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2024/11/29 00:51 |
”ちょっと遅かったね。” その103
NEW WIND社長 風間 新 手記より。



※この手記は基本的にリプレイですが、風間 新 社長視点で書かれており、創作要素を多分に含んでいます。
 ここでの各登場人物の設定は公式なものでなく、管理人N独自のものです。
 それをご了承の上、つづきへとお進みくださいませ。





 ◇11年目9月◇

 ハッピー枠で参戦したハリケーン神田とうちの11期生藤島との間に事件勃発。
 
 ”遺恨”ではないが、神田にはかなり心中記するものがあるようだ。

「勝者ハリケーン神田!」
 というコールの後、神田がマイクを要求する。
マイクを要求するようなキャラではないと思っていたのだが・・・

「おい、藤島っ!」
 掌底で3カウントを奪われ、左の頬を真っ赤に腫らしている藤島をキッと睨みつける。
「そんな実力でNEW WINDの所属だと?ふざけるな!!」
 その通りだと賛同する拍手が多少あるが、神田に対する罵声の方が圧倒的に多い。
 だが神田はお構いなしに、今度は私を睨む。
「おい、風間っ!こんな雑魚を入れるくらいなら、私をなんでいれなかった!」
 ハリケーン神田は以前うちのテストを受けたことがあるらしい。
 私は覚えていないのだが。

 それにしても社長の私を名指しするとは神田もやるものだね。
「覚えてない。」
 素直な私。
「なんだと?・・・じゃあなんでリングにいまさら上げた?」
「面白そうだと思ったから。テストに落ちた神田は知らないけど、今の神田は面白いと思ったからだ。それだけのことだよ。」
「こんな奴をいれて・・・私が憧れたNEW WINDはどこへ行った?」
「NEW WINDはここにある。スカイブルーのリングはほら、そこにあるさ。」
「違う、こんなリングは私の求めていたNEW WINDじゃない。こんなレベルじゃないだろう!」
 確かに神田の言うとおり、レベルは低下していると思う。
 だが・・・

「このおっ!」

 藤島のドロップキックが神田の後頭部を直撃。
 完全な不意打ちにダウンする神田。
「うちはまだ負けてない。うちのリングを馬鹿にするなら許さないからっ!」
 藤島はマイクを掴んでアピールすると、ダウンしている神田にセントーン。
「この野郎よくもっ!」
 神田と藤島の取っ組み合いが始まる。

カン!カン!カン!

 仲間リングアナがゴングを打ち鳴らす。
 ジャンヌと相羽が飛び込んできて、二人を引き剥がす。

「この男女!」
「なんだとこのキャピキャピがっ!リングに上がるなっ!」
「自分が可愛くないからってひがまないでよねっ!」
「なんだと、ワタシはクールビューティなんだっ!」
「どこがクールなのよっ!」
 引き剥がされてもののしりあう二人。
これは試合で決着をつけるしかないなあ。
「よせよせ。来月また組んでやるから。」

 ハリケーン神田VS藤島瞳 前座の目玉となるか。
最近無風だっただけに、小さなムーヴだけど、活性化の種にはなるだろう。
 
 その藤島はこの月から相羽と組んで試練の道を行く。
 相羽のさらなる向上と、藤島の経験を積ませる為だ。

「そんな・・・強い人たちばかり・・・」
「うち、頑張るからね。」
 ボーイッシュ相羽とアイドル藤島のコンビは意外と好評。
投げ+バランス型の相羽と、飛び技の藤島のコンビは悪くない。
 むしろ相羽が投げつけた相手に飛ぶというコンビネーションが光るから意外といいコンビかもしれない。
 上ばかり見てちょっと閉塞感を感じていた相羽にはいい刺激になるだろうし、藤島だって、キャリア上の先輩たちとの対戦はよい経験になるだろう。
 
「きゃああ!先輩助けて~~!!」
「これくらい自分で返せるよ!返せ藤島っ!!」
 
 意外と相羽も鬼教官だったりする(笑)
  
 
 今月の特記事項はあと二つ。
一つはIWWFが提携を破棄してきたこと。
 どうやら新女が資金を上積みしたらしい。新女も資金があるものだから余計な事をしてくれる。

 そして二つめの特記事項だが・・・

☆MAX WIND女王戦☆
初代女王 結城千種 8度目の防衛戦。
 
 挑戦するのは、挑戦者決定戦に勝利した4期永沢。
決定戦の相手吉田を大逆転のテキーラで沈めての挑戦権獲得。
 
 永沢は多分これが最後の挑戦となるだろう。

 前エース“偉大なる鳳凰”の愛弟子。
“鳳凰を継ぎし者”永沢としては、このシングル王座を奪取したい。




「遥さん・・・私は遥さんのようにエースにはなれませんでした。でもでも・・・エースの自覚を持ってこの一戦に臨みます。観ていてください。」

 試合前の控え室で永沢は気持ちを高ぶらせていた。

 自分の衰えはわかっている。
これが最後のチャンスだという事もわかっていた。
 だからこそ・・・



 
 みゃお~ん、みゃお~ん。

 永沢の携帯が鳴る。
「遥さんからのメールだ・・・」

“舞、頑張ってね。応援しているから”

