする。
 
 膝?・・・あっ! 

「勝機・・・見逃すわけにはいかない!」
 伊達の必殺のシャイニングフェニックスが炸裂。

 会場から悲鳴にも似た大歓声があがる。

 1・・・2・・・

トニー館の右腕が3度目のマットをたた・・・「!」

 く前に 永沢はカウント2.9でクリア。

 これが衰えなのだろうか。
以前なら完全に決まっていたタイミングなのに。

「てええいっつ!」
 永沢がここで繰り出した技はなんとシャイニングフェニックス。
さすが“鳳凰伝承”だ。

「カバーです!」

 永沢がカバーに行くと、会場からは悲鳴。 

1・・・2・・・

「くっ!」
 伊達は長い足を利用してサードロープへ足をかける。
ロープエスケープには成功したが、伊達は相当疲れている。

「遥さん!今までありがとうございました!」

 伊達を引き起こした永沢は伊達のバックへ回る。
左腕をチキンウイング気味に、右腕をネルソン気味に固める。

 この体勢は“テキーラサンライズ”

伊達が永沢に授けた、永沢の最強最大の必殺技だ。

 やはり最後はこの技なのか。

 悲鳴と歓声とが交錯するなか、永沢が自慢の綺麗なブリッジで伊達を頭からマットへと叩きつけた。

 伊達は動かない。

 決めた永沢は大粒の涙を流しながら渾身の力でフォールしている。

1度、2度・・・トニー館の右腕がマットへと振り下ろされる。


 トニー館は溜めに溜めたあと首を横に振った。

 例によってこの仕草は“ダメか・・・”と思った時に出るトニー館の癖だ。

 それを知る会場からはため息が漏れ、そのため息を受けながら、トニー館は3度目のマットを叩いた。

 この瞬間ゴングが鳴り響き、伊達遥の最後の試合が終わった事を継げた。

 勝者への歓声はなく、シーンと静まる場内。


「24分19びょう・・・にじゅう4ぴゅ・・・ん19びょう・・・テキいラサンライズにより、しょうじゃ・・・ながさあ・・・まひ。」


 ・・・あのなあ仲間アナ、それはないだろう。

 静まる場内に泣き声交じりの仲間アナの声が響く。

 ちゃんと職務をまっとうしなさいよ。まあ、気持ちはわかるけどね。

 私はマイクを強奪し、「失礼いたしました。只今の試合は24分19秒テキーラサンライズにより、永沢舞選手の勝利となります。」

 リング上では上半身だけ起き上がった伊達に永沢が抱きつき、大泣きしている。

「ぐしゅ・・・」
「舞・・・泣いちゃダメ。」
「だって・・・だって・・・」
「これでお別れじゃないから・・・」
「でも・・・でも・・・」

 この後しばらく永沢は伊達から離れなかった。
ファンの女の子の中にはもらい泣きしている子たちまでいる。

 伊達と永沢・・・師弟の絆はこれほどまでに強かったのか。





 その後メインのMAX WIND戦を挟み、伊達の引退式を迎える。

 最近MAX WIND女王戦は引退試合と同じ日に組まれることが多くて記事が薄くなってしまうなあ・・・
 試合は挑戦者吉田がパワーで女王結城を押し込み、あと一歩まで追い詰めたものの、結城が最後に厳しい角度のサソリ固めを決め、吉田が無念のレフェリーストップ負け。
  
 ☆MAX WINDヘビー級女王戦☆
 ○結城(23分40秒 サソリ固め)吉田×      
  女王結城 5度目の防衛に成功。
 
 少しづつ衰えを見せている結城だがタイトル戦になると断然強い。

 同期の武藤は瞬発力が激しく衰えを見せ、あの美しいフライニングニールキックやダブルスピンムーンサルトの飛距離が確実に落ちてしまっているのに・・・
 結城を崩すのは、永沢か吉田かハイブリットか・・・このまま結城からベルトを取れないようだとNEW WINDのマットの未来は暗いものになるやもしれない。



 そして伊達の引退式。

「・・・みんな・・・ホントにありがとう・・・」
 伊達のさよならの言葉は伊達らしくシンプル。

 これでも気持ちを整えて、伊達は精一杯なんだよ。

 伊達は盛大な拍手に送られ、スカイブルーのリングを去る。
伊達遥をスターにするという当初の私の目標はとうの昔に達成されているし、私がスターにしたわけではない。
 
 NEW WINDを支えてくれたエースが去る。
  
 花道の真ん中にガウンをそっと置き、伊達遥はステージへと向かっていく。

 ステージで出迎えるのは、南利美さん、氷室紫月さん、上戸蒔絵さんの引退した1期生。
 そしてその輪にはラッキー内田の姿もある。

「お疲れ様、遥。」
 南に抱きしめられたところで、お約束。

「赤コーナー 宮崎県出身 ”偉大なる鳳凰” 伊達はる~か~!!」
 
 スカイブルーのリングに多大な貢献をした”偉大なる鳳凰”は、この日その伝説の幕を閉じた。

 ありがとう伊達・・・

私の隣では“クールな秘書”井上さんですら、涙を流している。
 
 
 10年目10月 超満員札止めを記録した新日本ドームにて伊達遥 引退。
 
 ”ありがとう。お疲れ様”

 この日のスカイブルーのリングは伊達にそう言っていたと私は思っている。  





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2007/02/03 19:25 | Comments(0) | NEW WIND編

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