「はい。ガンバルがんばる。です。」




 ということがあったと後で永沢に聞いた。

 伊達はあいかわらずメールが好きだな。
引退後には”メールのし過ぎで腱鞘炎になった”という噂も。

 いったいどれだけメールをしたのやら。
ちゃんとパケホーダイにはしたのかね?
 
 みことは未だにメールがよくわからないらしく、「届きました?」と電話してくることもある。
 
 誰かちゃんと教えてやれよ・・・


「青コーナーより、永沢舞選手の入場です!」

 流れるテーマ曲。
そのイントロを聞いてざわつく場内。

 流れた前奏は“伊達遥のテーマ タイトルマッチバージョン”。
イントロが終わると、永沢舞のテーマに切り替わる。
 そこで登場した永沢のガウンは・・・鳳凰とドラゴンそしてタイガーが”仲良く遊んでいる”絵柄のものだった。

 カッコよくはいかないのね・・・永沢。
でも鳳凰をいれたことで永沢の決意は伝わってくる。
 
「赤コーナーより結城千種選手の入場です!」
  






 序盤から両者飛ばしていく。


「てえいっ!」
「まだまだあ!」
 互角の戦いに場内がヒートしていく。
会場は有明と普段の女王戦のドームに比べれば規模は小さい(私が動員に不安を感じたためだ)だがしかし、この内容ならばドームでもよかったかもしれない。

 飛び技はお互い封印し、打撃と投げで組みたてていく。
打撃の防御に関しては永沢に難があるが、威力では永沢の方が上。
 打撃に関しても互角、投げも互角。
ならば勝負を決めるのはパワーか、上手さか。

「これで!」
 打撃で動きを止めると、結城は永沢をクルンとかつぎ上げる。
この体勢は幾多の強豪を倒した結城のフィニッシュホールドの一つスーパーフリークだ。
 エースの重みを乗せ、強烈に叩きつける。

 ぐっ。

 しっかりと体重を乗せてエビに固めた。
その光景をセコンドの相羽はじっと見つめている。
 パワーボム系の技を使うならちゃんとみておけよ相羽。
 これが結城のスーパーフリークだから。 


バン!

バンッ!!

カウントが二つはいる。

「まだまだです!」
 三つめが入る前に永沢が肩をあげる。
 いわゆるカウント2.8というタイミングだ。

「もちろん予想してるわ!」
 結城は相羽を引き起こしそのまま得意の裏投げで叩きつける。
「フォール!!」
 結城は相羽の肩をぐっと両腕で押さえこむ。
 いわゆる“体固め”でフォール。
  永沢の反応は鈍い。
 1度2度・・・カウントが入る。

「おおっ!!」

 カウント2.9で返す永沢。

「はあ・・はあ・・・」
 肩で息をしながらも立ち上がる永沢。
「ええい!」
 結城のクローズラインが永沢の首を狙う。
「貰いましたっ!」
 永沢はその腕を掴むと、素早く結城の体を固めて後方へと叩きつける。
 ブリザードスープレックス。
 結城はこれをカウント2.5でクリア。

「永沢っ!!」
立ち上がった結城は永沢の顔面へ弾みをつけてケンカキックを叩きこむ。
 耐え切れず倒れこむ永沢。
「フォール!!」
 結城は永沢の右足をとって片エビに固める。

 バン! 「1!」
 バンツ!!「2!!」

「す、おおおっつ!!」
 完全に決まったかと思ったが永沢はギリギリで右肩を上げた。
「まだ・・・終われない・・・遥さん・・・」
 返した方も返された方もお互い大の字になっておきあがることができない。
「永沢っ!」
「結城っ!」
 お互いふらふらと立ち上がり、組みにいく。

 やはり最後は投げ技か。
バックドロップを狙う結城を永沢が伊達直伝のデスバレーで叩きつける。

 だがすぐにはフォールにいけない永沢。

「押さえろ永沢っ!」

 永沢は這うようにして結城の上に多いかぶさる。
体固めというか、もう乗っただけだ。
 
 バン!「1!」

 バンっ!!「2!!」

「おおっ!」
 と歓声が上がり、ドドド!!と地鳴りのような音が響く。
 観客が踏み鳴らす足の音、通称“重低音ストンピング”だ。
 
 結城はカウント2.5でクリア。

 ここまでいい試合になるとは・・・“結城、永沢・・・正直スマンかった。” 
 私は君たちを過小評価していたようだよ。

 先に立ち上がったのは永沢。
 結城が片膝をついて立ち上がろうとしているのを見て、最後のエネルギーを振り絞るかのようにダッシュ!
 
 リング上に鳳凰が再降臨。
きらめく閃光鳳凰弾(シャイニングフェニックス)が結城に炸裂。
 結城はダウンする。

 永沢はカバーに・・・


 行かない。

「最後は・・・これでっ!」
 永沢、必殺のドラゴンタイガー(※テキーラサンライズ)のアピール。
 結城の髪を掴んで立ち上がらせ、渾身のテキーラが唸る。

「どわああっつ!!」

なんだかよくわからない歓声や叫びが聞こえる。
 
 バン!「 ・・・!」

 バン!!「・・!!」

 レフェリーのトニー館が例によって溜めて溜めて、首を左右に振る。

 この瞬間再び「どわああっつ!」と沸く場内。

 バンっ!!!「3!!!」

「27分47秒 テキーラサンライズにより勝者、永沢舞っ!!」
  
・・・女王結城、ついに陥落。

「この結果 初代女王結城千種選手が8度目の防衛に失敗、永沢舞選手が第2代女王となります!」

 不動の女王を陥落させたのが衰えをみせる永沢というのはちょっと展開的にはアレだが、試合内容は素晴らしいものだったし、女王の座に相応しい試合だったといえる。
 
“鳳凰伝承者”永沢舞、伊達から教わった技3連発で見事勝利。

 ちょっと遅すぎた戴冠劇だったが、逆にそれがこの女王移動を感動的なものにしてくれた。
 結果オーライという奴だろうか。

「やっと、やっと勝てました!!」
 涙ながらに語るこの永沢の一言に全てが集約されていた。
 それを祝福する客席からの大きな拍手が全てを理解してくれていると感じた。
 
 常にトップ戦線を張り続けた結城はこの試合後、トップ戦線からの離脱を表明。
 悔しさはないと語る結城の表情はなんか楽しそうだった。

「誰が舞を倒し、このNEW WINDの歴史をつむいでいってくれるか楽しみなんですよ。」
 とインタビューの最後に語る結城の自然とこぼれる笑顔を私は忘れないだろう。

 11年目9月 絶対女王 結城千種 陥落。
2代目女王永沢を破るのは、吉田かハイブリットか。
 永沢を倒した3代目女王こそ次期エースになるだろう。

 ベルトに集約されたエースの重み、永沢の持つエースの自覚。
この二つを引き継いでこそ、真のエース。
 残念ながら今の永沢ではエースの重みには耐え切れないだろう。
 
あと一年早ければ・・・と思う遅い女王交代劇であった。

 ちょっと遅かったね。
と、私はつぶやいた。

 今は11年目9月。
一年前にとっていて欲しかったよ。




 ↓感想などはこちらへどうぞ。

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2007/03/18 00:02 | Comments(3) | NEW WIND編

コメント

 神田さんのキャラはNEW WIND仕様ですのでご了承ください。
 
 正直つかみきれてませんので、都合よく使ってしまいました。
 その代わり出番は増えます。

 硬派タイプとアイドルは相性悪そうだなと思ったのが始まりです。
 そして立場は実力の勝るハッピー枠(準所属)と実力の劣る所属選手。
 これなら何かしらあるのがプロレスだと思いますので。

 
posted by Nat 2007/03/18 00:06 [ コメントを修正する ]
そして、結城にお疲れ様!

正直、めでたいながらも切なさも残る交替劇ですが・・・やはり、1年前に見たかったですね・・・
これで勝てなかったら、もっと切ないですしね!

前座戦線も楽しみです♪
posted by オーサカURLat 2007/03/18 10:07 [ コメントを修正する ]
 >オーサカさん
 結城がここまで粘るとは思ってませんでしたね。
 戦績からも順当に永沢へ移行するかと思っていたのですが、結城が強かった。
 永沢はエースではなく次代のエースへの中継ぎですね。
 でもとってくれてほっとしましたよ。
私の構想では永沢が結城のあとのエースを担う予定でしたから・・・
 やっぱ1歳差だと難しいのかもしれません。
posted by Nat 2007/03/18 19:04 [ コメントを修正する ]

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